「新卒入社してすぐ適応障害で辞めてもいい？」
「新卒で適応障害になったら転職できる？」

新卒入社してすぐ適応障害で辞めてもいいのか、悩む方もいるでしょう。

適応障害は環境のストレスで発症するため、会社にストレスの原因がある場合は、辞めることで症状も改善することがほとんどです。

しかし、転職して同じことを繰り返さないか不安になるかもしれません。

この記事では、新卒入社してから適応障害になる原因や対処法、退職手順、辞めた後にできることについて解説します。

転職時のポイントも紹介しているため、参考にしてください。

あわせて読みたい⇒仕事を辞めたいあなたに！原因と対処法・辞める際の判断基準

適応障害とは

適応障害とは、環境のストレスから心身にさまざまな症状が出る疾患です。

うつ病と似ていますが、適応障害はストレスとなる環境下でのみ症状が発生し、ストレスがなくなると症状も改善されるのが特徴です。

適応障害の主な症状

適応障害の主な症状は次のとおりです。

症状名	症状
精神症状	気分が落ち込みやすい 涙もろい 意欲の低下
不安症状	動悸 焦燥感 神経過敏 緊張 怒り
身体症状	不眠 食欲不振 起床困難 頭痛 めまい 動悸 倦怠感 腹痛

適応障害では上記のいずれか、または複数の症状が同時にあらわれ、仕事や学校に支障をきたすことがあります。

新卒入社してから適応障害になる原因

新卒入社してから適応障害になりやすいのは、環境の変化が大きいためと考えられます。

そもそも、適応障害の原因は大きく分けると、内部要因と外部要因の二つです。

要因	内容
内部要因	責任感が強い 完璧主義である 自信がない 感情を表に出さない 人を頼るのが苦手
外部要因	職場でハラスメントにあった ノルマなどのプレッシャーがある 昇進し責任ある立場になった 転勤・異動があった 家族や友人関係が悪化した 大きな病気や怪我が判明した 結婚・離婚した 経済的に極端に苦しい

内部要因はもともとの性格が影響するもので、ストレスの処理能力は一人ひとり異なります。

そのため、責任感が強く完璧主義だったり、周囲を頼れず自分に自信がなかったりする人がなりやすいといえるでしょう。

外部要因は昇進・転勤・人間関係・結婚など、環境の大きな変化を指します。

これまでと異なる環境になったことで、大きなストレスが生じてしまうのです。

新卒入社して適応障害になりやすいのも、慣れない仕事や人間関係、生活リズムなどの要因が重なり合うことが原因と考えられます。

関連記事：仕事に行けないのは適応障害が原因の可能性も？対処法を徹底解説

うつ病と適応障害の違い

うつ病と適応障害はよく混同されますが、次のような違いがあります。

	うつ病	適応障害
原因	はっきりしない	はっきりしている
期間	慢性化しやすい	短期間で改善しやすい
ストレスへの反応	ストレスを取り除いても改善しない	ストレスを取り除けば改善する
自己評価	自分を責めやすい	自分を責めることはあまりない

