さまざまな理由から退職を言い出せない場合、退職代行の利用を検討する方は少なくありません。
その際、離職票などの退職時に受け取る書類について、気になる方も多いのではないでしょうか。
本記事では、退職代行を利用して離職票を受け取る流れや、予想される離職票にまつわるトラブル、離職票が届かない原因、解決法について解説します。
さらに、退職時に渡される書類の詳細や、退職後に必要な手続きについても紹介するので、退職代行を利用した退職を検討している方は参考にしてください。
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目次
退職代行をしても離職票は受け取れる
退職代行を利用すると「離職票を受け取れないのでは?」と焦る方もいるでしょう。
結論からお伝えすると、退職代行を利用しても離職票は受け取れます。
そのため、自分で退職を申し出ずに退職代行を利用した場合でも、離職票を受け取ることが可能です。
雇用保険法第76条3項でも、労働者が離職票の請求をおこなった場合、会社はその請求に係る証明書を交付する必要があることが明記されています。
また、退職代行を利用した場合は、退職に必要な書類を郵送で受け取ることが可能です。
必要書類がいつ発行されるかについては、代行業者に相談すると確認してもらえるので安心しましょう。その他、不明点や不安なことがあれば、気軽に相談することで気兼ねなく退職の手続きを進められます。
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退職代行を利用して離職票を受け取る際のポイント
ここからは、退職代行を利用して離職票を受け取るポイントを紹介します。
スムーズに受け取るために必要なことなので、早速チェックしてみましょう。
退職代行業者に離職票の発行を依頼する
退職代行業者は退職に関する手続きを代行してくれるため、離職票の発行を依頼することもできます。
退職代行業者に離職票の発行を依頼することで、会社から離職票がもらえないといったトラブルを未然に防げます。
そのため、退職代行業者との打ち合わせの際は、離職票の発行を依頼して欲しいことを必ず伝えるようにしましょう。
伝え忘れた場合、離職票の発行手続きがおこなわれない可能性があるので注意してください。
2週間経っても届かない場合は確認する
退職代行に離職票の発行を依頼したなら、あとは離職票が自宅に郵送されるのを待ちましょう。
自宅に離職票が届くのは、会社に申請してから10~14日後(約2週間)のケースが一般的です。
2週間経っても届かない場合は、何らかのトラブルが起こっているかもしれません。
何もせずに待っていても届かない可能性が高いため、離職票の手続きがどうなっているのか退職代行業者に確認してもらいましょう。
退職代行利用後に予想される離職票トラブル
続いては、退職代行利用後に予想される離職票にまつわるトラブルについて紹介します。
どのようなトラブルが起こり得るか理解しておくことで、未然に防げる可能性があるため参考にしてください。
離職票を発行してもらえない
離職票のトラブルで予想されるのは、会社に離職票を発行してもらえないケースです。
「退職代行を利用した場合は発行できない」などの理由から、離職票の手続きを依頼しても拒否される場合が少なからずあるようです。
しかし、離職票は労働者に受け取る権利がある書類なので、会社が離職票の発行を拒む権利はありません。雇用保険法でも正式に決まっているため、交渉すれば手続きしてもらえるでしょう。
離職票に記載ミスがある
続いては、離職票に記載ミスがあるトラブルが考えられます。
離職票の記載内容に関する訂正で、最も多いのは離職理由です。会社が理解している退職理由と退職者が考えている退職理由は、必ずしも同じとは限りません。
失業保険は離職理由によって本人に給付制限がかかり、給付日数や受け取る金額が変わってきます。退職後に失業保険を受け取るなら重大な問題になるため、必ずチェックしましょう。
離職票の記載にミスがあった場合は、代行業者に相談して修正を依頼する方法があります。または、異議申し立てをおこなうのも手段のひとつです。
異議申し立ては、以下の手順でおこないます。
- 離職票の本人判断欄にある「異議あり」を〇で囲む
- 離職者記入欄で正当な理由を〇で囲む
- ハローワークに提出する
- ハローワークが調査をおこない判断する
退職代行の利用後に離職票が届かないのはなぜ?
