社会福祉士は、高齢者介護や障害福祉、児童福祉などの現場で活躍する重要な役割を持った仕事です。

そんな社会福祉士の資格ですが、社会福祉士の資格を取得している方や、これから資格取得を目指す方で、以下のような疑問を持っている場合もあるでしょう。

本記事では、社会福祉士の資格を活かして一般企業に転職する方法を解説します。また、社会福祉士が一般企業で働くメリットやデメリットなども紹介します。

社会福祉士として一般企業への転職を目指している方に役立つ内容になっているので、ぜひ最後までご覧ください。

関連記事：社会福祉士向け転職エージェントおすすめ11選！求人数から選び方まで解説【2024年最新】

社会福祉士は一般企業でも働ける？

社会福祉士の主な活躍の場所は、福祉施設や福祉事務所ですが、福祉以外の一般企業で働くことも可能です。

最近は、以下のような理由で一般企業が社会福祉士を求めるケースもあり、社会福祉士のニーズが福祉業界以外にも広がっています。

社会福祉士は一般企業で働き会社の売上といったことに貢献するのではなく、企業で働く人が働きやすい環境をつくるためのサポートをするのが主な役割です。

教育機関であればスクールソーシャルワーカー、医療機関であれば医療ソーシャルワーカーなど、一般企業以外で活躍する社会福祉士の働き方を見ると、一般企業で働く姿がイメージしやすいでしょう。

社会福祉士が一般企業で働く際におすすめの働き方

社会福祉士が一般企業で働く際には、以下のような働き方があります。

一般企業の一員として働くというよりは、第三者として企業の働き方改革に貢献するといったイメージです。

それぞれの働き方や必要な資格などを見ていきましょう。

産業ソーシャルワーカー

産業ソーシャルワーカーとは、企業で働く人が抱える悩みや不安などに向き合い、周囲の人と連携を図りながら、問題解決の一歩を踏み出すために寄り添う相談のスペシャリストです。

主な仕事内容は、企業で働く人々の相談に乗り、問題解決に向けて一人ひとりの味方になることです。

相談内容は仕事に関することだけでなく、家庭での悩みや友人との人間関係など多岐にわたります。

産業ソーシャルワーカーが企業に配置されるのは、以下のようなことが目的です。

産業ソーシャルワーカーとして働く際は、社会福祉士の資格を活かせますが、「JISWA認定産業ソーシャルワーカー（1級〜3級）」の資格も取得することで、より専門性の高い人材として働けるでしょう。

JISWA認定産業ソーシャルワーカーは、産業ソーシャルワーカー協会が実施する民間の資格試験で、実務経験や研修修了などの条件を満たすことで受験できます。、

【参考記事】産業ソーシャルワーカーとは｜産業ソーシャルワーカー協会

産業カウンセラー

産業カウンセラーとは、以下3つの領域でカウンセリングを行う、働く人や企業を支援する仕事です。

活動領域	内容
メンタルヘルス対策への支援	職場におけるストレス対策 個人のストレスコントロールの援助 労働者のメンタルヘルスの維持と改善
キャリア形成への支援	労働者の上質な職業生活（Quality of Working Life）の実現 労働者一人ひとりに合ったキャリアカウンセリング 企業外でも活かせる職業能力の習得支援
職場における人間関係開発・ 職場環境改善への支援	個人の成長を促す人間関係育成の援助 男女共同参画社会基本法に基づいた性差別のない職場の実現 快適な職場な環境をつくるためのサポート

産業カウンセラーも産業ソーシャルワーカーと同様に、社会福祉士の資格があれば働くことは可能です。

ただ、日本産業カウンセラー協会が実施する試験に合格し資格を取得すれば、社会福祉士から産業カウンセラーへのキャリアアップの糧になります。

産業カウンセラーの試験は成人に達している方であれば誰でも受験できるため、興味ある方は積極的に受験しましょう。

社会福祉士が一般企業で働くメリット

社会福祉士が一般企業で働くメリットは、以下のとおりです。

それぞれ具体的な内容を見ていきましょう。

規則正しいスケジュールで働ける

社会福祉士が一般企業に転職することで、福祉業界とは異なり規則正しいスケジュールで働けるメリットがあります。

福祉業界の場合は、早番や遅番、夜勤などがあり、土日祝日関係なく働かなければいけません。

一方で一般企業の場合は、基本的に朝出勤して夕方に退勤するといったスケジュールです。

休日もカレンダー通りで、土日祝日休める場合が多いので、社会福祉士として福祉業界で働くよりもプライベートの時間は確保しやすくなっています。

残業が少ない

福祉業界はご利用者の生活全般を支援するため、業務が予定よりも時間がかかったり、突発的なアクシデントがあったりすると、どうしても残業が発生します。

また人手不足により一人ひとりの業務量が多くなり、時間内に仕事が終わらず残業をしなければいけないケースもあるでしょう。

一般企業で働く社会福祉士は、主に企業で働く職員を対象に支援するため、残業が少なく定時で帰りやすい職場環境になっています。

キャリアの幅が広がる

社会福祉士として一般企業で働くことで、今後のキャリアの幅も大きく広がるでしょう。社会福祉士だからという理由で、福祉業界の中に留まっていると、業界内でのキャリアしか築けません。

