障害者の就職は難しいと思っている方も多いのではないでしょうか。

障害者向けの求人は限られているため、一般的な就職と同じように活動しても見つからないことが多い傾向にあります。

結局、思うように見つけられず、難しいと感じてしまうでしょう。

しかし、ポイントを押さえて活動すれば就職は十分可能です。

この記事では、障害者でも就職できる理由や、成功のポイントを解説します。

最後まで読んで、あなたの就職活動の参考にしてみてください。

関連記事：フリーターにおすすめの転職エージェント16社比較ランキング｜選び方と転職/就職成功のポイント

障害者の就職が難しい理由

障害者の就職が難しい理由には、多くの要因があります。

就職を困難にしている主な理由は、以下の5つです。

詳しく見ていきましょう。

職種が障害者に適していない

多くの企業では、障害者の方に適した職種が限られているのが現状です。

たとえば、身体的な制約を持つ障害者にとって、肉体労働や長時間の立ち仕事は難しいでしょう。

また、知的障害者の方には、複雑な業務や難しい判断を求められる仕事は向いていません。

企業には障害者の方でも活躍できる職種を創ることが求められています。

しかし、多くの企業は対応ができていないのです。

こうした要因が、障害者の方の就職を困難にしています。

障害者に任せられる仕事がない

「障害者に任せられる仕事がない」と思っている企業も多くあります。

しかし、実際には障害者の方の能力を過小評価しているケースが多いのが実情です。

障害者に対する理解不足や「障害者だからできない」といった先入観から、任せられる仕事を見つけられないことがあります。

このような考えが、障害者の方の能力を十分に発揮できる仕事を減らしているのです。

短期間で退職するリスクが高い

障害者の方は短期間で退職するリスクが高いと思われていることも、就職が難しい理由のひとつです。

そのため、障害者の採用に慎重になる企業が多く、働く場所が限られてしまうケースがありますます。

実際に、職場の環境や仕事内容が合わないと感じることは多いでしょう。

その結果、短期間で退職してしまうことがあります。

しかし、これは健常者の方でも同じです。

ミスマッチを軽減するためには、トライアル雇用や段階的に仕事を増やすなどの工夫が欠かせません。

障害者が働ける環境整備が不十分

障害を持つ方が働きやすい環境整備が不十分なことも、就職を難しくしている要因のひとつです。

たとえば、バリアフリー化や補助器具の導入など、物理的な環境整備ができていないなどがあります。

ただ、柔軟な労働時間や休憩時間の確保など、制度面での整備ができていない企業も少なくありません。

物理的な環境整備にはコストがかかるため、とくに中小企業では十分な対応ができていないのが現状です。

障害を持つ方が働きやすい環境を作るためには、助成金を活用するなどで、環境整備を進めていく必要があります。

障害者に対する現場の理解ができていない

障害者の就職を困難にしている大きな要因のひとつに、職場の理解不足があります。

周囲が障害者に対する偏見を持っているケースがあり、障害を持つ方が働きにくい環境にしていることも少なくありません。

また、障害に対する知識や経験が乏しく、適切なコミュニケーションや対応がとれないため、結果として障害を持つ方が孤立してしまうこともあります。

障害者が安心して働ける環境を整えるためには、企業全体で障害者に対する理解を深めるための教育や研修をおこなうことが必要です。

障害者で就職できる人の特徴

障害者で就職するのは難しいといわれているものの、スムーズに進めている人もいます。

スムーズに就職できる障害者には、以下のような特徴があります。

• 障害の特性や自分の体調を理解している
• 広い条件で求人を探している
• サポートを活用している

障害の特性や自分の体調を理解している

障害の特性を理解し自分の体調を管理できれば、スムーズに仕事できると面接で証明できます。

障害にはさまざまな種類があって仕事に影響する度合いが異なり、体調管理できるかどうかでも影響度の高さが変わります。

たとえば、うつ病や双極性障害などの人は環境の変化がストレスになりやすい傾向にあり、事務職といった仕事が適しています。

体調管理が難しいなら自宅でできるWebライターの仕事があっているかもしれません。

このように障害の特性や体調を理解すれば、自分に適した職種がみつかって応募すべき求人が絞れます。

広い条件で求人を探している

障害の特性や自分の体調を理解しにくいなら、広い条件で求人を探すとよいでしょう。

自分に適した職種をみつけるには、障害の特性や自分の体調の理解が欠かせません。しかし、簡単に理解できるものではなく、わからないまま就活するしかないケースもあるはずです。

