「美容師がツラすぎて辞めたい…」

美容師を続けていると、このように思う人も多いのではないでしょうか。美容師は華やかに見える反面、技術を習得したり休日が少なかったりと、想像以上にしんどいと感じる人も多くいるはずです。

本記事では美容師を辞めたいときの理由や対処法、スキルを活かせる転職先について解説します。

関連記事：美容業界に強い転職エージェント12選｜メリットや転職成功のポイントも紹介

【経験年数別】美容師を辞めたい理由

美容師を辞めたい理由を経験年数別にまとめると、以下のとおりです。

筆者の体験談も踏まえながら紹介します。

アシスタント：入社〜1年目（とにかく下積みがツラい）

美容師のアシスタント入社〜1年目は下積み期間の厳しさから、美容師を辞めたいと思う方も多くいます。

アシスタントの初期は技術習得と並行してサロン業務の基礎を学ぶ重要な段階ですが、長時間労働や低賃金、厳しい指導など多くの困難に直面します。

筆者が体験してとくにツラかったのが、シャンプーレッスンのやりすぎによる手荒れと腰痛です。はじめの半年は、手荒れがひどく毎晩うなされた時期もありました。

とはいえ、半年もしてくれば肌が慣れてきたり、シャンプーする姿勢のコツもつかめたりと徐々に慣れてきます。その他にも、アシスタントの給料は非常に低く生活するだけで精一杯という期間も続くでしょう。

筆者の場合は美容師時代、実家暮らしだったのでなんとか生活はできましたが、金銭的には非常に厳しいものがありました。

上記の理由からアシスタントの半分以上は、1年以内に美容師を諦めて別の道に行く方も多いのが現実ではないでしょうか。

アシスタント：2〜3年目（同期と差がつき焦る）

美容師のアシスタント入社2〜3年目になると、同期との成長差に焦りを感じ辞めたくなる時期もでてくるでしょう。アシスタント期間はサロンにもよりますが、早ければ2〜3年でスタイリストに昇格するアシスタントもいます。

しかし、2〜3年でスタイリストになるのは優秀なアシスタントでなければ現実的には難しいです。

筆者が勤めていたサロンでは、毎月1回トップスタイリストや店長クラスによる技術テストが実施されていました。テスト時に自分自身が落ちたときは非常に落ち込み、何度も辞めたくなった時期があるのも事実です。

また、多くの美容室では2年目からワインディングの早巻きテストや、ウィッグを使用したコンテストも実施されます。大会にでたとき優秀な同期は入賞して、自分自身が落選したときはすごくショックを受けた経験もあります。

