「求人と仕事内容が違うときはどうしたらいい？」
「相談先や対処法が知りたい」

こんなふうに感じていないでしょうか。

新しい職場に勤め出したのに、求人と実際の仕事内容が違い戸惑っている方もいるでしょう。

中には会社側が違法なケースもあるため、よく確認し、必要であれば退職も視野に入れて行動することが大切です。

この記事では仕事内容が違うときに辞めてもいいのかや、原因・対処法について解説します。

今後同じ目にあわないための対策もまとめているため、参考にしてください。

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求人と仕事内容が違う場合は辞めてもOK

結論として、求人と実際の仕事内容が違った場合は辞めてOKです。

労働基準法において、会社には契約時に「労働条件通知書」を作成・通知する義務があります。

そもそも労働条件通知書をもらっていなかったり、実際の仕事内容と通知書の内容が違っていたりする場合は、会社の法令違反となります。

その場合、労働者には即日退職する権利が認められており、失業保険がすぐにもらえる「会社都合退職」で辞めることも可能です。

求人と仕事内容が違う原因

求人と仕事内容が違うときは、次の原因が考えられます。

一つずつチェックしていきましょう。

会社側の求める人材像が明確でない

そもそも会社側がどんな人材を求めているのかはっきりしておらず、曖昧な募集をかけていることもあります。

そのため、実際に人手が欲しい業務や部署がまったく違うということが起きるのです。

また、人事と現場で情報共有ができておらず、求める人材と採用した人材に剥離があるケースも少なくありません。

説明が不十分である

採用前に、業務内容や労働条件についてきちんと説明がなされていなかった場合、入社後に「こんなはずじゃなかった」と感じる恐れがあります。

労働基準法第15条において、雇用主は契約時に労働者への労働条件を明示することが義務付けられています。

第十五条　使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない。

（引用：労働基準法第15条）

十分な説明を受けずに入社して食い違いが起きた場合、会社側が必要な責任を果たしていない可能性があるでしょう。

良い面だけをアピールして採用している

求人広告で良い面だけを強くアピールしており、そのイメージで入社して「思っていたのと違う」と感じるケースもあります。

求人上は実態に見合わないような内容が多く、実際の労働条件とほど遠いものであれば、入社後に「騙された」と感じるのも無理はありません。

休日や残業時間の目安が書かれていなかったり、業務内容が曖昧だったりする求人には注意が必要です。

求人と仕事内容が違うのは違法？

求人と仕事内容が違う場合でも、すべてが違法とは言いきれません。

違法になるケースとならないケースについて、きちんと把握しておきましょう。

違法になるケースとならないケースがある

厚生労働省によると、ハローワークや求人誌の内容はあくまで「見込み」の内容であり、仕事内容が違っていても法令違反にはならないとあります。

そのため、求人の内容だけで違法だとはいえません。

一方、労働基準法第15条で定められているのは、契約時に労働者に対して労働条件を書面で通知することです。

つまり、入社時に「労働条件通知書」をもらっていなければ、違法の可能性があります。

その場合、同じく労働基準法第15条にのっとり、労働者には即日退職が認められています。

②前項の規定によって明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

（引用：労働基準法第15条）

会社側に違法性があれば、権利を主張して堂々と辞めましょう。

求人と仕事内容が違うため辞めたいときの相談先

求人と仕事内容が違うため辞めたいときの相談先は、次のとおりです。

自分の状況に合った相談先を見つけてみてください。

人事部・労務や上司

辞める前に、まずは希望する労働条件について、人事部や労務、上司にかけ合ってみましょう。

お互いに認識の相違があることも、十分に考えられます。

労働条件通知書があれば、それを元に話し合いをおこない、業務内容や条件を変えてもらえるかもしれません。

労働条件通知書がなければ会社の責任となるため、その旨を一緒に伝えましょう。

ハローワーク

ハローワークで見つけた求人票と仕事内容に相違がある場合、ハローワークに確認してもらってください。

最寄りのハローワークまたはハローワーク求人ホットラインへ訴えると、事実確認した上で、会社に対して指導や是正をおこなってくれます。

その上で、実際に希望する業務や労働条件を会社に伝えてみましょう。

労働基準監督署（労基）

そもそも労働条件通知書をもらっていなかったり、求人内容と明らかな違いがあり悪質だったりする場合は、労働基準監督署（労基）へ訴える方法もあります。

労働基準法に違反していることがわかれば、労基側から調査・指導・是正勧告などがなされます。

労働基準法違反があるとき、労働者が労基へ申告するのは労働基準法104条で認められている権利です。監督官には守秘義務があり、匿名でも通報できるため、会社にバレずにおこなえます。

