「就労移行支援は意味ないの？」
「意味のある就労移行支援の受け方が知りたい」
就労移行支援は、障害のある人が一般企業に就職することを目標に職業訓練や実習の機会を提供するサービスです。
就職活動もサポートしてもらえますが、利用者によっては「意味がない」と感じることがあります。
就労移行支援を利用する場合は、自身にとって意味のある事業所選びが重要です。
関連記事：おすすめの就労移行支援をタイプ別に紹介！選び方のポイントや利用時の注意点も押さえよう
目次
就労移行支援が意味ないと言われる理由
就労移行支援が「意味ない」と言われる理由は、次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
どのような理由で「意味がない」といわれているのかを利用する前に確認しましょう。
内容が簡単でスキルアップを実感できない
パソコンに不慣れな人でもついていけるカリキュラムもあるので、人によっては「物足りない」と感じる可能性があります。
自分自身のレベルに合っていないカリキュラムを受講してしまうと、内容が「簡単すぎて意味ない」「難しすぎてついていけない」と感じるケースがあります。
自力で就職先を探す必要がある
就労移行支援は、就職活動自体は利用者が主体的に進める必要があるので、「意味がない」といわれることがあります。
具体的に、就労移行支援で受けられる就職活動のサポート内容は以下のようなものが挙げられます。
- 履歴書の書き方
- 身だしなみ
- ハローワークの活用方法
- 模擬面接
【参考】就職活動サポート｜ウェルビー
「仕事を紹介してほしい」「選考に直接かかわる面接対策に力を入れたい」人は、就職エージェントを利用するとよいでしょう。
以下の記事もよく読まれています。
【障害者におすすめの就職・転職エージェント（障害別）】障害全般（就職）・障害全般（転職）・精神障害・発達障害・聴覚情報処理障害・適応障害
やりたいことと事業所のサービスにズレがある
自身がやりたいことと事業所のサービス内容にズレが生じている場合は、「就労移行支援は意味ない」と考える人もいるでしょう。
たとえば、「コミュニケーションスキルを身につけたい」と考えているのに、デスクワークを想定した職業訓練が多く、人と関わる機会が少ない場合などです。
やりたいことが明確なのにもかかわらず、事業所のサービス内容が自分自身の希望と合っていなければ「意味ない」と考えてしまうでしょう。
アルバイトを禁止されている
就労移行支援では、基本的にアルバイトをしてお金を稼ぐことが禁止されています。
一人暮らしをしていたり、貯金が少なかったりする場合は、就労移行支援の費用が負担になり中途半端でやめてしまうケースも珍しくありません。
生活が苦しくて途中でやめてしまう現状から不満を抱いている人もいます。
就労移行支援の利用料金は、条件を満たしていれば減額・無料になります。自分自身が対象かどうか、事業所に問い合わせて確認しましょう。
受注作業の賃金が発生しない
就労移行支援では、就職後に働くための練習として外部企業から軽作業を受託することがあります。
納品した成果物に対して事業所には報酬が支払われていますが、利用者に分配するケースは少ないです。
そのため、受注作業に対して賃金が発生しない点に対して不満を感じ、「就労移行支援は意味ない」と考える人もいます。
就労移行支援を利用するメリット
就労移行支援を利用するメリットは、次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
就職活動でアピールできる
就労移行支援事業所に無遅刻・無欠席やそれに近しいレベルで通所した実績がある場合は、就職活動でのアピールポイントになります。
そのため、欠席や遅刻が多くても、正当な理由があったりすでに改善されていたりすればマイナスにはなりません。
また、障害者雇用に関して、企業は、応募者が安定して長く働けるかを重視する傾向にあるため、安定して就労移行支援事業所に通所していた実績は強みといえるでしょう。
就職活動の際は、就労移行支援事業所での実績を積極的にアピールし、安定して働けることを伝えましょう。
就労定着支援が受けられる