このように2〜3年目は明確に同期との差がつく時期なので、一年目とは違ったしんどさもあるでしょう。

スタイリスト：4〜6年目（クレームで精神的にツラい）

美容師のスタイリストとして4〜6年目に差し掛かると、時折クレーム対応がツラくなる時期があります。

たしかにスタイリストデビュー直後は、業務のしんどさを忘れさせてくれるくらい喜びや嬉しさがうわまわるでしょう。

一方、お客様に対する責任が増えるため、アシスタント時代とは異なりカットやカラー、ストレートパーマなどの施術に対する責任も重くなります。

正直、クレームになった際は精神的にかなりキツい現実がありました。筆者が経験した大きなクレームの事例をひとつ紹介します。

筆者の場合、上記のような流れでクレームに対処しました。お客様と美容師側の認識がずれた場合は、このようなアクシデントもついてきます。

上記のように4〜6年目のスタイリストは、責任の重さとクレームから美容師を辞めたいと思う方も多くいるでしょう。

スタイリスト：7〜9年目（美容師の給料に不満がでる）

美容師としてスタイリスト7〜9年目を迎えると、給料に不満がでる方も多くいます。

実際、美容師の平均年収は約379万円（※1）、一般サラリーマンの約458万円（※2）と比較しても約80万円低い結果です。

このため、長時間労働や責任の重さに対して報酬が見合っていないと感じる美容師も多くいます。

筆者が勤めていたサロンのスタイリストも給料が低いと不満がでていました。

スタイリスト7〜9年目は美容師としての経験や技術も向上し、お客様からの指名も増える時期ですが、それに伴って給料が見合わないと感じやすくなる時期でもあります。

そのため、7〜9年目に差し掛かると美容師自体を辞めて、一般企業に転職する人も多い傾向にあるのです。

出典：※1）美容師｜職業情報提供サイトjobtag
出典：※2）令和4年分 民間給与実態統計調査｜国税庁

スタイリスト：10年目以降（独立できるか心配になる）

美容師としてスタイリスト10年目を超えてくると、独立に対する不安や将来のキャリアに心配が増える方も多くなってきます。

多くの美容師が独立を目指しますが、美容師として独立するには経営の知識やノウハウ、資金面など技術以外の問題も多く発生します。

実際、美容師の独立には平均して約500万円の初期投資が必要とされています。内訳は次のとおりです。

【初期費用の事例】
内外装工事	約423万円
機械・備品	約189万円
運転資金	約165万円
テナント料	約95万円
営業保証金	約19万円

上記のように開業するだけでも、約900万円の多額な資金が必要になるため、金銭的な不安からも独立開業を諦める方は多くいます。

筆者が同じサロンで働いていた美容師も独立で成功した人もいれば、失敗して営業マンや製造業に転職した人もいます。

このように漠然とした将来の不安から、スタイリスト歴10年以上でも辞めたいと思う方は多くいるでしょう。

美容師を辞めたいと思ったときの対処法｜5選

美容師を辞めたいと思ったときの対処法は、次の5つがあります。

詳しく解説します。

スタイリストになるまでやり切る

美容師としてのキャリアを築くうえで、スタイリストになるまでやり切るのは重要です。

アシスタントからスタイリストになる過程で多くの困難や挑戦がありますが、うまく乗り越えられると得られるスキルや経験には非常に価値があります。

筆者自身もアシスタントだけでなく、スタイリストになったことでやりがいを感じ、やる気がでた経験があります。

まだ、スタイリストになっていない方は、少し休息を確保してスタイリストまでは頑張って続けてみてもよいのではないでしょうか。

別のサロンに転職する

美容師のキャリアに悩んだときは、一度別のサロンへ転職するのもおすすめです。

筆者自身は、サロン間の転職をした経験はありませんが、同期の美容師が別のサロンに転職してうまく成功した事例はあります。

サロンによって方針や施術方法、客層は大きく異なってくるので、美容師は向いているのにサロン自体が自分に合わないケースも多くあるでしょう。

そのため「美容師自体は続けたいけど、サロンが合わないな」と感じたときは別のサロンへの転職も検討してみてください。

社内の人や友人に相談する

美容師のキャリアに悩んだときは、先輩美容師や友人に相談するのも有効な方法です。悩みをひとりで抱え込んでしまうと、今後の問題を解決しにくくなります。

そのため、信頼できる先輩美容師や友人に相談すると、違う視点からのアドバイスやサポートも受けられるため問題解決の糸口が見つかるケースも多くあるでしょう。

