理学療法士から「転職したい」と思っていますか?
思うようにいかないときや、業務・待遇に対して不満があるときは、仕事へのモチベーションが下がりがちになります。その結果、「新しい職場を探そう」と考えるようになるのは、自然な流れです。
とはいえ、いざ転職するとなると「今より合わない職場に転職してしまったらどうしよう」という不安がよぎり、転職活動を踏みとどまってしまう方もいるのではないでしょうか。
関連記事:理学療法士(PT)におすすめの転職エージェント12選!選び方のコツや転職の流れを解説
理学療法士の転職事情
理学療法士の仕事は全国共通のため、どこでも仕事ができます。一方で、「転職が多い」という話を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。
この章では、理学療法士は本当に転職が多いのか、転職の理由にはどんなものが挙げられるのかを紹介します。
理学療法士は転職が多い?
日本理学療法士協会が平成25~28年に行った医療従事者の需給に関する検討会 第2回理学療法士・作業療法士分科会の調査結果によると、平均離職率は医療で10.2%、介護で18.8%となっています。
一方、厚生労働省の令和2年雇用動向調査結果によると、常用労働者全体での離職率は14.2%です。
このことから、理学療法士の離職率は医療分野では常用労働者全体の平均と比べて低めですが、介護分野での離職率は高めだとわかります。
引用元:厚生労働省|公益社団法人日本理学療法士協会 医療従事者の需給に関する検討会 第2回理学療法士・作業療法士分科会 資料2 理学療法士を取り巻く状況について(平成28年8月5日)9ページ
離職率の中でも、介護領域における訪問リハビリの離職率が37.4%と最も高くなっており、理学療法士が定着しにくい状況だと伺えます。
また、厚生労働省の令和2年(2020年)賃金構造基本統計調査 によると、理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・視能訓練士の平均勤続年数(企業規模10人以上)は、6.5年となっています。
多くの職種で平均勤続年数が10年を超えていることを鑑みると、理学療法士をはじめとしたリハビリテーション専門職の勤続年数は短いようです。
離職したすべての人が転職したとはいえませんが、1つの施設で長く勤務するよりも、転職しより良い環境やスキルアップを目指す人も少なくないと考えられます。
参照:厚生労働省|令和2年(2020年)賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種
参照:厚生労働省|令和2年雇用動向調査結果
転職理由は?
理学療法士の転職理由には、以下のようなものが挙げられます。
給与が低かった
1つ目の理由には給与の低さが挙げられます。
厚生労働省の令和2年(2020年)賃金構造基本統計調査によると、理学療法士の平均年収は約419万円です。
国税庁の令和2年分 民間給与実態統計調査によると、給与所得者全体の平均年収は約433万円でした。日本の平均年収と比べると、理学療法士は少し低めだとわかります。
人間関係に不満がある
2つ目の退職理由には、人間関係のストレスが挙げられます。
病院や介護施設は、比較的閉じられた空間のため、「人間関係の悪化 = 職場の居心地の悪さ」が直結してしまうこともあります。
ミスを自分のせいにされる、価値観を押し付けられる、陰口を言われる、といったことがストレスとなり、退職を決意する人もいます。
体力的・精神的につらい
3つ目は、体力的・精神的つらさからの転職です。
理学療法士は職業柄、体力を使ううえ、残業が多い傾向があります。休日には勉強会が行われるところもあるなど、プライベートな時間が減ってしまうことも少なくありません。
体力的な激務にくわえ、人間関係のストレスも重なり、プライベートも充実させられないとなると心身ともに消耗してしまいます。
キャリアアップができない
転職理由4つ目は、キャリアアップ・スキルアップが難しい点です。
管理職を目指したいと思う人もいれば、「特定の手技が学べる施設に転職したい」と思う人もいるでしょう。
しかし長く働いても、同じ業務が繰り返されるだけでスキルアップやキャリアアップが見込めない施設であれば、自分の望むキャリアプランを叶えることができません。
ライフスタイルが変わった
5つ目には、ライフスタイルの変化が挙げられます。
結婚後、県外に引っ越す人もいれば、妊娠・出産で育児が始まる人もいます。理学療法士には夜勤や当直があるため、ライフスタイルが変われば対応が難しくなることもあります。
不規則なシフトになる可能性もあると知っているからこそ、転職を考える人も少なくありません。
理学療法士転職での失敗例5選
理学療法士に限らず、転職活動では失敗する特徴・成功する特徴があります。
転職を失敗しやすい特徴には、次のようなものがあります。
目的がハッキリしないまま転職活動をする
「なんとなく」「今の仕事がつまらないから」など、目的が明確ではないまま転職活動をすると失敗する可能性があります。
「なぜ退職しようと思ったの?」と聞かれた際に、ハッキリとした目標があり熱意を感じられれば、採用担当者側から好印象を持ってもらいやすくなります。
一方、目的がハッキリしていない場合は受け答えも曖昧になってしまいます。
転職先の施設で何を頑張りたいのか、どんな風に働きたいのかなど、自分の気持ちを見つめ直して目的を明確にすることが重要です。
条件にこだわりすぎている
条件をこだわりすぎるのも、転職が失敗する要因になります。