就職後は、新しい環境のもとで働くことになるため、人間関係や労働環境などさまざまな場面で不安を感じるかもしれません。
とくに、就労定着支援は、就職した企業のみではなく、就労移行支援事業所や医療機関などとの連携が可能であり、不安な点は気軽に専門家に相談できます。
専門家へ相談してアドバイスをもらうなどのサポートが受けられるため、就職後も安心して長く働き続けたい人におすすめです。
コミュニケーションの機会が生まれる
就労移行支援事業所では、同じ障害を持つ人がほかにも在籍している可能性があるため、共通の悩みを抱える人と直接コミュニケーションが取れれます。
同じ目標を持つ人とともに就職活動に臨める環境であれば、モチベーションの向上にもつながるでしょう。
就労移行支援事業所によってはコミュニケーションスキルの向上を目的としたカリキュラムもあります。
社会では、家族や友人とはコミュニケーションの取り方が異なります。
とくに「コミュニケーションスキルを磨きたい」と考えている人におすすめです。
生活リズムが整う
朝決まった時間に起きて準備をしたり、同じ時間に昼食をとったりするため、生活リズムを整えられるでしょう。
朝起きるのが苦手な人や、昼夜逆転がよく起こる人は、就労移行支援に通所して基本的生活習慣を身につけましょう。
通所する日数を選べたり、オンラインで参加できたりといった柔軟なプログラムもあるので、いきなり週5日通所することに高いハードルを感じる方は、ほかのプログラムにも目を通しておくだけでもかまいません。
就職すると、基本的には決まった時間に働くことになるため、生活リズムを見直したい人は就労移行支援を受けるのがおすすめです。
自己理解や障害理解が深まる
就労移行支援を利用すると、自分自身のことや障害についての理解が深まるため、適切な働き方や企業に求める条件がわかるようになります。
事業所によっては、自己管理やセルフコントロールのカリキュラムを実施していることもあります。
企業の採用担当者にも障害を理解してもらえる可能性が高くなるため、就職後も安心して働けるでしょう。
就労移行支援が向いている人の特徴
就労移行支援が向いている人の特徴は、次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
就職する意思がある
就労移行支援とは、まさに就職したい人のサポートをする事業なので、就職したい人は就労移行支援を受けることによってその目標に最短でたどり着けるでしょう。
働くスキルを身につけたい
社会経験がない人やコミュニケーションに自信がない人は、就労移行支援のカリキュラムを通じて就職に関するの知識やスキルを身につけることができます。
訓練を通じて自分自身に足りない部分を客観視できるため、常に目先の目標を追いかけながら就職に近づくことができます。反対に、自分自身の強みをさらに伸ばすこともできるでしょう。
また、どのように能力やスキルを向上させたらよいかわからないときは、遠慮せずに支援員に相談しましょう。支援員は目標を追いかける道筋を提示してくれるので効率よく目標を達成できます。
働くスキルを向上させ、就職後も職場に定着して活躍したい人は、就労移行支援の利用がおすすめです。
自分に合った仕事を知りたい
「どのような仕事が向いているのかわからない」と悩んでいる人にも、就労移行支援はおすすめです。
自己分析に特化したカリキュラムを通じて自分自身の得意分野や苦手分野を分析し、適正のある仕事を見つけることができます。
また支援員や同じように通所している仲間とコミュニケーションを取ることで、自分自身の強みに気づけることもあり、進路選択肢が広がるかもしれません。
就労移行支援が向いていない人の特徴
就労移行支援が向いていない人の特徴は、次のとおりです。
それぞれ詳しく解説します。
専門性の高いスキルを身につけたい
就労移行支援のカリキュラムでは、PCの基本操作や文章作成などの基礎的な内容が多く、専門性を高めたい人にとっては「物足りない」と感じる恐れがあります。
事業所によっては、IT就職を目指すカリキュラムや、事務職への就職に力を入れているなど、独自の強みを持つ事業所もあります。