うつ病は原因がはっきりしないことが多く、ストレスとなっているものを取り除いたとしても、症状は改善しません。

また、症状が長期間にわたって続き慢性化しやすいのも特徴です。

一方で、適応障害は原因がはっきりしており、ストレスとなっているものを取り除けば、比較的短期間で改善しやすいといえます。

ただし、適応障害が悪化してうつ病へと移行する例も少なくないため、正確な判断は医師の診断を仰ぎましょう。

関連記事：うつ病を理由に退職しても問題ない？仕事を辞める際の手続きや手順を解説

新卒入社して適応障害になったときの対処法

新卒入社して適応障害になったときは、次の対処法を試してみてください。

上司や人事に相談する

まずは一人で抱え込まず、上司や人事に相談することをおすすめします。

ストレスになっているものを明確化し、次のような方法で対処できる場合は試してみましょう。

休職する

症状が重く働ける状態でないなら、休職も検討してください。

ストレスのもとが会社にある場合、休職することで適応障害の症状が改善するかもしれません。

ただし、復職しても状況が変わらなければ、再び同じことを繰り返す可能性もあります。

そのため、休職がベストかどうかは慎重な判断が必要です。

転職する

適応障害の原因が仕事にあって改善の見込みがなく、まだ働ける状態であれば、転職するのがおすすめです。

なるべく早く転職活動を始めておき、退職日時点で転職先が内定している状態が理想的です。

すると職歴に空白が生まれず、給与も途切れないまま新しい仕事を始められます。

ただし、転職活動や新しい仕事は、それ自体も大きな変化やストレスを生み出します。

適応障害の症状が重い場合は無理せず、いったん休む選択をすることも検討してください。

関連記事：適応障害でも転職するには｜成功のためのポイント5つとおすすめ転職方法

退職する

休職しても変化が見込めず、今すぐに転職する余裕もないという場合は、退職を検討しましょう。

直接上司に伝えるのが気まずい、なるべく早く辞めたいというときは、退職代行サービスの利用がおすすめです。

最短で即日退職ができ、同僚や上司と直接のやりとりなく辞められます。

おすすめの退職代行サービスについて、くわしくは次の記事を参考にしてください。

関連記事：退職代行おすすめ23社比較ランキング【最新版】サービス内容や料金・評判を解説

関連記事：新卒で仕事を辞めたい！退職してもいい5つの理由やリスクを解説

新卒入社して適応障害になったときの退職手順

新卒入社して適応障害になったときの退職手順は次のとおりです。

1.医師の診断書を用意する

「適応障害かもしれない」と思ったら、病院で診察を受けてください。

医師の診断書があると、失業保険の受給時や、退職理由を自己都合以外にしたいときに有利になる可能性があります。

そのため、あらかじめもらっておくといいでしょう。

2.上司に退職の意思を伝える

その後は上司を通じて、会社へ退職届を提出しましょう。

退職理由は「一身上の理由」で問題ありません。

3.有給休暇の消化を申請する

退職前には、傷病手当金や有給休暇の取得を検討しましょう。

とくに傷病手当金は、在職中に受給を開始していれば、退職後も継続して受け取れるためお得です。

有給休暇が残っている場合も、退職前に忘れずに消化しておいてください。

4.引き継ぎ・挨拶・貸与品の返却をする

退職日までの期間は、後任社員への引き継ぎや取引先への挨拶、貸与品の返却などを済ませます。

5.必要書類を受け取り退職する

失業保険の手続きに必要になるため、離職票などの書類はきちんと受け取って退職しましょう。

関連記事：適応障害で退職する方法｜流れ・伝え方・受けられる支援制度も紹介

新卒入社して適応障害で辞めた後にできること

新卒入社して適応障害で辞めた後にできることは、次のとおりです。

十分に心と体を休める

まずはゆっくり静養し、十分に心と体を休めましょう。

適応障害では気分が落ち込み、自分を責めてしまいがちですが、それも病気のせいです。

今まで根を詰めて働いてきたり、人間関係で大きなストレスを抱えたりしてきた人は、十分な休養と適切な治療で回復できるでしょう。

ストレスのもとをなくす

仕事を辞めればストレスのもとはなくなっているはずですが、ほかにも適応障害の原因となるものがないかチェックしてください。

仕事以外でも、離婚・病気・経済的に苦しいなど、あらゆるストレスが適応障害を引き起こす可能性があります。

仕事のせいだと思っていたのにいつまでも症状が改善せず、ほかのことに原因があったというケースもありえるため、なるべくストレスのない状態を目指しましょう。

適応する力を高める

どんな環境でもストレスを抱え込まなくて済むよう、自分自身の適応力を高めることも重要です。

打ち込める趣味や好きなことを見つけ、ストレスを発散する方法を見つけておくのもその一つです。

また、悩みを一人で抱え込まず、相談できる相手や居場所を作っておくことも有効といえるでしょう。

考え方のクセをなかなか変えられないなら、認知行動療法などのカウンセリングを受けるのもおすすめです。

自分に合った仕事を見つける

再び適応障害で仕事を辞めないためには、自分に合った仕事を見つけることが大切です。

自分の得意なことや苦手なことを分析し、なるべくストレスを感じにくい環境で働くことを目指しましょう。

まわりについていくことが難しいと感じる場合は、就労サポートや合理的配慮を受けながら働くことも可能です。

適応障害の人に向いている仕事とは

ここでは、適応障害の人に向いているのはどんな仕事なのかを見ていきましょう。

マイペースを保てる

適応障害の人は、自分のペースでできる仕事を選ぶのがおすすめです。

たとえば、ノルマがある営業や販売職などは不向きといえるでしょう。

それよりも事務や経理・データ入力のように、ある程度やることが決まっていて、コツコツと自分のペースで進められる仕事がぴったりです。

