「MRの仕事ってやめとけといわれているけど本当?」
「なぜMRの仕事は本当にブラックなのか?」
MR(Medical Representative)とは、製薬会社の営業担当者のことです。医師や薬剤師に医薬品の情報を提供し、その販売を促進する役割を担っています。
MRの仕事には、いくつかの課題があるといわれています。
例えば、不規則な勤務時間や業績プレッシャーなどの労働環境の問題、そして医療情報のデジタル化による役割の変化など、将来への不安要素があるようです。
そのため、一部では「大変な仕事」や「先行きが不透明な職業」という悪いイメージを持たれています。
また、MRから転職する際のおすすめ転職先や、MRから転職する時に利用すべきおすすめエージェントも合わせて紹介するので参考にしてみてください。
関連記事:製薬業界の転職に強いおすすめ転職エージェント8選|業界求人や年収・将来性も解説!
目次
MRが『やめとけ」といわれる5つの理由
MRをやめておいたほうがいいと思われる理由は、次の5つの理由が考えられます。
それぞれの理由について詳しく解説します。
MRをやめるかどうか悩んでいる方は、共感できる内容がないか確認してみてください。
将来性がない仕事だといわれる
しかし、近年の医療業界の変化や国の医療費削減政策により、製薬業界全体が縮小傾向です。
とくに、高齢化社会になった現在の日本は、できるだけ医療費を抑えるために薬価を下げる政府の対策が続いています。
その他に、ジェネリック医薬品の台頭により新薬の市場シェアが減少しており、医療業界は全体的に厳しい状況です。
また、製薬会社の合併や再編が進み、MRの雇用について不安定な状況が続いており、MRという職業に対して長期的にみて不安が生じているのも事実でしょう。
ノルマが厳しい
MRの仕事は、他業界の営業職と同様に厳しいノルマが設定されます。
とくに、外資系の製薬会社では、成果主義の傾向が強く、具体的な数値目標の達成を求められます。
例えば、「売上前年度比○○%アップ」といった目標が支店やMR個人に課せられることが一般的です。
しかし、業界全体の健全化を目指す動きも出始めており、2015年頃から一部の製薬会社では売上ノルマを評価基準から外す取り組みも始まっています。
転勤が多い
MRの仕事では全国転勤が一般的です。
これは、コンプライアンスの観点から、同じ医療機関を長期間担当することを避けるためといえます。
頻繁な転勤は、家族持ちのMRにとって大きな問題となります。
とくに、単身赴任や家族全員での引っ越しが必要となり、生活環境の変化や新たな人間関係の構築が求められるでしょう。
また、子育て中の家族にとっては、子供の新しい学校への適応の問題についても深刻といえるでしょう。
しかし、最近ではライフワークバランスを重視する社会的傾向を反映し、転勤に関して柔軟な方針を採用する製薬会社も増えています。
テレワークの活用や地域限定MRの採用など、新しい働き方の選択肢が広がりつつあります。
接待が大変
MRの仕事に対して、接待が大変だというイメージを持つ方は多いでしょう。
医師との信頼関係構築が重要なMRの仕事において、かつては仕事後の飲み会や休日の接待が一般的です。
ゴルフや土日の夜の接待、極端な例では医師の庭掃除までおこなうというような噂も広まっていました。
しかし、実際に現在のMRの仕事は、このようなイメージとはかけ離れています。
「メーカー公取協の接待行為に対する新運営基準」の制定以降、接待文化は大きく変化しました。
さらに、コロナ禍の影響もあり、接待の機会は著しく減少しています。
また、医師や薬剤師からプライベートな時間を犠牲にしての過度な接待は求められません。
代わりに、医療情報の提供や製品の特徴説明など、専門性を活かした活動が重視されています。
体力・精神力勝負なところがある
MRの仕事は、さまざまな医療機関を訪問し、医薬品の情報提供をするため、体力が必要不可欠です。一日に、10件以上の医療機関を回ることも珍しくありません。
加えて、常に最新の医療知識を学び続ける必要があり、医師の学会サポートなど、幅広い業務をこなすことも求められます。
さらに、MRは精神力も必要です。
自社製品を売り込む過程で、何度断られても諦めずに製品の価値を伝え続ける強い心が求められるでしょう。
努力がすぐ結果に結びつかないことも多く、さまざまなストレスを乗り越える精神力が必須です。
このような多岐にわたる要求と業務量の多さにより、MRの仕事は体力と精神力の両面が求められるでしょう。
MRで働くメリット
