職場のパワハラに悩んでいる方でこのような疑問や不安を抱えている方は多いのではないでしょうか。

パワハラは現代で問題視されており、今も尚パワハラで苦しんでいる人が多くいます。

そこでこの記事では、パワハラで退職する際に会社都合で退職する方法やコツなどを解説します。

この記事を読めば、会社都合で退職する方法やメリット、相談先などがすべてわかります。「パワハラを受けてこれ以上仕事を続けられない」とお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

関連記事：パワハラ（パワーハラスメント）の定義とは？3つの要件と6類型を徹底解説

パワハラによる退職は会社都合と自己都合のどちらか

パワハラにより退職した場合は、基本的に会社都合で退職したと扱われます。

ここでは会社都合と自己都合の違いや会社都合にする際の注意点などを解説します。

会社都合と自己都合の違い

そもそも会社都合退職とは、会社の業績悪化や経営破綻などにより一方的に契約を終了することを指します。

また、パワハラやモラハラなどのハラスメントが原因で退職した際も、会社側に責任があるので会社都合で退職できるケースがほとんどです。

一方で自己都合退職とは、従業者の都合により契約を終了することを指します。「仕事が合わない」「給料が安い」などの理由では自己都合での退職となります。

会社都合を会社側が認めない場合がある

パワハラでの退職は会社都合にできるとお伝えしましたが、会社側がパワハラを認めない場合があります。

そもそも、パワハラを理由に会社都合で退職するには、離職証明書に「会社都合での退職」と会社側が記載しなければなりません。

しかし、会社によってはパワハラの事実を認めないケースがあり、認められない以上会社都合で退職できない恐れがあります。

パワハラにより会社都合で退職するためにやるべきポイント

パワハラにより会社都合で退職するためには以下のポイントを押さえて行動してみましょう。

それぞれを詳しく解説します。

パワハラの証拠を用意する

まずはパワハラの証拠を用意しましょう。証拠を用意するための方法は以下のとおりです。

最近はスマホひとつで録音録画できるため、パワハラ上司と接する際は録音状態にしておけば証拠として収集できます。

また、LINEやメール画面もスクリーンショットで保存しておくだけで十分な証拠となります。

身体的なパワハラであれば、怪我の箇所の写真や医師の診断書なども十分効果的です。

このように、パワハラを証明するには証拠が必要なので会社都合退職するためにも工夫して証拠を用意しましょう。

相談窓口へ相談する

相談窓口へ相談するのも効果的な方法です。

相談窓口は労働に関する専門家によるアドバイスや解決策をもらえるので、会社都合退職するために一緒に行動してくれます。

窓口によっては法的に会社側へ請求してくれるケースもあるので、以下の相談窓口へ一度相談してみましょう。

厚生労働省：総合労働相談コーナー

厚生労働省の「総合労働相談コーナー」では、職場でのトラブルや労働環境に関する相談を受け付けている相談窓口です。

厚生労働省が運営しているので信頼でき、職場に関する幅広いトラブルに対応しています。

パワハラで悩んでいる方や会社都合で退職したい方でも相談できるので、一度相談してみましょう。

法務省：みんなの人権110番

法務省が運営する「みんなの人権110番」では、ハラスメントや差別、虐待などの「人権」に関する相談を受け付けている窓口です。

相談した後は、職員や人権擁護委員が必要に応じて調査をしてくれます。

調査により人権侵害と判断されれば適切に会社側に請求してくれるため、自分に代わって手続きを進めてくれます。

ハラスメントなどの人権に関する悩みを抱えている方は相談してみましょう。

ハローワーク

ハローワークでもパワハラに関する相談を受け付けています。

ハローワークでは求人紹介以外にも雇用保険や雇用対策などの「雇用支援」を幅広くおこなっており、パワハラなどの職場での悩みにも対応してくれます。

会社都合で退職した後の求人紹介もしてくれるため、労働に関する悩みがある方は一度相談してみましょう。

なお、ハローワークは全国各地にあるので、お近くのハローワークを探してみてください。

信頼できる上司や先輩に相談する

信頼できる上司や先輩がいれば相談してみましょう。

具体的なパワハラの内容や被害状況などを相談すれば解決に向けて動いてくれるかもしれません。

また、人に相談するだけで気持ち的にもラクになるため、落ち着いて行動できるようになるでしょう。

一人で抱え込んでいても解決しないため、まずは信頼できる人に相談することが大切です。

契約書・就業規則を確認しておく

雇用契約書や会社の就業規則を確認しておきましょう。

契約書や就業規則に反した業務内容だったり過度な残業時間だったりする場合は、パワハラの証拠として主張できます。

なお、残業時間が原則月45時間の企業や実際の残業時間が月45時間を超える企業はブラック企業の可能性が高い、と一般的に言われています。

残業時間が多い場合は契約書や就業規則などを確認してみましょう。

パワハラにより会社都合で退職するメリット

パワハラにより会社都合で退職するメリットは以下3つです。

それぞれを詳しく解説します。

失業保険を早く受け取れる

失業保険を早く受け取れるのが大きなメリットです。

自己都合退職の場合、失業保険の手続きに必要な書類などを提出してから支給まで2～3ヵ月かかります。

一方で会社都合の場合、必要書類を提出したあと7日間の「待機期間」が終了すれば翌日から支給されます。

自己都合と比べて2ヵ月ほど早く給付金を受け取れるため、お金の面で不安な方は安心できるでしょう。