ここからは、退職代行の利用後に離職票が届かない場合の原因について紹介します。
実際に届いていないという方は、これから紹介する原因に心当たりがないかチェックしてみましょう。
退職者本人からの意思確認ができていないから
離職票の手続きをしてもらうには、退職者本人からの意思確認が必要だと考える会社があります。
そもそも離職票は失業保険に必要な書類であり、退職者全員に発行してもらえないことが珍しくありません。
退職後すぐに転職先が決まっている場合は、失業保険が受給できないため、離職票は不要です。
とはいえ、会社側は離職票の発行手続きを10日以内にする必要があると定められているため、依頼せずとも手続きしてくれたり、離職票が必要か確認してくれたりするのが一般的です。
しかし、退職代行を利用した場合は、退職者本人からの申し出がない場合は不必要だと判断される恐れがあります。
会社側の手続きが遅れているから
会社側が繁忙期の場合、業務に追われて離職票の手続きまで手が回っていないことも考えられます。
ハローワークへの提出書類には、退職者の給与額を記載する必要があるため、ほかの社員の給与計算のときに一緒に処理しようと考えている場合もあるでしょう。
または、会社の担当者が退職手続きに慣れていないことにより、対応が遅れている可能性もあります。
ハローワークの手続きが遅れているから
ハローワークが混雑している場合、会社が「わざと」手続きを遅らせずとも、離職票がなかなか届かないケースがあります。
特に退職者が多くなる3月〜4月やボーナス支給直後の時期は、ハローワークの手続きが遅れやすくなるため注意が必要です。
会社からの嫌がらせ
円満な形で退職をできなかったケースに多いのは、会社による嫌がらせにより手続きを遅らせているパターンです。
離職票が届かないとハローワークで失業保険の申請ができないため、失業手当の受給が遅れます。悪質な企業は、それをわかっていながら、あえて手続きを遅らせていることがあります。
コンプライアンス意識の高い会社であれば可能性は低いですが、ブラック企業であればあり得る話です。
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退職代行の利用後に離職票が届かない場合の解決法
退職代行の利用後に離職票が届かないと、失業保険の手続きがおこなえず、焦ってしまうかもしれません。
届かない場合は、これから紹介する解決法をひとつずつ試してみましょう。
自分で会社に問い合わせをする
離職票が届かないのは、会社の手続きができていなかったり、遅れたりしていることが原因の場合が多いです。
もしくは、離職票が必要なことが、会社に伝わっていない場合もあるでしょう。
電話で話すことが嫌ならば、メールで問い合わせるのも手段のひとつです。
メールも無理の場合は、退職代行に相談をしましょう。
ハローワークに相談する
失業保険の管轄であるハローワークには、会社が離職票の手続きを拒んでいる際に相談ができます。
相談することで、現在離職票がどのような状況であるか確認できる場合があります。
失業保険の手続きには離職票が必要なので、届かないといつまで経っても手続きができません。失業保険を受けながら転職活動をしたい方にとって、給付の遅れは生活に影響を与えます。
もし、会社が故意的に離職票の手続きを遅らせている場合は、失業保険の仮手続きをすることをおすすめします。
失業保険の仮手続きは、退職後12日経っても届かない場合に可能です。
しかし、最初の失業認定日までには離職票が必要になるため、会社に手続きはしてもらう必要があります。
離職票が間に合わなかった場合は、失業保険の受給が保留になるので注意しましょう。
退職代行業者、または弁護士に相談する
離職票の手続きを拒む会社のほとんどは、コンプライアンス意識が低い傾向があります。
こうした会社とは、自分自身で交渉をしても取り合ってもらえないケースがほとんどです。
ほかにも、残業代が支払われていなかったり、ハラスメントが横行していたりなどの労働問題を抱えている場合も珍しくありません。
離職票の問題をはじめ、労働問題に関するトラブルは、弁護士が運営する退職代行業者や弁護士への相談をおすすめします。弁護士に依頼することで、労働者に代わって会社と解決に向けて話し合いがおこなわれます。
会社側も弁護士相手となると強気に出られないことが多く、解決までがスムーズに進みやすいです。
また、弁護士は労働審判や訴訟などの手続きを進められるため、話がまとまらなかった場合でも解決に向けて対応してくれます。
