SESからの転職でキャリアアップを目指す方も多いのではないでしょうか。

しかし、SESとして働くエンジニアはクライアント企業が就業場所なこともあり、転職のタイミングに悩む方が少なくありません。

本記事ではSESからの転職におすすめのタイミングや転職に迷ったときの判断基準、SESを退職する流れを解説します。

さらに、SESを退職する際の注意点やSESにおすすめの転職先など、SESを転職する方に向けて役立つ情報を紹介するので参考にしてください。

以下の記事では、エンジニアの転職におすすめの転職エージェントを紹介しています。

関連記事：IT転職エージェントおすすめ比較28選！エンジニア向けに徹底解説

SESからの転職にベストなタイミングはある？

そもそも、SESからの転職にベストなタイミングはあるのでしょうか。

結論からお伝えすると、SESから転職する場合、勤続年数は関係なく基本的にいつでも転職可能です。

転職したいと思ったタイミングがベストなので、適切なタイミングはありません。

とはいえ、退職するには引継ぎがあるため、1～2ヶ月前には雇用先に退職の意志を伝える必要があります。

また、クライアント先に迷惑をかけないタイミングで転職を決めると、円満退職を目指せるでしょう。

SESからの転職におすすめのタイミングは、次で詳しく紹介します。

SESからの転職におすすめのタイミング

SESは転職したいときに転職できるものの、タイミングによってはクライアント先に迷惑をかける可能性があります。

また、転職によってキャリアアップが目指せるタイミングなのかも見極めることが大切です。

ここからは、SESからの転職におすすめのタイミングを紹介するので、転職する際の参考にしてください。

案件が一区切りしたとき

SESとして働くエンジニアは、多くの場合チームで働いているため、案件の途中で退職するとクライアント先だけでなくメンバーに迷惑がかかります。

法律上では案件の途中でも2週間前に申し出れば退職ができると決まっていますが、IT業界はエンジニア同士のつながりも重要なので、できる限り円満退職をしたいものです。

案件が一区切りするタイミングであれば、メンバーやクライアント先に負担をかけずに済みます。

しかし、労働環境が悪くて心身に影響がある場合などは、案件の途中でも退職を進めることをおすすめします。

スキルアップが限界に達したとき

エンジニアは実力が重視される業界なので、スキルアップが限界に達したと感じている方は、転職におすすめのタイミングといえます。

現在の就業先では上流工程に携われず、業務の幅を広げられない場合、いつまで経っても成長できません。

たとえば、運用や監視業務をしており、構築・設計業務に携われないという方は転職の検討をおすすめします。

スキルアップが限界に達したまま働き続けた場合、時間だけが経過し、年齢とスキルが釣り合わない状態になります。

そのような状態に陥らないためにも、転職でキャリアアップを目指しましょう。

SESとして十分な実務経験を積めたとき

SES企業で働くと、基本的に下流工程の仕事がメインであり、1～3年ほどで一連の実務経験を積むことができます。

運用・保守、テスト、コーディングなどの業務で十分な実務経験が積めたなら、次は上流工程のスキル習得を目指しましょう。

たとえば、単体テスト・結合テストなどのテスト業務や、サーバーの運用・監視業務などの経験を積んだ方は、次のステップに進むことをおすすめします。

希望の仕事をさせてもらえず、テスト業務のみ、ExcelやPowerPointがメインなど、エンジニアらしい仕事をさせてもらえない方も、転職を検討したほうが良いでしょう。

