「失業保険を不正受給したらバレる？」
「不正受給したときの処罰や対処法を知りたい」

失業保険の不正受給がなぜバレるのか、バレたらどうなるのか気になる方もいるでしょう。

たとえ悪意がなかったとしても、失業保険の不正受給のペナルティは非常に厳しく、リスクが大きいため注意が必要です。

この記事では、失業保険の不正受給がバレる理由や不正受給にあたる事例を解説します。不正受給にならない方法も紹介するため、参考にしてください。

事前に読みたい⇒失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業保険を不正受給してもバレるので絶対にやめよう

失業保険の不正受給は基本的にバレるため、絶対にやめてください。

「バレないからいいだろう」と考える方も少なくありませんが、ハローワークの調査や第三者からの通報によって明らかになるケースがほとんどです。

もし不正受給した場合、失業保険が受給できなくなるどころか、最大で​​受給金額の3倍の金額を返還しなければならない厳しいペナルティが待っています。

自分ではそのつもりがなかったとしても、不正受給にあたるケースもあるため注意が必要です。

失業保険の不正受給にあたる事例

それでは、実際に失業保険の不正受給にあたる事例について見ていきましょう。

アルバイトや収入を申告しなかった

失業保険受給中におこなったアルバイトや、得た収入を申告しなかった場合は不正受給に該当します。

失業保険受給中でもアルバイトは可能ですが、日時や内容、収入はすべて失業認定時に申告が必要です。

アルバイトは週20時間未満と決められており、1日4時間以上働くと失業保険が減額となります。

そのため、1日4時間以上働きながら失業保険を満額もらう目的で、アルバイトの事実を隠すケースがあるのです。

また、試用期間や研修中だったから申告しなかったというケースもありますが、この場合も申告対象となるため注意が必要です。

関連記事：失業保険もらいながら週20時間以内で働くとどうなる？支給条件と注意点

働けない状態なのに支給を受けた

現在働けない状態で失業保険の支給を受けることも、不正受給にあたります。

失業保険は現在失業中であり、かつ心身ともに働ける状態であることが受給の条件です。たとえば妊娠中や育児中、うつ病などの病気を患っているなど、すぐに働けない場合は受給できません。

その場合は受給期間を最長で4年まで延長できるため、働ける状態になったら受け取れるように必ず手続きしておきましょう。

関連記事：失業保険の受給期間は延長可能！対象者や手続き・解除方法を解説

（参考：厚生労働省）

退職理由や書類の内容を偽った

退職理由や書類の内容を偽って失業保険を受け取ることも、不正受給とみなされます。

たとえばうつ病だと偽って診断書をもらう、自己都合退職なのに会社都合退職と偽るなどといったケースです。

退職理由によって給付日数が増えたり、給付制限が緩和されたりするため、なるべく多くもらおうと嘘をついてしまう人もいます。

虚偽の内容で申告することは絶対にやめましょう。

失業保険以外の手当と重複して受け取った

失業保険は、傷病手当金と重複して受け取ることはできません。

傷病手当金は、病気やケガで働けない場合に会社の健康保険から支給されるお金です。

一方、失業保険は働けない状態で受ける手当のため、条件が一致しないため同時に受けられることはありません。

現在傷病手当金を受け取っている場合は、退職し受け取り終わってから改めて失業保険の手続きをしましょう。

関連記事：傷病手当金と失業保険は両方もらえる？受給する方法を徹底解説

失業保険の不正受給がバレる理由

失業保険の不正受給がバレる理由 失業保険の不正受給がバレる主な理由として、次のことが考えられます。

ハローワークの調査で発覚した

不正受給の半数以上が、ハローワークの調査で発覚しています。

ハローワークには雇用保険給付調査官がおり、随時不正受給者の摘発や実地調査をおこなっています。具体的には書類の調査や事業所への事実確認、家庭訪問などです。

また全国の雇用保険システムにより、コンピューター調査で発覚する場合もあります。

書類の偽造や離職理由の改ざんなどは、これらの確認過程ですぐにバレるといえるでしょう。

失業認定時に発覚した

ハローワークでの失業認定時に発覚するケースもあります。

失業認定は、失業保険受給中の4週に一度、現在失業状態にあるかの確認のためにおこなわれるものです。

この際提出する「失業認定申告書」に、アルバイトの事実や収入が記載されていないと不正受給とみなされます。

通報や密告があった

ハローワークへ第三者からの通報や密告があり、不正受給がバレることもあります。

自分が働いた際に周囲に口止めしたとしても、ズルをしてお金をもらえることからの妬みや、目撃者による通報がないとは限りません。

そのため、もし通報や密告でバレてしまった場合、まわりの人を信用できなくなってしまうことも考えられます。

受給中に働くなら、後ろめたさを感じなくて済むよう正直に内容を申告するべきでしょう。

本人が申し出た

本人による申し出で不正受給が発覚することもあります。

受給中のアルバイトは週20時間未満と決まっており、1日4時間以上働くと失業保険が減額になります。

そのためつい隠したり、働いた時間を少なく申告したりしてしまったものの、罪悪感で自ら打ち明ける人も多いのです。

正直に話したら、多くもらいすぎた分の失業保険は自主返還しましょう。

失業保険の不正受給がバレると厳しいペナルティが待っている

失業保険の不正受給がバレた場合、次のような厳しいペナルティが待っています。

不正受給した分は全額返還しなければならない

まずは「返還命令」と呼ばれる処分で、全額返還を求められます。

勧告ではなく命令のため逆らうことはできず、即時返納が基本です。

不正受給した金額が大きいほど、その負担は大きいものとなります。

失業保険の支給は即停止される

次に「支給停止」処分となり、不正のあった日から失業保険の支給が止まります。

この日から一切の支給が受けられなくなるため、不正受給は大きなリスクのある行為だといえるでしょう。

悪意ある不正受給は「3倍返し」や延滞金が発生する

さらに、悪意のある不正受給には「納付命令」が下され、いわゆる「3倍返し」や延滞金が発生します。

この場合、返還命令による全額返還にくわえ、不正受給した金額の最大2倍の納付が必要です。すると合計で3倍の金額を返還することになるため「3倍返し」と呼ばれているのです。