また、会社は通報したことを理由にクビにしたり、減給や異動などの不利益を与えたりすることも禁じられているため、安心して利用しましょう。

弁護士

労働条件の見直しにとどまらず、今まで仕事内容の違いで不利益をこうむった分の損害賠償請求をしたいといった場合は、弁護士に相談する方法もあります。

弁護士は代理人として、会社への申し入れや交渉をおこなうことが可能です。未払いの残業代の請求など、希望に応じて対応してもらえます。

ただし、ほかの相談先と違って費用がかかる点に注意してください。

求人と仕事内容が違うため辞めたいときの対処法

求人と仕事内容が違うため辞めたいときは、次の対処法を試してみてください。

一つずつ見ていきましょう。

試用期間中ではないか確認する

まず、試用期間中ではないかを確認してください。

多くの会社では、採用後2週間〜数ヶ月程度の「試用期間」を設け、採用者が実際に働いていけるかを見極めています。

試用期間中は時給や勤務時間など、正規とは異なる条件のことも多いため、確認が必要です。

ただし、その場合でも会社側に労働条件の通知義務があります。求人や通知がおこなわれていない場合は、人事や上司に確認してみましょう。

就業規則を確認する

次に、会社の就業規則を確認してください。

労働条件通知書が労働者個人に発行されるのに対し、就業規則は会社全体のルールをまとめたものです。

就業規則には、次のような内容が書かれているのが一般的です。

労働基準法第106条により、就業規則は労働者の見やすい場所への掲示・備え付け・書面交付が義務付けられています。

就業規則で、求人や労働通知書と異なる部分を見つけた場合は、それを元に会社側へ説明や対応を求めましょう。

労働条件通知書に記載がなければ違法の可能性がある

続いて、入社時にもらった労働条件通知書を確認してください。

そもそももらっていなかったり、現在の労働条件の記載がなかったりすれば、会社側の違法の可能性があります。

その場合は労働条件の変更を求めるか、違法性を指摘し退職も検討しましょう。

改善されないときは退職代行で即日退職する

就業規則や労働条件通知書にのっとって訴えても改善されない場合は、即日退職するのも方法の一つです。

会社側が労働条件を通知していなかったなどの違法があった場合、労働基準法第15条で労働者の即日退職が認められています。

しかし、実際にいきなり「辞めたい」とは言いづらいことから、退職代行を利用するのがおすすめです。

退職通知を代行してもらうことで、上司や同僚と直接顔を合わせずに辞められます。

労働組合の運営や弁護士と提携しているサービスであれば、有給消化や未払いの残業代請求などの交渉もできるため、ぜひ検討してみてください。

求人と内容が違う仕事を選ばないための対策

今後、求人と内容が違う仕事を選ばないためには、次の点に注意してください。

以下でくわしく解説します。

採用面接時に疑問点をなくしておく

まずは採用面接の時点で、求人票でわかる疑問点をなくしておくことが大切です。

曖昧な条件や求人票には書かれていない内容などがあれば、きちんと聞いておきましょう。

もちろん、あらかじめ企業のサイトや口コミを確認し、基本情報を頭に入れておくことが前提です。

その上で、実際に会って話すことでわかる職場の雰囲気や業務内容を、できるだけ把握するようにしましょう。

労働条件通知書をよく読んでおく

契約時にもらう労働条件通知書は、最初にしっかり目を通してください。

求人票にはなかった内容がひっそりと載っていることもあり、あとから不利になる可能性もあります。

また、疑問点があれば、気付いた時点で上司や人事に確認することも大切です。

会社の口コミ評判を確認する

入社前に、会社の口コミ評判を確認するのもおすすめです。

実際に働いていた人の給与や待遇を知れるため、ある程度の参考になります。

とくに、会社のデメリットやよくない面がわかれば、あらかじめ対策ができます。

ただし、ネットの口コミには主観や嘘も多いことから、すべてを鵜呑みにすることは避けましょう。

求人の内容がすべてではないことを知っておく

求人の内容がすべてではないことも知っておくべきです。

求人票の内容はあくまで「見込み」であり、会社に都合のいい情報だけが載っていることも珍しくありません。

実際に働くと仕事内容が違うことも、ある程度は想定しておく必要があるでしょう。

仕事内容が違うため辞めたいときによくある質問

ここでは、仕事内容が違うため辞めたいときによくある質問に回答します。

当てはまる疑問点や不安な点があれば、ここで解消しておきましょう。

求人内容と違う仕事は違法？

契約時に労働条件通知書をもらっていなかったり、労働条件通知書の内容と仕事内容が違ったりする場合は、違法になるといえます。

また、その場合、労働者は即日退職する権利があります。

仕事内容が違うため辞めたら会社都合退職になる？

契約時に労働条件通知書をもらっていなかったり、労働条件通知書の内容と仕事内容が違ったりして退職した場合は、会社都合退職にできます。

何も言わずに辞めると自己都合退職として扱われ、失業保険の給付制限を受ける可能性があるため、辞める際は会社都合退職にしてもらうよう主張しましょう。

もし自己都合退職にされたら、ハローワークへ異議申し立てをおこない、事実調査をしてもらってください。

仕事内容が違うため辞めた場合の転職理由は？

仕事内容が違うため辞めた場合の転職理由は、「雇用条件の相違」とそのまま伝えて問題ありません。

求人票や労働条件に問題があり、自分の確認不足ではないこともあわせて伝えましょう。

パートで仕事内容が違ったらどうなる？

パート・アルバイトでも、正社員と同じように労働基準法の対象です。

そのため、会社には契約時に労働条件通知書を作成することが義務付けられています。

また、労働条件に相違があった場合には、労働基準法に応じて即日退職が可能です。

まとめ

「入社してみたら仕事内容が違った」というケースは珍しくなく、悩む方も多くいます。

このような事態を防ぐためには、求人票や面接で労働条件をよく確認する、労働条件通知書や就業規則を読んでおくといった対策が重要です。

もし会社側が労働条件通知書を作成していなかったり、採用時と異なる条件で働かせたりしている場合は、上司や人事、ハローワークに相談してみましょう。

それでも改善されなかった場合、労働者の権利にしたがってすぐに辞めても問題ありません。

自力での退職が難しければ、退職代行の利用も視野に入れてみてください。