失業保険を受給中に、引っ越しを考えている方は少なくありません。

新しい就職先を見つけるため、あるいは生活費を抑えるためなど、引っ越す理由はさまざまでしょう。

ただし、失業保険受給中の引っ越しには注意点がいくつかあります。万が一、適切な手続きをしなかった場合、スムーズに支給されない可能性があるかもしれません。

この記事では、失業保険受給中に引っ越すポイントやタイミング別の手続き、やるべきことなどを詳しく解説します。

手続きの方法や注意点、さらには引っ越しにかかる費用の補助についても説明していますので、ぜひ参考にしてください。

事前に読みたい⇒失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業保険の受給中に引っ越ししても問題ない｜3つのポイント

失業保険受給中に引っ越しすることは、法律的にも問題はありません。

ただし、大切なポイントがいくつかあります。

以下の3点を押さえておけば、スムーズに手続きを進めることができるでしょう。

1つずつ詳しく解説します。

ハローワークに住所変更の手続きが必要

引っ越しをする場合、最初に行うべきことは、ハローワークへの住所変更の手続きです。

住所変更をしないと、失業保険の受給に支障をきたす可能性があります。

まずは、受給資格者証を持参し、現在登録しているハローワークに行き、住所変更届を記入しましょう。新しい住所を証明する書類を提出します。

この段階では、できるだけ早く手続きを行うことが大切です。また、郵送での手続きは原則として認められていないので注意しましょう。

転居先のハローワークに登録

住所変更の手続きが完了したら、次は転居先のハローワークに登録する必要があります。

これにより、新しい地域での失業保険の受給や求職活動のサポートがスムーズに行えるようになります。

転居先を管轄しているハローワークを確認し、受給資格者証を持参して行きましょう。そこで、転入の手続きを行います。

ここでは、転居先のハローワークの場所や営業時間を事前に確認しておき、可能であれば、電話で必要書類などを事前に確認しておくと安心です。

求職活動を継続

引っ越しの準備や実行で忙しくなりがちですが、求職活動を継続することは、失業保険受給に必要要件となっています。

ハローワークでの職業相談や求人への応募、企業説明会や面接への参加、職業訓練の受講などを継続しましょう。

注意点として、引っ越し前後の期間も求職活動の実績を記録しておくことは忘れないようにしてください。

これら3つのポイントを押さえておけば、失業保険受給中の引っ越しも問題なく行えます。

ただし、具体的な手続きは個々の状況によって異なる場合があるので、不安な点はハローワークに直接相談することをおすすめします。

失業保険の受給タイミングによって手続きは異なる

失業保険の受給中に引っ越しをする場合、そのタイミングによって必要な手続きが異なります。

大きく分けて、「申請前に引っ越す場合」と「申請後・受給中に引っ越す場合」の2つのパターンがあります。

それぞれのケースについて詳しく見ていきましょう。

申請前に引っ越す場合

失業保険の申請前に引っ越しをする場合は、新しい住所地のハローワークで手続きができるため、難しくはありません。

離職票、マイナンバーカードまたは通知カード、本人確認書類を持参します。

場合によっては、新しい住所の住民票も必要になることもあるため、事前に必要書類を確認しておきましょう。

ハローワークでは、求職申込みと失業認定申告書を提出し、新しい住所地での求職活動をスタートさせます。

また、新しい住所地のハローワークで開催される雇用保険説明会も忘れずに参加しましょう。

申請前の引っ越しでは、引っ越し先の住所が確定してから手続きを始めるのがベストです。また、引っ越し先の管轄ハローワークを事前に確認しておくことで、スムーズに手続きができるでしょう。

申請後・受給中に引っ越す場合

すでに失業保険を申請済み、または受給中に引っ越しをする場合は、以下の手順で手続きを行います。

現住所のハローワーク似て、引っ越しの予定を事前に報告と住所変更届を提出します。

また、受給資格者証に記載されている住所を新しい住所に書き換えてもらう必要があります。

現在のハローワークで転出の手続きを行った後に、新しい住所地のハローワークでの転入手続きと求職申し込みを行いましょう。

申請後・受給中に引っ越す場合の注意点として、手続きは引っ越しの前後で迅速に行うこと、失業認定日が引っ越しの時期と重なる場合は、事前にハローワークに相談することが大切です。

いずれの場合も手続きの漏れがないように、不明な点があれば、必ずハローワークに確認するようにしましょう。

手続きに関して引っ越しの前後でやるべきこと

失業保険の受給申請については、引っ越し前後で手続きが異なるケースがあります。

それぞれのタイミングに分けて、具体的にやるべきことを解説します。

引っ越す前

引っ越し前は、ハローワークに引っ越しの予定を事前に連絡します。

そこで、必要な手続きについて確認することが大切です。

その後、住所変更届の準備を済ませ、新しい住所を証明する書類を用意します。また、引っ越し前の求職活動の記録をまとめたり、失業認定申告書の記入漏れがないか確認したりと、記録の整理をしましょう。