MRで働くメリットは大きく分けて3つあります。
3つのメリットについて、それぞれ詳しく説明します。
1. 高収入
多くの製薬会社では、MRの基本給が他の職種と比べて高めに設定されています。さらに、成果に応じたボーナスや歩合給制度もあり、頑張れば頑張るほど収入アップが可能です。
例えば、新人MRでも年収350万円前後からスタートすることも珍しくありません。経験を積んでいけば、600万円、700万円と上がっていくことも十分可能でしょう。
また、出張手当や交通費などの各種手当も充実していることが多い傾向にあります。
高収入には相応の責任と努力が求められますが、自分の頑張りが直接収入に反映されるのは、やりがいを感じる要素の一つでもあります。
2. 専門スキルや営業力が身に付く
MRの仕事は、医療に関する専門スキルと高度な営業力を身につけられる、キャリア形成に有利な職業です。
MRは医薬品や医療機器に関する専門知識と、ビジネススキルの両方を習得できる稀有な職種です。
これらのスキルは、医療業界だけでなく、多くの分野で高く評価されるため、キャリアの幅を広げられます。
例えば、MRとして働くことで、下記の5つの専門スキルやビジネス力が身に付きます。
- 最新の医療情報や薬剤の知識。
- プレゼンテーション能力
- 交渉力
- 顧客管理やデータ分析
- マーケティングの知識
3. 人間関係構築とコミュニケーション能力の向上
MRの仕事は、人間関係の構築やコミュニケーション能力の向上に役立ちます。
とくに、医師や薬剤師などの医療従事者と密接な関係を築くことで、信頼に基づく強固な人間関係を形成できます。
これにより、最新の医療情報を共有したり、治療に関するフィードバックを受けたりすることが可能です。
また、コミュニケーションをとる中で自然と対人スキルが磨かれ、相手の話をしっかり聞く「傾聴力」や相手の立場に立って物事を考える「共感力」を身につけられるでしょう。
MRからのおすすめの転職先は?
MRをもし辞めたいと考えた時に、おすすめの転職先は次の3つです。
MRからの転職先として挙げられた3つの選択肢について、それぞれの特徴とMRの経験が活かせる部分を説明します。
1. 医療機器メーカー
医療機器メーカーは、主に医療現場で使用される機器や装置を開発・販売している企業です。
技術革新が速く、常に新しい製品やソリューションを提供しているため、MRとして得てきた医療業界の最新情報が非常に役立ちます。
また、MRとして医療従事者とコミュニケーションを取り、関係を築いてきた経験は、現場で求められる医療機器を開発・販売する際に大いに活かせます。
具体的には、医療従事者のニーズを理解し、それに応じた提案ができる点や、信頼関係を基にした営業活動が可能です。
医療機器メーカーも製薬会社同様、医療現場に密接に関わって働くことになるため、MRで培った経験やスキルは十分に活かされるでしょう。
2. マーケティング・企画職
マーケティング・企画職は、製品やサービスの市場分析、戦略立案、プロモーション計画などを担当する仕事です。
この職種では、データ分析や消費者心理の理解が重要で、商品を売るためのクリエイティブな発想と論理的思考の両方が求められるでしょう。
MRとしての経験で培った市場分析力や顧客ニーズを把握する能力は、他の業界のマーケティング・企画職でも大いに役立ちます。
関連記事:Webマーケティング職へ未経験から転職するには?転職手順・やりがい・スキルも解説
3. 金融業界
金融業界には、銀行や証券会社、保険会社など幅広い業態があります。
数字への強さや分析力が求められ、コンプライアンスや規制に対応するスキルも必要です。
また、金融業界では顧客との信頼関係が重要です。MRとして医療従事者と築いてきたコミュニケーションスキルは、ここで大いに役立つでしょう。
さらに、医療・ヘルスケア関連の金融商品や、医療機関向けの融資・コンサルティングなど、MRとしての専門知識を直接活かせる分野も多くあります。
関連記事:金融業界の転職は未経験だと難しい?転職できる方法や必要事項を徹底解説
MRからの転職を成功させるコツ
MRからの転職を成功させるためには、以下の3つが重要です。
- 自己分析を徹底する
- 転職市場をリサーチする
- スキルを整理し再定義する
まずは自己分析をおこない、これまでのMRとしての経験で得た強みやスキルを明確にします。
次に、どの業界や職種に興味があるのかを考えましょう。
興味のある業界や会社が見つかったら、その業界の転職市場をリサーチします。
