介護派遣に対して、次のような疑問を持っていませんか？

自分は介護派遣と正社員の、どちらの働き方が向いているか悩んでいる方もいるでしょう。

本記事では、介護派遣と正社員の違い、それぞれのメリットやデメリットを解説します。

また、実際に介護派遣と正社員、両方の働き方を経験した筆者の経験談も紹介します。

介護職をしたいけど、派遣と正社員で悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考に自分に合う働き方を見つけてください。

関連記事：介護派遣会社おすすめランキング13選！選び方や平均時給まで解説

介護は正社員より派遣の方がいいと言われる理由

介護は正社員より派遣の方がいいと言われる理由は、次のようなことが挙げられます。

介護派遣の理解度が深めるために、それぞれの詳しい内容を確認しましょう。

なお介護派遣を辞めたくなる理由や対処法などは、以下の記事で詳しく解説しているのでご覧ください。

関連記事：介護派遣はやめたほうがいい？やめたくなる理由やその対処法を紹介

有期雇用で転職しやすい

介護派遣は、派遣先である介護施設で働く期間があらかじめ決められています。

たとえば、3ヶ月や半年、1年間など、事前に期間を希望し、最長3年までは同じ介護施設で働けます。

働く期間が決まっているため、転職しやすいだけでなく、さまざまな介護施設で経験できる点もメリットです。

正社員の場合は途中退職が禁止されているわけではありませんが、簡単には辞めにくいと感じるため、転職しにくいというデメリットから介護派遣の方がいいと感じるのかもしれません。

正社員に比べて業務負担が少ない

介護派遣は、基本的に介護業務だけを任されます。一方、正社員の場合は、介護業務以外に次のような業務もしなければいけません。

派遣であれば上記のような業務をすることはほとんどなく、介護業務に専念できるため、正社員に比べると業務負担が軽いと言えます。

さまざまな業務をすることに抵抗がある方は、介護派遣の方がいいでしょう。

残業がほとんどない

介護派遣の勤務を管理しているのは、派遣先の介護施設ではなく登録している派遣会社です。

そのため、派遣先の介護施設側から派遣社員に残業をさせるのは難しく、ほとんど残業はないのが実情です。

残業がないため、正社員に比べて業務負担が少ないだけでなく、介護の仕事が終わった後に別の仕事をするといったダブルワークもしやすくなっています。

介護派遣と正社員の違い

介護派遣と正社員の違いについて、まずは以下の表にまとめたので確認しましょう。

内容	介護派遣	正社員
雇用元	派遣会社	介護事業所を運営する法人
給与面	時給制や日給制	月給制
契約期間	定めあり（数ヶ月〜3年まで）	定めなし
勤務形態	自分の希望したシフト	会社が決めたシフト
仕事内容	基本介護業務のみ	介護業務以外の業務もあり

さらに、上記の内容をより詳しく解説していきます。

すべての人にとって、介護派遣の方がいいというわけではありません。

介護派遣と正社員の違いを把握し、自分に合う働き方を考えるきっかけにしてみてください。

雇用元

介護派遣の雇用元は、登録している派遣会社になります。一方、正社員の場合は、働いている介護事業所を運営する法人が雇用元です。

実際に働くまでの流れも、それぞれ下記のように異なります。

雇用形態	実際に働くまでの流れ
介護派遣	派遣会社に登録 →希望条件の提示 →施設見学や簡単な面談 →派遣先の決定 →勤務開始
正社員	介護施設の求人に応募 →書類選考や面接 →採用面接に合格 →雇用契約 →勤務開始

