30代経理の転職事情は?転職のメリット・デメリットや役に立つスキルを解説

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CUS士業・管理部門担当

佐藤 達也

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30代経理の転職事情
   
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経理は、経営者が経営の方向性を決定するのに重要な役割を担う業務です。経理担当者が自社事業や経営に関わる請求や支払業務などを行うことで、組織に利益がもたらされます。

もし経理への転職を考えている場合、経験の有無に問わず、これまでのキャリアを経理業務へ反映できる点をアピールしたり、経理に関する資格を取得したりすると有利に働くでしょう。

今回は30代で経理への転職を検討している方に向け、経理への転職のメリットや転職に有利なスキル、ポイントを解説します

目次

30代経理の転職事情とは?

実際の30代の経理転職事情とは、どのようになっているのでしょうか。まずは近年の動向や年収について解説します。

30代経理の転職希望者は増加している

30代前半~30代半ばの経理経験者の層は薄い現状です。理由としては、2008年のリーマンショックを理由に、企業組織の構成の層自体が薄くなったことが挙げられます。そのため、中途採用(転職)によって30代の経理担当者を補強したい企業が増え、現在30代の転職は売り手市場の傾向にあるのです。

また、「仕事の物足りなさを感じている」「キャリアアップを目指している」ことから、転職希望者も増加しています。転職活動ではこれまでの実務経験、システム導入などの実績、今後のビジョンなども積極的にアピールしていきましょう。

経理の転職先は大手から中小規模まで幅広くある

経理の職種で転職する場合、転職先の企業は大手から中小規模までさまざまな選択肢があります。

中小規模であれば幅広い経理業務を担当し経験が積める反面、膨大な業務を限られた人数で行うケースがあります。大企業の場合、経理業務が細分化されるため業務範囲は狭くなる傾向ですが、ミスを減らすような分業体制が基本です。

30代経理の平均年収

一般社団法人 人材サービス産業協議会が2022年に実施した「転職賃金相場2022」によると、30代経理財務職の年収は、以下のような結果となりました。

左右にスライドできます
年収特徴
800万~999万円経理・IRの責任者、マネージャー、リーダー。企業規模が小さくなると総務、広報などの責任者と兼任の場合も多い。
経理経験5年以上、上場企業での経理財務経験、決算経験、IR経験、管理職経験、公認会計士、簿記2級以上。英語力が求められる場合もある。
30代後半~50代、同職種からの転職が多く、転職経験は2回以上が多い。
600万~799万円経理の部長候補、課長、リーダー、スペシャリスト候補。
経理財務・IRなどの経験3年以上、上場企業での経験、管理職経験、簿記2級以上、英語力が求められる場合もある。
30代~40代前半、同職種からの転職が多く、転職経験は2回以上が多い。
400万~599万円経理のリーダー候補や担当者、経営分析の担当者など。
ほとんどが経験者で、経理財務、IRなどで3年以上の経験、簿記2級以上。英語力が求められる場合もある。
20代後半~40代、他職種からの転職も多い。
300万~399万円役職なしの担当者レベル。
多くは経験者だが未経験者も多い。簿記3級もしくは2級以上。
20代後半~30代前半、他職種からの転職が多い。
経理財務の転職賃金相場 ※参考:経理財務|転職賃金相場2022

経理であれば最低でも簿記3級、段階的に2級までの取得や英語力が必要です。高収入を希望する場合は、公認会計士資格も目指すとよいでしょう。また、年収600万円以上の方は業務の大半がマネジメント業務のため、管理職経験なども求められます。高収入層の方は転職回数も多い傾向です。

30代経理が転職するメリット

専門性は問われますが、経験を積むほど評価が高まるのが経理の特徴です。続いては、経理で転職するメリットや魅力を紹介します。

キャリアアップ・年収アップが見込める

経理担当者として実績を重ねると、徐々に会計処理や財務会計などの業務や事業計画立案に加わる機会も出てくるでしょう。経理としての業務の幅が広がり、さまざまな経験を重ねることで上位職への昇進や給与面でも年収アップが見込めます

そのため、実務経験があるのに社内での職位が上がる見込みがなければ、これまでのキャリアを生かして良い待遇で迎えてくれる企業へ転職するのも方法の一つです。

働き方の改善ができる

政府が働き方改革を進める風潮もあり、近年はワークライフバランスを重視した働き方の改善を求めて転職する方も増えています。仕事に追われてばかりの生活スタイルは、徐々に仕事へのモチベーションややりがいを失うこととなるでしょう。

転職によって、仕事以外のプライベートも充実しながら、仕事の生産性や充実度を高める生き方を選択できるようになります。

新しい環境でチャレンジができる

転職となれば、心機一転新しい職場で初対面の仲間と働く日々が始まります。経理は社内の同じ部署やほかの部署、経営層、社内外の方々とのつながりもある職種です。

現在、職場や業務上関わりのある人間関係で大きな問題がある場合、生活の中で仕事の時間に費やす割合の大きさを考えると転職を機に今の環境を離れることも視野に入れておいた方がよいでしょう