特に、MR経験者がどのような業界で働いているかを調べておくと良いでしょう。
その後、希望する新しい業界や会社で求められるスキルを確認し、自分のスキルを整理し直します。これまでの経験を具体的に書き出し、履歴書や面接でアピールできるように準備します。
MRから転職するときのおすすめエージェント3選
MRから転職を考えている方は、次のようなエージェントがおすすめです。
それぞれの特徴やおすすめできるポイントを詳しく解説します。
MRから転職したいと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
マイナビ薬剤師
- 「顔が見える面談」による丁寧なヒアリング
- 手厚い転職サポート
- 臨床開発室・治験コーディネーターなど取り扱い職種が幅広い
マイナビ薬剤師は、大手人材紹介企業である株式会社マイナビが運営する転職エージェントです。
対面、またはWebでおこなわれる「顔が見える面談」にこだわりがあります。
今後のキャリアプランや仕事に求めることなど、求職者の話に耳を傾けて、叶えたい転職内容を汲み取ってくれるでしょう。
サポートの手厚さに定評があり、求人紹介や書類添削、面接対策などの支援にくわえ、面談同行や給与交渉なども任せられます。
求人情報の読み方や内部情報も教えてもらえるため、気になることは何でも質問してみるのがおすすめです。
取り扱い職種の幅が広いことも特徴です。薬局、病院、ドラッグストアのほか、臨床開発室・治験コーディネーターなどの企業勤務の求人も保有されています。
さまざまなキャリアの選択肢を検討したい方に、うれしいポイントでしょう。
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | マイナビ薬剤師 |
運営会社 | 株式会社マイナビ |
公開求人数 | 48,773件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://pharma.mynavi.jp/ |
ヤクジョブ
- 業界最大級の求人数
- 20年以上の薬剤師転職支援実績
- 専任コーディネーターによる丁寧なサポート
ヤクジョブは元々薬剤師向けの転職サイトとして有名ですが、実は医療業界全体に精通しています。そのため、MRの経験を活かせる求人も豊富にあります。
特に魅力的なのは、医療機器メーカーやヘルスケア関連企業の求人が多いことです。MRのスキルが直接活かせる職場が見つかります。
また、専任コーディネーターによるサポートが充実しているのも大きなポイントです。MRから他職種への転職を考えている方も、丁寧なアドバイスを受けられます。
20年以上の実績があるので、業界のトレンドや企業の内情にも詳しいです。そのため、表面的な求人情報だけでなく、実際の職場の雰囲気や将来性まで、リアルな情報が得られるでしょう。
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | ヤクジョブ |
運営会社 | クラシス株式会社 |
公開求人数 | 51,065件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://yaku-job.com/ |
レバウェル薬剤師
- 取引先医療機関1.4万件(※公式サイト参照)
- 転職前に職場の内部情報が分かる
- 医療・ヘルスケア領域に精通したアドバイザーがサポート
レバウェル薬剤師は、医療業界の転職に特化したサービスを展開するレバレジーズメディカルケア株式会社が運営しています。
業界に精通したアドバイザーからのサポートが受けられるのはもちろん、アドバイザーは直接職場訪問して情報収集をしているため、職場の内部情報を詳細に知ることが可能です。
また、「転職エージェント」「スカウトサービス」「求人サイト」を兼ね備えたサービスのため、自身に合ったスタイルで転職活動を進めていくことができます。
サービス概要 | |
---|---|
サービス名 | レバウェル薬剤師 |
運営会社 | レバレジーズメディカルケア株式会社 |
公開求人数 | 2,752件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://levwell-yakuzaishi-agent.jp/lp/1/ |
MRの転職に関するよくある質問
最後に、MRの転職に関してよくある質問をまとめてみました。
MRの転職において、どのような資格や認定が有利に働きますか?