介護派遣の場合、契約や仕事内容などに関する問い合わせは、原則派遣会社にします。

正社員のように、直接法人に問い合わせができないため、少し手間に感じるかもしれません。

ただ、現場の上司や同僚などに聞きにくい質問も、第三者である派遣会社だからこそ、相談しやすいといった効果もあるでしょう。

給与面

介護派遣は時給制または日給制で、各種手当やボーナス、退職金などがない場合が多いです。

一方、正社員の場合は、基本給が定められており、そこに各種手当やボーナスなどが加算され、年収が決まります。

手当やボーナスの支給がある正社員の方が、給与は高い傾向にありますが、その分介護派遣は業務負担が軽く、自分のライフスタイルに合った働き方が可能です。

介護派遣はパートに比べると時給が高い傾向にあるため、パートとして働こうと考えている方は、介護派遣の方が効率的に稼げるでしょう。

契約期間

介護派遣は、基本的に契約期間が数ヶ月単位で設定されており、その期間が終わると、今の事業所で引き続き働くかどうか面談をして決める仕組みです。

労働派遣法によると、同じ事業所で働ける期間は最大3年と明記されています。

参考：労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律｜e-Gov法令検索

正社員の場合は契約期間の定めはなく、原則定年までは働ける契約内容になっています。

同じ場所で長く働きたい方は、正社員の方が向いているでしょう。

勤務形態

介護派遣の勤務形態は、自分の希望条件を提示し派遣会社と相談しながら決められます。

たとえば、週3日で日勤のみを希望したり、夜勤のみを希望したりできます。

正社員の場合は、原則会社が決めたシフトに沿って働くため、日勤だけでなく、早番や遅番、夜勤などさまざまな時間で勤務します。

希望休制度がある施設であれば、月に2〜3日ほど希望の休みを取れますが、必ずしも休めるわけではないため、仕事を優先しなければいけない場面があるかもしれません。

仕事内容

介護派遣の仕事内容は、基本的に介護業務がメインです。

一方、正社員の場合は、介護業務以外にもレクの企画や運営、各種委員会の開催や研修への参加、新人教育など仕事内容は多岐にわたります。

そのため、正社員の場合は仕事量も多く、介護以外のことにも気を配りながら仕事をしなければいけません。

また、さまざまな業務を抱えたまま仕事をしなければいけないため、心身の負担が増えやすくストレスにつながるでしょう。

介護以外の仕事はしたくないという方であれば、正社員より介護派遣の方が向いています。

介護派遣のメリットとデメリット

介護派遣の方がいいと言われてはいるものの、メリットとデメリットは存在します。

ここでは、介護派遣のメリットとデメリットを一覧で紹介するので、介護派遣と正社員で悩んでいる方は参考にしてください。

介護派遣をはじめとした派遣社員のメリットやデメリットについては、以下の記事も役立ちます。

関連記事：派遣社員にはデメリットが多い？メリットや向き不向き、おすすめの派遣会社を紹介

介護派遣のメリット

介護派遣のメリットは、次のとおりです。

介護派遣はボーナスや退職金はありませんが、パートに比べると時給が高いのが特徴です。

たとえば、パート時給が1,000円に対して、介護派遣の時給は1,300円といったケースもあります。

また自分の希望通りに働けるため、平日のみや早番のみなど、自分のライフスタイルに合う働き方が可能です。

数ヶ月単位で契約期間の定めがあるため、転職しやすいのも魅力的です。

勤務管理を派遣会社がしており、勤務時間を厳しく管理されているため、残業が発生することはほぼありません。

介護業務以外のことをすることはあまりなく、正社員より業務負担が軽いこともメリット言えるでしょう。

介護派遣のデメリット

一方、介護派遣のデメリットは、次のとおりです。

介護派遣はパートより時給は高いものの、ボーナスや各種手当が支給される正社員に比べると給与が低いのが現状です。

同じ施設で3年以上働けないため、同じ職場で長く働きキャリアアップを目指したい方にとって介護派遣は向いていません。

また、派遣社員は正社員に比べると社会的信用が低いため、車や住宅などを購入するためのローンを組む際に、審査に通りにくいというデメリットがあります。

介護の正社員のメリットとデメリット

続いて、介護の正社員のメリットとデメリットを見ていきましょう。

正社員＝安定というイメージはあるものの、介護派遣にはないデメリットはあります。

それでも、給与面は社会的信用などのメリットは大きく、自分が求める条件によっては魅力的な働き方です。