30代経理が転職するデメリット

経理の転職が売り手市場の傾向とはいえ、転職となれば少なからずデメリットやリスクもあります。ご自身のキャリアや希望によっても異なりますが、主に以下のような点がデメリットとして考えられます。

転職活動は負担がある

在職中の場合、現在の仕事と並行した転職活動となります。転職はタイミングによるため、希望通りの転職先がスムーズに見つかるとは限りません。転職自体にも選考対策や準備、選考過程を進めることに負担やストレスが伴います。

決断を急ぎ、無理に転職して後悔する事態を考えても、日頃から心身のケアに努めながら取り組むようにしましょう

収入が減る場合がある

給与面での待遇改善を求めて転職する場合、経理の給与面の性質を知っておきましょう。一般企業の職種を給与面で見ると、経理よりも営業職やエンジニア人材など、企業利益に直結する職種の方が好待遇の現実もあります。

そのため、利益に直結しない経理や人事、法務など管理部門(間接業務)の職種は給与が低い傾向で、正当な人事評価も行われにくい職種なのです。

人間関係がリセットされる

転職という手段で人間関係をリセットするという選択が癖になってしまうリスクがあります。

人間関係は自分の努力だけでは改善しきれない点が難しいところですが、短期間の転職回数が増えるほど転職は不利になり、キャリア形成の難易度も高まるのです。

30代経理が転職する際に役立つスキル・経験とは?

30代の方が経理へ転職する際、転職にはどのようなスキルや経験が役立つのでしょうか。続いては転職に有利となるスキルや経験を紹介します。

業務の専門性

経理に求められる業務は、大きく「財務会計」「管理会計」「資金業務」という3つに分けられます。経理としての実務経験がある場合、自分の得意分野をアピールすれば採用担当側からの高評価を得られる可能性があります。

大企業ならば役割別に業務が分業されますが、中小企業やベンチャー企業では広く浅い専門的な経理業務の知識が求められるでしょう。

英語力(語学力)

昨今、大企業はもちろん、中小企業もグローバルに事業展開を進めています。そのため、海外取引の実務経験やBATIC(国際会計検定)、TPEICでのハイスコア(700点以上)を所有していると英語力をアピールできるでしょう。

もし海外事業に力を入れている企業への転職を希望する場合は、英語力の底上げが必要です。

ITスキル

経理のルーティンワークには簿記の内容が欠かせませんが、近年は経理の定型業務に会計ソフトを導入している企業も少なくありません。作業が進まなければ経理業務そのものに支障が出るため、日常業務にしても転職活動にしても業務に関連するITスキルは一通り習得しておく必要があります。

経理の場合は会計ソフトや分析スキル、Excelやアクセスなどは優先して身につけましょう

マネジメントスキル

経理という職種で30代後半に近づくと、経営層に近いようなマネジメントスキルを求められるケースも度々あるでしょう

実務経験に管理職経験がなくとも、プロジェクトチームのリーダーとして集団をまとめた経験、部下や仲間の指導・評価、管理システムの新規導入を扱ったことがあれば転職活動に有利です。

コミュニケーションスキル

近年は経理業務がシステム化される傾向にあり、単純作業の割合が減ってきている企業も少なくありません。単純作業に代わり、今後重視されるのはコミュニケーションスキルです。

経理業務自体は黙々と進めるものですが、現場で起きた取引記録から現在起きている取引や経理上のリスクとなる要素を見極め、積極的に現場と共有していくような姿勢が評価されるでしょう。

30代経理が転職する際のポイント

30代の方が経理として転職する場合、30代を進むにつれ転職難易度も高まる傾向です。続いては、30代という年代の要素を踏まえ転職活動のポイントを紹介していきます。

志望動機や自己PRを話せるようにしておく

経理は、さまざまな書類の数値を合わせる正確性や高い集中力が求められ、企業の経営を左右する重責を伴う職種となります。ほかの経理担当者とも協力し、全体の業務が円滑に進むような配慮も必要です。

志望動機や自己PRには経理業務に自分の強みが生かせる点をまとめつつ、今後のキャリア形成も含めた意欲をまとめましょう

これまでの経験を具体的に整理する

転職活動で自身の強みやアピールポイントを把握するには、自己分析の一環の「キャリアの棚卸し」によって経験を整理する方法があります。棚卸しを行うと自分の経験が整理されるため、応募書類を作成しやすく、自分のキャリアを客観的に把握できます。

経験が整理できると、転職先の企業のビジョンや事業内容と照らし合わせた面接対策も可能です。

具体的なエピソードを元強みやスキルをアピールする

経理の職種は、ほかの企業の経理と差別化しにくい性質です。そのため、転職時は採用担当者に自分の強みやスキルをアピールする工夫が重要です。

財務諸表や決算書作成などの重要書類の作成経験、各種報告書作成や連結決算、税務報告、大きなプロジェクトに携わった経験はアピールポイントといえます。経理未経験の方の場合、「組織目線での改善点を上司へ提案し改善された」「職務上経理、会計データを意識していた」などの経験は積極的に伝えていきましょう。