関連記事:退職代行は弁護士に相談したほうが安心?業者と弁護士それぞれの違いを徹底解説
退職時に渡される書類一覧
退職時は離職票だけでなく、以下の書類を渡してもらえます。
ここでは、退職時に渡される書類の詳細や、何をする際に必要なのかについて解説します。
離職票
新しい転職先に提出する必要はなく、既に転職先が決まっていれば受け取らなくても問題ありません。
そのため、会社によっては必要であると意思表示しないと手続きをしてもらえない場合があります。
59歳以上の離職者については、本人の希望を問わず、離職票が発行される決まりになっています。
会社は社員が退職後10日以内に「被保険者資格喪失届」と「被保険者離職証明書」をハローワークに提出します。
ハローワークより数日内に(繁忙期は除く)「被保険者資格喪失確認通知書(離職票-1)」「被保険者離職証明書の事業所控」「被保険者離職証明書の本人控(離職票-2)」が会社へ交付されます。
その後「被保険者資格喪失確認通知書」「被保険者離職証明書の本人控」が離職票として、会社から本人宛に郵送されるのが一般的な流れです。
雇用保険被保険者証
会社に在籍している間は会社が保管し、退職すると一時的に退職者に渡されます。
その後、新しい転職先に提出する必要があるため、退職時に必ず受け取るようにしてください。
加入条件を満たさず、雇用保険に入っていない方は、雇用保険被保険者証自体が発行されていません。
退職する会社が保管しておらず、自分自身も所持していない場合は、管轄のハローワークで申請すると再発行が可能です。
年金手帳
2022年3月31日に冊子の交付は廃止され、2022年4月以降に新しく公的年金に加入した方には、基礎年金番号通知書が発行されるようになりました。
年金手帳は廃止されましたが、基礎年金番号を明らかにする書類として行政手続きなどに利用できます。
年金手帳が交付されている世代の場合、就職の際に国民年金の基礎年金番号を会社から求められるため、年金手帳を会社に預けているケースが多くあります。
会社によっては年金手帳をコピーした後に本人に返却している場合もあるため、自宅に保管していないか探してみましょう。
基礎年金番号は転職先の厚生年金保険に加入する際や、退職して国民年金に加入する際に必要です。
自宅になく、会社からも郵送されない場合は、会社にあるのか問い合わせてみましょう。
健康保険資格喪失証明書
会社を退職すると加入していた健康保険を脱退するため、新たに健康保険に加入しなければなりません。
退職後、もし国民健康保険に加入する場合、健康保険資格喪失証明書が必要になります。
健康保険資格喪失証明書は、加入している健康保険の喪失手続きが完了して発行されます。受け取るには会社側で手続きをしてもらう必要があるため、発行の依頼が必要です。
しかし、会社側には健康保険資格喪失証明書を発行する義務はないため、手続きが可能か確認しなければなりません。
もし、会社で手続きができない場合は、退職者本人が手続きをおこないます。
自身で手続きをする際は、加入している健康保険のホームページにて、必要書類や申請手順をチェックしてみましょう。
源泉徴収票
会社が従業員に給与を支払う際、所得税を源泉徴収しています。
源泉徴収票には、1年間に会社から支払われた給与や賞与、自分が収めた所得税の金額が記載されています。
源泉徴収票は会社が発行して退職者に渡す義務があり、転職先で所得税の年末調整をする際に必要です。
また、アルバイトの掛け持ちやフリーランスなどで、自分で確定申告をおこなう場合でも源泉徴収票が必要になります。
源泉徴収票は退職者が会社から給与を全額支給されたあとに発行するため、退職後に郵送される流れが一般的です。
退職時に会社に返却するもの
ここからは、退職時に会社に返却するものを紹介します。
退職代行を利用する前に準備しておけば、退職までがスムーズになるでしょう。
健康保険被保険者証
会社を退職すると健康保険の加入資格を失うため、健康保険被保険者証を返却しなければなりません。
退職代行を利用した場合、会社へ郵送して返却するケースが一般的です。
退職日までには返却する必要があるため、すぐに送れるように準備しておきましょう。
会社からの貸与品
会社からの貸与品も返却が必要です。
返却するべき貸与品は、以下を参考にしてください。
- 身分証
- 社章
- 名刺
- 定期券
- 制服
- カギ
- パソコン・タブレット
- 携帯電話
- 事務用品
仕事で作成した、顧客名簿やデータを持っている場合も返却が求められます。
