30代の公認会計士にフィットする転職先おすすめ5選とキャリアプランの描き方
公認会計士の転職市場は、新型コロナウイルス感染拡大前と比べてやや転職のハードルが上がったものの、全体としては売り手市場・人手不足傾向が続いています。
特に30代は監査経験やマネジメント経験を積み即戦力として期待できるとあって、もっとも需要のあるタイミングを迎えています。
複数の転職先の中から自分に合った転職先を選べるため、満足度の高い転職を実現できる可能性が高いでしょう。
とはいえ、具体的にどんな転職先があるのか、それぞれの転職先でどんな経験を積めるのかなど分からない点が多いかもしれません。
そこでこの記事では、会計士の転職先ごとの特徴や転職後のキャリアプラン、希望に適した転職先を紹介します。
目次
30代の公認会計士におすすめの転職先5つとキャリアプラン
30代会計士の転職先にはさまざまな選択肢があります。転職先ごとの特徴や転職後のキャリアプランを確認しましょう。
税理士法人、会計事務所
定番の転職先は税理士法人や会計事務所です。主業務は税務ですが、近年はアドバイザリーやコンサルを中心に行う法人や事務所も増えています。
その後のキャリアとしては、税務知識・スキルを身に付けて一般事業会社やコンサルへ転職する、独立して会計事務所を開くといったプランが考えられます。
営業力やコミュニケーション能力が磨かれるので、転職にも独立にも役立つ経験を積めるでしょう。 注意点を挙げると、税務に特化した会計事務所だと会計士としての経験が活かせず、年収も下がるケースが多くなります。
税務以外のサービスも提供する会計事務所や税理士法人では会計士経験を活かしつつ税務スキルも身につけやすい環境ですが、実際の業務内容はよく確認しておきましょう。
一般事業会社
一般事業会社は、企業の内側から成長をバックアップできる、ワークライフバランスをとりやすい等の理由で30代会計士から人気が高い転職先です。
上場企業の経理・財務や内部監査室、経営企画室などの部署でニーズがあるほか、M&Aやグローバル展開している企業でも会計士を求めています。
またベンチャー企業でIPO準備に携わるポジションやCFOポジションで迎えられるケースもあります。
一般事業会社でのキャリアプランとしては、チームリーダーや現場責任者からマネージャー、経理財務の管理職ポジション等を目指すことになります。
会計士が一般事業会社へ転職する場合は社風・組織の雰囲気に溶け込めるかどうかがポイントです。
そのため新卒から監査法人一筋だった人よりも、会社経験があるほうが有利になる場合もあります。
また一般事業会社は若手人材を好む傾向にあるので、30代前半のうちに転職しておきたいところです。
30代後半は厳しいですが、マネジメント経験を活かせるポジションならチャンスがあります。
監査法人
監査法人もオーソドックスな転職先ですが、大手監査法人から中小監査法人へ転職するのか、あるいはその逆なのかによって今後のキャリアプランが変わってきます。
一度は事業会社へ就職したものの、やはり監査法人での経験を積みたいと考えて転職するパターンもあるでしょう。
大手監査法人へ転職する場合は法人内での昇格を目指すのがひとつのキャリアプランですが、30代から監査法人でのキャリアを開始すると出世には期待できない点に注意が必要です。
監査法人での職位は基本的に入社順で決まるためですが、自分より年下の人に指導される立場になっても許容できるかどうかも考えておきましょう。
大手監査法人から中小監査法人へ転職するケースでは、より広い裁量権を持って業務に取り組めて業務の幅も広がるため、コンサルやアドバイザリー業務など次なるキャリアを築きやすくなります。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームにも戦略系や総合系などさまざまな候補がありますが、会計士が転職しやすいのは会計・財務系のコンサル(FAS)や事業再生コンサルです。
会計士の知見や監査スキルをそのまま活かしやすいため採用される可能性は高く、会計士から人気の転職先となっています。
コンサルティングファームでは特に監査法人から転職した会計士からやりがいが大きいとの声が聞かれます。
また監査と違いクライアントから感謝されたり頼りにされたりといった側面が大きく、精神的にはストレスを感じにくいとの声もあります。
ただし、コンサルティングファームでは単純に労働時間が長いためワークライフバランスを気にしている方には不向きかもしれません。
もっとも、中には比較的残業が少ないファームもあるので、転職エージェントに残業時間の実態を確認するなどすれば、ある程度納得感のある転職が叶う場合もあります。
ファンド・投資銀行