また、不正受給した日から全額を返還し終えるまで、年率5％の延滞金が課せられます。

納付に応じないと財産の差し押さえや刑事罰もありえる

ここまでの納付命令にも応じなかった場合、預貯金口座などの財産の差し押さえや、詐欺罪の適用もありえます。

さらに不正受給したお金は、たとえ自己破産しても免責されることはありません。

非常に厳しい処罰が待っているため、失業保険は正しく受け取るに越したことはないでしょう。

もし不正受給してしまったら自主返還しよう

もし不正受給してしまったら、なるべく早めに自主返還しましょう。

悪気はなかった・知らなかった・指摘されて気付いたなど、誰でも不正受給してしまう可能性はあります。

間違えてしまった分を全額返還すれば、支給停止にはなるものの、それ以上のお咎めはありません。

不正受給している自覚があるにもかかわらず返還しなかった場合、悪質とみなされさらに処罰が重くなる可能性があるため注意してください。

失業保険の不正受給にならないためのポイント

失業保険の不正受給をしないため、次のポイントに気をつけましょう。

アルバイトをしたら必ず申告する

受給中にアルバイトをしたら、必ず正しい内容を申告してください。

日数や稼働時間をごまかしたり、アルバイトの事実を隠したりすると不正受給になってしまいます。

1日4時間以上働くと受給が先送りにはなりますが、減額されるわけではなく、受給期間満了後にもらえるため合計額は変わりません。

1日4時間未満働くと失業保険の金額が減ってしまいますが、不正受給した場合のペナルティを考えると、きちんと申告したほうが身のためです。

関連記事：4時間ピッタリアルバイトすると失業手当はもらえない？もらえる条件や注意点を解説

すぐに働けない場合は延長手続きをする

すぐに働けない場合は、失業保険の延長手続きをしましょう。

働けないのに受給することも、不正受給にあたるためです。

妊娠中や育児中、病気やケガで働けない方、定年退職後に一旦休む方などが対象となります。

受給日数自体は増えませんが、もらう期間を最大4年まで延ばせます。

ただし、満額もらうためには期限内ギリギリの申請にならないよう注意してください。

退職理由や書類に虚偽の内容を書かない

当然ながら、退職理由や書類に虚偽の内容を書いてはいけません。

ハローワークの調査によってバレることが多く、故意による悪質な行為とみなされかねないためです。

少しでも多く受給しようなどと思わず、ありのままの事実を申告しましょう。

失業保険の不正受給に関するよくある質問

ここでは、失業保険の不正受給に関するよくある質問に回答します。

不正受給をしたあとに時効はある？

雇用保険法第74条により、不正受給から2年が経過していれば時効となります。

ただし、これは国の償還請求権が消滅するというものです。ハローワークで不正受給の事実がわかれば、返還を求められる場合もあります。

また一度ハローワークに不正受給の事実が記録されれば、次回また不正受給しようとした際にバレやすくなったり、悪質とみなされたりする可能性があります。

時効があるとはいえ、実際はアルバイトでの雇用保険加入や確定申告時の税金の動きで、ほとんどは2年以内にバレます。

時効まで後ろめたさを感じながら暮らすより、正しく失業保険を受け取りましょう。

事業主が不正受給に協力したらどうなる？

事業主と結託して書類の改ざんや虚偽の内容で申告した場合、事業主も罰せられる可能性があります。

返還命令や納付命令が連帯責任となるため、事業所側も不正受給しようとする人に協力するのはやめましょう。

受給中のアルバイトがバレなかった人はいる？

「受給中にアルバイトをしてもバレない」というのは個人のケースで、全員に当てはまるものではありません。

たとえ自分の周囲で多く見聞きしていたとしても、自分も同様にバレないとは言い切れないのです。基本的にはバレるものと思って、アルバイトの事実や内容を隠そうと考えるのはやめましょう。

関連記事：失業保険受給中のアルバイトがばれなかった人はいるの？注意点やリスクも解説

不正受給を通報する方法は？

ハローワークへの電話や投書などがあります。

どのような形で不正受給が発覚したかは、本人に明かされることはありません。

ただし、不正受給を知っている人が少なければ、通報したのではないか？と疑われる可能性はあるでしょう。

まとめ

基本的に、失業保険の不正受給はバレると考えてください。

アルバイトや収入を申告しない、働けない状態である、退職理由や書類の内容を偽ったなど、もし悪気がなかったとしても不正受給にあたります。

不正受給はハローワークの調査や失業認定時、第三者からの通報によって高い確率でバレます。もし不正受給してしまったら、悪質とみなされないためにもすみやかに自主返還しましょう。

失業保険は正しい内容で申告し、条件を満たしたうえで受給するようにしてください。