失業保険の受給には複雑なルールがあり、申請できる条件や待期期間などを詳しく知らない人も多いのではないでしょうか。
「失業保険の待期期間は何日なの?」「待期期間中にアルバイトをしたら失業保険を受給できないのかな?」と、不安を抱えている人も少なくないでしょう。
そこで本記事では、失業保険の受給に必要な待期期間を詳しく解説しました。
待期期間の数え方や、自己都合退職をした場合に必要な給付制限との違いも説明しています。
- 失業保険の概要と待期期間
- 失業保険を待期期間終了後すぐに受給できるケース
- 失業保険の待期期間にアルバイトをした場合の取り扱い
- 失業保険の待期期間中に就職が決まった場合の取り扱い
- ハローワークで行う失業保険の手続き方法
記事の内容を参考にして、ハローワークでおこなう失業保険の手続きで失敗しないよう、制度の理解を深めてください。
事前に読みたい⇒失業手当(失業保険)はどんな制度?計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説
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目次
失業保険の概要と待期期間を解説
まずは、制度の概要を解説します。
待期期間とは、失業保険の申請後に設定される期間を指します。
失業保険を受給できる条件
失業保険を受給するには、以下の条件を満たす必要があります。
- 現在失業している
- ハローワークで求職の申込みをしている
- 雇用保険の被保険者期間が一定期間以上ある
受給条件にある雇用保険の被保険者期間は、会社を退職した理由によって異なります。
雇用保険の被保険者期間は、会社の総務部やハローワーク、マイナポータルで問い合わせができます。
また、以下の記事では会社都合退職と自己都合退職の違いを詳しく解説したので、ぜひ参考にしてください。
関連記事:失業保険を会社都合退職でもらう方法を解説!手続き方法や受給期間も紹介
失業保険の待期期間は7日間
会社を退職後、失業保険の申請すると7日間の待期期間が設定されます。
7日間の期間中に、ハローワークは以下の事務処理をおこないます。
- 失業の事実を確認
- 受給資格を審査
- 給付額を計算
- 各種書類の作成
待期期間は会社都合退職や自己都合退職などの理由に関わらず、すべての申請者に適用される期間です。
7日間ある待期期間の数え方
7日間ある待期期間は、ハローワークで失業保険の申請日を1日目として数えます。
例えば、9月2日にハローワークで失業保険の申請をした場合は、9月2日を待期期間の1日目として計算しましょう。
待期期間の終了日は、9月2日に失業保険を申請した場合は9月8日となります。
また、土日や年末年始などの祝日も待期期間に含まれるので、12月27日に申請を行うと、待期期間の終了日は翌年1月2日です。
待期期間と給付制限の違い
おもに自己都合で会社を退職した場合に設定される、失業保険を受給できない期間を給付制限と呼びます。
以下の表に概要をまとめたので、1度確認してください。
待期期間 | 給付制限 | |
---|---|---|
定義 | 失業保険を受給できない期間 | 待期期間後に設定される追加の受給停止期間 |
期間 | 7日間 | 待期期間の終了後2ヶ月~3ヶ月 |
対象者 | すべての申請者 | おもに自己都合退職者 |
会社の都合により退職をした場合は給付制限期間がないため、スムーズに失業保険を受け取れるメリットがあります。
激甚災害の指定を受けた場合は給付制限を短縮できる可能性がある
地震や台風などにより激甚災害の指定を受けた地域では、通常2ヶ月~3ヶ月ある失業保険の給付制限が短縮される可能性があります。
近年のおもな激甚災害は、以下の通りです。
- 令和6年能登半島地震
- 令和5年台風第12号・第13号
- 令和5年台風第7号
具体的な適用条件は災害の規模に応じて決まるため、ハローワークや厚生労働省のWebサイトで確認してください。
2025年以降は自己都合退職の給付制限が短縮される予定
2025年の4月1日からは、自己都合退職した場合に設定される給付制限期間が1ヶ月に短縮される予定です(5年間で3回以上の自己都合退職をした場合は給付制限期間が3ヶ月のまま)
そのほか、2025年4月1日から実施される給付制限期間に関する変更点を紹介します。