ハイレベルな資格を取得したとき

実務経験だけでなく、ハイレベルな資格を取得した方も転職におすすめのタイミングです。

エンジニアとしての実務経験がない場合、資格を取得しただけでは評価されない可能性があります。

しかし、SESとしての実務経験があり、ハイレベルな資格を取得していれば転職に有利に働くでしょう。

キャリアップを目指すエンジニアにおすすめな資格は以下の4点です。

これらは全て国家資格であり、取得することで高いスキルを証明する手段になるでしょう。

それぞれの資格については、以下記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

関連記事：ITエンジニアの転職におすすめの資格29選｜転職に失敗しない4つのコツも解説

SESから転職すべきか迷ったときの判断基準

SESからの転職を検討しているものの、踏ん切りがつかない方もいるのではないでしょうか。

転職すべきか迷っている方は、以下に該当しているかチェックしてみましょう。

技術が身に付かない職場で働くのは、端的に言って時間の無駄になる可能性が高いです。

スキルが身に付く職場に転職し、キャリアアップを目指しましょう。

SESの待期期間は長くても1ヶ月ほどのため、次の常駐先がなかなか決まらない場合も転職をおすすめします。

残業の常態化やパワハラ行為があるなどで、精神的につらい方も早急に転職を検討しましょう。

関連記事：SESでコールセンターはやめとけ？デメリットやコールセンターをさせる企業の特徴を紹介

SESを退職する流れ

スムーズかつ円満な退職を目指すには、退職する流れを理解することが大切です。

ここからは、SESを退職する流れを紹介します。

1.退職方法の確認

退職するために最初におこなうのは、退職方法の確認です。

就業規則や社内ホームページなどから、退職する際に必要な社内手続きやいつまでに退職の意志を伝えればよいかを確認しましょう。

法律上は2週間前に退職の意志を申し出れば問題ありませんが、円満退職を目指すなら就業規則に掲載されている期日を守ることが大切です。

2.退職日の設定

続いて、退職日の設定をおこないます。

退職をスムーズに進めるには、スケジュール設定が重要になります。

退職日は案件の状況や自身の状況を確認したうえで、具体的に決めましょう。

退職日が決まれば、就業規則に掲載されている期日までに、退職の意志を伝えます。

3.退職の意思の申し出

退職の意志を伝えると引継ぎが始まるので、できる限り早く退職する旨を伝えると良いでしょう。

案件の途中で退職する際はクライアント先に伝える必要がありますが、自身の立場によるので、上司の指示を仰ぐようにしてください。

上司に退職を伝えた場合に問題なのが、引き留めに合うケースです。

引き留めは、本当に必要な人材だからこその場合もありますが、単なるポーズであるケースも少なくありません。

気持ちが揺らいで退職を考え直すとしても、会社では「辞めようとした人」として居心地が悪くなる可能性があります。

退職の意志を伝える際は、明確な理由と強い意志を持って臨むようにしましょう。

4.仕事の引継ぎ

退職時期が決まれば、抱えている業務の引継ぎ計画に移ります。

どの業務をいつまでに誰に引き継ぐかを決め、引継ぎ資料を整理・作成します。

引継ぎは通常業務と並行して進めるので、一時的に多忙になることを覚悟しておきましょう。

引き継ぎの準備ができれば、対象のメンバーに退職の旨を伝えて、具体的な引継ぎ作業に入ります。

引継ぎでは背景・目的・課題や懸念事項・コミュニケーション方法などまで、総合的に引き継ぐことを意識しましょう。

退職後に後任者が困らないように、必要なことは漏れなく伝えてください。

辞める会社であっても、適当な引継ぎでは後任者やクライアント先、雇用主に迷惑がかかります。

IT業界は広そうに見えますが意外と狭い世界なので、退職後でも別の現場で顔を合わせる可能性があります。

その際に気まずくならないためにも、ネガティブな印象を残さないように気をつけましょう。

5.退職書類の手続きなど

引継ぎと並行して、退職書類などの手続きも必要です。

主な退職手続きは退職願の提出や、年金手帳などの受け取りがあります。

また、健康保険証は返却し、IDカードや機器などの貸与物があれば返却準備をしておきましょう。

退職後にフリーランスになる場合や、転職先に入社するまでに期間が空く場合は、以下の手続きも必要です。

出勤最終日の数日前から、お世話になった方にあいさつ回りをして退職日を迎えましょう。

SESを退職する際に注意すべきポイント

続いては、SESを退職する際に注意すべきポイントを紹介します。

伝える相手に注意する

SESはクライアント先が就業場所になるため、退職の意志を伝える相手に迷うこともあるでしょう。

SESが退職をする場合、退職の意志は雇用先の上司に伝えます。

