「パワハラって訴えたもん勝ちなの？」

パワハラ被害にあっている方のなかには、上記のような疑問をもっている方も多いと思います。

結論、パワハラを受けているからといって、訴えたもん勝ちとはいえません。

パワハラに限らず、どのジャンルの裁判でも確実に勝てる裁判はないからです。

とはいえ、この説明だけでは納得いかない方も多いでしょう。

そこで、本記事ではパワハラは訴えたもん勝ちではない理由を4つ解説します。

記事を読めば、パワハラは訴えたもん勝ちとはいえない理由が明確にわかるはずです。

また、パワハラを訴えるメリット・デメリットもまとめているので、訴訟を検討している方は最後まで読んでみてください。

事前に読みたい⇒パワハラ（パワーハラスメント）の定義とは？3つの要件と6類型を徹底解説

そもそもパワハラとは？

パワハラとは、職場での立場を利用して、相手に身体的・精神的苦痛を与える行為です。

法律上、以下の3つの要件を満たす必要があります。

暴行や暴言はもちろん、無視・仲間はずれ・プライバシーへの過度な干渉などもパワハラに該当します。

パワハラは訴えたもん勝ちではない4つの理由

パワハラは訴えたもん勝ちではない理由は、以下のとおりです。

ひとつずつ詳細を解説します。

パワハラは訴えたもん勝ちなのか疑問に思っている方は、参考にしてみてください。

高額な弁護士費用がかかるから

裁判には高額な弁護士費用がかかります。

状況によって正確な金額は異なりますが、50〜100万円程度が相場です。

仮に裁判で勝ったとしても、得られる慰謝料が弁護士費用を下回ることもあります。

費用倒れの可能性は十分にあり得るため、必ずしも「訴えたもん勝ち」とはいえません。

パワハラには消滅時効があるから

消滅時効の存在も「訴えたもん勝ち」とはいえない理由のひとつです。

パワハラ行為から一定期間が経過すると、訴えを起こせなくなります。

ちなみに、パワハラの消滅時効は、被害と加害者を知ってから3年間が原則です。

パワハラが身体や生命を害するものである場合には、消滅時効が5年になります。

このように、パワハラには消滅時効があるため、訴えれば何でもOKなわけではないといえます。

判決が出るまでに時間がかかるから

判決が出るまでには時間がかかります。

一般的に裁判には3ヶ月〜半年程度かかるとされており、長い場合だと数年に及ぶこともあるでしょう。

裁判が長期化すると、金銭的にも精神的にも負担が大きくなることが考えられます。

そのため、訴えたもん勝ちとは一概に言い切れません。

十分な証拠がないと勝つのは難しいから

いくらパワハラがあったと主張しても、十分な証拠がないと裁判で勝つのは難しいでしょう。

証拠がなければ、パワハラがあった事実を立証できないからです。

パワハラで裁判を起こす場合は、可能な限り以下のような証拠を集めておく必要があります。

どのようなトラブルでも、被害を証明できなければ、敗訴の可能性が高くなってしまいます。

そのため「訴えたもん勝ち」とは一概に断言できないでしょう。

パワハラは訴えたもん勝ちと勘違いされやすい理由

「なぜパワハラは訴えたもん勝ちといわれるの？」

パワハラは訴えたもん勝ちとは必ずしもいえません。

しかし、パワハラは訴えたもん勝ちと勘違いしている方も多いようです。

そこで、パワハラは訴えたもん勝ちと勘違いされる理由を解説します。

それでは、ひとつずつ詳細を見ていきましょう。

メディアで勝訴例を多く見たから

メディアを通して、パワハラで勝訴した事例を多く見たことで「訴えたもん勝ち」と誤解する方もいます。

近年では、パワハラ問題が社会的に取り上げられるようになり、メディアでパワハラに関する話題を目にすることは多いでしょう。

なかには、パワハラで勝訴したニュースや裁判に成功した方の体験談が掲載された記事もあります。

このような裁判での成功事例を多く目にすると「訴えれば勝てるかも」と思ってしまうのも無理はありません。

パワハラ防止法が施行されたから

2019年に成立したパワハラ防止法の存在も「訴えたもん勝ち」と勘違いしてしまう理由のひとつです。

パワハラ防止法により、企業にはパワハラへの迅速な対応や働きやすい環境の整備が義務付けられました。

国がパワハラの対策に乗り出したことから「パワハラ被害者の立場が強くなった」と誤解してしまう方もいるようです。

自分が不快に感じたらパワハラになると思い込んでいるから

自分が不快に感じたらパワハラになると思い込み「訴えれば勝てる」と勘違いしている方もいるでしょう。

しかし、実際には何でもかんでもパワハラになるわけではありません。

たとえば、再三注意しても遅刻が続き、一定程度強めに注意された場合は、パワハラに該当しない可能性が高いです。

とはいえ「受け手が不快に感じた行為＝パワハラ」と極端に考えてしまう方も珍しくありません。

パワハラで訴えるメリット・デメリットまとめ

パワハラで訴えるメリット・デメリットを表にまとめました。

メリット	デメリット
慰謝料を受け取れる可能性がある パワハラ被害がなくなる可能性が高まる 会社にパワハラ防止措置を講じさせるきっかけになる 勝訴すれば、潜在的な被害者に声を上げる勇気を与えることにつながる	敗訴のリスクも高い 高額な弁護士費用がかかる 転職に影響が出るおそれがある 会社にいづらくなる可能性がある

