一定のキャリアやスキルがある看護師の中には、他の職場からヘッドハンティングを受けたことがある人も多いのではないでしょうか。

ヘッドハンティングを受けることで今より魅力的な条件を提示されるケースが多いですが、給与の高さだけで転職先を決めると後悔してしまうおそれがあります。

この記事では、看護師がヘッドハンティングを受けた際に取るべき行動や流れについて詳しく解説します。

看護師におすすめの資格も紹介しているので、キャリアアップを目指す看護師は最後まで読んで参考にしてください。

ヘッドハンティングとは

ヘッドハンティングとは、特定のスキルや経験を持った人材を、その能力を求める企業が直接勧誘することです。

求人広告を出して応募者を待つよりも、すでに他社で実績を上げている人材を直接勧誘するほうが、企業が求める能力や経験が確実に得られるためです。

たとえば看護師の場合、即戦力となる管理職候補や専門的な資格を持つ人材が、病院や介護施設から直接スカウトされるケースがあります。

医療系企業が新規事業の立ち上げにあたり、現場経験豊富な看護師をヘッドハンティングすることも珍しくありません。

このようにヘッドハンティングは、転職活動をしていない看護師にも声がかかる可能性があるため、自分の市場価値を把握する良い機会になるでしょう。

看護師がヘッドハンティングされたときに確認するべきポイント3選

看護師がヘッドハンティングを受けた際は、以下の3つのポイントを確認しましょう。

具体的にどのような点をチェックすれば良いかを詳しく解説します。

求められる業務や役割

ヘッドハンティングを受けた際は、自分が具体的にどのような業務や役割が求められているのかを確認しましょう。求められる役割や業務が曖昧なまま転職すると、実際の仕事内容が想定と違い、早期退職につながるおそれがあります。

具体的には「管理職として来てほしい」と誘われた場合でも、実際には現場での業務が大半を占めるケースがあるため、業務内容を十分に確認する必要があります。

事前に具体的な業務や役割を確認しておけば、転職後のミスマッチを防ぐことができるでしょう。

ヘッドハンティングを受けた先の情報

ヘッドハンティング先の情報は、必ず自分でも調べておきましょう。提示された情報だけで判断すると、実際に勤務した際にギャップを感じる可能性があります。

ヘッドハンティング先の情報を調べる方法として、病院や施設の口コミサイトで職場環境や人間関係について調べたり、ヘッドハンティング先で勤務している知人から内情を聞いたりする方法があります。

また、施設見学で実際に職場を訪問し、自分の目で雰囲気や設備状況を確認することも効果的です。

このように、自分でもヘッドハンティング先の情報を調べておくことで、転職先で後悔することを防ぐことができるでしょう。

勤務条件や福利厚生

ヘッドハンティングを受けた際は、勤務条件や福利厚生について必ず書面でもらいましょう。口頭だけの説明では「聞いていた話と違う」といったトラブルになる可能性があるためです。

特に給与体系や勤務時間、有給休暇の日数など、自分が重視する条件は細かく確認する必要があります。

書面で明確に提示してもらわなければ、たとえば「夜勤なし」と聞いていたにもかかわらず、実際には夜勤が発生することが考えられます。さらに「役職付き」で勧誘を受けたものの、実際には役職がつかないこともあり得るでしょう。

転職後のトラブルを防ぐためにも、勤務条件や福利厚生に関する内容は必ず書面で提示してもらいましょう。

看護師がヘッドハンティングを受ける2つのパターン

看護師がヘッドハンティングされるケースには、大きく分けて「企業から直接声がかかるパターン」と「身近な人から誘われるパターン」があります。それぞれを詳しく解説します。

企業からヘッドハンティングを受ける

看護師が企業からヘッドハンティングを受けるケースとして、主に以下の2つがあります。

たとえば、他の施設の人事担当者が実績や評判を聞きつけて「管理職候補として来てほしい」と直接連絡してくることがあります。また、訪問看護ステーションの新規立ち上げメンバーとして企業から声がかかることも考えられます。

