「リハビリ病院の看護師はきついのだろうか」と疑問をお持ちの人もいるのではないでしょうか。

リハビリ病院の看護師は身体介助が多く、体力が必要なため「きつい」と感じる人もいます。医療行為のスキルも向上しづらいため、不安に思う人も少なくありません。

一方、患者さんを長期にわたってサポートでき、回復を見守れることにやりがいを感じられます。

この記事では、リハビリ病院の看護師がきついと感じる理由や、きついときの対処方法、向いている人・向いていない人について解説します。

転職する際に知っておくべき、リハビリ病院の特徴や看護師の仕事内容もみていきましょう。

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リハビリ病院（回復期リハビリテーション病院・回復期リハビリテーション病棟）とは

リハビリ病院とは、患者さんの機能回復のために医療やリハビリを提供する病院です。

一般的には「回復期リハビリテーション病院」「回復期リハビリテーション病棟」をさします。

はじめに前提知識として下記を解説します。

 リハビリ病院に転職したい方は、転職する際の参考にしてください。

1.リハビリ病院の特徴

リハビリ病院は、急性期の治療を終えた患者さんが、集中的にリハビリテーションをする場所です。

在宅復帰や職場復帰を目標とし、ADLの改善や、寝たきり防止のための医療やリハビリテーションを提供します。

入院できる疾患や入院期間が定められており、各専門職が連携し、患者さんに合わせてサポートするのが特徴です。

退院後の生活を考え、介護保険申請手続きのサポートや、介護サービスの調整、住宅改修などのアドバイスもおこないます。

厚生労働省では、回復期機能について以下のように定義しています。

• 急性期を経過した患者への在宅復帰に向けた医療やリハビリテーションを提供する機能
• 特に、急性期を経過した脳血管疾患や大腿骨頸部骨折等の患者に対し、ADLの向上や在宅復帰を目的としたリハビリテーションを集中的に提供する期間 （回復期リハビリテーション機能）