- 給付制限期間は2ヶ月から1ヶ月に短縮
- 退職期間中・退職日の前1年以内に自ら教育訓練を行った場合には給付制限を解除する
制度の変更後は自己都合退職による給付制限期間が1ヶ月に短縮されるため、失業中の経済的な負担を軽減できるでしょう。
待期期間中は求職活動を行う
企業のリサーチや職務経歴書の作成、再就職に向けて資格を取得する時間に使うと、転職活動をスムーズに進められます。
ハローワークが主催する雇用保険説明会や民間の転職支援サービスを活用して、転職に向けた準備を進めてください。
関連記事:転職エージェントおすすめ比較ランキング!人気エージェントの選び方を年代・職種別に一覧で解説
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失業保険を待期期間終了後すぐに受給できるケース
待期期間の終了後、すぐに失業保険を受け取れるケースを4つ紹介します。
ただし、失業保険は4週間に1度ある認定日を基準に支給額を計算します。
会社都合で退職した場合
会社の都合により退職した場合は、給付制限がないため待期期間の終了後すぐに失業保険を受給可能です。
会社都合の退職とは、以下の理由で退職した人を指します。
- 会社の倒産
- 勤務先の事業所が廃止になる
- 業績悪化に伴いリストラにあう
- 解雇(懲戒解雇を除く)
- 勤務先が移転して通勤できない
- 早期退職制度へ応募した
- 雇用期間の満了
例えば、業績悪化により会社が倒産した場合や、事業を縮小するために勤務先が廃止になったときには、会社都合退職となります。
定年退職をした場合
会社を定年退職後、再就職する意思がある場合は失業保険を申請できます。
定年退職した場合は雇用期間の満了と同じ扱いになるため、7日間ある待期期間の終了後すぐに失業保険の受給は可能です。
退職時の年齢によって申請できる給付金の種類は異なるため、自身の状況に応じて適切に申請をしてください。
特定受給資格者に該当する場合
特定受給資格者に該当する方も給付制限がないため、ハローワークに申請してから約1ヶ月後に失業保険を受け取れます。
具体的な退職理由は、以下の通りです。
- 会社が倒産した
- 会社から解雇された
- 短期間に大量の雇用変動がある(1ヶ月に30人以上が退職するなど)
- 事業所が移転して通勤できないため退職をした
- 労働条件が契約時と異なるために退職をした
- 給与の未払いがあるため退職をした
- 給与が以前の85%未満に低下したため退職をした
- 長時間労働を理由に退職をした
- ハラスメントを理由に退職をした
- 退職勧奨をうけた
- 法律に違反する業務を指示されたため退職をした
特定受給資格者かどうかの判断は、ハローワークが退職理由をもとに行います。
特定理由離職者に該当する場合
以下の理由で退職した人を特定理由離職者と呼びます。
- 期間に定めのある労働契約が更新されずに退職した(派遣社員やパートなどの雇い止め)
- 正当な理由があり自己都合退職をした
期間に定めのある契約を会社と結んでおり(派遣社員やパートなど)更新の希望を伝えたにもかかわらず契約が終了した場合は、特定理由離職者となります。
一方で、契約期間の定めがない無期雇用の場合は、特定理由離職者に該当しないため注意してください。
また、正当な理由による自己都合退職の具体例は、以下の通りです。
- 体力の不足や視力・聴力が衰えた
- 病気やケガで働けなくなった
- 妊娠・出産・育児などを理由に退職した
- 親の介護のため退職した
- 引っ越しや交通機関の廃止などで通勤が困難になったため退職した
- 人員整理を理由とした希望退職に応じた
特定理由離職者かどうかの判断も、会社が申請した退職理由をもとにハローワークが行います。
疑問点や不安な点がある場合は、ハローワークに問い合わせをしてみましょう。
関連記事:退職後にもらえる給付金まとめ!自己都合退職でももらえる条件とは?給付期間・金額も解説
会社から自己都合退職を求められたら退職のプロに相談しよう
離職票に記載してある退職理由に納得がいかない場合や、会社から自己都合退職を求められたときには、退職のプロへ相談をしてみましょう。
なぜならば、退職理由は失業保険の受給資格や給付内容に大きな影響を与えるため、適切に申請すると多くのメリットを受け取れるからです。