身近な人からヘッドハンティングを受ける

看護師の場合、知人や元同僚など身近な人からヘッドハンティングされるケースもあります。

具体的には、以前一緒に働いていた先輩から介護施設の管理職候補として誘われたり、知人を通じて「デイサービスを開業するので協力してほしい」と声がかかったりすることがあります。

近年、医療業界では看護師の人手不足が深刻化しているため、経験豊富な看護師はヘッドハンティングの対象になりやすいでしょう。

看護師がヘッドハンティングを受ける際にするべき6つのこと

看護師がヘッドハンティングを受けた際は、焦って決断せず、まずは以下のポイントを意識してください。

ここからは、具体的にどのような行動を取るべきなのかを詳しく解説します。

希望条件に優先順位をつける

ヘッドハンティングを受けた際は、自分が転職先に求める希望条件に優先順位をつけて整理しましょう。すべての希望条件が揃う求人は少ないため、希望条件が多すぎると転職活動がスムーズに進みません。

たとえば「夜勤の回数は月3回まで」「通勤時間は30分以内」など具体的な条件を書き出し、自分にとって譲れない条件の優先順位を決めると良いでしょう。

希望条件の優先順位をつければ転職活動がスムーズになるだけでなく、ヘッドハンティングを受けた際の判断基準が明確になります。

相談できる相手を見つける

ヘッドハンティングされた場合は、信頼できる人に相談してみてください。

自分1人で考えると視野が狭くなり冷静な判断が難しくなるため、第三者からの視点が参考になります。

相談相手は同僚や先輩の看護師など身近な人でも問題ありませんが、看護業界に強い転職エージェントへの相談もおすすめです。

転職エージェントであれば、自分では気づかなかった職場のデメリットやキャリアプランのアドバイスが受けられるため、納得して次のステージに進められます。

職場見学を行う

ヘッドハンティングされた場合でも、必ず職場見学を行いましょう。

実際に現場を見ることで、求人情報だけでは分からない職場環境や人間関係などの実情が把握でき、自分が働くイメージが具体化します。

職場見学でチェックするべき主なポイントは次のとおりです。

さらに、職場見学は採用担当者から直接話を聞ける機会でもあるため、不安な点や疑問点があれば積極的に質問してください。実際の現場を自分の目で直接確認することで、入社後のミスマッチを防げるでしょう。

スケジュールに余裕を持つ

ヘッドハンティングを受けて転職する場合は、スケジュールに余裕を持ちましょう。転職は予想以上に時間がかかるため、スケジュールに余裕がないとうまく引き継ぐことができません。

たとえば、今の職場での引継ぎ期間や退職手続き、新しい勤務先との入職日の調整などの時間が必要です。有給休暇が残っている場合は、消化期間も考慮しましょう。

転職先で良いスタートを切るためにも、ゆとりを持ったスケジュールを意識してください。

資格取得に動く

転職先で重宝される人材になるためには、資格の取得がおすすめです。看護師がプラスの資格を持つことで専門性が高まり、仕事の幅が広がります。

「看護師としてキャリアアップしたい」「給料アップを目指したい」と考えている人は、転職先で活かせる資格を調べて取得に向けて動いてみてください。

転職先で看護師長などの管理職を狙う場合、必要な資格が定められていることがあるため、早めにチェックしておくようにしましょう。

ここからは、看護師が取得するべきおすすめの資格を紹介します。

認定看護師

認定看護師は、特定分野において高度な知識と技術を持つ看護師です。

資格取得には「看護師経験5年以上」と「認定看護師教育機関で1年以内に800時間程度の教育を受けること」が必要です。その後、認定審査を受けて合格すれば、認定看護師になることができます。