【引用】入院（その3）回復期入院医療について／厚生労働省　中医協

リハビリの時間は1日最大9単位（1単位20分）まで認められており、一般病院でのリハビリより長時間リハビリを受けられるのがポイントです。

2.入院できる疾患と入院できる期間

リハビリ病院に入院できる疾患、入院の上限日数は決まっています。

2022年度の診療報酬の改定によって「急性心筋梗塞、狭心症発作その他急性発症した心大血管疾患又は手術後の状態」が追加されました。

患者さんの状態と、算定上限日数は以下のとおりです。

【引用】参考 令和4年度診療報酬改定項目の概要／厚生労働省

3.リハビリ病院の看護師の仕事内容

リハビリ病院の看護師のおもな仕事内容は、以下のとおりです。

看護師の仕事内容は、健康状態の確認や生活支援が中心です。

日常生活の動作もリハビリとなるため、患者さんの状態を的確にアセスメントし、サポートする必要があります。

患者さんと家族の精神的ケアも重要な仕事です。脳血管疾患の患者さんなどは麻痺が残り、身の回りのことを自分でできなくなる人もいます。

自分でできていたことが、突然できなくなるショックや悲嘆は大きいのです。障害をなかなか受容できない場合もあります。

また、多職種の連携では、職種間の中心的な役割を担います。患者さんや家族、多職種間と円滑にコミュニケーションをとるのが重要です。

リハビリ病院の看護師がきついと感じる理由4つ

リハビリ病院の看護師がきついと感じる理由は、以下のとおりです。

詳しく解説しますので、転職で不安がある人は参考にしてみてください。

関連記事：看護師を辞めたいときの対処法5選｜辞めたい理由や退職の判断基準も解説

1.身体介助が多く体力が必要

リハビリ病院の看護師は体力が必要です。

脳血管疾患や整形疾患の患者さんに対して、日常生活の介助をおこなう場面が多いためです。入院中にADLが改善し、介助量は減少していきます。

車椅子とベッド間の移乗や、更衣、オムツ交換などを日常的におこなうため、腰痛に悩まされる看護師もいます。

2.トイレ介助が多い

リハビリ病院の患者さんは、日常生活に介助や見守りを必要とする人がほとんどです。

トイレや洗面所への移動なども、車椅子移動の介助や見守りをおこないます。

夜勤ではナースコールが重なることも多く、すぐに対応できないときもあります。認知症の患者さんも多く、転倒のリスクが高まるため、焦りを感じるときもあるのです。

とはいえ、リハビリ病院では「見守り」も大事な仕事です。

食事・トイレ・着替えなどはできるだけ患者さん自身でおこなってもらい、できない部分に関しては介助することで、きつさが軽減されるでしょう。

3.書類作成が多い

リハビリ病院では、看護計画書や看護必要度、褥瘡予防計画、看護サマリー以外にも作成すべき書類があります。

たとえば「リハビリ総合計画書」や「リハビリ実施計画書」といった書類です。

日々の看護記録の他に作成すべき書類が多く、負担を感じるときもあります。

4.医療行為が少なめでスキルに不安がある

リハビリ病院では、高度な医療行為はほとんどありません。急変の際は、基本的に転院・転科して治療するためです。

医療行為のスキルアップを目指している場合、不安を感じる可能性があるでしょう。

とはいえ、脳血管疾患、心疾患の患者さんも多いため、急変リスクは高いといえます。基本的な救急対応スキルは欠かせません。

リハビリ病院がきついときの対処法6選

リハビリ病院できついと感じるときは、以下の対処法をとりましょう。

一つずつ詳しく解説するので、きついと感じるときの参考にしてください。

1.働き方での悩みは上司に相談する

働き方の悩みは、上司に相談しましょう。

育児や介護がある方は、シフト制だと厳しい場合もあるかもしれません。日勤のみの勤務は可能か、部署異動は可能かなど相談するのも方法の一つです。

育児・介護休業法が改正されたため、今後は柔軟な働き方が選べる可能性があります。

とはいえ、看護業界は人材不足であり、考え方は職場によって異なります。まずは相談してみましょう。

【参考】育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律及び次世代育成支援対策推進法の一部を改正する法律の概要／厚生労働省

関連記事：看護師転職の相談先とは？よくある相談内容や解決方法を紹介

2.介助量が大きいときはスタッフに協力してもらう

介助量が大きいときは、スタッフに協力してもらうのも手です。

自分より体の大きい患者さんの介助は、一人では難しい場合もあります。

複数人で協力した方が、結果的に患者さんの安心・安全にもつながります。無理せずにスタッフ間で協力しあうのが大事です。

3.リハビリ看護の専門性を高める

外部研修に積極的に参加してみましょう。

リハビリに関する学会や企業のセミナーなどがあります。さらにスキルアップするためには、認定看護師の資格取得もおすすめです。

日本看護協会の認定看護師制度は、現在A課程は21分野（2026年をもって教育終了）、B課程は19分野あります。

リハビリ病院の看護師に役立つと考えられる資格は以下のとおりです。

＜リハビリ病院で役立つと考えられる認定看護師の例＞
A課程	B課程
皮膚・排泄ケア	皮膚・排泄ケア
摂食・嚥下障害看護	摂食嚥下障害看護
認知症看護	認知症看護
脳卒中リハビリテーション看護	脳卒中看護

一般社団法人回復期リハビリテーション病棟協会による「回復期リハビリテーション看護師認定コース」もあります。

【参考】認定看護師／公益社団法人　日本看護協会
回復期リハ看護師認定コース　2024年度開講　第17期開催のご案内／一般社団法人 回復期リハビリテーション病棟協会