クライアント先には雇用先の担当者から伝えるケースが一般的なので、自分からクライアント先に直接伝えないように注意してください。

雇用先の担当者や上司よりアクションがあった場合は、クライアント先に伝えるようにしましょう。

雇用先の担当者から何も言われなかった場合でも、業務の引継ぎをスムーズにするために、クライアント先に伝えても良いか確認することをおすすめします。

退職の意志は履歴が残る方法で伝える

退職の意志を口頭のみで伝えた場合、退職日などの認識違いが起こり、トラブルにつながります。

トラブルなく退職をするためには、退職の意志は履歴が残る方法で伝えるようにしましょう。

一般的に退職の意志は口頭で伝えるケースが多いため、履歴を残すには以下の方法を参考にしてください。

口頭とメールのどちらも活用することで、退職日の認識違いや伝えた日程を再確認するなどのトラブルを回避できます。

転職先が決まってから伝える

退職する際は、転職先が決まってから伝えることも、転職の失敗を防ぐために重要なポイントです。

退職後に転職活動をする場合、収入が途絶えてしまうため、金銭面の不安が生じます。

転職活動が長引くほど生活が苦しくなる可能性があり、焦りから妥協した転職先を選んでしまうかもしれません。

納得のいく転職先を選べなかった場合、転職後にミスマッチを感じ、再び退職を検討することになりかねません。

現職で働きながらであれば、気持ちに余裕を持った状態で転職活動ができます。

また、転職先を決めておくことは、もし意思が揺らいでしまった場合に退路を断つことにも役立ちます。

後ほど転職を効率的に進めるコツを解説しますので、ぜひ最後までご覧ください。

SESにおすすめの転職先

SESにおすすめの転職先は以下のとおりです。

開発力を磨きたい場合は、優良SES企業や自社開発への転職がおすすめです。

関連記事：SESから自社開発へ転職は難しい？やめとけと言われる理由も解説

一方で技術力を伸ばすというよりも、折衝スキルを伸ばしたい場合や、開発したサービスがどのように活用されているのかに興味があるのであれば、社内SEやIT営業がよいでしょう。

以下記事では、SESからのおすすめの転職先や必要なスキルについて解説していますので、ぜひ参考にしてください。

関連記事：SESから転職できる？おすすめの転職先7選や年代別に必要なスキルを解説！

SESからの転職を効率的に進めるコツ

SESを退職しても、一緒に働いていた方と再び関わる可能性がないとは言い切れません。

円満退職を目指すためにも、SESからの転職を効率的に進める3つのコツを抑えておきましょう。

メンバーやクライアントと良好な関係を築いておく

転職を効率的に進めるためには、日頃からメンバーやクライアントと良好な関係を築いておきましょう。

良好な関係を築けていない場合、退職の際にさらに険悪な関係になり、スムーズに退職が進まない可能性があります。

円満退職が実現できれば、退職後に別の仕事で関わることがあっても、良好な関係を維持できます。

メンバーやクライアントと良好な関係を築くには、元気よく挨拶をし、業務の適切な報告や連絡、相談などを積極的におこないましょう。

また、退職理由はネガティブな理由であることが多いですが、メンバーやクライアントに本音を漏らさないようにしてください。

たとえ不満を感じていたとしても、直接的に表現するとメンバーやクライアントとの関係悪化につながります。

退職理由を聞かれた際は「キャリアアップのため」「新しい挑戦をしたい」など前向きな理由を用意しておきましょう。

引継ぎは積極的におこなう

円満退職で重要なのは、十分な引き継ぎをおこなったかどうかが重要です。

引継ぎ資料や引き継ぎ準備は自らが積極的におこなうことで、信頼性を損なうことなく退職ができます。

特に案件の途中では、スムーズな引継ぎが非常に重要です。

後任者が戸惑うことなく業務を引き継げるように、業務内容や進捗状況を詳細にドキュメント化しておきましょう。

引き継ぎ期間中は、後任者への丁寧な指導を心がけ、疑問点や不明点には真摯に対応してください。

引き継ぎ資料の作成は、誰が見てもわかりやすいように、図表やスクリーンショットなどを活用し、視覚的に理解しやすい工夫をおこないましょう。

口頭の説明だけではミスにつながる可能性があるため、実際に操作方法をデモンストレーションするなど、実践的な指導をおこなうと効果的です。

転職エージェントを活用する

効率的に転職活動を進めるには、転職エージェントの活用が欠かせません。

転職エージェントは条件に合う求人紹介や、応募書類の添削や面接対策などのサポートを無料で受けることができます。

そのため、転職エージェントに登録することで「希望の条件に合う求人が見つからない」「エンジニアとしてキャリアアップできる環境がわからない」といった悩みを解消できます。