新しい住所地のハローワークの場所や営業時間を調べたり、必要書類を確認したりといった作業も行います。

これらは引っ越し日が決まったら、できるだけ早く準備を始めると、引っ越しで忙しい時に漏れなく手続きを進められます。

引っ越した後

新しい住所地の市区町村役場で、住民登録を行い、住民票を取得しましょう。

その後、転居先の新しいハローワークで転入の手続きを済ませ、受給資格者証の提示と必要事項の更新をおこないます。

失業保険の受給要件を満たすためにも、新しい地域での求職条件を登録し、域の求人情報を確認することも忘れてはいけません。

そして、新しいハローワークでの失業認定日を確認し、必要に応じて日程の調整をおこないましょう。

引っ越し後は可能な限り速やかに手続きを行い、新しい環境での求職活動にスムーズに移行できるよう準備することが大切です。

これらの手続きを忘れずに行い、失業保険の受給を中断することなく、新しい地域での生活と求職活動をスタートさせることができます。

手続きの順序や具体的な方法は、個々の状況によって若干異なる場合があるので、不安な点はハローワークに直接相談することをおすすめします。

失業保険申請のタイミングは引っ越し前と後のどちらが良い？

失業保険の申請と引っ越しのタイミングについて、多くの人が悩むポイントといえます。

状況によって適した選択は異なりますが、一般的には以下のようなタイミングで申請すると良いでしょう。

それぞれ詳しく解説します。

引っ越し前に行う方がトラブルは少ない

基本的には、引っ越し前に失業保険の申請を行うことをおすすめします。

その理由は、スムーズな手続きができること、時間的に余裕が生まれること、予期せぬトラブルを避けられることが挙げられます。

退職した後に失業保険を申請し、引っ越しをするという流れはスムーズで、書類や情報の漏れを抑えられるでしょう。

また、申請から受給開始までの期間を有効活用できるうえに、引っ越しの準備と並行して手続きを進められることも特徴です。

手続き完了後に引っ越しできるため、不安が少ないことも安心感につながり、新生活のスタートや求職活動に集中できます。

申請時に引っ越し先が決まっている場合は、その情報も含めて申請すると、よりスムーズに手続きが進むでしょう。予期せぬトラブルを避けるためにも、引っ越し先のハローワーク情報も事前に確認しておくと安心です。

自己都合退職の場合は引っ越し前に手続きを行う

自己都合退職の場合は、引っ越し前に手続きを行うことをおすすめします。

その理由としては、給付制限期間があること、求職活動の実績を作れることなどが挙げられます。

自己都合で退職すると、原則として3ヶ月間の給付制限があります。

この期間中に、引っ越しと手続きを済ませることができるため、給付開始までの期間を有効活用できる点はメリットです。

⇒失業保険で自己都合退職の給付制限が3ヶ月から2ヶ月に短縮される条件とは？

ただし、給付制限期間中も求職活動は必要のため、引っ越し前の地域でも求職活動を行うことを忘れてはいけません。

退職後に給付開始まで長い時間がかかるため、給付制限期間中の生活費を準備する必要があります。

やむを得ない場合は引っ越し後に手続きを行う

以下のようなやむを得ないケースでは、引っ越し後に手続きを行うこともあります。

例えば、家族の介護や看病のためや災害による避難など、急な転居が必要になった場合は、引っ越し後に余裕を持って手続きを行う方が良いでしょう。

また、求職活動をするなかで、現在の地域よりも求人が多い地域への転居した方が就職の確率が上がる場合や、具体的な就職先の目処がある場合は、引っ越し後に手続きを済ませます。