4.体に負担のない介助方法を学ぶ

体に負担のない介助方法を学ぶのもよいでしょう。

リハビリスタッフから、体に負担がなく安楽な方法を教えてもらえます。

専門的な知識があるため、効率的な方法を学べるでしょう。

5.休日を充実させる

休日を充実させることも大事です。

家族と旅行したり、友人と遊びに行ったりしてリフレッシュしましょう。

趣味の活動もおすすめです。モチベーションのアップにも役立ちます。

6.看護師転職エージェントでキャリア相談をする

看護師転職エージェントでのキャリア相談もおすすめです。

看護師転職エージェントは、転職するしないに関わらず相談が可能です。

悩みに対して転職のプロからアドバイスがもらえます。相談だけでもしてみるとよいでしょう。

関連記事：看護師が転職を成功させるコツとは？事前にチェックすべきポイントも解説！

リハビリ病院で働く看護師のやりがい5つ

リハビリ病院の看護師の仕事は、つらいだけではありません。やりがいもあります。

以下はやりがいの一例です。

一つずつみていきましょう。

1.患者さんとじっくり関われる

患者さんとじっくり関われることが、やりがいの一つです。

リハビリ病院の患者さんは、おおむね3ヶ月から6ヶ月入院します。急性期よりは在院日数が長いため、長期間にわたって関われます。

毎日の関わりを通して、患者さんの理解を深められるのもポイントです。患者さんとじっくり関わりたい人には、おすすめの職場です。

2.患者さんが日々回復していく様子がわかる

リハビリ病院の患者さんは、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士による集中的なリハビリを受けます。

