医療現場で放射線による検査や治療などに携わる放射線技師は、国家資格を有する職業であるにも関わらず、転職が難しいといわれています。厚生労働省が発表したデータによると、放射線技師の全国有効求人は1.16倍となっています。
有効求人倍率は高いほど人手不足で就職・転職しやすいので、1.16倍という数字は比較的転職が難しい状況と考えても良いかもしれません。また、令和5年3月の国全体の新規求人倍率が2.29倍となっていることからも、放射線技師の転職が難しいことが伺えるでしょう。
転職の難しさから、放射線技師として転職を考えているものの「転職先が見つからなかったらどうしよう」と、不安を抱えている方も少なくないでしょう。
放射線技師として転職する際の注意点や、放射線技師の転職に特化したエージェントを把握することで、ご自身の希望に近い形での転職が叶うはずです。
参考
診療放射線技師 - 職業詳細 | job tag(職業情報提供サイト(日本版O-NET))
一般職業紹介状況(令和5年3月分及び令和4年度分)について
目次
放射線技師の転職が難しいといわれる理由と実態
放射線技師の転職が難しいといわれる理由として、そもそもの求人数が少なく、飽和状態であることが挙げられます。
厚生労働省が運用する職業情報提供サイト「jobtag」によると、令和3年度の放射線技師の有効求人倍率は1.16倍です。診療放射線技師1人に対して1件以上の求人があり、転職先が全くない飽和状態ではないことがわかります。
しかし、有効求人倍率は地域差が大きく、1倍を下回る地域があるのも事実です。
診療放射線技師の転職は極端に難しいものではありませんが、地域格差があることから簡単であるとも言い切れないのが実態です。
地域 | 有効求人倍率 |
---|---|
東京 | 0.87 |
愛知 | 1.18 |
大阪 | 1.38 |
福岡 | 0.37 |
放射線技師によくある転職理由
給料体制・年収の不満
放射線技師に限らず、多くの人が転職理由として挙げるのが、給料体制や年収の不満です。現状の給料に不満がある場合、いまよりも給料体制の良い勤務先に就職をして、収入を上げたい考える人がほとんどでしょう。
収入アップを目指して転職活動をおこなう場合は、待遇面を確認し、労力と給与が見合っているかを見極める必要があります。
職場の人間関係トラブル
診療放射線技師が働く環境は、中長期的に決まった人員で勤務することが多く、スタッフの流動性が低い職場です。人間関係にトラブルが生じた場合には逃げ場がなく、精神的なストレスにつながります。
職場の人間関係に苦痛を感じ、新しい環境を求めて転職をおこなうケースが多く見受けられます。
放射線技師の年収でYou Tubeみたんだけど、うちの職場が悪いんかなーなんかすごいいいみたいな扱いなんだけど(´・ω・`)ただこれって結局長時間労働の結果なきがするんだよね
— ぴあん (@pian_pso) May 22, 2023
なんで放射線技師の年収ほとんどのところ400行かねぇんだよぉぉぉ!!!
— りー*fam 鷹党 (@egoistfamryu) January 18, 2023
被爆してんのにおかしいやぁぁぁんんんゆんんんんん
うんぁぁぁぁぁあ
業務過多
常勤の診療放射線技師が1人体制だったり、勤務先の人員配置に余裕がなかったりすると、放射線技師1人あたりに課せられる業務量が多くなりがちです。
労働環境の良い新たな就業先を求めることも転職を決意するきっかけとなります。
放射線科はハイポなイメージ強いけど入る医局間違うと外科の先生が引くような超ブラックだったりもするよ
— 超絶ハイポ研修医 (@taku7ta) February 9, 2022
放射線技師の転職先
大学病院
病床数、職員数が多い大学病院では、業務が細分化されているため、CTやMRIなど扱う装置が固定的になるケースが多く、専門性に特化した業務の経験を積めるでしょう。
公立病院
国立病院や県立病院、市立病院など、都道府県や市町村などの自治体が運営する病院が公立病院です。
正社員として採用されると、準公務員の扱いになります。給与は公務員と同水準で、定期的に昇給があることが通常です。
民間病院
民間病院は、中小規模の病院が多く、幅広い分野を経験できるのが特徴です。日本国内にある医療施設のうち、約70%が民間病院といわれています。
施設数が多く、採用人数も一定数あるため、採用率も比較的高いといえるでしょう。
クリニック
クリニックは、無床もしくは19床以下と小規模な医療施設です。入院施設がないため、夜勤や当直といった夜間業務がなく、健康的で規則正しい生活ができます。
医療機器メーカー
放射線技師の経験を活かしながら民間企業で働くのであれば、医療機器メーカーへの転職も選択肢のひとつです。
医療機器メーカーでは、医療現場で使われる医療機器の開発製造や販売、医療従事者への製品説明や問い合わせ対応も行います。
業務内容は医療機関とは異なりますが、新たなキャリア開拓ができるでしょう。
健診・検診センター
健康診断や人間ドックをメインとする健診・検診センターは、病気の早期発見が目的です。