とくに弁護士が監修する退職代行Jobsに相談すると、失業保険のルールに基づいたアドバイスをもらえるでしょう。
担当者には無料で相談ができるため、失業保険の申請方法に不安のある方や手続き方法に疑問のある人は、以下のボタンから問い合わせをしてください。
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失業保険の待期期間にアルバイトをした場合を解説
4つのケースをもとに、失業保険とアルバイトの関係を解説します。
待期期間中にアルバイトをすると期間が延長される
失業保険の待期期間中にアルバイトを行うと、働いた日数に応じて待期期間は延長されます。
例えば、3日間アルバイトをした場合は、待期期間は7日から10日に延長されるので注意しましょう。
失業保険の申請前ならアルバイトは可能
ハローワークに失業保険の申請をする前なら、アルバイトなどの労働は可能です。
ハローワークへの申請前は失業保険の受給資格が確定していないため、問題なくアルバイトを行えます。
給付制限期間や失業保険の受給開始後のアルバイトはハローワークに申告をする
7日間ある待期期間の終了後、給付制限期間や失業保険の受給開始後にアルバイトをした場合は、ハローワークへの申告が必要です。
失業認定日にハローワークを訪問した際に、働いた日数と勤務時間、報酬の金額を報告しましょう。
アルバイトをしたのにハローワークで申告しなかった場合はペナルティがある
ペナルティの対象となる行為は、以下の通りです。
- 就職や就労を申告しない(短期のアルバイトや内職、収入がない研修期間も含む)
- 自営業を始めたのに申告しない
- 会社役員や顧問に就任したのに申告しない
また、不正受給に認定されると失業保険の支給を停止されるほか、これまでに受け取った金額を返還する義務も発生します。
悪質な場合は刑事事件として告発されるため、失業保険の申請後にアルバイトをした場合は必ずハローワークへ申告してください。
失業保険の待期期間中に就職が決まった場合を解説
失業保険の待期期間中に就職が決まった場合を、2つのケースに分けて解説します。
採用日が待期期間中の場合は失業保険の対象外
採用日とは、会社と正式に雇用契約を結び、雇用保険や社会保険に加入する日を指します。
失業保険を受け取れない理由は、失業保険を受給するには「現在失業している」という条件を満たす必要があるからです。
就職先の会社から内定の連絡が来て採用日が待期期間中の場合は、ハローワークを訪問して就職の申告をしてください。
また、ハローワークには採用証明書の提出が必要です。
就職先の担当者へ採用証明書の記入を依頼して、ハローワークに提出しましょう。
採用日が待期期間の終了後であれば失業保険を受給できる
再就職が決まり、採用日が待期期間の終了後かつ失業保険の受給期間内であれば、失業している期間に応じて失業保険を受け取れます。
就職先から連絡を受けた採用日が、4週間に1度ある失業認定日の後である場合は、ハローワークを訪問した際に就職が決まったことを報告しましょう。
一方で、採用日が失業認定日よりも前の場合は、採用日の前日にハローワークを訪問して就職の申告をしてください。
ハローワークで申告をする際は採用証明書の提出が必要なため、早めに就職先の担当者へ連絡をしましょう。
ハローワークでおこなう失業保険の手続き方法
失業保険の手続き方法を解説します。
退職後は必要な書類を用意して、ハローワークで申請をおこなってください。
関連記事:仕事辞めたらすることは?退職後の重要な4つの手続きや流れを解説
必要書類を集める
まずは、失業保険の申請に必要な書類を集めましょう。
ハローワークには、以下の書類を提出します。
- 離職票(1・2)
- 雇用保険被保険者証
- 個人番号確認書類(マイナンバーカード・個人番号を記載してある住民票など)
- 身分証明書(運転免許証・パスポートなど)
- 証明写真
- 普通預金通帳・キャッシュカード
離職票と雇用保険被保険者証は、退職後に会社から渡されます。
また、手続きに必要な場合があるため、印鑑も持参すると安心です。
ハローワークで失業保険の申請をおこなう
必要な書類を用意できたら、ハローワークで失業保険の申請をしましょう。