生活にかかる費用を抑えなければ生活ができない場合は、家賃の安い地域への転居する必要があるでしょう。この場合も、引っ越し後に手続きを行うことをおすすめします。

失業保険の申請タイミングは、個々の状況によって適切な時期が異なります。

不安な点がある場合は、事前にハローワークに相談してみてください。

失業保険の移転費とは？引っ越しで支給される

失業保険の受給中に引っ越しをする場合、移転費を支給してもらえる場合があります。

移転費とは、雇用保険の受給資格者が再就職や職業訓練を受講するために引っ越しをする場合、引っ越しの費用を補助する費用のことです。

移転費の種類は、主に以下の6つです。

鉄道費は交通費、移転料は引っ越し費用、着後手当は引っ越し先で必要な雑費にあてる費用のことをいいます。

これらは、一定の条件を満たすことで雇用保険から支給されます。

移転費をもらえる条件・引っ越しを必要とする判断基準6つ

移転費の支給は、失業保険を受給している人が引っ越しをするときに、必ずもらえるものではありません。

支給を受けるためには、いくつか条件や判断基準があります。

主な基準は、以下の6つです。

一つずつ詳しく解説します。

雇用保険の受給資格者である

移転費は、雇用保険から支給される費用です。

そのため、支給を受けるには、雇用保険の受給資格を満たしている必要があります。

また、再就職先が決まった場合にも、1年以上の雇用期間を予定されていることも条件です。

1年未満の雇用では、移転費支給の対象外になります。

再就職または公共職業訓練を受けている

移転費は、失業保険の受給中に再就職が決まった場合や、ハローワークが指定している公共職業訓練を受けている場合に受給できます。

再就職や職業訓練を受講せずに引っ越しをしたとしても、失業保険受給中の場合、移転費は受給できません。

ハローワークの審査で引っ越しが必要と認められる

移転費の支給には、ハローワークの審査に通ることが条件です。

審査では、就職や職業訓練のために引っ越しが必要なのかどうかを判定します。

就職先や訓練施設が自宅から遠方ではない場合や、就職先から引っ越しの費用を支援してもらえる場合などは、審査で認められない可能性があるでしょう。

就職先や訓練施設が往復4時間以上の通勤時間が必要である

就職先や職業訓練の施設が、自宅から往復4時間以上かかる場所にあると、移転費を認めてもらえる可能性があります。

片道2時間以上の通勤時間は費用面でも体力面でも負担がかかり、人によっては途中で退職してしまう方もいるでしょう。

そのような事態を防ぐためにも、移転費を支給してもらえるのです。

就職先が引っ越しの費用を負担してくれない

就職先から引っ越しの費用をサポートしてもらえない場合、移転費を支給される可能性があります。

今の自宅からは遠方で通勤できないケースや交通の便が悪く、通勤の負担が大きいケース、帰宅時間によって終電が間に合わずに通勤に支障が出るなどの場合に該当されるでしょう。

就職先の会社から一部の費用負担があると、その不足額を移転費として支給されることもあります。

通勤に著しい障害がある

通勤状況において、著しく障害がある場合も、移転費を支給される可能性があります。

例えば、始発の時間が遅くて始業時刻に間に合わない場合や、終電が早すぎて自宅に帰れない場合、車を利用しないと通勤できない場所にある場合などです。

移転費は返還を求められる場合があるので注意しよう

移転費が支給された場合でも、以下のようなケースでは返還を求められる可能性があります。

再就職先でしっかりと働けるように費用面のサポートである移転費は、受け取れば完了ではありません。

その後、再就職先で長期間にわたって働いたり、必要な職業訓練を受けて就職に活用したりといった行動が必要です。

すぐに退職することや途中で投げ出してしまうと、移転費の返還を求められる可能性が高くなるでしょう。

失業保険受給中の引っ越しに不安がある方向け！おすすめの相談先

失業保険受給中の引っ越しについて不安や疑問がある場合、適切な相談先に問い合わせることが大切です。

ここでは、主な相談先として「ハローワーク」「退職代行サービス」「失業保険サポート」について解説します。

ハローワーク

ハローワークは、失業保険に関する最も信頼できる相談先です。お住まいの地域に設置されているため、地域状況に合わせたサポートがあります。

ハローワークは無料で相談できるうえに、個別のケースに応じた具体的なアドバイスを受けられることがメリットです。

また、失業保険の手続きと同時に、求職活動について相談ができるのも便利です。

一方、混雑時は待ち時間が長くなることがあり、営業時間が限られているため、利用しにくいと感じることがデメリットといえます。

ハローワークでは、失業保険と副業に関する細かな規定や、個別の状況に応じたアドバイスを受けることができます。疑問点はすべてハローワークの職員に相談することをおすすめします。

退職代行サービス

退職代行サービスは、主に退職手続きの代行を行うサービスですが、退職後の失業保険や副業に関する相談にも応じているケースがあります。

オンラインや電話で気軽に相談できたり、24時間365日対応してくれる場合もあったりと、相談したいときに利用できるのは便利です。

また、退職手続きから失業保険の相談まで一貫してサポートを受けられる場合もあります。

一方で、失業保険に特化した相談サービスではないので、詳細な情報が得られない可能性がある点はデメリットです。公的機関ではないため、提供される情報の正確性には注意が必要です。

とはいえ、退職代行サービスは、退職に関する総合的なサポートを受けたい場合に便利です。ただし、失業保険や副業に関する詳細な情報は、最終的にハローワークで確認することをおすすめします。

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失業保険サポート

失業保険サポートは、失業保険に特化したサポートサービスを提供する民間企業やフリーランスの専門家によるサービスです。

失業保険に関する専門的な知識を持つ相談員から助言を受けられることや、個別のケースに応じた詳細なアドバイスを受けられる点は大きなメリットといえます。

一方で、サービスの質にばらつきがあったり、公的機関ではなかったりするため、提供される情報の正確性に注意が必要です。

失業保険サポートは、より詳細で個別的なアドバイスが欲しい場合に検討すると良いでしょう。ただし、最終的な判断や手続きはハローワークで行う必要があることを忘れないでください。

まとめ

失業保険の引っ越しは、引っ越す時期やタイミングなどによって手続きの流れ、やるべきことが変わります。

現住所のハローワークや引っ越し先のハローワークを事前に確認し、円滑に引っ越しができるように準備をしておきましょう。

また、失業保険受給資格がある方の中で一定の条件をクリアした方は、引っ越し費用の補助として移転費をもらえるケースもあります。

失業保険や移転費については、申請の手続きに必要な書類を準備するのに手間や労力がかかります。

また、漏れや申告ミスがあると、移転費を受け取れない可能性もあるでしょう。

まずは、不安な場合はお住まいの地域にあるハローワークに相談し、失業保険を適切に受給してください。