SESが転職エージェントに登録する際は、IT業界に特化したサービスを選ぶと良いでしょう。

IT業界に特化している転職エージェントであれば、業界に精通しているキャリアアドバイザーが在籍しているため、役立つアドバイスをもらえます。

キャリアアドバイザーが最適な求人を紹介してくれるので、自分で求人検索をする必要がなく、効率的な転職活動が可能です。

選考通過率をアップさせる応募書類の書き方や面接での受け答えのコツなども教えてもらえるため、転職活動に慣れていない方でも安心です。

関連記事：SESばかりではない！SES以外を扱うおすすめの転職エージェント21選をご紹介

SESから転職するタイミングに関するよくある質問

最後に、SESから転職するタイミングに関するよくある質問を紹介します。

SESから転職できない場合がある？

「SESは転職できない」といった声を聞くことがありますが、実際にそんなことはありません。

IT業界は人材不足なので、SESの需要は高いといえます。

しかし、以下に該当するSESの場合、ITスキルが求められる職場への転職はスキル不足から苦戦する可能性があります。

技術が身に付かない職場で働いている方は、すぐに転職を検討することをおすすめしますが、条件によっては転職先を見つけるまでに時間がかかるかもしれません。

SESからの転職を有利にするには、資格取得を目指したり独学したりなど、自信でスキルを身に付けることをおすすめします。

SESの3年ルールは転職に影響する？

3年ルールとは「同一部署への派遣を3年に制限すること」を意味し、派遣契約に関する成約です。

SES契約と派遣契約は内容が異なるため、SESに3年ルールは関係ありません。

そのため、SESの場合は期間に縛られることなく、双方の合意があれば3年以上同じ職場で働き続けることができます。

期間が転職に影響することもないため、転職したいと思ったタイミングでの転職が可能です。

SESはプロジェクト途中でも転職できる？

結論からお伝えすると、SESはプロジェクト途中でも転職できます。

なぜなら、法律上は2週間前に退職を申し出れば、退職ができると決められているからです。

しかし、プロジェクト途中で転職した場合、残されたメンバーやクライアント先、雇用先に迷惑がかかります。

そうならないためにも、プロジェクトが終了するキリの良いタイミングに退職日を設定することをおすすめします。

とはいえ、予定通りに転職活動が進まないこともあるため、プロジェクトリーダーなどメンバー内で相談できる方には、事前に転職が決まりそうな日を伝えておくと良いでしょう。

SESを1年で転職しても良い？

SES1年目で転職しても問題ありません。

しかし、1年目の転職では、スキル面の心配から転職に不利にならないか不安を感じる方が多くいます。

IT業界全体は人材不足が課題となっているため、SES1年目でも未経験者と比べると確実に転職しやすい立場なので自信を持ちましょう。

SESを退職する場合は誰に言えば良い？

SESを退職する際は、雇用先の上司へ退職の意志を伝えましょう。

上司に伝えることで、営業担当に伝わり、クライアント先に連絡がおこなわれます。

くれぐれも、最初にクライアント先に伝えないように注意してください。

クライアント先に伝えるのは、上司の指示を仰いだあとにしましょう。

SES転職のベストタイミングは状況次第で変わる！積極的に引継ぎをして円満退職を目指そう

SESからの転職にベストなタイミングはないため、転職したいと思ったタイミングで転職活動を始めましょう。

しかし、円満退職を目指すなら、案件が一区切りしたタイミングをおすすめします。

キャリアアップを目指すなら、スキルアップが限界に達したときやSESとして十分な実務経験を積めたとき、ハイレベルな資格を取得したときが転職におすすめのタイミングです。

後任者や残ったメンバーに迷惑をかけないためには、積極的に引継ぎをおこない、円満退職を目指しましょう。

IT業界の場合退職後も他の仕事で関わる可能性があるため、円満退職を目指すことで、転職しても良好な関係を築けます。

転職活動の悩みや不明点がある場合は、転職エージェントの活用を検討してみてください。