数としては非常に少ないですが、PEファンドや投資銀行に転職するケースもあります。やりがいや待遇面でファンドや投資銀行での業務に関心を持つ会計士は少なくないでしょう。
ただし、M&Aアドバイザリーまたは戦略コンサルの経験を求められるケースが多く、学歴要件も高く設定されています。30代は即戦力が求められるため、これらの経験がなければ転職可能性としては低いと言わざるを得ないでしょう。
採用枠も少なく会計士以外にも優れた経歴を持つ応募者との競合になるため、転職はかなり厳しいのが現実です。
もっとも、中小規模のファンドや立ち上げフェースのファンドなら転職できる可能性はゼロではありません。
30代は年齢的なハードルもあるので希望する場合は少しでも早く動き出すことが必要です。
キャリア別に考える30代会計士に適した転職先とは
ここからは、希望のキャリア別にフィットしやすい転職先を紹介します。
今よりも高いポジションでのキャリア形成なら
今よりも高いポジションでの転職を希望する場合、考えられるのは大手監査法人から中小監査法人、監査法人から一般事業会社のパターンです。
中小監査法人は大手と比べて昇格しやすいため、マネージャーやパートナーへ昇格できる可能性が高まるでしょう。一般事業会社の場合も、会計士であれば管理職候補としての求人も少なくありません。
また税理士法人で法人税務の専門性を極めるのも、最終的には上場企業の管理職ポジションのキャリアを狙えるという点でひとつの選択肢となります。
業務の幅を広げてキャリアアップしたいなら
監査以外の業務も経験してキャリアアップにつなげたい場合はFAS、会計事務所・税理士法人、中小監査法人が選択肢となります。
会計事務所から会計事務所の転職も、業務内容が違えば業務の幅が広がります。
FASでは財務DDやバリュエーションなどファイナンス分野でのスキルが身につくほか、コンサルタントへの足がかりにもなります。
会計事務所・税理士法人では税務スキルとアドバイザリーの両方のスキルが身につくので、その後のキャリアプランは豊富にあります。一般事業会社やFAS、独立開業といったキャリアを展開できるでしょう。
大手監査法人から中小監査法人への転職も、監査以外の業務を経験できる場合があります。
大手監査法人では所属部署ごとに担当が分かれているので基本的に監査しか経験できませんが、中小監査法人では監査とアドバイザリー業務の両方を経験できるケースもあるからです。
グローバル分野でキャリアを構築したいなら
グローバルに活躍したいとの希望がある場合は大手監査法人か一般事業会社(外資系・日系)が適しています。
大手監査法人では海外案件を多く扱っており、海外赴任プログラムや派遣プログラム等があります。
一般事業会社では、外資系はもちろん日系企業でも海外に事業展開している企業や海外企業との取引がある企業であれば、英語を使う機会や海外駐在のチャンスに恵まれる場合があるでしょう。
もちろん、必ず海外赴任ができる保証はありませんが、少なくともチャンスのある環境に身を置くことが大切です。
経営サイドのキャリアを築きたい、将来的に独立したいなら
会計事務所、コンサルティングファーム、ファンド・投資銀行などが考えられます。
会計事務所では税務スキルが身につくほか、規模が小さくはやい段階から経営に関与できるのがメリットです。
また将来的に独立して会計事務所を開業したい場合は会計事務所での経験が必須となります。
コンサルティングファームではFASのほかに戦略コンサルや総合コンサルも経営サイドのキャリアを築きたい会計士に人気があります。
ただし監査法人から直接転職するのは難しいのが現実なのでいったんFASをはさむのも方法です。
ファンド・投資銀行も経営サイドの経験ができますが、転職ハードルは非常に高いです。
20代のうちに投資銀行やコンサルで経験を積んだ方であれば、30代前半までの転職でチャンスがあるでしょう。
定年まで長く勤めたいなら
長く勤めるにはやはりワークライフバランスがポイントとなります。
長時間労働やハードワークは短期的に見れば得られるものが大きい場合がありますが、体力やメンタルの部分で何年も続けることは困難です。
ワークライフバランスを保ちながら長く勤めることが可能なのは一部の中小監査法人や一般事業会社です。
子育て世代への支援体制があり柔軟な働き方も可能なので女性会計士も働きやすいでしょう。
一般に監査法人というと激務とのイメージがありますが、一部の中小監査法人は業務の効率化が進められており、大手監査法人と比べて残業が抑制されています。
人手不足でもあるので経験豊富な30代の会計士は歓迎されるでしょう。
30代で転職する公認会計士が多い4つの理由
会計士のほとんどが監査法人でのキャリアをスタートさせ、3年~10年以内に最初の転職を考えるようになります。
そのときの年代は多くが30代です。なぜこのタイミングで転職する会計士が多いのでしょうか?
