ヘッドハンティングとは?引き抜きとの違いや転職オファーされやすい人の特徴を解説

スカウト 加藤良大
           

加藤良大

執筆者
専門記事ライター
東証一部上場企業で店舗運営職と採用担当を兼任。歴12年のフリーライター。人事労務メディアや転職メディアにおいてライター・編集者も務める。「YMAAマーク薬機法・医療法適法広告取扱個人認証規格」、「日本化粧品検定3級」を保有。(転職エージェントの選定には関与しておりません)
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優秀な人材に直接アプローチすることで、転職サイトでの公募よりも効率的に採用できます。

自身のスキルや実績に自信があり、より好待遇な企業への転職を目指すのであれば、ヘッドハンティングされることを目指すのもひとつの方法です。

本記事では、ヘッドハンティングの意味や種類、メリット・デメリットからオファーされやすい人の特徴まで詳しく解説します。

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目次

ヘッドハンティングとは

ヘッドハンティングとは、他社から優秀な人材を自社にスカウトすることです。

経営層や事業部長、エンジニア、研究職といった企業の利益に大きく貢献する職種を対象に、採用担当者やヘッドハンターが優秀な人材をスカウトします。

ただし、優れた実績を持つ人材の場合、課長や部長といった高いポジションでなかったとしても、ヘッドハンティングされる可能性があります。

ハイクラス人材は市場価値が高いため、転職サイトやコーポレートサイトで公募しても期待どおりには集まらないケースが少なくありません。

そこで、採用担当者が自ら優秀な人材をスカウトしたり、ヘッドハンティング会社や転職エージェントなどに代行を依頼することがあります。

ヘッドハンティングの種類

ヘッドハンティングには、次の種類があります。

それぞれの特徴や採用の流れなどについて詳しく見ていきましょう。

サーチ型

サーチ型のヘッドハンティングは、ヘッドハンティング会社のヘッドハンターが条件を満たした人材を探してスカウトする方法です。

一般的に「ヘッドハンティング」といえば、サーチ型を指します。SNSや業界に詳しい人物からの情報提供、業界紙、インタビュー記事など、さまざまな経路で情報を入手して対象者を絞り込みます。

ヘッドハンターが対象者に連絡を取り、承諾を得たうえでクライアント企業に紹介します。ただし通常、身に覚えがない電話番号から電話がかかってくるため、接触に失敗するケースも少なくありません。

登録型

登録型のヘッドハンティングは、転職エージェントに登録した求職者と企業のマッチングによって人材を採用する方法です。

求職者は、スキルや経験、希望している業種や職種、役職などの情報を転職エージェントに登録します。次に、企業側と求職者側の条件がマッチしていれば、担当者が求職者に面接を打診し、双方の合意のもとで面接を行います。

サーチ型とは異なり、求職者が自らの意思で転職エージェントに登録するため、知らない電話番号からの連絡を受けないことによって接触に失敗するケースはほとんどありません。

知人や取引先などから声がかかる

ヘッドハンティングには、知人や取引先から声がかかるパターンもあります。

知人が勤務している企業で優秀な人材を探している場合に声がかかります。また、取引先の関連会社が優秀な人材を探しているために、取引先から声がかかる場合もあります。

知人や取引先から声がかかる場合、安易に断ると今後の関係が悪くなりかねないことに注意が必要です。

なお、知人や取引先から声がかかるパターンは、ヘッドハンティングではなく引き抜きの場合があります。他社に転職する点に違いはありませんが、区別しておくことが大切です。

ヘッドハンティングと他の転職方法の違い

ヘッドハンティングは、以下の転職方法と混同される傾向があります。

ヘッドハンティングと他の転職方法の違い

それぞれの特徴について、詳しく見ていきましょう。

引き抜きとの違い

ヘッドハンティングと引き抜きの違いは以下のとおりです。

ヘッドハンティング引き抜き
仲介ありなし
対象者経営層や専門職など役職や職種、スキル、実績などは問われない
主な目的企業の利益向上企業の利益向上や人手不足の解消など目的が限定されていない

引き抜きとは、他社の人材を自社にスカウトすることです。

他社の人材をスカウトする点ではヘッドハンティングと共通していますが、引き抜きはヘッドハンティング会社や転職エージェントなどの仲介がありません。採用担当者や社員、知人などが対象者に直接声をかけてスカウトします。

また、ヘッドハンティングの対象は経営層や専門職などですが、引き抜きは職種、スキル、実績などに条件がありません。企業に優秀な人材をスカウトして利益向上を目指す場合に限らず、人手不足を解消するために人材をスカウトするケースも該当します。