そのようなときは、希望する職種や労働条件の幅を広げて求人を探しましょう。

探す条件を広げれば就職しやすい求人が含まれるようになったり、自分では思いもよらない仕事がみつかったりするかもしれません。

このように広い条件で求人を探すことにはメリットもあるため、一度条件を緩和することをおすすめします。

サポートを活用している

障害者の就職支援にはさまざまな支援があり、うまくサポートを利用すれば就職しやすくなります。

障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスには、以下の支援があります。

• 就労移行支援
• 就労継続支援A型
• 就労継続支援B型
• 就労定着支援

就職に必要なスキルの育成してくれたり、就職後の悩みに答えてくれるくれたりとさまざまなサポートが用意されています。このような支援を利用すれば、就活を有利に進めていけるはずです。

障害者雇用の現状

厚生労働省が行った調査結果によると、民間企業や公的機関における障害者の雇用状況は過去最高を更新しました。

民間企業における雇用障害者数は64万2,178人で、対前年比4.6％増加しています。

また、実雇用率は2.33％で、前年より0.08ポイント上昇しました。

法定雇用率を達成している企業の割合も50.1％に達し、前年より1.8ポイント上昇しています。

これらのデータを見ると、年々、障害者雇用は増えていることがわかるでしょう。

一方で、中小企業では障害者雇用が進んでいない状況です。

そのため「障害者の就職は難しい」といったイメージがあります。

【参照】構成労働省｜令和5年 障害者雇用状況の集計結果

障害者でも就職できる理由

障害者の就職は難しいと思われていますが、近年では障害者でも就職がしやすくなりました。

以下に、具体的な理由を5つ説明します。

ひとつずつ解説します。

働き方の多様化

近年は、テレワークやフレックスタイム制など、働き方の多様化が進んでおり、障害者でも働ける環境が増えました。

身体障害のある方でも、在宅勤務であれば負担なく働くことが可能です。

また、フレックスタイム制を利用することで、体調や状態に合わせて勤務時間を調整できます。

さらに「ジョブ型雇用」も障害者が働きやすくなった理由のひとつです。

ジョブ型雇用は、職務内容を明確にして雇用契約を結び、労働時間ではなく業務内容や役割で評価します。

障害の程度に合わせた業務に限定できるため、障害者の能力を活かしやすいのが特徴です。

障害者雇用枠が使える

障害者雇用枠は、障害者の方にとって大きなメリットです。

一般の求人とは別枠で障害者向けの求人が設けられているため、より多くの機会があります。

障害者雇用枠の求人は、障害者に適した職務内容や職場環境を提供することが条件になっているため、ミスマッチが少ないのが特徴です。

また、企業は一定数の障害者を雇用する義務があります。

そのため、多くの企業が障害者雇用枠を使った採用に積極的です。

こうした取り組みにより、障害者の就労機会は増えています。

企業側にもメリットがある

障害者の雇用促進は企業にとって社会的責任です。

企業は社会的責任を果たすことで、イメージの向上につながります。

さらに、障害者雇用に積極的な企業は、社会貢献度の高い企業として評価され、外部からの信頼が高まるでしょう。

また、政府からの補助金や助成金を受けられるメリットもあります。

さらに、健常者の社員にとっても、障害者と一緒に仕事をすることで思いやりの心が育まれ、職場の雰囲気が良くなるケースも少なくありません。

結果的にモチベーションがアップし、生産性の向上が期待できるメリットもあります。

障害者法定雇用率が段階的に引き上げられる

企業には従業員数に応じて、一定数の障害者を雇用しなければならないと法律で定められています。

この障害者法定雇用率は、今後、段階的に引き上げられる予定になっており、企業はより多くの障害者を雇用しなければなりません。

法定雇用率を満たさない企業には罰則があるため、企業は法定雇用率を達成するために、積極的に障害者を採用しています。

