公認会計士が商社に転職するメリットと仕事内容や転職時に必要なスキル

編集者
佐藤達也
【キャリアアドバイザー】国弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。
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転職に際して「公認会計士は商社に転職できるの?」「商社で公認会計士の需要はあるのか?」という悩みを抱えている方は多いです。

公認会計士は監査業務が唯一できる資格であることから商社でも需要が高いです。

また、転職するメリットも大きいことから、商社への転職を目指す公認会計士は少なくありません

しかし、公認会計士が商社で任される仕事は多岐にわたる他、転職希望者が多いということはライバルも多いため、しっかりと準備をしていないと転職に失敗したという事態に発展するリスクがあります。

本記事では、公認会計士が商社に転職する理由と仕事内容、転職時に必要なスキルなどを解説いたします。

目次

公認会計士が商社に転職する3つの理由

公認会計士が商社に転職する理由、転職メリットは次の3つです。

  1. 会計士の需要が高い
  2. 年収の維持が期待できる
  3. 活躍できる領域が広い

それぞれ詳しく解説します。

公認会計士の需要が高い

商社への転職は経歴がよくても難しい場合が多いですが、公認会計士は比較的転職しやすいです。商社には業部経理やコーポレート経理、M&A案件といった専門スキルが必要な業務が多いですが、専門性の高い人材が育ちにくい傾向があります。

一方、公認会計士は業部経理やコーポレート経理、M&A案件などの部門で専門人材として活躍できることから、需要が高く、比較的転職しやすいです。

年収の維持が期待できる

監査法人から一般企業へ転職すると、年収が下がる可能性が高いです。一方、監査法人から商社へ転職すると、年収の維持が期待できる他、監査法人時代よりも高い年収を得られる可能性があります。

そのため、年収の維持・アップが期待できるという理由から、公認会計士の転職先として商社が選ばれることが多いです。

活躍できる領域が広い

商社では、経理・財務の他、M&A案件、経営企画など、さまざまな部門で活躍できる機会があります。

場合によっては、CEO(最高経営責任者)に次ぐ地位であるCFO(最高財務責任者)に就いて、企業の財務全般やIPO準備の責任者となる方も多いです。公認会計士としての経験を活かして活躍できる領域が広いことも、商社に転職する理由の1つといえます。

公認会計士が商社で任される主な仕事

公認会計士が商社で任される主な仕事内容は次の5つです。

  1. 事業部経理
  2. コーポレート経理
  3. 内部統制・内部監査
  4. 経営企画
  5. M&A案件

それぞれ詳しく解説します。

事業部経理

商社では、各事業部で独立採算性を取っている場合が多いため、事業部別に経理・財務が実施されていることがほとんどです。

事業部経理の仕事としては、現場としっかりと連携を取りながら、会計処理や資金調達、税務調査・監査法人対応、関連会社・子会社への経理支援・支援などがあります。

コーポレート経理

コーポレート経理の仕事は、連結決算・財務諸表を国際会計基準で作成する他、税務申告や税務調査対応、全社規模での予算管理、監査法人対応など多岐にわたります。

国際会計基準適用・連結する子会社の多さなどから、商社の決算レベルは非常に高いです。

内部統制・内部監査

内部統制も公認会計士経験者が携わる仕事内容の1つです。

主な仕事内容としては、各財務諸表の評価や内部統制報告の作成、資産保全、法令遵守促進、業務の有効性・効率性の評価など、多岐にわたります。

内部監査は社内で実施される監査のことで、主な仕事内容としては内部統制報告の作成やリスクマネジメントの評価などがあります。

上場企業では法令により監査部の設置が義務化されている他、コンプライアンスへの意識向上やガバナンス強化により、内部監査で公認会計士の需要が高くなっています。

経営企画

経営企画に携わった場合、経営者の近くで、業績評価や経営戦略・予算の策定など、裁量の大きい仕事を担います。また、経営企画では市場優位性の確保に向けて、競合他社のデータ分析などにも対応しなければなりません。