ルーティンワークである

マニュアルが整っていて、決まったことを繰り返すルーティンワークも向いています。

たとえば、決まった時間に決まった量をこなす工場や倉庫などの製造業なら、精神的なプレッシャーも感じにくいでしょう。

ストレスが少ない環境である

ストレスが少ない環境かどうかもポイントです。

自分にとってどんなことがストレスになりやすいか考え、働くうえでの優先順位をつけてみてください。

柔軟な働き方ができる

次のように、柔軟な働き方ができるかもチェックしましょう。

とくに大企業で精神的につらい思いをした人は、中小企業で柔軟性の高い会社に入ると融通がきくため、働きやすくなる可能性があります。

また、一般雇用枠が不安な場合は、障害者雇用枠を利用して働くのも方法もあるため、検討してみてください。

関連記事：適応障害に向いてる・向いてない仕事と職場探しのポイント5つ

新卒入社して適応障害で辞めたときの転職のポイント

新卒入社して適応障害で辞めたときは、次のポイントに注意して転職活動をしましょう。

病気がきちんと治ってから転職する

まずは病気をきちんと治すことが優先です。

ストレスになっている環境が変われば、自然に症状もよくなるはずですが、自分では気づかないまま適応障害からうつ病に進行している場合もあるため注意してください。

ストレスの原因を把握する

同じことを繰り返さないために、自分にとって何がストレスになるかを把握しておきましょう。

人間関係が苦手ならリモートワーク中心の会社にする、マイペースを保ちたいならノルマのない職種にするなどの工夫をしてみてください。

ストレスをゼロにして働くことはできないため、福利厚生がしっかりした会社を選び、余暇を充実させてストレス発散するのも方法の一つです。

社員のメンタルヘルス対策をしている会社を選ぶ

社員のメンタルヘルス対策に取り組んでいる会社かどうかもチェックしましょう。

2015年に労働安全衛生法が施行され、企業にはメンタルヘルス対策が義務付けられました。

企業がおこなっているメンタルヘルス対策には、次のようなものがあります。

いざというときに相談できる窓口やカウンセラーの制度が整っていたり、セミナーや研修を実施していたりする企業であれば、適応障害に関しても理解を得やすいでしょう。

就労移行支援や転職サポートを利用する

自分一人で自分に合った仕事を見つけることが困難だという場合は、次のようなサポートを活用するのもおすすめです。

いきなり働くことが不安であれば、就労移行支援事業所や地域障害者職業センターに相談してみてもいいでしょう。

また、職業訓練を受けたり、ハローワークのみどりの窓口（障害者窓口）を利用したりすることもできます。

もちろん、一般の転職エージェントを活用して働く方法もあるので、自分に合ったサポートを活用しましょう。

新卒入社して適応障害で辞めたあとにもらえる給付金・手当

新卒入社して適応障害で辞めたあとは、次の給付金・手当がもらえます。

症状が改善してまた働き出すまでの間、生活の支えとして活用してください。

失業保険

失業保険は、再就職の支援を目的に支給される雇用保険からの給付金です。

受給日数は離職理由や年齢によって異なりますが、長ければ1年以上もらえる場合もあります。

受給金額は、退職前の給与の50〜80％が目安です。

くわしい条件や計算方法は、以下の記事をご覧ください。

関連記事：失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業保険で困ったら失業保険サポートがおすすめ

自分ひとりでの失業保険手続きに困ったら、失業保険サポートがおすすめです。

面倒な手続きを一任でき、全額返金保証もあるため安心して利用できます。

無料相談を随時おこなっているため、まずは相談してみてください。

傷病手当

雇用保険の傷病手当とは、病気やケガで15日以上働けない場合に、失業保険と同額の手当がもらえる制度です。

ただし、失業保険と同時には受け取れないため、必要に応じてどちらかを選択しましょう。

くわしくは、以下の記事を参照してください。

傷病手当金

傷病手当金は、ケガや病気で働けなくなった場合に、健康保険からもらえるお金です。

会社を連続して3日間以上休むと、4日目以降の休んだ日に対して、給与の約2/3が支給されます。

ただし、失業保険と同時にはもらえないため注意してください。

参考：全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき（傷病手当金）」

関連記事：適応障害で退職しても傷病手当金はもらえる！条件や申請手順・ほかにもらえる手当を解説

障害年金

障害年金は、障害認定基準を満たしていて、保険料を一定以上納付している場合に受け取れるお金です。

障害年金は失業保険と同時に受け取れるため、治療が長引きそうな場合は検討してみましょう。

（参考：日本年金機構）

特別障害者手当

特別障害者手当は、日常生活で常時特別な介護が必要な場合にもらえるお金です。

受給するためには、本人および配偶者・扶養義務者の収入が一定額以下であることが条件です。

該当するかどうかは、居住地の役所などで相談してみてください。

（参考：厚生労働省）

まとめ

適応障害では、環境のストレスから心身にさまざまな症状が出ます。

新卒入社した場合、これまでの学生生活から生活のリズム、人間関係などが大きく変わるため、適応障害になるケースは珍しくありません。

うつ病とは異なり、ストレスのもとがなくなれば症状も改善するため、休職・転職・退職を視野に入れて行動する必要があります。

再び適応障害にならないために、自分がストレスを感じやすいことを把握し、ストレスが少ない環境で働けるよう工夫しましょう。

各種手当やサポートも活用しながら、ストレスが少なく働ける自分に合った仕事を見つけてください。