今後も障害者法定雇用率の引き上げにより、障害者を採用する企業はさらに増えるでしょう。

【参考資料】独立行政法人労働政策研究・研修機構

障害者向けの転職エージェントが利用できる

障害者の就職を支援する専門的な転職エージェントが増えています。

最大の特徴は、障害者雇用に特化した求人情報を持っていることです。

さらに、一般の求人サイトには掲載されていない非公開求人も多数取り扱っており、より多くの選択肢の中からあなたに合った職場を見つけられます。

職場環境が障害の特性に配慮されているかの確認や、企業との調整もおこなってくれるため、より安心して就職活動を進められるでしょう。

【参考記事】障がい者向け転職エージェント10選｜選び方や活用するポイントも解説

障害者が就職活動を成功させるポイント

障害者の就職活動は、ポイントを押さえれば成功の可能性を高められるでしょう。

次に、障害者が就職活動を成功させるためのポイントを5つ解説していきます。

それぞれ解説します。

向いていない仕事を避ける

障害者が就職活動を成功させるためには、自身に向いていない仕事を避けることが重要です。

障害の特性や自身の体力、スキルに合った職種を選ぶことで、長く働きやすい仕事を見つけられます。

たとえば、身体障害のある方が、体力が必要な仕事を選ぶと長く続けられないでしょう。

このような方は、デスクワークのほうが自分の能力を発揮しやすくなります。

重要なのは障害特性や、得意・不得意を客観的に分析することです。

そのためには、障害者職業センターなどでカウンセリングを受けることや、転職エージェントへ相談するとよいでしょう。

自分に合った仕事を見つけることで、長く安定して働くことができ、就職活動の成功につながります。

配慮してもらいたい事項をまとめる

就職活動を成功させるためには、配慮してもらいたい事項を事前にまとめておくことが重要です。

面接時に伝えることで、企業側はあなたを受け入れる準備がしやすくなります。

たとえば、車椅子を使用している方なら「デスクの高さ調整が必要」などです。

また、通勤方法や勤務時間、休憩の取り方など日常業務に関することもリストアップしておくとスムーズでしょう。

事前にどのような対策が必要なのかがわかれば、企業側は障害者が安心して働ける環境を整えやすくなり、お互いに仕事がしやすくなります。

簡単な仕事から段階的に慣れていく

まずは、簡単な仕事から段階的に慣れていくこともポイントです。

障害者の方の多くは、業務に慣れるまでに時間がかかる傾向にあります。

とくに精神障害のある方は、新しい環境や作業に適応するのに時間を要するのが一般的です。

したがって、初めは短時間勤務や軽作業から始めることをおすすめします。

段階的に慣れていくことで自信がつき、複雑な仕事にも取り組む意欲が湧いてくるでしょう。

また、過度なストレスや負担も避けられるため、体調管理もしやすくなります。

このように、職場の支援や周囲の理解を得ながら、無理のないペースで業務に取り組むことが成功の秘訣です。

障害者トライアル雇用制度を活用する

障害者トライアル雇用制度とは、3〜6ヶ月の一定期間を試用期間として、働く制度です。

この制度を活用すれば、試用期間内に自分に合った職場かどうかを見極められるため、ミスマッチが防げます。

また、企業側も障害者の適性を見極めることが可能です。

さらに、トライアル雇用期間中は、事業主に対して助成金が支給されるため、企業側にとってもメリットがあります。

トライアル雇用期間中に、自分に適した職場かどうかを判断して、正式に契約するかどうかを判断するとよいでしょう。

【参考資料】厚生労働省｜｢障害者トライアル雇用｣ のご案内

障害についてオープンにするかどうかを決める

あなたの障害について、どこまでオープンにするかも重要な判断です。

障害をオープンにするメリットは、必要な配慮を受けやすくなることや、障害者雇用枠で応募できるなどが挙げられます。

また、入社後のミスマッチも少なくなるでしょう。

一方、偏見や先入観による不利な扱いを受ける可能性や、障害に過度に注目されてしまう恐れがあります。身体的な障害をお持ちの方は、見た目でわかるためオープンにすることが一般的です。