MRの転職では、以下の資格や認定が有利に働くでしょう。
- MR認定試験(MR認定証)
- 薬学や医学関連の学位
- 疾患や治療法に関する専門の認定(例:がん専門MR認定など)
- ビジネススキル関連の資格(例:MBA、マーケティング資格)
- 語学資格(TOEIC、英検など)
これらの資格は、専門知識やスキルの証明となり、MRから転職する際に有利に働きます。
女性で、MRを続けようか悩んでいます。家庭と両立することは可能ですか?
MRの仕事と家庭の両立は確かに課題がありますが、近年の働き方改革により状況は徐々に改善されてきています。
多くの企業でフレックスタイム制やテレワークの導入が進んでおり、柔軟な働き方が可能になってきました。
また、育児休業制度の充実や、仕事に復帰する際のサポートプログラムを設ける企業も増えています。
ただし、これらの制度や環境は会社や配属先によって大きく異なります。
そのため、転職を考える際や現在の職場で両立を目指す場合は、各企業の両立支援制度や実際の職場環境をよく確認することが重要です。
MRを辞めるのに適したタイミングはありますか?
MRを辞めるのに「絶対的に適した」タイミングはありませんが、いくつかの考慮すべき点があります。
- 年度末や四半期末など、業務の区切りがつきやすい時期
- 新製品の立ち上げや重要プロジェクトの完了後
- キャリアの節目(例:3年、5年、10年など)
- 自身のスキルアップや経験が一定レベルに達したと感じたとき
- 転職市場が活況を呈している時期
ただし、最適なタイミングは個人の状況や目標、そして市場動向によって大きく異なります。
そのため、これらの点を参考にしつつ、自分自身の状況をよく見極めて慎重に判断することが重要です。
転職を考える際は、自分のキャリアプランや生活状況、業界の動向なども含めて総合的に検討するようにしましょう。
MR としての経験年数によって、転職市場での評価はどのように変わりますか?
MRとしての経験年数は転職市場での評価に大きく影響します。
一般的な傾向は以下の通りです。
- 1-3年目:基礎スキル習得期間。経験の浅いMRとして扱われる。
- 3-5年目:中堅MRとして評価。転職しやすい時期。
- 5-10年目:専門性と管理能力が問われる。高いスキルと実績で評価上昇。
- 10年以上:リーダーシップと戦略立案能力が求められる。
ただし、経験年数だけでなく、担当製品、実績、スキルセットも重要な評価要素です。これらの総合的な判断が、転職市場での評価を決定します。
リモートで働きたいのですが、そのような求人はありますか。
コロナ禍以降、MR職でもリモートワークを導入する企業が増えていますが、完全リモートの求人は依然として少ないのが現状です。
多くの企業ではハイブリッド型(一部リモート、一部対面)の働き方を採用しており、デジタルMRやインサイドセールスなどリモート中心の新職種も登場しています。
一部のベンチャー企業や外資系企業では、より柔軟な勤務形態を提供していますが、MRの主な業務が医療機関訪問であるため、完全リモートは限られています。
リモートワークを重視する場合は、求人情報を慎重に確認し、面接時に具体的な働き方について質問することが重要です。
企業によって対応が異なるため、自分の希望に合った働き方ができるか個別に確認することをおすすめします。
まとめ
MRという職業は、「将来性がない」とか「ノルマが厳しい」などの理由から、やめとけといわれているのも事実です。
MRとして働きつづけても、将来に対して不安に感じることはない場合もあります。
それでもメリット以上にやめたい理由がある場合、新しい業界または職種に転職することも視野に入れましょう。
そのためにも、これまでMRで培った知識や経験を生かせるような転職先を探してみると良いです。
とくに、今回紹介した3つの転職エージェントは、MRから転職先を検討するのにおすすめです。まずは会員登録から始めてみて、今後のことを検討していきましょう。