回復する姿を日々見られるため、喜びを感じられます。

3.患者さんの回復をチームで喜べる

リハビリ病院は、多職種連携が特徴です。

医師・看護師のほか、リハビリ職やソーシャルワーカーがチームとなり、一人の患者さんをサポートします。

患者さんが回復し、退院できたときは、達成感があります。チームで喜びを共有できるでしょう。

4.患者さんが社会復帰できたときは嬉しく感じる

患者さんのADLが改善し、退院できたときには大きな喜びを感じられます。

患者さんは病気の発症によって、さまざまな不安や葛藤などと戦ってきました。目標を達成し、笑顔で退院する姿を見ると、頑張ってよかったと感じます。

患者さんや家族からの感謝の言葉も励みになるでしょう。

5.看護師が主体的にケアを実践できる

リハビリ病院では、看護師が主体的にケアを実践できます。

計画がうまくいき、患者さんの改善につながったときは、やりがいを感じられます。

目標達成に向け、計画の立案・実施・評価のサイクルを適切におこなうことが大切です。

リハビリ病院の看護師に向いている人・向いていない人

リハビリ病院は、患者さんの回復過程がよくわかり、やりがいを感じられる職場です。

ただし、向いている人・向いていない人がいます。転職を考えている人は、自分がどちらかチェックしましょう。

向いている人の特徴

向いている人は以下に該当する人です。

リハビリ病院では、患者さんの退院後の生活を見すえて看護を提供する必要があります。

たとえば片麻痺の患者さんは、移動は車椅子か歩行器か、入浴で手すりやシャワーチェアは必要か、介護サービスを利用するのかなどを検討しなければなりません。

家事をする人であれば、調理の仕方や洗濯の方法など考える必要があります。理学療法士や作業療法士と連携し、入院生活で訓練することもあります。

患者さんの生活を優先に考え、コミュニケーションをとりながら進められる人が向いているでしょう。

向いていない人の特徴

向いていない人は以下に該当する人です。

リハビリ病院では、基本的に急性期の治療はおこなわれません。医療処置のスキルを高めたい人は、物足りなさを感じる可能性があります。

また、患者さんのケアは主体性を持っておこなう必要があります。

看護師間で看護計画を共有し、他の職種に声がけすることも重要です。主体的に動けない人は、難しい可能性があります。

リハビリ病院への転職を考えるなら看護師転職サービスを利用しよう

リハビリ病院は、一般的な病院と比べると設置数は少ないです。

転職する際は、ポイントをおさえて情報収集することが大事です。看護師転職サービスを利用して、転職活動をおこなうとよいでしょう。

おすすめの看護師転職サービスは以下のとおりです。

看護roo!（カンゴルー転職）

看護roo!転職は、転職支援15年の実績があり、累計利用者数60万人を突破した看護師転職サービスです。

エージェント求人と直接応募求人の2種類から選択でき、転職サポートを受けられます。

面接対策や条件交渉などのサポートを受けたい人は、エージェント求人からの応募がおすすめです。

キャリアアドバイザーに職場での悩みや不安など何でも相談できるため、転職が初めての人も安心です。

「希望に合う求人が知りたい」「転職するかどうか迷っている」といった人も気軽に相談できます。

ナースではたらこ

ナースではたらこは、2009年からサービスを提供している看護師転職サービスで、数多くの転職を成功させています。

サイトに掲載されていない「非公開求人」も多数取り扱っています。医療機関に確認しづらいことは、看護師に代わり確認してくれるのもメリットです。

キャリアアドバイザーが独自の情報を持っているため、気になる点を確認できます。

履歴書の書き方、面接対応、入職後の悩みに対するフォローも受けられるため、不安を最小限にできるでしょう。

看護師ワーカー

看護師ワーカーは、株式会社トライトによる看護師転職サービスです。正社員だけでなく、パートや派遣などの求人も多数あります。

求人応募は「転職サポート経由」と「直接応募」から選べます。キャリアアドバイザーによるサポートを受けたい人は、転職サポート経由を選ぶとよいでしょう。

直接応募では、医療機関と直接やりとりができます。プロフィールを充実させれば、スカウトが来るときもあります。

「数ヶ月後に転職したい」「転職するかどうかわからない」といった人も、気軽に相談してみましょう。

リハビリ病院（回復期リハビリ病棟）への転職を成功させるポイント3つ

リハビリ病院への転職を成功させるポイントは、以下のとおりです。

それぞれ解説しますので、転職を考えている人は、応募の際の参考にしてください。

関連記事：看護師から転職を成功させるポイントとは？おすすめの業種を紹介

応募先の情報収集をしっかりおこなう

応募先の情報を、ホームページなどで確認しましょう。以下の内容をチェックしてください。

経営理念や看護部の方針に共感できるかは大事なポイントです。

勉強会や研修を計画的におこなっている病院は、リハビリに関しての知識を深められ、不安を減らせる可能性があります。

新卒者や中途採用者の教育計画について確認しましょう。

情報収集は、看護師転職サイトの利用もおすすめです。転職のミスマッチを防ぐために、十分に情報収集をおこなってください。

自分の適性を考える

希望する働き方ができるか、自分に向いているか考えましょう。

やりがいを持って働くには、給料や待遇面だけでなく、適性も大事です。自分の価値観や看護観、強みを整理し、考えるのがおすすめです。

職場見学をおこなう

実際に足を運び、職場見学をおこないましょう。

働いている職員の表情や会話、病院・病棟内は整頓されているかチェックしてください。

職員の表情が明るく、活気を感じられるような職場は、働きやすいでしょう。見学者に挨拶をしてくれるところは、教育も行き届いていると考えられます。

リハビリ病院の看護師に関するよくある質問

リハビリ病院の看護師に関するよくある質問をまとめました。

1.新卒者でも回復期で働けますか？

結論としては、新卒者でも働けます。ほとんどの病院では新卒者の教育に力を入れているためです。

教育には、プリセプターやメンターといった制度を導入しているところが多いです。

プリセプターは、新卒者をマンツーマンでサポートする先輩看護師をいいます。看護技術のほか、仕事や悩みなどの相談が可能です。さらに、メンターといわれる先輩がつくところもあります。

しっかりフォローしてもらえるか、確認しましょう。

2.リハビリ病院の看護師は給料が安いといわれていますが、本当ですか？

リハビリ病院は、急性期病棟と比較すると残業が少なめです。

そのため、給料が低くなる可能性はあります。しかし、経営母体や経営状況もよるため、一概に安いとは言い切れません。

また、自分が優先したい条件は人により異なります。残業が少なければ、ワークライフバランスを保ちやすいでしょう。

関連記事：【2024年版】看護師の平均年収は？年代別のデータや年収アップの方法も解説！

まとめ

リハビリ病院は、患者さんの回復を見守り、自宅復帰や職場復帰をサポートできることなどがやりがいといえます。

ただし、人によっては「きつい」と感じる場合もあるでしょう。きついと感じるときは、相談したり、スキルアップしたりして対処しましょう。

リハビリ病院への転職は、職場見学や情報収集がカギをにぎります。看護師転職サービスを利用し、幅広い情報を集め、転職を成功させてください。