このように感じていないでしょうか。

失業手当の受給中、さまざまな事情からアルバイトを考える方は少なくありません。

その際、4時間ピッタリ働いても大丈夫なのか、4時間ピッタリ働くとどうなるのかが気になるはずです。

この記事では失業手当を受給しながらアルバイトする際、4時間ピッタリや4時間以上・未満でどう違うのかを解説します。条件や注意点についても紹介するため、参考にしてください。

事前に読みたい⇒失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業手当をもらいながら4時間ピッタリのアルバイトは注意が必要

失業手当をもらいながらのアルバイトは認められていますが、4時間ピッタリで働く場合は気をつけたいポイントも存在します。

アルバイトそのものは認められているものの、働ける期間や日数、時間には制限があります。

もし決められた条件を守らずに働いた場合、支給が先送りになったり、最悪の場合は支給停止になったりする可能性があるのです。あらかじめ、条件をよく確認しておく必要があるでしょう。

失業手当とは

失業手当とは、再就職を支援するために雇用保険から支給されるお金です。正式名称は「基本手当」ですが、一般的に失業手当または失業保険と呼ばれます。

離職理由や働いた期間・年齢によってもらえる日数は異なりますが、前職の賃金日額の50〜80％程度がもらえます。

しかし、失業手当だけでは生活が厳しいという方もいるでしょう。すぐに再就職が決まればいいですが、状況によっては思いのほか長引くケースもあります。

そんなとき活用できるのが、失業手当を受けながらアルバイトができる制度です。細かい条件が定められているため、本記事でチェックしておいてください。

関連記事：失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業手当をもらいながらアルバイトする条件

失業手当をもらいながらアルバイトする条件は次のとおりです。

1つずつくわしく見ていきましょう。

7日間の待期期間を終えている

失業手当の受給開始前には、離職理由にかかわらず、7日間の待期期間が設けられています。

待期期間とは、失業手当の受給資格があるかどうかを確認するための期間です。そのため、この期間に働くことはできません。

この期間に働くと、就労状態にあるとみなされ支給停止になったり、減額になったりする恐れがあります。アルバイトを始めるのは待期期間を終えてからにしましょう。

週20時間未満の勤務である

週20時間以上の継続した雇用が見込まれる場合は、雇用保険の対象者になります。

すると就労状態にあるとみなされ、失業手当の対象外になってしまうため注意してください。

雇用契約が31日未満である

週20時間以上の条件と同様に、31日以上の雇用が見込まれる場合は就労しているとみなされます。

アルバイトは1ヶ月以内の短期や単発のもの、または業務委託で受けるなどの工夫が必要です。

日給と基本手当日額の合計が前職の日額の8割以下である

アルバイトで得た日給と基本手当日額の合計額は、前職の賃金日額の8割以下にしましょう。

もし8割を超えた場合、その分だけ失業手当が減額されます。

つまり、ここまでの条件を満たしていても、日給の高いアルバイトはNGということになります。

アルバイトの際は働く日数や時間だけではなく、稼ぐ金額にも注意しましょう。

アルバイトの内容をハローワークで申告する

失業手当受給中にアルバイトをした際は、ハローワークで申告が必要です。

受給中は4週に一度失業認定日があり、失業認定申告書を提出します。

その際にアルバイトした日時や収入の内訳を記載する欄があるため、忘れずに申告しましょう。なお、アルバイト以外にもボランティアや内職も対象です。

規定の求職活動をおこなう

失業手当を受給するには、規定の求職活動をおこなわなければなりません。

基本的には月に1〜2回、ハローワークでの就職相談やセミナーへ参加し、求職活動実績を作ります。

求職活動実績がないと「働く気がない」とみなされ、失業手当が受給停止になる恐れもあるため注意してください。

1日4時間以上アルバイトすると失業手当が先送りになる

条件を満たしていたとしても、1日4時間以上のアルバイトを予定している場合は、以下の点を理解しておきましょう。

4時間ピッタリは就職扱いになる

失業手当が先送りになる理由は、就職扱いになるためです。

ハローワークの制度上、1日4時間以上働くと「就労」の扱いになります。4時間ピッタリは「4時間以上」に含まれるため、失業手当の受給は期間満了後に延ばされます。

4時間以上働いた日の分は丸々カットになるものの、あくまで先送りになるだけに過ぎません。減額されるわけではなく、失業手当の受給期間満了後にもらえるため合計額は変わりません。