「土日休みで、夜勤なしで、自宅から20分以内で通勤できて…」など、条件が細かすぎると転職先の選択肢が限られてしまい、自分に合った職場を見つけにくくなってしまいます。
また、給料や待遇面、休日数、福利厚生など、待遇や条件面ばかりにこだわっていると、職場の雰囲気などの内側を見落としてしまうかもしれません。
「早く決めたい」と焦る
「早く決めてしまいたい」と焦って転職先を探すのも、失敗の原因になります。
条件を細かく設定しすぎるのも問題ですが、焦りすぎて優先したい条件もないがしろに転職先を決めてしまうと、「こんなはずじゃなかった」というミスマッチが起こる可能性が高まります。
なかなか転職先が決まらない、早く決めたいとなれば焦ってしまうのも無理はありません。
しかし、なぜ辞めるのか、今度はどんな職場で働きたいのかをしっかり明確にし、きちんとそれにマッチした職場であるか確認するようにしましょう。
求人の詳細を確認していない
求人情報をしっかり読むことはとても大切です。
施設ごとに方針は異なり、例えば、患者とのコミュニケーションに重点を置く施設もあれば、1日も早くリハビリの成果を上げることに注力する施設もあるかもしれません。
こうした方針は、情報を見たり調べたりしなければわかりません。何も見ずに決めてしまった場合、働き始めてから「考え方が違う」と不満が溜まることになります。
転職理由がネガティブ
「上司と合わなかった」「給与が割に合わなかった」など、ネガティブな理由から転職を考える方は多いものです。
しかし、ネガティブな理由を告げられて「この人を採用したいな」と思う採用担当者はいないのではないでしょうか。
たとえ同じ退職理由であっても、言い方一つで相手に与える印象は大きく変わります。
マイナスな表現 | プラスの表現 |
---|---|
人間関係が悪かった | 周りと連携を図りながら仕事を進めたい |
サービス残業が多い | メリハリのある働き方をしたい |
ネガティブな理由は「うちの会社もすぐに辞めるのではないか」と不安を感じさせる可能性があるので、ポジティブに変換することが大切です。
理学療法士が転職を成功させるコツ
では、転職を失敗しないためにはどうしたらいいのでしょうか。
転職活動を成功させるコツを3つ紹介します。
転職の目的を明確にする
転職の目的を明確にしましょう。
- なぜ転職したいのか
- どういった職場で働きたいのか
- 自分はどういった働き方をしたいのか
客観的に見つめ直してみると、見えてくるかもしれません。
「上司に注意されたから」「なんとなくマンネリだから」など、漠然としたものではなく、「もっと患者に寄り添った支援をしたい」「もっとキャリアアップを目指せる施設に転職したい」など、目的を明確にしましょう。
目的が明確であれば、面接などのシーンでも仕事への姿勢や熱意を伝えられるため、転職を成功させやすくなるのです。
ポジティブな転職理由を伝える
転職理由はポジティブなものに言い換えましょう。
ネガティブな理由 | ポジティブな言い換え |
---|---|
人間関係が悪い | 周りと連携を図りながら仕事を進めたい |
サービス残業が多い | メリハリのある働き方をしたい |
職場が遠くて通勤につかれる | 通勤に割いている時間や労力を仕事に使いたい |
やりがいが感じられない | 今以上に業務の幅を広げたい |
キャリアアップができない | より専門性を高めたい |
また、面接の場では、これまでの経験や培ってきたスキルを採用担当者に自分をアピールするのも重要です。
転職エージェントを利用する
転職エージェントを利用するのもおすすめです。
転職を考えている方の中には、「自分は理学療法士に向いていないのかもしれない」と思っている方もいるかもしれません。
転職エージェントに登録すると、キャリアアドバイザーから自己分析を受けられます。
理学療法士が失敗しない求人の探し方
転職サイト・エージェントで求人を探す際のコツは以下の通りです。
事前に希望条件を整理しておく
条件にこだわりすぎないよう、事前に整理しておきましょう。
すべての条件が完全に一致する求人は、そう簡単には見つかりません。
絞り込み検索を利用する
絞り込み検索を利用しましょう。
絞り込み検索に分類される条件はサイトごとに異なりますが、雇用形態別、勤務地別、施設形態別、フリーワードから検索、などがあります。
「土日祝休み」「駅チカ」「住宅補助あり」など、さらに細かな検索ワードもあるため、自分の譲れない条件を絞り込み機能から検索すると効率的です。
求人検索と求人紹介を併用する
転職サイトは、自分で求人検索ができるサイトです。一方、転職エージェントは、条件やスキルに合わせて求人を紹介してもらえるサービスです。
そのため、転職サイトと転職エージェントを併用して転職活動を進めるのがおすすめです。並行して求人を探すことで、より多くの求人に目を通すことができます。
転職エージェントによる客観的な意見も参考にすれば、選択肢がさらに広がるかもしれません。
また、転職エージェントでは非公開の求人を保有している場合もあります。より良い条件の求人に出会える可能性もあるため、積極的に併用することをおすすめします。
理学療法士におすすめの転職エージェント
理学療法士におすすめの転職エージェントを紹介します。
PTOTSTワーカー
- 独自のパイプを活かした情報力
- 業界トップクラスの求人数を保有
- リハビリ職に特化したアドバイザーが転職活動をサポート
PTOTSTワーカーの運営会社である株式会社トライトキャリアは、医療・福祉業界で人材紹介サービスを展開しており、グループ全体で年間3万人(※)もの転職実績を有しています。