事業所によってカリキュラムの種類やレベルは異なるため、自分自身に適した環境かどうかを事前によく確認してください。
確認する方法は、事業所に直接見学に行くのがおすすめです。
しかし、地理的要因や、通院などの事情があって実際に足を運ぶのが難しければ、オンラインで説明を聞くこともできます。また就労移行支援事業所の公式HPでカリキュラムをチェックするだけでも概要をつかめることが多いです。
仕事だけ紹介してもらいたい
就労移行支援は、就職活動をサポートしてもらえますが、ハローワークや転職エージェントのように仕事紹介をしてもらえるサービスではありません。
一部仕事を紹介してもらえることもありますが、ハローワークや転職エージェントと比較すると紹介数は少ないため、就職活動は別のサービスを利用するとよりスムーズにおこなえます。
以下の記事もよく読まれています。
【障害者の就職・転職（障害別）】：障害全般（就職）・障害全般（転職）・精神障害・発達障害・聴覚情報処理障害・適応障害
すぐに就職したい
就労移行支援は、就職することが最終目標ではなく、就職先に定着して長期的に安定して働くことを最終目標としています。
そのため多くの場合は半年以上2年以下の時間を割いて生活リズムを安定させたり、仕事に必要なスキルを身につけたりする場所です。
なかには交通費を支給してくれたり、昼食を提供してくれたりといった手段で、利用者の経済的支援をしてくれる事業所があるので、カリキュラムや事業所の雰囲気と一緒にこのようなサービスの有無も確認しましょう。
就職に消極的である
希望していないのに無理やり入所させられた人は、今は就労移行支援を受けないほうが無難です。
厚生労働省の発表によると、就労移行支援のサービス期間は1人当たり2年以内と定められています。
無理に支援を受けて2年消費してしまうより、本当に必要な時にサービスを受けられるように期間を残しておくことがおすすめです。
就職する意志がない状態では、就職したとしても安定して長く働けない可能性があります。
まだ就職する意思がない人は、障害者年金や生活保護など別の方法を検討してみるのも一つの方法です。
【参考】就労移行支援事業｜厚生労働省
外出できない
障害が重いことや、生活リズムの乱れが原因で外出ができない場合は、就労移行支援で十分なサポートを受けられない可能性があります。
就労移行支援は、一般的に決められた時間に通所することが必要になります。
事業所によってはオンラインでサポートを受けられるところもあるので、興味のある方は探してみるとよいでしょう。
また通院同行のサービスを提供する事業所もあるので、最初はそのようなサービスの利用から始め、徐々に通所を始めるのも一つの方法です。
就労移行支援が意味ないと感じる場合の対処法
「就労移行支援が意味ない」と感じる場合は、次の対処法について確認してください。
それぞれ詳しく解説します。
トラブルにはなるべく早く適性に対処して、自分自身に適した就労移行支援を利用しましょう。
利用回数・方法を変更する
たとえば、体力的に通所が難しいと感じている場合は、通所の回数や1日あたりの時間を少なくすると負担が軽くなるでしょう。
また、別の利用者との相性が悪いと感じている場合は、まずは支援員に相談して話しを聞いてもらいましょう。話しを聞いてもらうだけでも気持ちが軽くなり、悩みが解消される可能性があります。
それでも問題が解決されない場合は、一度利用をやめてリフレッシュするのも一つの方法です。
就労移行支援事業所を変更する
「カリキュラム内容が合わなかった」「事業所が自宅から遠くて通所が辛かった」など、事業所を変更する前に意味ないと感じた理由を明確にしましょう。
その理由に基づいて次に利用する事業所を選べば、事業所のマッチングミスを防ぐことができます。
支援員に相談する
就労移行支援が意味ないと感じている場合は、信頼のおける支援員に相談することも一つの方法です。
支援員はこれまで様々な利用者に向き合ってきたは豊富な経験から、有益なアドバイスをくれるだけでなく、相談者に親身になって一緒に解決策を考えてくれるでしょう。
すぐに就労移行支援事業所を辞めるのではなく、まずは支援員に相談してみることがおすすめです。