しかし、思い切って一般企業に転職し自分の強みを活かせれば、一般企業でのキャリアアップや転職する上での大きなプラス要素になるでしょう。

社会福祉士の資格を、もっと幅広く活用したい方は、一般企業に転職して経験を積むのもひとつの選択肢です。

企業の発展に貢献できる

社会福祉士の資格を活かして一般企業へ転職する場合は、産業ソーシャルワーカーや産業カウンセラーとして働くことになるでしょう。

これらの仕事は、企業で働く人を支援するだけでなく、企業が行う取り組みに対しても支援をして、企業の発展にも貢献できます。

自分が存在することで、離職率が下がったり働く人の意欲が向上たりして、企業の売上アップに間接的に関与する形になります。縁の下の力持ち的な存在の方は、社会福祉士の資格を一般企業でも活かしましょう。

給与がアップする可能性がある

社会福祉士が福祉業界で働く場合は、高齢者福祉や児童福祉などの領域で相談員として働くケースがあり、給与は働く領域によって異なります。

たとえば、高齢者福祉で働く生活相談員の平均年収は、厚生労働省の調査を見ると、およそ408万円となっています。

【参考記事】令和4年度介護従事者処遇状況等調査結果｜厚生労働省

福祉業界は決して待遇がいいとは言えません。そのため、社会福祉士として大きな給与アップは難しいのが現状です。

一般企業への転職であっても、企業の規模によって平均給与は異なりますが、大企業へ転職すればその分、給与アップにつながる可能性も高くなります。

社会福祉士が一般企業で働くデメリット

社会福祉士が一般企業で働くデメリットは、以下のとおりです。

それぞれデメリットの詳しい内容を解説するので、一般企業への転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

ネガティブな感情を受け止めなければいけない

社会福祉士が一般企業で働く場合は、産業ソーシャルワーカーやカウンセラーとして、働く人のマイナスな感情や企業のネガティブな要素に目を向けなければいけません。

そのため、本来ストレス軽減や働く上での満足度向上などが役割の仕事のはずが、自分自身がストレスを抱える恐れがあります。

社会福祉士として一般企業の相談支援をする場合は、自分自身のストレスコントロールもしっかりとおこないながら仕事をすることが求められるでしょう。

同じ部署の仲間が少ない可能性がある

一般企業で社会福祉士の資格を活かせる仕事である、産業ソーシャルワーカーや産業カウンセラーなどは、採用している人数自体が少ないため、同じ部署の仲間がほとんどいない可能性があります。

福祉業界であれば、社会福祉士以外にもさまざまな職種の方と近い距離で仕事できます。

しかし一般企業の場合は、働く人にとっては相談に乗ってくれる人という立場になるため、孤立しているように感じるかもしれません。

ひとりでも淡々と仕事できる方や、職場に友人や恋人などの出会いを求めてない方であれば、とくに問題なく働けるでしょう。

やりがいを感じにくい

産業ソーシャルワーカーや産業カウンセラーは、縁の下の力持ちであり、目に見える成果をあげる仕事ではありません。

そのため、やりがいを感じにくいと思う方もいるでしょう。

福祉業界で社会福祉士として働く場合は、自分がかかわるご利用者の方の生活改善が確認できたり、ご家族から感謝の言葉をいただいたりするケースもあるため、やりがいを感じやすくなっています。

一般企業でも、相談の対象者である企業で働く人や企業側から感謝の言葉をもらえることはあります。

しかし成果を出すために自分から行動するわけではなく、あくまで相談を受ける側のため、やりがいを感じにくいでしょう。

社会福祉士が一般企業への転職を成功させる方法

社会福祉士が一般企業への転職を成功させる方法は、以下のとおりです。

具体的な方法を解説するので、一般企業への転職を検討している方はぜひ参考にしてください。

転職の目的を明確にする

まずは転職の目的を明確にして、社会福祉士として一般企業に転職するべきか見極めましょう。

以下の表に、主な転職理由とおすすめの転職先をまとめました。

転職理由	おすすめの転職先
収入を上げたい	福祉業界の別の職場または給与の高い業界
人間関係に不満がある	福祉業界の別の職場または一般企業
働き方を変えたい	一般企業を含めた福祉以外の業界