そのため、マーケティングや経営といった会計・監査以外のスキルも必要となります。

M&A案件

M&A案件の仕事は、対象企業の情報集や企業価値算定、投資スキームの構築などです。

近年、商社は卸売業よりも、各会社に投資を実施する投資会社としての役割が大きくなってきています。そのため、M&A案件に携われる人材として、公認会計士のニーズが高くなってきています。

ただ、M&A案件に携わるのを目指すのであれば、監査法人からよりも、FASなどで経験を積んでから商社へ転職した方がよいです。

公認会計士が商社に転職するメリット・デメリット

まず、公認会計士が商社に転職するメリットは次の3つです。

メリット

  1. 監査以外のスキルが身につく
  2. 主体的に経営に関わることができる
  3. 福利厚生の充実

それぞれ詳しく解説します。

監査以外のスキルが身につく

公認会計士の業務は一般的に監査と経理ですが、監査法人に勤務している場合、経理に携わる機会はほぼありません。

一方、商社に転職した場合、経理をはじめとするさまざまな業務に携われるため、監査以外のスキルも身に付けられます。

主体的に経営に関わることができる

公認会計士として監査法人に勤務する場合、携わるのは監査業務のみで、主体的に経営に関わることはありません。一方、商社に転職すれば、会社の一員としてビジネスに貢献していくため、主体的に経営に関われます。

また、業務の幅もかなり広がるため、さまざまな経験を積めます。

福利厚生の充実

福利厚生が充実していることも、公認会計士が商社に転職するメリットです。基本給をはじめ、さまざまな手当がつく他、金銭以外の手当も充実している商社が多いです。

また、監査法人と比べて残業時間も少ないため、ライフワークバランスを確保しやすいのも商社のメリットといえます。

公認会計士が商社に転職するデメリット

公認会計士が商社に転職するデメリットは次の2つです。

  • 転勤・部署異動のリスクがある
  • 年収が低下するリスクもある

それぞれ詳しく解説します。

転勤・部署異動のリスクがある

監査法人は基本、転勤がありません。しかし、商社は海外赴任をはじめとする転勤や、部署異動のリスクがあります。転勤・部署異動を避けたいのであれば、転職前に人員流動性や異動のリスクを事前に確認しておく必要があります。

ただし、海外への転勤は枠に空きが出ないと実施されないため、中途採用の場合は海外への赴任機会が少ないといわれています。

そのため、海外への赴任を目指して商社に転職する場合も、海外赴任の可能性について転職前に確認しておかなければなりません。

年収が低下するリスクもある

年収が低下するリスクがあるのも、公認会計士が商社に転職するデメリットです。大手商社に就職した場合、監査法人時代と同等の年収を維持できる他、採用内容次第では1,000万円以上を見込める可能性があります。

そのため、年収を維持・向上できる観点から、商社に転職する公認会計士は多いですが、専門商社や中堅商社へ転職する場合は、年収がダウンするケースがあります。

公認会計士が商社に転職する際に必要なスキル

公認会計士が商社に転職する際に必要なスキルは次の4つです。

  1. 英文会計
  2. 英語力
  3. 金融・経営戦略関連の実務

それぞれ詳しく解説します。

英文会計

公認会計士が商社に転職する際に必要なスキルの1つが英文会計です。商社は米国会計基準を使用し、そこから国際会計基準任意適用へ変更しているところもあります。

英文会計のスキルがあれば、他の公認会計士と差別化できるため、転職する際に大きな強みとなります。また、英文会計のスキルを証明したいのであれば、USCPA(米国公認会計士)の取得がおすすめです。

英語力

英語力も公認会計士が商社に転職するために必要なスキルの1つです。国内業務も多く、必ずしも英語力が必要ないと考えがちですが、国際会計基準導入や海外事例の調査などで英語力が必要となる場合があります。