筆者自身も美容師としてのキャリアに悩んだ際は、先輩美容師や友人に相談したのち美容師として今後歩んで行くのか、別の道に行くのか決めた経験があります。

有給を取得し考え直してみる

美容師の仕事に疲れたときは有給を取得し、一度仕事から離れ冷静に考え直すのもひとつの方法です。日々の業務に追われているとなかなか、問題を冷静に考えられません。

「もうしんどすぎて美容師を辞めたい......」と悩んでいる方は、一度仕事から離れて心身とともにリフレッシュしてみてください。

思い切って別業界に転職してみる

「美容師をやり切った」「どうしても他にやりたいことがある」など、明確な理由がある場合は思い切って転職するのも人生後悔しないための選択肢です。

筆者の場合は、期間を決めて音楽活動に専念したい理由があったので思い切って辞めた過去があります。

その後は、フリーターを数年したのち安定した製造業に転職しました。

人生は一度きりなので、自分の気持ちと向き合い美容師から別業界に転職してみるのもおすすめです。

【失敗しない】美容師を辞めるときの退職願の書き方

ここからは、美容師を辞めるときに失敗しない退職理由の書き方を紹介します。

退職理由を書く際には、以下のポイントに注意しましょう。

美容師の退職届も基本の形式は、その他職業と共通する形での作成になります。

美容師を辞める際は3つの手順に気をつける

美容師を辞める際は、以下3つの手順に気をつけるようにしましょう。

それぞれ解説します。

ポジティブな理由を伝える

美容師を辞めるときの退職理由は、前向きでポジティブな内容を伝えるのが大切です。

前向きな理由を伝えられると、今後の転職活動において好印象を与えられるので、サロン内のスタッフも気持ちよく送り出してくれるでしょう。

そのため「新しい技術を習得しさらにスキルを高めたい」「自分のキャリアアップのために異なる経験を積みたい」など、ポジティブな理由を伝えるようにしてみてください。

美容室への不満は最低限にして伝える

退職理由を伝える際には美容室への不満やネガティブな点は最低限にして、前向きな姿勢を示すのが重要です。

退職理由が「〇〇さんのやり方が気に入らなかった」「給料が安すぎてやる気がでない」などのネガティブな内容ばかりだと、現在勤めているサロンとの関係性が悪化する可能性もあります。

そのため、基本はポジティブな理由をベースに退職理由は伝えるようにしましょう。

退職までの期限は1年～半年で交渉する

美容師として退職を考えた場合、退職までの期限は1年〜半年を目処に余裕を持っての交渉が必要です。

筆者の場合は、半年前に店長に伝えて退職までの流れを作りました。

サロンの規模にもよりますが、アシスタントやスタイリストがいきなり抜けてしまうと予約どおりの施術ができなくなってしまい、お客様に迷惑をかけしてしまいます。

筆者が勤務していたサロンの事例だと、お正月明けに置き手紙をしてそのまま退職した店長がいました。

このときは、お客様一人ひとりに対してお詫びの連絡をいれて手間がかかった挙句、キャンセルが相次ぎその月の売上は前年の半分になった事例もあります。

このようにいきなり美容師が辞めてしまうと、お店にいるスタッフだけではなくお客様にも迷惑がかかることは理解しておきましょう。

美容師を辞めたあとにおすすめできる転職先｜5選

美容師を辞めたあとにおすすめできる転職先は、次のとおりです。

ひとつずつ見ていきましょう。

関連記事：美容師免許を活かせる仕事は？異業種転職でおすすめの職種をご紹介
関連記事：美容師から転職できる異業種は？男性女性関係なくおすすめの職種や転職成功のコツを紹介

美容メーカー・ディーラー

美容師を辞めた後に安定した生活を送りたい方は、美容メーカーやディーラーへの転職がおすすめです。

美容メーカーやディーラーは美容師と違い、安定した給料やボーナス、休日があります。

また、美容師としての経験があると製品の効果を実感しやすく、顧客への説得力も増すでしょう。

このように安定しながら、美容師として培った専門知識と技術を活かしたい方に美容メーカーとディーラーはおすすめの転職先といえます。

カラー・カット専門店

美容師をしているとカラーやカット、セットなど自分に得意な領域がでてきます。

そのため、苦手な分野をしたくない場合はカラー専門店やカット専門店に転職してみるのもひとつの方法です。

たとえば、地方の場合だと「とにかく安くカットだけしてほしい」「とにかく早くカットしたい」などの需要があります。そのため、1,000円カットのようなお店は繁盛し、一般的なサロンより給料が高く設定されている場合も多くあります。