意味のある就労移行支援事業所の選び方
意味のある就労移行支援事業所は、次の点を参考に選びましょう。
それぞれ詳しく解説します。
以下の記事ではタイプ別におすすめの就労移行事業所を紹介しています。就労移行支援を受けようと検討している人は、こちらの記事もあわせて読むことをお勧めします。
自宅から通いやすいか
就労移行支援事業所を選ぶ際は、自宅からの通所ルートを確認しましょう。
自宅から通いにくい事業所を選んでしまうと、通所が苦痛に感じる可能性があります。
就労移行支援事業所を通じて就職するには1〜2年程度かかるケースもあり、長期間通所するには自宅から通いやすい場所が望ましいです。
見学や体験に行く際には、事業所までの所要時間や公共交通機関の混み具合・乗り換えの有無などを確認しておくと安心です。
スタッフや事業所の雰囲気が適しているか
就労移行支援事業所のスタッフや、事業所の雰囲気が自分自身に適しているかどうかも選ぶ際の重要なポイントです。
1〜2年通所するためには、ストレスが溜まらず快適な環境でカリキュラムに取り組む環境が必要です。
見学に行ったときには、「どのような利用者が通所しているのか」、「すでに通所している利用者に対するスタッフの対応方法」などをよく確認しましょう。
就職実績があるか
就労移行支援を有意義に利用するために、事業所の就職実績も確認しましょう。
就職実績が多いほど、充実したサポートを受けられる可能性が高くなります。
多くの事業所は、就職実績を公式サイトに掲載しています。もし見つからなければ見学時にスタッフに聞くと教えてもらえます。
自身が必要なサポート内容か
就労移行支援事業所によって、注力しているサポート内容は異なります。
たとえば、PCスキルを身につけたい場合は、PCの基本操作に加えてOffice製品の利用方法やプログラミングなどの学習に力を入れている事業所を探しましょう。
コミュニケーションスキルを伸ばしたい場合は、ビジネスマナー・オフィスワークシミュレーションや面接練習に力を入れている事業所であれば満足のいくサポートを受けられるでしょう。
就労移行支援事業所が提供するサポート内容が、自分自身の希望と合致するかを事前によく確認することが大切です。
就労移行支援に関するよくある質問
就労移行支援に関するよくある質問は、次のとおりです。
それぞれの質問に回答しながら詳しく解説します。
就労移行支援の利用を開始する前に、不安は解消しておきましょう。
就労移行支援を利用すると確実に就職できますか？
就労移行支援は企業への一般就職の手助けをするサービスで、実際に職場を提供するサービスではありません。
書類作成や面接に関しても、もちろん支援員からのサポートを受けることができますが、就職活動自体は主体的におこないましょう。
就労移行支援を利用するとどのような就職を実現できますか？
就労移行支援は企業への一般就職を目指して利用者を支援します。
一般企業への就職は次の3つから就職方法を選べます。
- オープン雇用：障害者であることを企業に伝えて就職する
- クローズ雇用：障害者であることを伝えずに就職する
- 障害者雇用枠：障害者を対象とした採用枠
それぞれのメリット・デメリットを理解して自分自身に合った就職活動をおこないましょう。
就労移行支援の目的は？
就労移行支援の主要な目的は、次のとおりです。
- 生活リズムの改善
- 障害への理解を深めて自分の適性を知る
- 就職サポートを受ける
そして就労移行支援の最終的な目標は「長期間安定して働くこと」です。
就職後のサポートに力を入れている事業所もあるので、安心して仕事を始めることができます。
まとめ | 意味のある就労移行支援を選び企業への就職を成功させよう
就労移行支援を有効活用するためには、事業所選びやサービス利用方法が重要です。
「就労移行支援意味ない」と感じてしまう背景には、事業所選びでマッチングミスが発生している場合や、適切なサポートを受けられていない場合があります。
就労移行支援を利用する前に、利用する目的を明確にし、最適なサポートが受けられるかどうかを、事業所ごとに事前によく確認しましょう。
就労移行支援についてもっと知りたい方はこちら