認定看護師の資格を取得すれば、特定の分野の専門性を高めることができ、実践に生かすことが可能です。

ヘッドハンティングを受けたい人や、スキルアップを目指す人が目指すべき資格の1つです。

専門看護師

専門看護師は、複雑な看護問題に対応できる高度な専門性を持つ資格です。認定看護師よりもさらに高いレベルの知識や技術が求められる資格です。

2025年3月時点で、専門分野にはがん看護や精神看護、地域看護や老人看護など全14分野あり、看護系大学院修士課程の修了が必要です。

資格を取得すれば病院内外で相談役や教育者として活躍でき、管理職への昇進も期待できます。

専門看護師は専門性が高いため希少価値があり、ヘッドハンティングの対象として注目されやすい資格です。

ケアマネージャー

ケアマネージャーは、介護サービスを利用する人のケアプラン作成などのケアマネジメントを行う専門職です。ケアマネージャーは高齢化社会で需要が高まっており、看護師経験が活かせる資格で、取得すれば訪問看護ステーションや介護施設などで活躍できます。

看護師の場合、5年以上の実務を経験すれば、ケアマネージャーの受験要件を満たすことができます。

医療・介護両面の知識を持つため、介護施設から管理職候補としてヘッドハンティングされることが期待できるでしょう。

呼吸療法認定士

呼吸療法認定士は、呼吸器疾患患者へ専門知識や技術を活用してケアを行う専門家です。呼吸療法認定士の資格を取得すれば、人工呼吸器管理や酸素療法など、高度な技術を身につけられます。取得には実務経験2年以上と、学会や指定講習会へ参加して12.5点以上の点数を取得する必要があります。

呼吸療法認定士は、呼吸器病棟を持つ医療機関で活躍できる資格です。

人工呼吸器の使用頻度が高い急性期病院などでキャリアアップを目指す人におすすめの資格です。

認定看護管理者

認定看護管理者は、病院や介護施設で管理職として活躍するための資格です。組織運営や人材育成などのマネジメント能力を証明できます。認定看護管理者を取得するためには、合計3年以上の管理職経験と指定研修受講後の審査合格が必要です。

認定看護管理者の資格を取得することで管理職として即戦力とみなされ、医療施設や介護施設の開設時に責任者候補としてヘッドハンティングされることがあります。

将来的に組織運営に携わりたい方におすすめの資格です。

保健師

保健師は地域住民や企業従業員の健康管理や指導を行う国家資格です。保健師は、地域保健センターや企業内保健室など、医療施設ではない職場でも活躍できます。

看護師の場合、取得するためには保健師の国家試験へ合格する必要があります。

医療機関だけでなく幅広い場所で働きたいという方は、保健師の資格取得を目指してみましょう。

転職エージェントを利用する

ヘッドハンティングを受けた際は、転職エージェントの利用も検討してみてください。

転職エージェントに相談することで、求人情報にはないヘッドハンティング先の情報が手に入るかもしれません。

さらに、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策などもサポートしてくれるので、選考に自信がない人でも安心して利用できます。また、給与や勤務条件の交渉もしてもらえるため、転職エージェントを利用すれば希望に近い条件を引き出せる可能性が高まるでしょう。

「ヘッドハンティングを受けたが自分1人だけでは判断できない」という方は、転職エージェントの利用をおすすめします。

ヘッドハンティングを承諾する場合の流れ

看護師がヘッドハンティングを承諾する場合は、以下の流れで進んでいきます。

ヘッドハンティングを受け承諾する場合は、まず提示された勤務条件や給与などを確認します。その際は、口頭だけでなく書面でも提示してもらいましょう。

条件に納得できない部分があれば交渉を行い、合意が得られれば労働契約を結びます。

その後、今の職場へ退職願いを提出して引き継ぎを行い退職します。退職手続きは想定よりも時間がかかることが多いため、なるべく早い段階から退職の相談をしておくと良いでしょう。