上記のようにパワハラで裁判を起こすのは、メリット・デメリット両方あります。

「訴えたもん勝ち」との意見に流されず、本当に裁判を起こしたほうが良いのか慎重に判断してください。

どうしても迷う場合は、弁護士に相談して慰謝料の金額や裁判にかかる費用などを確認してみることをおすすめします。

パワハラで訴えるまでの流れ

パワハラで訴えるまでの流れは以下のとおりです。

まずは、録音データや動画などの証拠を集め、パワハラの事実を会社に報告しましょう。

会社が対応してくれない場合は、以下のような社外の相談窓口を利用することも方法のひとつです。

それでも解決が難しい際は、弁護士に相談することを検討してみてください。

以下の記事では、パワハラを泣き寝入りせずに解決する方法を解説しています。気になる方は、あわせてチェックしてみましょう。

パワハラから逃げたい場合は退職代行の利用も検討する

パワハラから逃げたい場合は、訴訟を起こすのではなく退職を検討するのも良いでしょう。

とはいえ「退職を伝えると、パワハラがエスカレートしそうで怖い...」と悩む方もいると思います。

自力で退職を伝えるのが難しい場合は、退職代行サービスの利用を考えてみてください。

退職代行サービスの担当者が自分の代わりに、会社へ退職の連絡を入れてくれます。

早ければ依頼した日から、職場に行くことなく会社を辞められる点がメリットです。

一刻も早くパワハラから解放されたい方や、心身の不調で出社すら困難な状況の方は、退職代行サービスを利用して職場を離れることも視野に入れてみてください。

パワハラで辞めたい方におすすめの退職代行サービスは、後述しています。

パワハラで辞めたい方におすすめの退職代行サービス3選

パワハラで辞めたい方におすすめの退職代行サービスは、以下のとおりです。

それぞれのメリットを順番に解説するので、退職代行サービス選びの参考にしてみてください。

退職代行Jobs

退職代行Jobsは、株式会社アレスが顧問弁護士の指導のもとで運営している退職代行サービスです。

合同労働組合ユニオンジャパンと連携しながら、労働者の退職をサポートしています。

退職だけではなく、転職や引っ越しのサポートも受けられるため、辞めた後のキャリアや生活が心配な方におすすめです。

料金は24,800円（税込）〜で、退職できなかった場合の全額返金保証が付いています。

サポート期間中は回数無制限で相談できるので、疑問や不安を解消しやすいでしょう。

退職から転職まで一貫してサポートを受けたい方は、メールやLINEで今の悩みやサービス利用時の要望などを伝えてみてください。

退職代行ガーディアン

退職代行ガーディアンは、法適合の合同労働組合である東京労働経済組合が運営しています。

運営元が労働組合なので、退職の連絡だけではなく、有給休暇や未払い残業代、退職金などの交渉も代行してもらえます。

「有給休暇を消化してから辞めたい」「給料や退職金をきちんと受け取りたい」などのニーズにこたえられる点が魅力です。

料金は一律23,800円（税込）で、退職代行が終わった後も無料で相談できます。

「会社からしつこく連絡が来る」「離職票が届かない」といったトラブルにも追加料金なしで対応してもらえるので、安心して利用できるでしょう。

退職代行OITOMA

退職代行OITOMAは、株式会社H4が運営している弁護士監修の退職代行サービスです。

5,000人以上の代行実績があるため、きちんと退職できるのか不安な方でも安心して利用できるでしょう。

料金は雇用形態に関係なく一律24,000円（税込）で、全額返金や後払いにも対応しています。

引き継ぎ書や退職届のテンプレートを無料で受け取れるので、自分で書類を用意する手間を省ける点もうれしいポイントです。

退職後は転職サポートを無料で受けられるため、スムーズに再スタートを切れるでしょう。

相談回数に制限はないので、まずはLINEで退職に関する悩みやサービスに関する疑問を伝えてみてください。

まとめ

パワハラを受けたからといって、訴えたもん勝ちとは限りません。

証拠が不十分であれば、パワハラがあった事実を立証できず、負ける可能性が高くなります。

また、訴訟を起こす場合には高額な弁護士費用が発生するうえ、判決が出るまでには時間がかかります。

そのため、パワハラで裁判を起こすかどうかは慎重に判断しましょう。

真っ向から戦うのではなく、職場から離れるのも方法のひとつです。

自力では退職の意思を伝えられない場合は、退職代行サービスを利用して即日退職することも検討してみてください。