ハローワークを訪問して求職の申し込みを行い、初回講習セミナーや雇用保険受給者への説明会に参加してください。
また、ハローワークの利用時間は8時30分から17時15分までですが、夜間まで受付をしている場合もあるため事前に確認しておきましょう。
待期期間が終了し受給資格が決定する
失業保険の申請を行い受給資格が決定したら、7日間ある待期期間が始まります。
待期期間中はアルバイトなどの労働は控えて、求職活動の時間に充ててください。
求職活動をおこなう
7日間の待期期間が終了したら、求職活動をおこないましょう。
求職活動を行わないと失業保険を受け取れないため、以下の方法で仕事を探してください。
- 求人への応募
- ハローワークが実施する職業相談・職業紹介を受ける
- ハローワークが実施するセミナー・講習を受講する
- 許可・届け出のある民間企業の職業相談・職業紹介を受ける
- 許可・届け出のある民間企業が実施するセミナー・講習を受講する
- 公的機関が実施する職業相談を受ける
- 公的機関が実施するセミナー・講習を受講する
- 転職に有利となる国家資格や検定を取得する
求人や仕事の探し方に不安のある方は、以下の記事もあわせて読んでください。
関連記事:求人や仕事の探し方がわからない場合の対処法|見つけ方のコツを解説
失業認定日にハローワークで面談をおこなう
失業認定日は、ハローワークで失業保険の申請をした日に設定されます。
訪問する日付と時間を指示されるので、失業認定申告書の提出と担当者との面談をおこなってください。
また、失業保険の受給期間中にアルバイトなどの労働をした場合は、失業認定申告書に働いた日数と勤務時間、給与額を記入しましょう。
失業保険の振込は、失業認定日から約1週間後に行われます。
失業認定日にハローワークへ行けない場合は証明書を提出する
やむを得ない理由がありハローワークへ行けない場合は、証明書を提出しましょう。
ハローワークに行けない理由の具体例と提出する証明書は、以下の通りです。
- 本人の病気やケガ:医師の診断書・病院の領収書
- 親族の病気やケガ:医師の診断書・病院の領収書・親族関係を証明できる書類
- 親族の結婚式:招待状・親族関係を証明できる書類
- 企業と面接をする:面接証明書
- 資格・検定の受験日:受験票
企業との面接や親族の結婚式があり失業認定日に訪問できない場合は、事前にハローワークへ連絡をしておきましょう。
失業保険の待期期間に関するよくある質問
失業保険の待期期間に関するよくある質問を、3つ紹介します。
失業保険の待期期間にお金が無くて生活できない場合はどうすればいいですか?
失業が原因で生活費などのお金が必要な場合は、地方自治体の窓口に相談してください。
住んでいる地域によって支援の内容は異なりますが、担当の支援員はあなたの状況にあわせて支援プランを作成してくれます。
また、緊急で資金が必要な場合は、以下の制度も利用しましょう。
- 生活保護
- 臨時特例つなぎ資金貸付制度
- 住宅支援給付金
制度を利用できる条件や支援内容などは、厚生労働省のWebサイトで確認してください。
自己都合退職で失業保険は何日分もらえますか?
自己都合で退職をした場合、失業保険の受給期間は90日~150日です。
受給できる期間は雇用保険の被保険者期間によって異なるので、以下の表で確認してください。
雇用保険の被保険者期間 | 失業保険の受給日数 |
---|---|
10年未満 | 90日 |
10年~20年未満 | 120日 |
20年以上 | 150日 |
自己都合退職で失業保険の給付制限期間は2ヶ月ですか?
ただし、過去5年間で3回以上の自己都合退職をした場合は、給付制限期間が3ヶ月に延長されます。
また、2025年4月からは給付制限期間が1ヶ月に短縮されるため、現在よりも制度を利用しやすくなるでしょう。
まとめ|失業保険の待期期間を理解してハローワークで手続きを進めよう
この記事では、失業保険の申請後に設定される待期期間を解説しました。
待期期間は7日間あり、待期期間中にアルバイトなどの労働を行うと期間は延長されるので注意してください。
また、自己都合で退職をした場合は、待期期間とは別に給付制限期間もあるので、ルールを混同しないように気をつけましょう。
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