一方、失業手当の受給期間は1年間と決められています。先送りを何度も繰り返して受給期間を過ぎてしまうと、満額受け取れなくなる可能性がある点に注意しましょう。

一時的に週20時間を超えることは問題ない

とはいえ、一時的になら勤務時間が週20時間を超えても問題ないケースが多いです。

シフト制や短期バイトは、繁忙期や人員不足による勤務時間の変動が考えられます。

そのため、普段は1日4時間未満・週20時間未満でバイトしているものの、特定の週だけ20時間を超えているといった場合は考慮してもらえる可能性が高いでしょう。

もし自分では判断できないときは、ハローワークの窓口で相談してみることをおすすめします。

条件を満たすと就職促進給付がもらえる

もし1日4時間・週20時間を超えて働いてしまった場合でも、就職促進給付がもらえます。

就職促進給付とは、失業手当受給者が再就職したときにもらえるお金のことです。

次の2種類の給付について、くわしく見ていきましょう。

再就職手当

再就職手当は、失業手当の受給中に再就職が決まり、なおかつ失業手当の所定給付日数の1/3以上が残っていた場合に支給されます。

再就職が早いほど給付率が上がるのが特徴で、1/3以上で残日数の60％・2/3以上で残日数の70％を受け取れます。

ただし3年以内に再就職手当を一度受け取っている場合や、再就職先で1年以上の雇用が見込めない場合は支給されません。

さらに再就職後6ヶ月が経過し、前職よりも賃金が低い場合は「就業促進定着手当」の支給も見込めます。

就業手当

就業手当はパート・アルバイトなどで非正規雇用され、失業手当の給付日数が1/3以上・45日以上残っていた場合に支給されます。

支給額は以下のとおりです。

ただし、1日あたりの上限は1,918円（60歳以上65歳未満は1,551円）と定められています。

また、就業手当は令和7年3月31日で廃止予定です。

参考：ハローワーク「就業促進給付」

1日4時間未満のアルバイトをすると失業手当の金額が減る

1日4時間未満で働いた場合は「内職・手伝い」の扱いとなり、失業手当が減ってしまいます。

4時間ピッタリ働いた場合はその月にもらえる分は減るものの、繰り越されてあとから満額がもらえます。

しかし、4時間未満の場合は繰り越されるわけではないため、違いに注意してください。

もらえる金額の計算方法

もらえる金額の計算方法は以下のとおりです。

1,354円は令和6年8月1日時点の控除額で、毎年変更されます。

この式に当てはめて、具体例を見てみましょう。

上記の例では、3,886円が減額される計算です。

もらえる金額でいえば4時間ピッタリ働くほうがお得です。一方で、支給が先送りになりすぐにお金が手元に入らないデメリットもあります。

どちらを選ぶべきか、自分の状況と照らし合わせて判断しましょう。

参考：厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更」

失業手当をもらいながらアルバイトする際の注意点

失業手当をもらいながらバイトする際の注意点は次のとおりです。

失業手当をもらいながらのアルバイトには条件があり、守らないと受給停止や減額になる可能性があります。

ここできちんとチェックしておきましょう。

きちんとハローワークで申告する

失業手当受給中のバイトの事実は、必ずハローワークで申告してください。

申告には労働条件証明書やタイムカード、給与明細等の確認書類が必要な場合もあるため、確認しておきましょう。

日数や収入をごまかしたり、記載そのものをしなかったりすると不正受給にあたり、厳しい処罰が待っています。

「簡単にはバレないだろう」と考えるかもしれませんが、ハローワーク側で随時調査をおこなっているほか、第三者からの通報があることも珍しくありません。

不正受給のペナルティは厳しく、支給停止にくわえ全額を返還、さらに最大2倍の納付命令が下されます。納付に応じない場合は、財産を差し押さえるなどの厳しい処罰が待っています。

そうなれば、アルバイトで稼ぐよりもずっと大きなお金を払うことになるため、絶対にやめましょう。

31日以上の雇用契約で働かない

31日以上の雇用契約を結ぶと雇用保険の被保険者となり、失業手当の受給は停止されます。

失業手当をもらいながら働く場合は、あくまでも短期バイトや内職、業務委託などに絞りましょう。

週20時間未満に調整する

週20時間未満に調整して働くことも重要です。

週に20時間以上の契約で雇用された場合も、雇用保険の被保険者となるためです。

もし週20時間を超えるほど働くのであれば、正式に雇ってもらい就職促進給付をもらうことも視野に入れましょう。

7日間の待期期間中に働かない

7日間の待期期間中に働いた事実がわかると、その日数分待機期は延長されてしまいます。

失業手当の受け取りが先送りになることにくわえ、働いた分が減額になったり、失業状態にないとみなされ受給停止になったりする恐れもあります。

アルバイトは、待期期間が過ぎるのを待ってから始めるといいでしょう。

まとめ

失業手当受給中のアルバイトは認められていますが、さまざまな条件が設定されています。

4時間ピッタリで働くと支給が先送りになるほか、週に20時間・月31日以上の雇用が見込まれると、支給停止になる可能性もあります。

一方で、4時間未満で働くともらえる額が減ってしまうため、どのような働き方をするかは悩ましいところです。

失業手当だけでは生活が苦しいとき、アルバイトで稼いで足しにすることは有効です。しかし、あくまでも再就職までのつなぎととらえ、失業手当の受給に影響がない程度にとどめておくよう注意しましょう。