社会人のマナーとして、制服はクリーニングをして返却をしましょう。
返すべきものか迷う場合は、手元に残しておくとトラブルになる可能性があるため、とりあえず返却することをおすすめします。
関連記事:退職代行サービスを利用したその後の流れ|転職への影響の有無も解説
退職後に必要な手続き
最後に、退職後に必要な手続きについて解説します。
退職代行は退職に関することは代行してくれますが、退職後の手続きは自分でしなければなりません。
おもに以下の手続きが必要になるため、ひとつずつ確認していきましょう。
住民税の納付の切り替え
在職中は給与から住民税が差し引かれますが、退職後は自身で納税する必要があるため、納付の切り替え手続きが必要です。
住民税の納付切り替え手続きは、退職後すぐに転職する場合と、1ヶ月以上の離職期間がある場合で異なります。
退職後すぐに転職する場合
退職後すぐに転職する場合は、在職中と同じように、新しい職場の給与から住民税が天引きされます。
そのためには、転職先の人事担当者に住民税を天引きして欲しい旨を伝えることで、手続きをしてもらえます。
さらに、前の職場から「特別徴収に係る給与取得者異動届出書」を発行してもらい、転職先に提出しなければなりません。
手続きをしなかった場合は普通徴収に切り替わるため、銀行やコンビニなどで住民性を支払います。
1ヶ月以上の離職期間がある場合
1ヶ月以上の離職期間がある場合は、退職する月によって住民税の支払い方法が異なります。
1~5月に退職するケースでは、退職日から5月までに支払う必要がある住民税を、最後の給与でまとめて天引きされます。
そのため、いつもより手取り金額が少なくなるので注意しましょう。
6~12月に退職するケースでは、一括徴収か普通徴収を選べます。
一括徴収を希望する方は前職で手続きが必要ですが、普通徴収の場合は自宅に納付書が届くため手続きが不要です。
失業保険の手続き
すぐに転職しない場合は、失業保険の手続きをおこなうことで、収入を得られるため安定した生活を送れます。
失業保険の手続きに必要なのが「離職票」であり、以下に該当する方は受給資格があります。
- ハローワークにて求職の申込みをおこなっている
- 就職しようという積極的な意志がある
- いつでも働ける状態である
- 一定以上の被保険者期間がある
失業保険の手続きが遅れると受給までの期間も伸びるため、離職票を受け取り次第すぐに手続きしましょう。
また、退職後にもらえる給付金は失業保険の基本手当だけではありません。
ほかの給付金について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
関連記事:退職後にもらえる給付金まとめ!自己都合退職でももらえる条件とは?給付期間・金額も解説
健康保険の切り替え
退職後は今まで加入していた健康保険を使えなくなるため、切り替え手続きをおこないます。
健康保険の切り替え手続きは、以下4つの方法があります。
- 転職先の健康保険に加入
- 国民健康保険に加入
- 前職の健康保険を任意継続する
- 家族の扶養に入る
すぐに転職先で働く場合は、転職先の健康保険に加入します。
年金の切り替え
退職すると厚生年金の資格を失うため、年金の切り替え手続きも必要になります。
年金の手続きでも、離職期間の有無によって手続きが異なります。
すぐに転職先で働く場合は、引き続き厚生年金に加入する流れが一般的です。
その際、手続きには基礎年金番号かマイナンバーを転職先に伝える必要があります。
1ヶ月以上の離職期間がある場合は、国民年金への加入手続きをおこないます。
市区町村役所・役場の国民年金窓口にて、国民年金の加入手続きは可能です。
退職代行後スムーズに離職票を受け取るには発行依頼を忘れないように注意が必要!
退職代行の利用に関わらず、会社は退職者が離職票の発行を依頼すると手続きを断れません。
とはいえ、退職者によっては離職票を不必要とするケースがあるため、退職者本人による発行依頼がないと手続きをしてもらえない可能性があります。
そのため、退職後にスムーズに離職票を受け取るには、発行依頼を忘れないように注意が必要です。自身で会社に言いづらい場合は、退職代行に頼み、依頼をしてもらいましょう。
また、退職後は離職票だけでなく、さまざまな書類を受け取る権利があります。
今後の生活や転職活動に困らないためにも、受け取るべき書類を理解して退職代行を利用しましょう。
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