これまで扱ってきたデータや具体的な数値やエピソードを示すことで、客観的な裏付けと共に経験してきた業務の重要性や強みを伝えられるのです。

30代経理が転職する際に注意すべきこと

経理職を募集している企業は、どこも即戦力を求めています。経理担当者として3年以上は即戦力、5年以上で有利とされます。

実務経験以外にも、転職には以下のような内容にも注意して臨みましょう。

自分のキャリアプランを明確にしておく

経理として働き続ける場合、自分が思い描く将来のキャリアプランによっても選ぶ転職先は異なります。経理の代表的なキャリアプランは以下の5つです。

  • 経営に携わる上位職(経営企画職や役員)を目指す
  • 中小企業で実務経験を積み、大企業の経理へ転職
  • 経理としての実務経験を重ねながら、難関資格(税理士や公認会計士)を取得し独立開業する
  • 米国公認会計士(USCPA)などの資格を取得し、外資系企業の経理職へ転職
  • 株式公開を控えたベンチャー企業へ転職

役立ちそうな資格を取得する

実務経験以外にも、経理の転職に役立つ資格もあります。求人票に記載されている資格を含め、以下のような資格取得は転職に役立つとされます。

資格取得にかかる期間も含め、無理のないスケジュールで資格取得を目指しましょう。

  • 日商簿記検定
  • TOEIC
  • 公認会計士
  • 税理士
  • BATIC(国際会計検定)
  • USCPA
  • FASS検定(経理・財務業務の実務スキルレベルを評価)
  • 給与計算実務能力検定
  • FP技能検定(ファイナンシャルプランニング技能検定)

転職エージェントに登録する

経理は企業の経営を左右する専門知識を必要とするため、企業側にとってニーズのある職種といえます。経理としての経験の有無によらず、希望する経理への転職を成功させるには、経理職に特化した転職エージェントの利用がおすすめです。

転職に関するサポート経験の豊富な担当者がつくことで、採用担当者に響くような志望動機や自己PRを作成できるでしょう。

30代経理におすすめの転職エージェント5選

最後に、30代の経理転職におすすめの転職エージェントを5つ紹介します。転職を視野にお持ちの方は、各エージェントの特徴や強みもチェックしておきましょう。

BEET-AGENT

BEET-AGENT」は、管理部門やバックオフィス職向けに特化した転職エージェントです。希望職種ごとに、経験豊富なアドバイザーから、求職者の希望や悩みに合った求人を厳選して紹介してもらえます。

対象職種の幅が狭い分、業界内に精通した情報や上場企業の非公開管理部職種など、魅力的な求人を扱っているのが特徴です。

公式サイト:https://beet-agent.com/

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士」は監査法人や会計事務所、企業の経理財務部への転職、公認会計士、USCPA(米国公認会計士)向けの専門型転職エージェントです。

士業特有の情報に精通するアドバイザーがそろっており、企業と求職者のパイプ役としてミスマッチの少ない転職を実現します。応募書類作成から面接対策まで一貫したサポートを行っているのが魅力です。

公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/

MS-Japan

ms-japan

MS-Japan」は経理や人事、法務などの管理部門、会計士や税理士、弁護士など士業の転職希望者向けの特化型転職エージェントです。

30年以上の実績があり、長年培われた豊富なデータと業界最大級の求人数を誇ります。自社だけの限定非公開求人も扱っており、選任のアドバイザーが求職者にピッタリの求人を紹介してくれます。

SYNCA

synca

SYNCA」は管理部門やバックオフィス、内部監査求人を扱う転職エージェントです。魅力ある転職求人を扱うのはもちろん、転職や業務に役立つ記事を掲載しています

求職者のスキルや実力を客観視できる市場価値診断のほか、企業側からのスカウトを受けられるサービスも備えています。入力するほど自己理解と転職活動で武器になるレジュメなども作成できるため、スピード感のある転職活動を実現できるでしょう。

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリア

ジャスネットキャリア」は公認会計士や税理士、経理の転職求人情報を豊富に扱う転職エージェントです。業界でも知名度があり、各業種に精通したベテランアドバイザーも在籍しています。正社員だけでなく派遣やパートなどの雇用形態の求人、ワークライフバランスを重視した求人も扱っています

転職求人はもちろん、後継者探しを行っている会計事務所向けのマッチングサービス、未経験から経理を目指すオンラインスクールも併設しているのが特徴です。

まとめ

目安として、30代前半までなら未経験からでも経理への転職は可能です。経験年数を重ねるほど企業側からも求められ、高収入が望めるでしょう。

実務面でのスキルを磨くだけでなく、転職を希望するならば多方面から転職活動をバックアップしてくれるエージェントを利用するのが効率的です。

今回の記事を参考に、ご自身のキャリアプランについて考えるきっかけにされてはいかがでしょうか。

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CUS士業・管理部門担当

佐藤 達也

弁護士・公認会計士・管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。