ここで紹介するメリットとデメリットを比べながら、自分に合う働き方を考える際の参考にしてください。

介護の正社員のメリット

介護の正社員のメリットは、次のとおりです。

正社員の場合は派遣と異なり雇用期間に定めがないため、同じ職場で長く働けます。

そのため、会社から評価されやすく、介護リーダーや管理職、エリアマネージャーなどマネジメント職へのキャリアアップも可能です。

ボーナスや退職金がある正社員は、総収入で考えると介護派遣よりも多く稼げる点も大きな魅力と言えます。

介護の正社員のデメリット

一方、介護の正社員のデメリットは、次のとおりです。

介護の正社員は原則シフト制で、平日や土日祝日関係なく勤務が組まれます。

そのため、自分の希望通りに休みが取れず、プライベートを犠牲にしなければいけない場面も出てきます。

ただ職場によっては、正社員でも会社に相談すれば希望通り休ませてもらえる可能性もあるため、正社員だから無理と諦めず相談してみるといいでしょう。

そのほか、自分が希望しない異動を命じられたり、雇用期間に定めないため転職にしにくかったりするなどもデメリットとして挙げられます。

介護派遣に向いている人と向いていない人

ここでは、介護派遣に向いている人と向いていない人を一覧で紹介します。

自分の性格や価値観と照らし合わせながら、自分にとって正社員より介護派遣の方がいいか考える判断材料にしてください。

介護派遣に向いている人の特徴	介護派遣に向いていない人の特徴
ワークライフバランスを重視したい キャリアアップに興味がない さまざまな介護施設を経験したい	キャリアアップを目指している ひとつの職場で長く働きたい ボーナスや退職金が欲しい

介護派遣に向いているか向いていないかは、キャリアアップと給与に対する考え方を参考にするのが最も判断しやすい基準です。

介護派遣でキャリアアップすることは難しく、段階的な給与アップも期待できないため、キャリアアップや給与アップに期待しないのであれば、介護派遣として働いても後悔しないでしょう。

介護の正社員に向いている人と向いていない人

続いて、介護の正社員に向いている人と向いていない人の特徴は、それぞれ以下のとおりです。

介護の正社員に向いている人の特徴	介護の正社員に向いていない人の特徴
キャリアアップしてマネジメント職に就きたい 同じ職場で長く働いてスキルアップしたい 介護業務以外の仕事も積極的にしたい	キャリアアップよりもプライベートを重視したい 介護業務以外は基本的にしたくない 夜勤をしたくない

介護業界でキャリアアップして、管理職やエリアマネージャーなどのマネジメント職に就きたいと思っている方は、介護派遣よりも正社員が向いています。

またボーナスや退職金、その他福利厚生など、給与の条件を求めている方も介護派遣より正社員の方がいいでしょう。

介護派遣のリアルな働き方

では、実際に介護派遣として働くと、どのようなスケジュールや仕事内容になるのか見ていきましょう。

次の条件や仕事内容は、私が介護派遣として働いていた頃のものです。介護派遣の働き方に興味がある方は、ぜひ参考にしてください。

介護派遣の雇用条件例
勤務日	平日のみ（週5日） 土日休み
勤務時間	7:00〜16:00の早番
時給	1,250円 （介護職員初任者研修の資格あり）
勤務期間	3ヶ月
派遣先の施設形態	ユニット型の特別養護老人ホーム

介護派遣の1日のスケジュールと仕事内容
7:00	出勤・前日の記録確認
7:30	朝食の配膳と食事介助と服薬介助
8:30	口腔ケア・トイレ誘導・オムツ交換
10:00	午前レク・水分提供・介助
11:00	昼休憩
12:00	昼食の配膳・食事介助と服薬介助
13:00	口腔ケア・トイレ誘導・オムツ交換
14:00	入浴介助（月曜と木曜は特浴）
16:00	記録業務・退勤

介護派遣の働き方についてさらに知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事：介護派遣の働き方とは？メリット・デメリットや口コミを紹介

介護の正社員のリアルな働き方

続いて、介護の正社員の働き方についても見ていきましょう。

今回は、遅番と夜勤のケースを例にして紹介します。

こちらも、私が実際に正社員として働いた経験をもとにしているので、介護の正社員のリアルな働き方を知りたい方はぜひ参考にしてください。

介護の正社員の雇用条件
勤務日	早番・遅番・夜勤のシフト制
希望休	月に3日まで申請可能
勤務時間	早番：7:00〜16:00 遅番：10:00〜19:00 夜勤：17:00〜翌10:00
給与	月給35万円ほど （夜勤手当5,000円4回分含む）
勤務期間	定めなし
施設形態	介護付き有料老人ホーム