収入を上げたいのであれば、社会福祉士として福祉業界での転職してもアップする可能性はあります。

人間関係の不満に関しては、業界よりも職場環境が大きく影響しているため、福祉業界の別の職場への転職でも改善可能です。

そもそも働き方を変えたい方や福祉以外の業界に興味がある場合は、一般企業への転職も選択肢のひとつに入ってくるでしょう。

キャリアの将来性をイメージする

一般企業への転職を目指す場合、社会福祉士として今後どのようなキャリアを歩んでいくのかイメージすることが大切です。

なんとなく一般企業に転職するのではなく、一般企業でキャリアアップしたいのか、一般企業での経験を活かして再び福祉業界に貢献したいのか、自分なりのキャリアプランを立てましょう。

社会福祉士にこだわりがないのであれば、資格関係なく思い切って未経験の業界にチャレンジすることで可能性が広がるかもしれません。

自分に向いているか考える

社会福祉士として一般企業に転職する際、自分に向いているかどうか考えるのも重要です。

社会福祉士として、一般企業で活躍する産業ソーシャルワーカーや産業カウンセラーは以下のような人に向いています。

福祉業界でも一般企業でも、社会福祉士として働くのであれば、相談支援の過程で他人のマイナスな感情を受け止めなければいけません。

生真面目で物事を深く考えてしまう性格の方は、社会福祉士として働く中でさまざまなことに悩んでしまい、精神面での負担を感じるでしょう。

余裕を持って転職活動する

転職を焦る必要はないため、時間をかけてじっくりと自分に合った会社を見つけることが大切です。

とくに、社会福祉士として一般企業への転職を目指す場合は、これまでとは異なる業界のため、わからないことも多いでしょう。

時間をかけることで、さまざまな会社を検討できるだけでなく、業界の理解度が深まり、自分に合っているかどうかも見えてきます。

転職自体には環境が変わるというリスクはありますが、転職活動はいくらおこなっても転職をしなければ何も変わらないため、余裕を持ったスケジュールで転職先を見つけましょう。

複数の企業を検討する

条件に合った求人を見つける際は、複数の企業を候補としてピックアップして、実際に面接までしてみましょう。

複数の企業で面接を受けたり社内見学に行ったりすることで、それぞれの企業の強みや弱点が見えてきます。

また実際に面接する中で、自分が企業に求めるもっとも大切なことがわかってくるかもしれません。

未経験である一般企業への転職に不安を感じる方は、転職エージェントを活用し、転職支援のプロのサポートを受けると安心して転職活動を進められます。

社会福祉士が一般企業へ転職する際に役立つエージェントは、次に紹介する「社会福祉士が一般企業で働く際におすすめの転職エージェント」を参考にしてください。

社会福祉士が一般企業で働く際におすすめの転職エージェント

社会福祉士が一般企業で働く際におすすめの転職エージェントは、以下の3つです。

それぞれのエージェントの特徴や強みを見ていきましょう。

【関連記事】転職エージェントおすすめ比較ランキング！人気エージェントの選び方を年代・職種別に一覧で解説

リクルートエージェント

社会福祉士が一般企業への転職を目指す際は、大手総合転職エージェントの「リクルートエージェント」がおすすめです。

リクルートエージェントの特徴は、以下のとおりです。

リクルートエージェントは、さまざまな業界の求人を取り扱う総合転職エージェントのため、社会福祉士から一般企業への転職を目指す方が求める求人を紹介してくれるでしょう。

doda

dodaもリクルートエージェントに次ぐ豊富な求人数（およそ20万件超え）を取り扱っているため、社会福祉士から一般企業への転職におすすめです。

dodaは以下のような特徴があり、魅力的な転職エージェントです。

dodaは転職サイトとしての機能も併せ持っているため、気になる企業に自分で直接応募もできます。経験やスキルなどのプロフィールを登録しておけば、企業から直接スカウトが来るサービスも利用可能です。

マイナビエージェント

マイナビエージェントは大手人材会社が運営する転職エージェントで、一般企業への転職を目指す方におすすめです。

マイナビエージェントは、以下のような特徴があります。

マイナビエージェントは、リクルートエージェントに比べると求人数は少ないですが、アドバイザーの質が高く、20代から30代の転職支援が得意です。

資格を活かして社会福祉士として一般企業で活躍しよう

社会福祉士の主な活躍の場は、福祉施設や福祉事務所ですが、一般企業で働くことも可能です。

社会福祉士が一般企業で働く場合は、働き方や職場環境を改善するために、働く人のカウンセリングをしたり、企業へのアドバイスをおこなったりします。

具体的には、「産業ソーシャルワーカー」や「産業カウンセラー」として働くことになります。

社会福祉士は悩みを持つ人に寄り添い、課題解決に向けたサポートをする仕事です。悩みを持つ人は福祉業界に限らず、一般企業にも多く存在します。

活躍するフィールドは異なっても、一人ひとりのQOL（Quality of Life）向上を目指すことには変わりありません。

一般企業への転職を検討している方は、ぜひ社会福祉士の資格を活かして、悩みを抱える人の課題解決に取り組んでください。