しかし、精神的な障害の場合は、開示していない方もいます。

活動するにあたって、障害をオープンにするかどうかも検討する必要があるでしょう。

あなたにとって最適な方法を選択することが重要です。

【参考記事】障害者の転職は難しい？理由や転職を成功させるポイントを解説

おすすめの障害者転職エージェント

障害者の方が就職活動をおこなう際、個別にサポートを受けられる転職エージェントの利用はとても有効です。

ここでは、障害者の就職支援に特化した転職エージェントをご紹介します。

さっそく、見ていきましょう。

LITALICO仕事ナビ

デイゴー求人ナビ

dodaチャレンジ

dodaチャレンジは障害者に特化した就職エージェントです。

厚生労働省の人材サービス総合サイトに登録されているもののなかで、2023年度最も転職支援を成功させています。6ヶ月就業継続率も2023年度に95%を達成しており、求職者に見合った求人を紹介できていることがわかります。

また、転職者の多さや定着率の高さは、障害の特性にあわせたキャリアアドバイザーの存在も大きいといえるでしょう。

dodaチャレンジのキャリアアドバイザーには、身体障害・精神（発達）障害・知的障害など各種障害の専門家が揃っています。障害の特性を理解した人が就職を支援してくれるため、求職者の強みを引き出してくれるはずです。

障害者の就職が難しいと思っている人によくある質問

障害者の就職活動には、特有の疑問や不安がつきものです。

最後に、障害者の就職が難しいと思っている方によくある3つの質問に回答していきます。

スムーズな就職活動をおこないたい方は参考にしてみてください。

障害者雇用は手帳なしでも大丈夫ですか

障害者雇用は、障害者手帳を持っていることが条件の場合がほとんどです。

障害者手帳を持っていることで、障害者雇用枠での応募が可能となり、企業側も障害者を採用したことの証明になります。

障害者であることをオープンにせず、一般枠で応募するのであれば不要です。

一般枠で応募する際は、障害に対する配慮を受けることは難しいですが、選べる求人の幅が広がるというメリットがあります。

障害によって就職の難しさは違いますか

障害の種類や程度によって、就職の難しさは異なります。

たとえば、身体障害者の場合、バリアフリー環境が整っているかどうかは重要です。

また、精神障害者の場合は、コミュニケーションの配慮が必要でしょう。

障害の程度によっても、働ける時間や仕事の内容が制限されることがあるため、自分の障害の特性に合った職場を見つけることが重要です。

障害者の面接でよく聞かれる質問は何ですか

障害者雇用の面接では、障害に関する具体的な質問が多くなります。

たとえば「障害の内容について教えてください」や「どのような配慮が必要ですか」といった質問は必ずされるでしょう。

これらの質問に対しては、正直かつ具体的に答えることが重要です。

どの程度の業務ならできるかを説明し、必要な配慮についても具体的に伝えることで、企業側にも受け入れが可能かどうかの判断がしやすくなります。

障害者雇用の面接は、一般の面接に比べて詳細な質問が多くなるのが一般的です。

そのため、スムーズに答えられるよう準備しておきましょう。

まとめ

障害者の就職には多くの課題があります。

しかし、社会の変化や制度の整備により、就労機会は着実に広がっています。

本記事では、就職が難しい理由や成功のポイント、おすすめの転職エージェントなどを詳しく解説しました。

重要なのは自分の障害特性を理解し、適切な職種を選ぶことです。

そのためには、障害者トライアル雇用制度の活用や、専門の転職エージェントの利用が効果的です。

近年では働き方改革により、これまで難しいとされていた職種でも障害者が活躍できる可能性が広がっています。

障害者雇用に積極的な企業も増えており、障害者の方々が自分らしく働ける場所は今後、着実に増えていくでしょう。

転職エージェントなどにサポートしてもらいながら、あなたの強みを活かせる仕事を見つければ、就職活動は難しくありません。