スカウトとの違い

スカウトとは、他社から自社への転職を打診することです。ヘッドハンティングと引き抜きのいずれも、スカウトに該当します。

ただし、仲介がなくポジションに制限がない「引き抜き」のことをスカウトと呼ぶ場合もあります。

リファラル採用との違い

リファラル採用とは、社員が推薦した知人を採用する方法のことです。

従来は欧米を中心に行われていた採用方法ですが、中途採用が一般化しつつある日本でも広まってきています。対象者をよく知る人物が自社とのマッチ度を見極めたうえで打診するため、ミスマッチが起こりにくい傾向があります。

また、自社と相性が悪い部分についても事前に共有するため、短期間で離職するリスクも抑えることができます。ヘッドハンティングのように最初から面接を行うのではなく、社内見学やカジュアル面談から始めるケースも少なくありません。

また、ヘッドハンティングは経営層や専門職などの候補となる優秀な人材を対象としますが、リファラル採用は幅広いポジションにおいて、一定基準を満たす人材が対象です。

ヘッドハンティングで転職するメリット

ヘッドハンティングされることには、次のメリットがあります。

それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。

好待遇が期待できる

ヘッドハンティングの目的は、企業が優秀な人材を採用することです。

企業側が「優秀な人材は相応の待遇で迎え入れるべき」と考えている場合は、好待遇が期待できます。優秀な人材は転職市場において価値が高いため、いかに好待遇で迎えることができるかが採用の成功と失敗に深く関わります。

そのため、企業は給与や福利厚生、キャリアパスなどにおいて好条件を提示することが一般的です。

スキルや実績などに自信がある場合は、転職サイト経由での応募やコーポレートサイトからの直接応募ではなく、ヘッドハンティングによる転職を選択肢に入れるとよいでしょう。

公募されていない重要なポジションに就けることがある

ヘッドハンティングは、経営層や事業部長など重要なポジションの人材採用において用いられる採用方法です。

重要なポジションの募集は、採用の効率化を目的として一般に公開されていないことがあります。たとえば、転職エージェントでは、ハイクラス人材向けの求人情報を登録者にのみ提供しているケースが珍しくありません。

重要なポジションに就きたい場合は、ヘッドハンティングでの転職を目標にすることがひとつの方法です。

特に、現在の会社が家族経営で経営層への昇進が難しいと考えられる場合は、ヘッドハンティングでの転職を狙うとよいでしょう。

面接が苦手でも採用される可能性が高い

ヘッドハンティングによる転職では、面接が苦手な人でも採用される可能性が通常よりも高い傾向があります。

通常の採用では、履歴書による書類選考を経て面接を行います。また、両社の合意によって選考を実施するものの、求職者からの希望によって選考を行う側面が強いでしょう。

一方、ヘッドハンティングによる転職では、連絡を取る前に採用の意向がある程度固まっているため、面接で緊張してうまく話せなかったとしても、採用される可能性が比較的高くなります。ただし、スキルや実績に対して疑念を抱かせるような受け答えは不採用につながります。

また、スキルや実績が魅力的でも社風に合わない場合は早期に離職するリスクが高いため、相性が悪いとみなされる発言をしないよう注意が必要です。

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ヘッドハンティングで転職するデメリット

ヘッドハンティングで転職することには、次のデメリットがあります。

それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。

待遇が気になり自身との相性の見極めが甘くなりがち

ヘッドハンティングで転職する場合、自身と企業の相性を見極める機会が少ないため、ミスマッチが起きるリスクが高まります。

通常の転職では、複数の企業を比較し、社風や働き方まで確認したうえで自身に合った企業に応募します。

一方、ヘッドハンティングでは自ら企業を探して選ぶのではなく、企業からの提案を受け入れるか否かを選択します。

このような状況では、ヘッドハンティングされたことに気持ちが舞い上がってしまい、企業のカルチャーや働き方との相性を十分に見極められないこともあるでしょう。

好条件の待遇だったとしても、自身と相性が悪ければ環境に不満を感じ、転職後の満足度が低下する可能性があります。

そのため、ヘッドハンティングの際にも、企業と自身の相性や働き方について確認し、慎重に検討することが重要です。

現職の会社との関係が悪くなる可能性がある

ヘッドハンティングで転職することは、企業にとって自社の利益を生み出す優秀な人材を他社に奪われたことと同義です。

そのため、現職の会社と転職先の企業、対象者との関係が悪くなる可能性があります。

さらに、ヘッドハンティングで転職する際には、競業避止の契約の問題も懸念されます。競業避止の契約は、離職から一定期間内に同業種の企業への転職を禁止する契約です。競業避止契約に違反すると、損害賠償請求を受ける可能性があります。