公認会計士は英語力の低い方が多いため、英語力を身に付けていれば転職する際、大きなアピールポイントとなります。

金融・経営戦略関連の実務

経営企画への転職を希望する場合、金融・経営戦略関連の実務スキルが必要です。経営企画で必要なスキルを習得するのにおすすめなのが、MBA(Master of Business Administration)取得です。

MBAとは、日本語で「経営学修士」といい、経営学の大学院修士課程の修了で授与される学位で、企業経営に関する知識を得られます。

また、MBAの取得は1~2年程度、ビジネススクールに通う必要がありますが、スクールに通うことでさまざまな人々と出会えるため、幅広い人脈形成にもつなげられます。

公認会計士が商社に転職した場合の年収

公認会計士が5大商社に転職した場合、マネージャーポジションで採用されるケースがほとんどです。

そのため、年収は転職1年目で年収1,000万円(ボーナス込み)程度ですが、転職先やスキルによっては、転職1年目で年収1,200万~1,300万円を見込めます。

また、転職後の年収が50万~100万円程度昇給するため、課長・室長クラスになると年収2,000万~2,500万円も見込めます。

公認会計士が転職する際の注意点

公認会計士が転職する際の注意点は次の2つです。

  • 総合商社と専門商社で仕事の規模が異なる
  • ワークライフバランスを年間通して維持できない

それぞれ詳しく解説します。

総合商社と専門商社で仕事の規模が異なる

総合商社はさまざまな商材を取り扱っているため、扱い品目に制限がなく、社会インフラやエネルギー資源など、大型プロジェクトを実施していることも少なくありません。

そのため、事業投資などさまざまなプロジェクトに携わっていきたいというのであれば、総合商社がおすすめです。

一方、専門商社は特定分野に特化し専門分野に偏っているのが特徴であるため、自分のやりたい分野が決まっている方におすすめです。

ひと言で商社といっても、総合商社と専門商社では仕事の規模やビジネスの幅が大きく異なります。

商社への転職に失敗しないためには、商社には総合商社と専門商社があることを理解したうえで、転職活動を進めていく必要があります。

ワークライフバランスを年間通して維持できない

監査法人の場合、クライアントの要望で急な残業が発生することが少なくありません。また、決算準備時期からの数ヶ月は深夜残業が当たり前となるため、ライフワークバランスの維持が難しいのが現状です。

一方、商社は業務内容が安定しているため、残業や休日出勤がなく、監査法人に勤務している時と比べてライフワークバランスを維持できるという方も多いです。

ただし、商社は一般企業と比べると繁忙期・閑散期で残業時間に差があります。閑散期の場合、残業時間は平均で月0~15時間程度ですが、繁忙期は大幅に増加し、平均残業時間は月40~60時間程度となります。

担当案件によっては税務・会計の相談が増えるため、多忙となるケースが多い他、1~4月は期末決算や予算作成が重なり、早朝出勤・深夜退社になることも少なくありません。

そのため、時期によっては、ワークライフバランスが維持できないことも念頭に置いておく必要があります。

公認会計士が商社へ転職するならおすすめの転職エージェント・サイト5選

最後に、公認会計士が商社に転職するなら利用をお勧めする転職エージェントをいくつかご紹介します。

ハイスタ会計士|公認会計士特化の転職支援サービス

ハイスタ会計士
公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/

ハイスタ会計士は、今回ご紹介する転職エージェントの中でも、公認会計士の転職に特化した専門エージェントです。

  1. 公認会計士の転職支援に特化したキャリアアドバイザーが在籍
  2. 職務経歴書の作成、添削、面接対策など丁寧に対応
  3. 監査法人・税理士/会計事務所・上場準備中の事業会社求人多数
  4. ひとりひとりのスキルと経験を活かしたキャリア形成に強み

大量の求人を送ってくるだけのエージェントとは違い、ひとりひとりに合った、『活躍できる環境』の提供に重きを置いているため、ミスマッチのない転職をすることができます。