一方、都心部だと若者向けの派手髪カラー専門店が高単価で、給料自体が通常のサロンより高いケースもあるでしょう。

もし、美容師業務全般するのはイヤだけど、カラーやカットのみなら仕事を続けたい方は、専門店に転職してみるのもよいのではないでしょうか。

営業職

美容師を辞めた後、営業職へ転職する方も多くいます。

営業職であれば、美容師として培ったコミュニケーション能力を活かし仕事に取り組めます。

前述でも紹介しましたが、美容メーカーやディーラーの営業職に転職できるとより強みを活かせるでしょう。

事務職

美容師を辞めた後、事務職に転職するケースも多くあります。事務職は業務の調整やデータの管理、電話応対などを担当する職種です。

美容師をしていると受付業務でデータを入力したり、電話対応したりと事務職に活かせるスキルも自然に身につきます。

そのため「接客対応に疲れて美容師を辞めたい…」という方は、事務職への転職を検討してもよいでしょう。

製造業

製造業への転職は美容業界とは正反対の業種になりますが、安定性を求めている方におすすめです。

筆者の場合、フリーター期間を挟みますが美容師から製造業に転職した経歴があり、美容師より製造業の方が年収も増え安定した生活は送れるようになった経験があります。

製造業の場合、美容師のようなサービス業と比べると取り扱う商品の金額も大きく、売上も高くなるため給料は高い傾向があります。

ただし、製造業の場合「音がうるさい」「暑い環境に耐えられない」など、美容師とは正反対の働き方になるので耐えられない方が一定数いるでしょう。

しかし、製造業への転職した経験から美容師と比べると定期的な休暇が取得できたり、まとまったボーナスが支給されたりとメリットも多くあります。

そのため、長期的な安定したキャリアを築きたい方は、製造業への転職もおすすめです。

美容師からの転職におすすめの転職エージェント

ここからは、美容師から転職するのにおすすめな転職エージェントについて紹介します。

それぞれ解説します。

beauty mirai agent

beauty mirai agentは美容師や美容業界に特化した求人情報を豊富に取り扱っており、専門知識を持ったキャリアアドバイザーがサポートしてくれます。

また、無料の個別キャリアカウンセリングを通じて最適な転職先を提案してくれるため、転職活動の悩みや不安を解消できます。

このようにbeauty mirai agentは、美容師としての転職を成功させる強力なパートナーになる転職エージェントサービスです。

リクルートエージェント

リクルートエージェントは、厚生労働省「人材サービス総合サイト」で多数の転職支援実績を獲得している業界最大手です。

公開求人数は約40万件以上、非公開求人数も約32万件以上と豊富なため、美容師以外への転職を希望している人におすすめです。

また、経験豊富なキャリアアドバイザーが個別にサポートし「履歴書・職務経歴書」の添削や面接対策を実施しているので安心した転職活動を実施できます。

ビズリーチ

ビズリーチは、年収600万円以上のハイクラス求人を多数保有している転職エージェントです。また、12万件を超える豊富なハイクラス求人から他サービスでは出会えない希少求人を選べます。

無料会員登録するとスカウト機能を利用できるため、スカウト機能をうまく利用して転職活動してみるのもよいでしょう。美容師からITや金融分野にいきなり飛び込むのは怖いかもしれませんが、専門のキャリアアドバイザーがいるので一度無料登録して相談してみてはいかがでしょうか。

美容師を辞めたいときによくある質問

美容師を辞めたいときによくある質問について、以下3つそれぞれ紹介します。

美容師を辞めたくなる理由は何ですか？

美容師を辞めたくなるのは、以下のような理由が多くなっています。

上記の理由からも人間関係やスキル、待遇面が美容師を辞めたいと思うきっかけになっているのがわかります。

美容師を辞めるときはいつまでに言うべきですか？

民法では「退職の2週間前に申し出る」（※3）とされていますが、できる限り1〜3ヶ月前には退職の旨を伝えるようにしましょう。

お客様がサロンに来店する頻度は1〜3カ月が平均なので、サロンの状況も考慮したうえで退職の計画を立てるようにしてみてください。

参考：※3）退職の申出は2週間前までに｜厚生労働省

美容師を辞める確率はどの程度ですか？

厚生労働省「令和4年雇用動向調査結果の概況」によると、美容師を含む「生活関連サービス業・娯楽業」の離職率は18.7％です。

一般的な離職率は15.0％であるため、美容師の離職率は他の業種よりも高めなのが伺えます。

また、厚生労働省「美容師制度の概要について」の資料では、2019年の免許登録者数が累計で約135万人、従業美容師数は約54万人と記録されています。

2019年から2022年まで毎年1,700人以上の新規登録者がいる状態ですが、実際に美容師として働いている人は免許保有者と比べて少ないのが現状でしょう。

筆者が同じサロンで働いていた同期も30人程いますが、現役美容師は5人なので上記のデータにも納得がいきます。

出典：美容師制度の概要について｜厚生労働省
出典：令和4年雇用動向調査結果の概況｜厚生労働省

まとめ：美容師を辞めたいと思ったときは転職活動してみる

美容師を辞めたいと思ったときは、まずはゆっくり休暇をとり意思が固まったら思い切って転職活動を始めてみるのもおすすめです。

いきなり転職するのはリスクを伴いますが、転職エージェントやコーチングサービスなどを利用した転職活動であれば、自分の市場価値を知る活動になるので実質リスクは伴いません。

「美容師を辞めたいな…」と少しでも考えた方は、本記事を参考にして転職活動してみてはいかがでしょうか。