無事退職できれば、事前に決めておいた入社日から新しい職場で業務を開始します。

以上が、ヘッドハンティングを承諾した場合の流れです。

ヘッドハンティングを断る場合の流れ

ヘッドハンティングを断る場合は、以下の流れが一般的です。

ヘッドハンティングを断る場合は、まず声をかけてくれた相手へ感謝を伝えましょう。その上で、転職しない旨をはっきり伝えなければなりません。曖昧な返事は相手に誤解や不快感を与える可能性があります。

たとえば「お誘いいただきありがとうございます。ただ現在の職場でまだ学びたいことがあるため今回はお受けできません」などと理由を明確に伝えると、相手にも納得してもらいやすくなります。

ヘッドハンティングを断る際のコツ

ヘッドハンティングを断る際は、明確に丁寧に自分の意思を伝えるのがポイントです。曖昧な言葉だと再度勧誘される可能性があります。

ヘッドハンティングを断る際は、以下の理由を参考にしてみてください。

また、最後に「今回はご縁がありませんでしたが、また機会があればよろしくお願いします」と付け加えると、ヘッドハンティング先とその後も良好な関係性を保てるでしょう。

看護師の転職におすすめの転職エージェント3選

最後に、看護師の転職におすすめの転職エージェントを3つ紹介します。

レバウェル看護

レバウェル看護は、看護師に特化した転職エージェントで、業界最大級の15万件以上の求人数を取り扱っています。経験豊富なキャリアアドバイザーから条件交渉や面接対策などの手厚いサポートが受けられるのが特徴です。

レバウェル看護の強みとして、年間4,000回以上の職場訪問を通じて収集されたリアルな内部情報が挙げられます。レバウェル看護を利用することで、医療方針や退職理由、人間関係など、求人票では分からない現場の状況を詳しく知ることができるでしょう。

さらに、LINEやメールで担当者とやり取りができ、自分のペースで転職活動を進められます。初めての転職活動でしっかりサポートを受けたいという方におすすめの転職エージェントです。

ナース専科 転職

ナース専科 転職は看護師に特化した転職支援サービスで、質の高い転職サポートが受けられます。在籍しているキャリアパートナーは70時間以上の研修を受けており、看護業界特有の専門知識や用語も把握しています。

ナース専科 転職では全国20万件以上の求人数を取り扱っているほか、地域専任のキャリアパートナーが在籍しており、各地域の医療機関や施設の内部情報を把握しています。そのため、地方で転職活動を行っている人にもおすすめの転職エージェントです。

さらに、給与交渉や面接日程の調整などの手続きも代行してくれるため、忙しい看護師でもスムーズに転職活動を進められます。相談だけでも利用可能で、初めて転職を検討する方にもおすすめです。

ナースではたらこ

ナースではたらこは、日本最大級の看護師特化型転職エージェントで、全国各地の求人情報を取り扱っています。

ナースではたらこの最大の特徴は「逆指名システム」で、求人が出ていない病院にもキャリアアドバイザーが直接交渉し、希望に合った職場を提案してくれます。また、ナースではたらこのキャリアアドバイザーは「エリア別担当」で対応してくれるため、エリアを絞って求人を探している人も安心です。

さらに、履歴書添削や面接対策などのサポートも手厚く、転職活動が初めての方でも安心して利用できます。24時間相談可能な体制も整っているため、仕事で忙しい看護師にとってありがたいサービスと言えます。

まとめ

看護師は専門性や希少性が高い業務をこなすため、ヘッドハンティングを受けることが多い職業です。

ヘッドハンティングを受けた場合は、求められる業務やヘッドハンティングを受けた先の情報をしっかりと確認する必要があります。

職場見学をおこなったり転職エージェントを利用したりすることで、後悔のない転職ができるでしょう。

ヘッドハンティングを受けたからといって、焦って返答してはいけません。この記事を参考にして、その職場が自分に合っているのかどうかを見極めた上で判断しましょう。