失業保険の給付日数が多い

失業保険の給付日数が多いのもメリットです。

会社都合で退職した場合、雇用期間によって異なりますが給付日数は90～330日と幅広く、最大で約1年間受け取れるケースもあります。

一方で自己都合の場合は90〜150日であり、同じ雇用期間だとしても最大で150日までしか受け取れません。

給付日数が少なければ給付金の総額も少ないため、次の就業先を早く決める必要があります。

パワハラにより心身共に疲弊しているなかで転職活動しなければならないため、できる限り会社都合で退職できるように努めた方がよいでしょう。

転職時に前職を会社都合で辞めたことを主張できる

転職の際、前職を会社都合で退職したことを主張できるのもメリットのひとつです。

会社都合で退職できれば経歴に傷がつかないため、転職時にも影響しにくいです。

自己都合で退職した場合、理由によってはマイナスな印象を持たれてしまう恐れがあります。

その点、会社都合であればマイナスイメージを持たれない可能性が高いため、面接時に「なぜ前職を辞めたのか」と聞かれ際は会社都合で退職した旨を伝えましょう。

パワハラによって会社都合で退職した際に請求できるお金

パワハラによって会社都合で退職した際に請求できるお金は以下の3点です。

未払いの給与・残業代

未払いの給与や残業代があれば会社へ請求できます。

特にブラック企業に勤めている場合は多くの未払金がある可能性があるため、退職に併せて請求しましょう。

損害賠償・慰謝料

パワハラによる損害賠償や慰謝料を請求できる場合もあります。

これらはパワハラをしてきた個人に対してだけでなく会社に対しても請求できます。

ただし、請求するにはパワハラの事実を認めさせる必要があるため、パワハラの証拠を十分に用意しておきましょう。

労災保険

パワハラを受けた際は労災保険も適用されます。

労災保険とは、業務をするうえで怪我をした場合に適用される保険です。

これまではハラスメントによる精神障害を引き起こしても労災保険の対象外でした。しかし、令和2年6月からは労災対象にハラスメントが明示されました。

”令和２年６月から改正労働施策総合推進法が施行され、パワーハラスメントの定義が法律上規定されたこと等を踏まえ、認定基準の「業務による心理的負荷評価表」にパワーハラスメントを明示しました。”

引用元：厚生労働省「精神障害の労災認定基準に「パワーハラスメント」を明示します」

つまり、パワハラによって精神的身体的に辛くなり、病院の診察を受けた際に労災保険を受けられるようになりました。パワハラを受けている方は労災保険について会社へ相談してみましょう。

パワハラにより会社都合で退職する流れ

パワハラにより会社都合で退職する際は以下の流れで進みます。

まずは会社へ退職の意思表示をしますが、パワハラを受けている場合は取り合ってくれないケースがあります。

その際は、公的機関に介入してもらったり弁護士事務所へ相談したりしましょう。

意思表示ができれば退職届を提出します。その後は業務の引継ぎや残っている有給休暇を消化して退職します。

ただし、パワハラを受けている場合はスムーズに退職できない恐れがあります。そんなときは退職代行サービスがおすすめです。

退職代行ならあなたに代わって退職代行業者が代わりに退職手続きを進めてくれるので精神的負担なく退職できます。

退職代行の利用を検討している方は以下の記事を参考に退職代行サービスを利用してみましょう。

関連記事：退職代行おすすめランキング13選｜サービス内容や料金・評判を比較

パワハラ会社都合に関するよくある質問

パワハラにより会社都合で退職することに関するよくある質問をご紹介します。

パワハラで悩んでいる方は参考にしてみてください。

退職理由を会社都合にするためには？

退職理由を会社都合にするためには、パワハラの証拠を集めましょう。

パワハラにより会社都合退職するには、会社側にパワハラの事実を認めさせる必要があります。そのためにはパワハラの証拠となる音声やLINEの履歴、怪我の写真などが必要です。

スマホやボイスレコーダーなどを使ってパワハラの証拠を押さえられれば会社都合で退職できます。

関連記事：【具体例付き】理想の退職理由と例文｜円満に退職するためのポイント

パワハラを証明するには証拠が必要ですか？

パワハラを証明するには証拠が必要です。

会社都合で退職するには離職証明書に「会社都合で退職」と記載してもらわなければなりません。しかし、証拠がないと会社側がパワハラを認めない可能性があり、自己都合退職となる恐れがあります。

パワハラを受けているときは心身共に辛い状態ですが、会社都合で退職するためにも証拠を集めるように努めてみましょう。

パワハラが原因の病気の場合は診断書が必要？

パワハラが原因で病気になった場合、診断書が必要です。

診断書がなければパワハラによる病気と証明できないからです。

会社によっては「自己管理ができていない」と片付けられてしまう恐れもあるため、パワハラの証拠と併せて診断書も用意しておきましょう。

まとめ

パワハラによる会社都合退職について解説しました。

パワハラにより退職する場合、基本的に会社都合で退職できます。

しかし、会社都合で退職するには会社がパワハラの事実を認める必要があるため、必ず会社都合になるとは限りません。

パワハラの証拠となる音声や動画、診断書などを用意して会社に認めさせる準備が必要です。

また、証拠の準備だけでなく、公的相談窓口に相談したり信頼できる上司へ相談したりするのも退職するために必要なポイントです。

パワハラは現代で問題視されており、完全になくなっていません。今現在パワハラで悩んでいる方は一人で抱え込まず、ぜひこの記事を参考に行動してみてください。