夜勤はありませんが、受診者が多い繁忙期は業務が多忙となります。X線撮影やCT検査、PET検査、マンモグラフィなど、さまざまな業務に関わることができます。
治験関連企業
放射線技師が治験業界へ転職するなら、治験コーディネーター(CRC)を目指してみてはいかがでしょうか。治験コーディネーターとは、医療機関や製薬会社と治験被験者の間に立ち、治験が円滑に進むように調整をおこなう職業です。
転職した初年度は年収が下がる可能性もありますが、医療機関よりも昇給率が高く、年収アップを目指せるでしょう。
放射線技師が転職活動を進めるための事前準備
履歴書・職務経歴書の作成
転職活動では、履歴書と職務経歴書が必ず必要となります。特に職務経歴書は前職で得た経験から、今後どのような仕事ができるのかをアピールできる重要な書類です。
あらかじめ自分のキャリアやスキルなどをまとめてデータを作成しておくことで、スムーズな応募が可能となります。
優先すべき順位の明確化
優先順位が明確化できていないまま転職活動をすると、なんとなくで応募をしてしまい、転職後のミスマッチにつながります。
「なぜ転職をするのか」を整理すると、優先順位が付けやすくなります。
求人情報のチェック
転職したい時期に、好条件の求人情報があるとは限りません。
放射線技師の求人は地域によっては少ない場合もあり、転職を考えているのであればこまめな求人情報のチェックは必須です。求人情報は日々入れ替わっているため、毎日チェックをして好案件を逃さないようにしましょう。
面接の練習をおこなう
面接の練習を念入りに行えば、内定の確実性を高めることができます。放射線技師の面接ではどのような質問がされるのかを確認し、事前に練習をしておきましょう。
放射線技師の転職先別でみる有利になる資格
病院
就業人数が多く、放射線技師のライバルが多い病院では、即戦力となる以下の資格があると有利です。
・第一種放射線取扱責任者
・X線CT認定技師
・磁気共鳴(MR)専門技術者
中途採用の求人では、第一種放射線取扱責任者が応募要件に含まれていることも珍しくありません。転職でキャリアアップを目指すなら、この資格を持っていると有利といえるでしょう。
健診・検診センター
健診・検診センターでは以下の資格があると有利です。
・検診マンモグラフィ撮影認定診療放射線技師
・X線CT認定技師
・胃がん検診専門技師
マンモグラフィや胃の透視検査など、病気の早期発見につながる特定の検査に関する認定資格があると、転職時の強みとなるでしょう。
民間企業
医療機器の開発に関わる民間企業の場合、最新医療機器の開発で活躍できる以下の資格があると有利です。
・医学物理士
・医用画像情報専門技師
・放射線治療専門放射線技師
医学と工学の幅広い知識が必要となる医学物理士は、機器を開発する医療機器メーカーで活躍できるでしょう。
放射線技師の転職には転職エージェントがおすすめ
レバウェル医療技師
レバウェル医療技師は、臨床検査技師・放射線技師・臨床工学技士専門の転職支援サービスです。登録した後は、電話だけでなくLINEでも相談が可能なので、在職中でも隙間時間を利用して転職活動を進められます。
実際に職場訪問をしているため、応募前に職場の雰囲気を知ることもできます。個人での転職活動では難しい給与交渉や勤務時間の相談も可能なので、理想とする職場に出会える確率も高まるでしょう。
放射線技師人材バンク
放射線技師人材バンクは、その名のとおり診療放射線技師専門の転職サポートサービスです。業界に特化した経験とノウハウによる的確なサポートが魅力です。
求人は基本情報に加え、勤務先の情報やおすすめのポイントが記載されているため、より具体的な内容を知ることができます。専任のキャリアパートナーが求職者の希望をもとに最適な職場を紹介してくれるので、はじめての転職で右も左もわからないという方も安心して転職活動に取り組めるでしょう。
medicoエージェント(メディコ)
medicoエージェントは、医療従事者専門の転職支援サービスです。実際に働く方の職場口コミと医療業界専門エージェントによるサポートにより、ミスマッチのない転職をサポートしてくれます。
実際に働いたことのある方の口コミが20,000件以上もあり、求人情報では知ることのできないリアルな職場の雰囲気を、事前に確認できるのも魅力です。「自分らしい働き方ができること」を大切にしているため、自分らしい働き方を叶えたい方におすすめです。
診療放射線技師JOB
診療放射線技師JOBは、国家資格であるキャリアコンサルタントの保持者、または転職アドバイザーから転職のアドバイスがもらえるサイトです。携わりたい業務やこだわり条件、働きたい施設など、さまざまな角度から求人を探せます。
診療放射線技師に特化した履歴書の自動作成ができる「履歴書メーカー」や、医療従事者専門の求人・転職アプリ「コメディカルJOB」など、転職活動がスムーズに行えるツールが充実しています。
放射線技師の転職を成功させるポイント
複数の転職エージェントに登録する
効率良く転職活動を進めるなら、複数の転職エージェントに登録しましょう。複数の転職エージェントを併用することで、より多くの求人情報を得られます。さらに、自分と相性の良いキャリアアドバイザーに出会える確率も高まり、有効なアドバイスももらいながら転職活動を進められます。