競業避止契約の締結は強制ではないため、転職する際に契約書へのサインを求められても、拒否すれば転職に影響はおよびません。

ただし、就業規則や雇用契約などに「特別の定め」がある場合、競業避止契約を締結していなくても競業避止義務を負います。

「特別の定め」が「職業選択の自由」を不当に制約する場合は無効となる可能性がありますが、競業避止の有効性については判断が難しいため、トラブルが起きた際は専門家に相談することが大切です。

ヘッドハンターはどこから情報を得ているのか

ヘッドハンターからは、ある日突然電話がかかってくることが一般的です。そのため、名前や電話番号、所属企業などの情報をどこから得ているのか気になることもあるでしょう。

ヘッドハンターは、主に次の情報源からヘッドハンティングの対象者の情報を得ています。

ヘッドハンターはどこから情報を得ているのか

ヘッドハンターが情報源としている媒体や情報収集の方法について、詳しく見ていきましょう。

組織図

ヘッドハンターが情報を得る手段のひとつは、企業のコーポレートサイトに掲載されている組織図です。組織図には、部署名や営業所名などが記載されています。

組織図だけで対象者の情報を得ることはできないため、他の方法と組み合わせて利用します。たとえば、優秀な人材が某社のキャリア営業部に所属していると聞いた場合、そのような部署が存在するか組織図で確認できます。

インタビュー記事

業界や特定の企業に関するインタビュー記事からは、優秀な人材の情報を入手できます。

たとえば、高い実績を残した人材のインタビュー記事からは、会社名や部署名、関与したプロジェクト、貢献度などの情報を得られます。

ヘッドハンティングされたい場合は、インタビューは積極的に受けるとよいでしょう。

ただし、成功事例のインタビュー記事については、チームリーダーがインタビュアーになることが一般的です。そのため、リーダーシップを発揮してプロジェクトを牽引する存在になることが先決です。

電話調査

電話で企業や業界内の関係者とコンタクトを取り、情報を収集する場合があります。たとえば、求人広告や企業のコーポレートサイトで情報を入手し、企業の関係者に電話をかけて、さまざまな情報を収集します。

ただし、適切に個人情報の取り扱いができている企業は、従業員の情報を漏えいしないものです。そのため、ヘッドハンターは可能な範囲で対象者の情報を探り、他の情報源と組み合わせてコンタクトを取る方法を導き出します。

ヘッドハンティングされやすい人の特徴

優れたスキルや実績があるからといって、必ずしもヘッドハンティングされるとは限りません。次のような人は、ヘッドハンティングされやすい傾向があります。

ヘッドハンティングされやすい人の特徴について、詳しく見ていきましょう。

特定の分野で高いスキルを身につけている

企業がヘッドハンティングをする理由のひとつは、特定の分野で高いスキルを持つ専門家を採用するためです。

そのため、特定の分野で高いスキルを習得しており、業界内で知名度が高い人物はヘッドハンティングされやすいでしょう。

たとえば、エンジニアリング分野では、航空宇宙機器の設計や製造に長年携わってきたエンジニアが、航空機メーカーからのヘッドハンティングの対象となるケースがあります。

IT業界では、セキュリティエンジニアやデータサイエンティストなどの専門家が、ハイテク企業や金融機関からのヘッドハンティングの対象となるでしょう。

大きな実績を挙げている

社内で大きな成果を挙げた人物は、企業のコーポレートサイトや採用向けインタビュー記事などに掲載される場合があります。

また、あるシステムを活用した結果、業務効率化や生産性の向上などに結びついた場合は、そのシステムの提供会社からインタビューを受けることもあるでしょう。

インターネット上への露出が増えると、それだけヘッドハンターの目に留まりやすくなります。

取引先と積極的に交流している

取引先と積極的に交流することで業界内で自身の噂が出回り、ヘッドハンターの目に留まりやすくなります。たとえば、業界の講演会やセミナーに頻繁に登壇している場合、自身の専門知識や経験を多くの人にアピールできます。