転職が初めての人のためのサポートにも優れているので、初めての転職活動で不安のある方でも効率よく転職活動を進めることができます

公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/

マイナビ会計士|試験合格・USUPA専門

マイナビ会計士

マイナビ会計士は、転職エージェントの中で唯一の会計士業界に特化した専門エージェントです。

  1. 会計士のための求人数が業界最大
  2. 公認会計士や税理士などの転職者を年間300件以上携わるキャリアアドバイザーが在籍
  3. 職務経歴書の作成、添削、面接対策など丁寧に対応

業界大手のマイナビネットワークの強みを生かした幅広い求人情報を持ち合わせています。また、会計士専門のキャリアアドバイザーが市場の情報をいち早くキャッチし教えてくれて、転職者のキャリア設計に合わせたマッチングが可能です。

転職が初めての人のためのサポートにも優れているので、あまり転職活動に慣れていない会計士の方でも効率よく転職活動を進めることができます。

公認会計士の転職でまず最初に登録するエージェントとしておすすめです。

REXアドバイザーズ|税理士法人・会計事務所転職

REXアドバイザーズは、会計士・税理士・管理部門経験者の転職に特化した転職エージェントです。

  1. 会計士がおすすめする転職エージェント3年連続No.1
  2. 転職満足度97.3%の実績
  3. シニア・マネージャークラスの転職に強み
  4. 監査法人からコンサル、事業会社まで幅広い求人を保持
  5. 平日夜や土曜も面談予約が可能で融通が利く

会計業界で豊富な実績を持つREXアドバイザーズ。転職サポートの充実や、利用時の転職成功率でも利用者から高評価を受けております。

30~50代の経験が豊富な方の紹介を得意としておりますが、20代でキャリアアップを目指す有資格者の利用者も多いです。

すべての年代の方におすすめできるエージェントですので、まずは登録してみて自分に合うか判断してみるのが良いでしょう。

公式サイト:https://www.career-adv.jp/

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリアは、1996年に創業され20年以上運営している転職エージェントです。「会計」「税務」「経理」「財務分野」に特化して転職サポートをおこなっています。

長年運営してきた実績から、企業からの信頼も厚く細やかな情報収集をおこなうため、求職者の入社後のミスマッチが少ないのも魅力の一つでしょう。また、すべての雇用形態の求人に対応しているため、一人ひとりのライフステージに合わせてサポートしてくれます。

新たな可能性を見出して、より自分にマッチした転職先を選ぶことができるでしょう。

公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/

MS Agent

MSAgent

MS Agentは、「管理部門」「士業業界」特化型の転職エージェントです。

楽天インサイトで2019年に行われた調査によると、「経理」「財務」「人事」「総務」「法務」「経営企画」などの管理部門および士業の登録数ナンバー1の特化型転職エージェントとして選ばれました。会計士の転職サポート実績も豊富で、安心して転職サポートを利用できるでしょう。

登録することで、非公開求人を紹介してもらえます。

  • 会計士向けの求人数が豊富
  • セミナー・個別相談会が豊富
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公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

まとめ

「会計士の需要が高い」「年収の維持ができる」といった理由で、商社に転職する公認会計士は多いです。

任される仕事も「事業部経理」や「コーポレート経理」など、さまざまあるため、監査法人での経験を活かしながら、幅広い領域で活躍できます。

ただし、商社の転職は「転勤・部署異動のリスクがある」や「年収が低下するリスクもある」というデメリットもあります。

自分のやりたいことができて、年収の維持ができるという理由で転職を決意したものの、希望する商社に転職できず、やりたいことができず年収も低下してしまっては意味がありません。

商社への転職を成功させるためには、本記事で紹介した公認会計士が商社に転職する際に必要なスキルを習得し、他の公認会計士と差別化していくことが大切です。

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キャリアアドバイザー

佐藤 達也

弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。