転職市場価値がもっとも高い年代だから
一般的な転職の場合は、転職市場価値がもっとも高いのは20代です。
最近でこそ「35歳限界説」はなくなったと言われていますが、やはり若手人材が有利であることに変わりはありません。
しかし会計士の場合、転職市場価値がもっとも高まるのは30代です。
これは、ひとつは公認会計士試験の特殊性が関係しています。試験の難易度が高く合格までに数年かかるのと、試験合格後に2年以上の実務経験と3年の実務補習を経て修了考査に合格する必要があります。
そのため会計士は30代前半であってもまだまだ若手とみなされるケースが多く、30代での転職が遅いということはありません。
30代前半ならポテンシャルを期待されての採用もあり得ます。 また、30代は監査法人で5年~10年の経験があり会計士としての知識・スキルが十分にあることも理由です。
インチャージやマネジメントも経験していれば転職市場価値はさらに高く、好条件での転職が可能です。
家庭との両立など環境の変化が起こりやすい時期だから
30代は一般に、仕事以外の生活環境に変化が生じやすい年代です。
結婚した、子どもをさずかった等の理由で、働き方を変えたいと感じる会計士が増えてきます。
これまでは仕事だけに注力して残業をいくらでもこなしていた会計士も、家族との時間を増やしたいといった心境の変化が生まれます。
家族から家庭との両立を求められて転職を考えるきっかけとなる方も少なくないようです。
キャリアプランにもとづく転職がしやすいから
20代の頃は目の前の仕事に取り組むのに精一杯で具体的なキャリアプランにまで考えがおよばない方が多いでしょう。
そのような状態で転職しても失敗するリスクが大きいため、まだ転職するタイミングではないと考えられます。
一方で30代になると、法人内における自身のキャリアの将来性や興味のある分野が見えてくるでしょう。
そのため自身が思い描くキャリアを築くための転職という選択肢がとりやすくなります。
明確なキャリアプランにもとづく転職なので失敗のリスクも少なく、転職理由にも一貫性が生まれて採用の可能性も上がります。
監査法人での経験を十分に積んだと思えるタイミングだから
監査法人で5年~10年ほどの経験を積んだ30代は、監査を一通りやりきってインチャージなども担当するケースが多くあります。同時に新しく覚えることもなくなり、監査経験しかないことに不安を感じる頃になります。
この頃になると監査法人で出世してキャリアを築いていくのか、監査以外のスキルを身につけて別のキャリアを築いていくのかを考える会計士が増えます。
公認会計士が30代のうちに転職するメリット
会計士が30代で転職するのは理にかなっています。30代のうちに転職することで以下のメリットがあるからです。
高年収に期待できる
30代で初めて監査法人からの転職を考える場合、職位にもよりますが年収は1000万円前後というケースが多いでしょう。
一般的に見れば非常に高い年収ですし、監査法人の年収水準は高いため転職によって一時的に年収が下がるケースはあります。
しかし法人内で昇格できなければこのあたりが頭打ちとなり、これ以上の年収を得るのは難しくなります。
この点、もっとも転職市場価値が高まった30代で転職することで転職後の年収を維持でき、さらに数年後には昇格等で年収が上がっている可能性があります。
また経験豊富な30代の会計士であれば高ポジションを提示され、最初から1000万円以上の求人に出会える可能性もあります。
今後のキャリアを見据えて新たな経験を積める
今後のキャリアを見据えて新たな経験を積めるのも30代で転職するメリットのひとつです。
30代のうちに監査以外のスキルも身につけておけば転職先の幅が広がり、最終的に思い描くキャリアを達成できる可能性が高まるでしょう。
なお、未経験の分野でキャリアを築くなら30代前半までが目安です。
30代後半では即戦力が求められるので職務経験にもとづく転職が必要となります。
人生設計に即した転職先を選べる
20代のうちは結婚や子ども、持ち家をどうするのかなど人生設計がまだ不明確なケースが多いでしょう。そのタイミングで転職すると、たとえば結婚して配偶者の勤務地についていくことになり、再度転職しなければならなくなるといったケースも出てきます。
30代であれば人生設計や希望がある程度見えてくるため、転職先もそれに即した場所を計画的に選ぶことができます。
私生活の変化が仕事に大きな影響をおよぼす事態を回避できるでしょう。
40代になると転職しにくくなる
40代になると転職市場価値が下落し、求人も一気に少なくなります。
転職自体は可能ですが、ポジションが限定されるため特定の経験がなければ難しいケースが増えます。未経験業務への転職となれば、40代ではかなり難しいと考えてよいでしょう。
そのため転職市場価値が高い30代のタイミングで転職を考える人が多いのです。
キャリアプランを決めかねている30代会計士はどう考える?