介護の正社員の1日のスケジュールと仕事内容（遅番）
10:00	出勤・前日の記録確認
10:30	入浴介助
12:00	昼食の配膳・食事介助・服薬介助
13:00	口腔ケア・トイレ誘導・オムツ交換
14:00	昼休憩（1時間）
15:00	おやつの提供・食事介助
16:00	トイレ誘導・オムツ交換
17:30	夕食の配膳・食事介助・服薬介助
18:30	口腔ケア・トイレ誘導・オムツ交換・就寝介助
19:00	記録業務・退勤

介護の正社員の1日のスケジュールと仕事内容（夜勤）
17:00	出勤・前日の記録確認・申し送り
17:30	夕食の配膳・食事介助・服薬介助
18:30	口腔ケア・トイレ誘導・オムツ交換・就寝介助
20:00	眠前薬の内服介助
21:00	巡視・排泄介助
23:00	巡視・排泄介助
0:00	休憩（2時間）
2:00	記録業務・物品補充・翌朝の準備等
3:00	巡視・排泄介助
5:00	巡視・排泄介助
6:00	起床介助・整容介助
7:30	朝食の配膳・食事介助・服薬介助
8:30	口腔ケア・トイレ誘導・オムツ交換
9:30	申し送り・記録業務
10:00	退勤

介護職の仕事についてさらに知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。

関連記事：介護職はきつくて大変？仕事のやりがいや働くメリットを現役介護士が紹介！

介護派遣の方がいいと思う職場を選ぶ際のポイント

介護派遣の方がいいと思う職場を選ぶ際のポイントは、次の3つです。

それぞれ具体的な内容を確認しましょう。

自分が求める条件を明確にする

自分が求める条件と介護派遣の働き方が合っているか確かめましょう。

たとえば、希望通りの勤務でマイペースに働きたい方であれば、正社員より介護派遣の方がいいでしょう。

また、キャリアアップに興味がなく、ボーナスや退職金などを求めてないのであれば、介護派遣の方が向いているかもしれません。

自分が求める条件を明確にしておけば、介護派遣と正社員どちらが自分に合っているか見えてくるでしょう。

自分に合う派遣会社を選ぶ

自分に合う派遣会社を選ぶことで、理想の職場を探しやすくなり介護派遣の方がいいと思える働き方ができます。

なお、自分に合う介護派遣会社を選ぶ際は、希望条件に沿って探しましょう。

以下の表は、希望条件別におすすめの介護派遣会社の特徴を紹介したものです。

希望条件	おすすめの介護派遣会社の特徴
多くの施設の情報が知りたい	求人数が豊富にある
できるだけ早く働きたい	スピーディーに対応してくれる
実績のある会社に任せたい	大手で優良認定を受けている
手厚いサポートを受けたい	サポート体制が充実している
条件のいい職場で働きたい	高待遇な案件を取り扱っている

介護派遣会社のおすすめランキングを、以下の記事で紹介しているので、介護派遣を検討している方はぜひお役立てください。

関連記事：介護派遣会社おすすめランキング13選！選び方や平均時給まで解説

職場見学をする

自分に合う派遣先で働くためには、実際に職場見学をして、社内の雰囲気や職員の様子などを観察することが大切です。

なぜなら、介護施設は職場によって環境は異なり、中にはいわゆるブラック施設と言われる劣悪な環境に陥ってるところもあるからです。

ブラック施設は外からの情報だけでは判断しにくく、実際に職場を見学することで気付けることもあります。

たとえば、職員やご利用者に笑顔がなかったり、施設の清掃状況がよくなかったりする職場は、ブラック施設の可能性があります。

なおブラック施設の見極め方については、以下の記事で詳しく解説しているので参考にしてください。

関連記事：介護職はブラックすぎ？見分け方やブラック施設の特徴も解説！

まとめ｜介護派遣の方がいいかどうかは働き方によって異なる

正社員よりも介護派遣の方がいいかどうかは、その人の働き方によって異なります。

介護派遣を検討する際は、自分が介護派遣の働き方に合っているかどうか確認しましょう。

また介護派遣をする場合は、派遣会社選びも大切です。

なんとなく派遣会社を選ぶのではなく、自分が希望する条件を考慮した上で派遣会社を選ぶことで、介護派遣の方がよかったと思えるでしょう。

本記事で紹介している介護派遣のメリットやデメリット、正社員のメリットやデメリット、それぞれの特徴を参考にした上で、自分に合っている働き方を判断してください。