転職エージェントと転職サイトの違い
転職エージェントと転職サイト、どちらも転職活動に使えるサービスですが、内容は大きく異なるため、使い分けが必要です。
転職エージェントでは、担当のキャリアアドバイザーが付き、希望や条件、スキルにあった求人を紹介してくれるサービスです。一方、転職サイトはインターネットなどで求人を掲載しているサービスです。
在籍している放射線技師の人数を把握する
求人情報を見る際に在籍している放射線技師の人数も合わせて確認しましょう。病院の規模によって差はありますが、明らかに人手不足の場合は、入社後に激務となる可能性があります。
求人情報に従業員数の記載がない場合は、担当者に質問してみましょう。
業務内容と範囲を確認する
放射線技師としての業務内容は就業先によって異なるため、できるだけ具体的な業務内容を事前に確認しましょう。自分がどのような業務を担当するのか、その仕事が自分のキャリアやスキルとマッチしているのかを確認することで、入社後の自分の姿を明確にイメージでき、転職の成功につながります。
異業種も視野に入れる
働きたい地域で、放射線技師としての転職が難しいと感じた場合は、異業種も視野に入れてみるのも良いでしょう。
異業種への転職は、これまでの放射線技師として積み重ねてきたスキルや知識がそのまま活かせるわけではありません。
しかし、新たな経験やスキルが身につけることができれば、結果として転職の成功といえるでしょう。
放射線技師が転職エージェントを利用する流れ
各転職エージェントに登録
まずは、放射線技師の求人を扱う複数の転職エージェントに登録をしましょう。氏名や電話番号、メールアドレスなどの基本情報や転職希望時期や転職したい地域などを入力します。
担当者からの連絡を待つ
登録後は、キャリアアドバイザーからの電話もしくはメールが来るのを待ちましょう。連絡が来たら、キャリアアドバイザーとの面談日程を決めます。
キャリアカウンセリング
専任のキャリアアドバイザーと面談をします。履歴書や職務経歴書に加え、職種や年収などの転職の希望条件をもとにカウンセリングがおこなわれます。
キャリアカウンセリングは面談であり、面接ではないため、身構える必要はありません。
求人紹介を受ける
カウンセリング結果をもとに、経験やスキル、希望条件に合う求人情報が紹介されます。紹介された求人全てに応募する必要はありません。
求人の内容が自分の希望する要件にマッチしているかどうかを判断し、応募するか否かを決めましょう。
書類選考や面接
応募したい企業があれば、キャリアアドバイザーを通して応募を行いましょう。
内定
内定通知が届いたら、雇用条件を必ず確認しましょう。入社日の調整や雇用条件については、キャリアアドバイザーが交渉を代行してくれます。現職の退職手続きは自分でおこなう必要がありますが、
放射線技師に強いエージェントを有効活用する方法
経験やスキルを偽らない
キャリアアドバイザーは、転職をサポートしてくれる味方です。これまでの経験やスキル、転職理由などは、嘘偽りなく伝えましょう。たとえ、不利になるような情報であっても、転職でマイナスにならないよう対策を考えてくれます。
希望条件をはっきりと伝える
希望条件があやふやでは、キャリアアドバイザーもどんな案件を紹介すべきか判断に迷ってしまいます。
複数のエージェントに登録していることを伝える
複数のエージェントを併用している場合は、必ず事前に伝えましょう。転職エージェントは、求職者が応募企業に内定が決まり、実際に入社した後に、企業から報酬をもらう仕組みになっています。
複数の転職エージェントに登録をしていることを伝えることで、競争意識が高まり、手厚いサポートが受けられる可能性もあるでしょう。
信頼できる担当者とやりとりをする
転職エージェントを利用するにあたり、担当者との信頼関係は大切です。とはいえ、人間同士のやりとりなので、性格の合う合わないはあるでしょう。
レスポンスが遅かったり、条件に合わない求人ばかりを紹介したりなど、連絡を取り合う上で不信感が募ることもあるかもしれません。
一般的に、転職エージェントの担当者変更は可能です。担当者と相性が悪いと感じた場合は我慢せず、問合せフォームなどから担当者変更を申し出ましょう。
自分で決断する
キャリアアドバイザーからのアドバイスは、転職活動に役立ちます、しかし、キャリアアアドバイザーの意見が絶対ではありません。
最後に|放射線技師に強い転職エージェントに登録してステップアップを目指そう
難しいとされている放射線技師の転職ですが、しっかり事前に準備をおこなうことで転職成功の可能性は高まります。
しかし、働きながらの転職活動は、仕事が終わってからや休日などの時間を利用しなくてはなりません。割ける時間が限られていることから、転職活動期間が長期化する可能性もあります。
転職を効率良く進めるなら、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントに登録すれば、希望する条件に合った求人を紹介してくれるので、転職活動にかける時間を短縮できます。必要書類の作成や添削、面接のアドバイスなど、転職活動全体のサポートをしてもらえます。