30代はキャリアプランが明確になりやすい年代ですが、初めての転職等でキャリアプランを決めかねている会計士もいるはずです。
その場合は以下の方法で自身の考えを整理していきましょう。
会計士としてのビジョンをあらためて構築する
30代は転職市場価値が高い一方で、40代になると急激に求人が減ってしまいます。
そこで30代のタイミングで会計士としての今後のビジョン・方向性をあらためて考えておくことをおすすめします。
会計士を志した当初や、資格試験に合格して監査法人で経験を積んでいるときとは状況が変わっているかもしれません。
ビジョンを明確にすることで、転職の目的や志望動機も明らかになり、応募先へのアピールにも説得力が生まれます。
経験・スキルの棚卸しをする
30代の会計士は経歴が重視されるため、自身の経験・スキルを棚卸ししてアピールポイントを明確にすることが大切です。
30代はさまざまなキャリアを選択できますが、転職後に専門性を発揮して活躍するためにも必要な作業です。
私生活との関わりも考えてみる
30代になると仕事と私生活の関わりを無視できなくなってきます。
仕事に集中できるのも支えてくれる家族や近しい人の存在があってこそ。
どんな私生活を送りたいのかも含めてキャリアプランを考えてみましょう。
複数のキャリアプランがあって迷っている場合でも、私生活との関わりも含めて考えることで、意外とすんなり転職の方向性が決まる場合も少なくありません。
転職エージェントに相談する
会計士は転職市場において非常に価値の高い職業であり、自分で思っている以上にさまざまなキャリアを選択できます。
しかし監査法人にいると周りも会計士なので、転職市場でどのくらい価値があるのかをイメージするのは難しいかもしれません。
そこで客観的な第三者であり、転職市場に精通した転職エージェントに相談することでキャリアプランが見えてくるケースが多々あります。
どんなキャリアがあるのかを知ることができる
会計士のキャリアというと監査法人や会計事務所くらいしか思いつかない方がいるかもしれませんが、ここまで紹介したようにさまざまなキャリアがあります。
そしてどの転職先を選ぶのかによってキャリアプランの実現可能性も変わってきます。
転職エージェントに相談すれば、最新の転職市場の動向と照らしつつ、どんなキャリアがあるのかを詳しく教えてくれます。
自分の希望にあったキャリアが見えてくる
転職エージェントとのキャリア面談によって、自分がどんなキャリアを希望するのか、経験が活かせるキャリアはどれなのかが見えてきます。
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まとめ
30代の会計士は転職市場における価値がもっとも高まっているため、さまざまなキャリアを選択できます。
一方で、40代になると急激に選択肢が狭まるという現実もあるので、思い描くキャリアプランによっては時間的な余裕があるわけではありません。
転職するべきか、転職先はどこが適切なのか迷っている場合は、まずは転職エージェントに相談して自身の考えを整理するところから始めてみましょう。
運営者情報
会社名 |
株式会社アシロ(ASIRO Inc.) 2021年7月20日 東証グロース上場(7378) |
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URL | https://asiro.co.jp/ |
本社所在地 |
160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング4F |
法人番号 | 9011101076787 |
設立日 | 2009年11月 |
代表者(代表取締役社長) | 中山博登 |
主な事業内容 | HR事業、インターネットメディア事業(リーガルメディア、派生メディア)、少額短期保険事業 |
許認可 | 有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可 許可番号13-ユ-313782) |
グループ会社 |
株式会社アシロ少額短期保険 株式会社ヒトタス |