その結果、専門誌や業界誌の取材を受けて業界内での知名度が高まり、講演会やセミナーへの登壇数が増えるという良い循環が生まれる可能性もあります。

いかにヘッドハンターの目に留まるかが重要なため、取引先との交流は欠かさないことが大切です。

ヘッドハンティングされた際の対応方法

ヘッドハンティングされた場合は、次のように対応しましょう。

各段階における適切な対応方法について、詳しく見ていきましょう。

1.条件を確定する

ヘッドハンターからは、転職先候補の企業情報やポジション、給与、福利厚生などの情報が提供されます。

自身の希望と合致しているかどうかや、業務内容やポジションと待遇の妥当性について確認しましょう。また、異動やキャリアパスなど、将来のビジョンについても確認が必要です。

承諾するか否かの判断材料にするためにも、疑問点や不明瞭なところがあれば徹底的に確認しておくことをおすすめします。

2.自身と転職先の相性を確認する

ヘッドハンティングの条件が自身の希望どおりの場合、すぐに返事をするのではなく転職先と自身の相性を確認しましょう。

転職先の企業で自由な発想や自己表現が求められる場合、自身がリスクを恐れず、新しいアイデアを積極的に提案するタイプであれば、相性が良いといえるかもしれません。

社風や働き方、チームの雰囲気など、自身の志向と合致するかどうかを確認し、快適に働けるかどうか見極めることが大切です。

ただし、相性が良いかどうかは、実際に入社しなければわからない部分もあるため、深く考えすぎないようにしましょう。

3.ヘッドハンターに返答する

面談の可否について、ヘッドハンターに返答します。入社の意思を示すのではなく、オファーに対して興味があることをヘッドハンターに伝えましょう。

もし、オファーの条件に不満や疑問がある場合、交渉することも可能です。

ただし、面談前に交渉すると「待遇ばかり気にしている」といった印象を与えるおそれがあるため、面談の際に交渉しましょう。

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ヘッドハンティングされた際の注意点

ヘッドハンティングされた際は、トラブルを避けるために次の注意点を守りましょう。

ヘッドハンティングされた際の注意点について、詳しく見ていきましょう。

ヘッドハンティングされたことを周囲に漏らさない

ヘッドハンティングされたことは、上司や同僚には伝えないことが大切です。

ヘッドハンティングされた段階では転職は確定していません。この段階で情報が漏れると引き留められたり会社に居づらくなったりする可能性があります。

また、ヘッドハンティングを断ったとしても、いつ退職するかわからない人物として警戒されることになりかねません。

今後のキャリアアップにも悪影響がおよぶ可能性があるため、ヘッドハンティングされたことは周囲に漏らさないようにしましょう。

舞い上がって即返事をしない

ヘッドハンティングは経営層や専門職などハイスキル人材をスカウトする行為のため、対象になったら嬉しいと感じる方もいるでしょう。

ただし気持ちが舞い上がり、ヘッドハンティングを受ける旨を即答しないよう注意が必要です。条件を確認したうえで、冷静になって考えることが大切です。また、条件によっては給与や福利厚生などを交渉できる可能性があります。

ヘッドハンターは、対象者をなるべく好待遇で迎えたいと考えている場合があるため、条件が自身の意向に沿わない場合は遠慮なく交渉しましょう。

ヘッドハンターの身元を確認する

ヘッドハンターから連絡があった場合は、身元を確認することが重要です。

ヘッドハンティングされた側は気持ちが舞い上がることがあるため、その感情を利用して詐欺を仕掛けるケースがあります。会社と名前を確認し、会社に連絡して担当者が本当に在籍しているかどうか確認しましょう。

また、本物のヘッドハンターだとしても、評判に問題がないかもインターネット上の口コミサイトやGoogleマイビジネスの口コミなどで確認が必要です。

ヘッドハンティングのはずが、商材や商法の勧誘をされた場合は偽物の可能性が高いでしょう。ヘッドハンティング会社は、クライアント企業に人材を紹介することで収益を得るため、商材や商法を勧誘する必要はありません。

むしろ、詐欺を疑われることでヘッドハンティングを断られるリスクが高まるため、そのような勧誘をするヘッドハンターはほとんどいないでしょう。

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まとめ

ヘッドハンティングで転職したい場合は、ヘッドハンターから声がかかるのを待つか、転職エージェントに登録しましょう。

転職エージェントは、スキルや経験などを踏まえ、相性が良い企業とのマッチングを支援します。

条件交渉のサポートもできるため、意向に沿わないヘッドハンティングを受けてしまうリスクもありません。また、面接のアドバイスも受けることができるため、面接が苦手な方にとっても心強いパートナーとなります。

今回解説した内容を参考に、ヘッドハンティングで転職を目指すべきかどうか検討してみてください。

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会社名 株式会社アシロ(ASIRO Inc.)
2021年7月20日 東証グロース上場(7378)
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設立日 2009年11月
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