業界における太いパイプを活かした情報力が最大の特徴です。
求人数は業界トップクラスを誇り、2023年5月現在、1.6万件超(※)の求人を保有しています。
このほかに非公開求人も用意されており、登録すると豊富な求人の中から最適な仕事を紹介してもらえるでしょう。
業界に特化したアドバイザーによる転職支援も魅力で、面接対策や給与交渉などのサポートを受けられます。
求人票からはわからない職場の雰囲気や人間関係も共有してもらえるため、働くイメージをもったうえで応募に進めることもメリットです。
(※)PTOTSTワーカーの公式ホームページより
サービス概要 | |
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サービス名 | PTOTSTワーカー |
運営会社 | 株式会社トライトキャリア |
公開求人数 | 理学療法士:7,389件 作業療法士:6,264件 言語聴覚士:3,271件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://tryt-worker.jp/ptotst/ |
レバウェルリハビリ
- 医療・介護分野で10年の実績をもつ会社が運営
- キャリアアップやスキルアップの相談も可能
- 面接の日程調整や条件交渉も代行してくれる
レバウェルリハビリの運営会社であるレバレジーズメディカルケア株式会社は、医療・介護分野の人材紹介で10年(※)の実績を有しています。
希望のライフワークバランスや職場の雰囲気など、転職で叶えたいことを伝えてみてください。
これまで築いてきた病院・介護施設との信頼関係やネットワークをもとに、ここでしか知り得ないような内部情報まで共有してもらえるでしょう。
また、現在のスキルに合わせた求人の紹介だけでなく、キャリアアップのための転職に対応してもらえるのもうれしいポイントです。
思い描くキャリアプランに合わせた求人の紹介にも期待できるでしょう。
面接の日程調整や条件交渉も代行してもらえるため、忙しい合間でも効率的に転職活動を進められます。
(※)レバウェルリハビリの公式ホームぺージより
サービス概要 | |
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サービス名 | レバウェルリハビリ |
運営会社 | レバレジーズメディカルケア株式会社 |
公開求人数 | 理学療法士:3,788件 作業療法士:2,995件 言語聴覚士:1,837件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://reha-oshigoto.jp/lp/4/03/ |
PTOT人材バンク
- さまざまな施設の案件が充実
- 専門のキャリアパートナーが転職成功まで徹底サポート
- 職場の雰囲気や内情などの情報も提供
PTOT人材バンクは、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士を対象とした転職支援サービスです。
運営会社である株式会社エス・エム・エスは、医療・介護分野で幅広く人材紹介サービスを提供しているため、病院、老健、デイケア、小児施設など、多岐にわたる施設の求人が充実しています。
経験豊富なキャリアパートナーによる転職支援も特色で、応募書類の添削や面接対策、入職後のアフターフォローなど、転職成功まで徹底したサポートを受けられます。
求人が出ていない施設への応募確認も代行してもらえるため、興味がある施設があれば伝えてみるといいでしょう。
施設とのやり取りもキャリアパートナーが兼任しているため、職場の雰囲気や内情などの内部情報を教えてもらえるとともに、マッチ度の高い求人紹介にも期待をもてます。
サービス概要 | |
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サービス名 | PTOT人材バンク |
運営会社 | 株式会社エス・エム・エス |
公開求人数 | 理学療法士:16,518件 作業療法士:14,931件 言語聴覚士:8,217件 |
非公開求人数 | 非公開 |
対応地域 | 全国 |
公式サイト | https://www.ptotjinzaibank.com/ |
理学療法士から異業種への転職は可能?
「理学療法士の資格を活かせる異業種へ転職したい」と考える方もいるのではないでしょうか。
たとえば、以下のような転職先が挙げられます。
- スポーツジム
- 整骨院
- ヘルスケア・福祉用品関連の企業
- 介護機器を扱うメーカーの営業 など
なかには、理学療法士の資格を一切必要としない一般企業へ転職した人もいます。
転職先の選択肢は1つではないため、自分のやりたいことやワークライフバランスなども考慮しつつ、よりよい転職を目指しましょう。
まとめ
理学療法士の転職は珍しいことではありません。人間関係やハードな業務から、「退職したい」「自分には向いていない」と感じる人もいます。
勢いだけで退職してしまうのではなく、なぜ転職したいのか、どんな働き方をしたいのか、目的を明確にすることで転職活動をスムーズに進められます。
どうしたらいいかわからない方や迷っている方は、転職エージェントに相談するのがおすすめです。自己分析をしてもらうことで、新しい視点も見えてくるかもしれません。
転職は悪いことではありません。今の職場がつらい場合、不満がある場合は、転職への道を一歩踏み出してはいかがでしょうか。