病気で退職しても失業保険を受け取れる条件は?離職理由による違いやもらい方を解説

           
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病気で退職しても失業保険は受け取れる?

病気で働けない間はどうする?ほかにもらえる手当はある?

病気で退職しても失業保険がもらえるのか、気になる方も多いでしょう。

病気やケガが原因で退職し、特定理由離職者や就職困難者になると、失業保険がもらえる可能性があります。

もしすぐに働けない場合は、傷病手当金をもらったり受給期間を延長したりする選択肢もあるため、正しい知識を持っておくことが重要です。

この記事では病気で退職しても失業保険を受け取れる条件や、離職理由による違いを解説しています。もらい方の手順も紹介しているため、参考にしてください。

事前に読みたい⇒失業手当(失業保険)はどんな制度?計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

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目次

病気で退職しても条件を満たせば失業保険がもらえる

病気で退職した場合、条件を満たせば失業保険がもらえる可能性があります。

まず、特定理由離職者に認定されると、病気やケガが理由で辞めても失業保険が受給可能です。

加えて、働けない期間が限定されている場合や、すぐに働けない場合は受給期間の延長でも受給条件を満たせます。さらに、退職時に傷病手当金をもらっていた場合、失業保険へ移行もできます。

もし失業保険がもらえない場合でも、傷病手当や会社の傷病手当金がもらえる可能性があるため、条件をきちんと把握しておくことが大切です。

働けない状態では給付が受けられない

通常、失業保険がもらえる条件は次のとおりです。

失業保険がもらえる条件
  • 離職前の2年間に通算6〜12ヶ月以上雇用保険に加入している
  • 現在失業している
  • 働く意志と能力がある

適用となる雇用保険の被保険者期間を満たしていて、失業状態であったとしても、すぐに働ける状態でなければ失業保険はもらえません。

なぜなら、失業保険は再就職を支援する制度だからです。

病気の症状が重く働ける状態でない場合は、傷病手当金を受給するか、受給期間の延長を検討しましょう。

退職理由による失業保険の条件や給付制限の違い

失業保険をもらう条件は、退職理由によって異なります。

自己都合退職と会社都合退職の2種類について、それぞれくわしく見ていきましょう。

退職理由による失業保険の条件や給付制限の違い

自己都合退職の場合

自己都合で退職した一般離職者が失業保険をもらえる条件は次のとおりです。

自己都合で退職した一般離職者が失業保険をもらえる条件
  • 離職前の2年間に通算12ヶ月以上雇用保険に加入している
  • 働く意志と能力があり求職活動をしている
  • 現在失業している

一般離職者には「給付制限」があり、失業認定から7日間の待期期間を経たあと、2〜3ヶ月間は失業保険がもらえません。

関連記事:失業保険を自己都合退職でもすぐもらう方法|計算方法・注意点も解説

会社都合退職の場合

会社の倒産や解雇などの会社都合で辞めた場合、失業保険をもらえる条件は次のとおりです。

会社都合で辞めた場合、失業保険をもらえる条件
  • 離職前の1年間に通算6ヶ月以上雇用保険に加入している
  • 働く意志と能力があり求職活動をしている
  • 現在失業している

会社都合退職でも、離職前の1年間に通算6ヶ月以上雇用保険に加入していれば、失業手当の支給対象です。また給付制限はなく、待期期間後すぐに失業保険を受け取れます。

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参考:ハローワーク「特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要

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病気による特定理由離職者・就職困難者は受給条件が優遇される

 退職理由が病気によるものである場合、「特定理由離職者」または「就職困難者」と認められると、失業保険の受給条件が優遇されます。

失業保険が優遇される受給条件

それぞれの条件をくわしく見ていきましょう。

特定理由離職者の場合

自己都合退職の中でも、次の理由で退職した場合は「特定理由離職者」に分類されます。

特定理由離職者に分類される場合
  • 有期雇用期間が満了し更新がなかった
  • 怪我や病気で働けなくなった
  • 出産・育児で退職し受給期間を延長した
  • 家族の死亡や介護など家庭事情が急変した
  • 通勤が困難になった
  • 配偶者や扶養親族と別居生活を続けられなくなった
  • 希望退職者の募集に応じた

特定理由離職者は、離職前の1年間で通算6ヶ月以上雇用保険に加入していれば失業保険の支給対象です。

また、特定理由離職者には給付制限がないため、7日間の待期期間が終わるとすぐに失業保険の受給対象になります。

一般離職者と比べて、被保険者期間や給付制限の面で優遇されるのが大きな特徴です。そのため、自己都合退職する際は離職理由を「一身上の都合」ではなく、「病気(病名)」にするといいでしょう。

就職困難者の場合

次に該当する場合、就職困難者に分類される場合があります。

就職困難者に分類される場合
  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 刑法等の規定により保護観察に付された方
  • 社会的事情により就職が著しく阻害されている方

就職困難者は、雇用保険の被保険者期間が1年未満でも給付日数が150日、1年以上では最大360日と長いのが特徴です。

もし退職理由が重度のうつ病で、半年以上の休養が必要だった場合、精神障害者保健福祉手帳を発行してもらえる可能性があります。精神障害者保健福祉手帳を提出すると、ハローワークで就職困難者と認められるケースがあるのです。

もしうつ病による就職困難者として申請すると、被保険者期間によって給付日数は次のようになります。

 被保険者期間
1年未満1年以上
離職時の年齢45歳未満150日300日
45〜65歳未満360日

たとえば、45歳未満で被保険者期間が1年以上ある方では、給付日数は300日です。

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(参考:ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」)

病気の状態によってもらえるお金や条件が異なる

病気で退職した場合、病気の状態によってもらえるお金や条件が異なります。

それぞれくわしく見ていきましょう。

14日以内に治る病気やケガなら失業保険の支給対象になる

もし重い病気やケガではなく、14日以内に治るものであれば、失業保険の支給対象になります。

そのため、通常どおりの手続きをして問題ありません。もし通院や手術で失業認定日にハローワークへ行けない場合は、日程の変更も可能です。

15日以上働けない場合は傷病手当がもらえる

病気やケガが原因で15日以上働けない場合は、失業保険はもらえませんが、傷病手当の対象になります。

雇用保険の傷病手当とは、失業状態で15日以上働けないときに、失業保険と同額が支給される制度です。

すでに14日分の失業保険をもらっている場合は、その分が給付日数から引かれて支給されます。なお、待期期間や給付制限中は失業保険同様、支給対象にはなりません。

関連記事:雇用保険の傷病手当とは?受給条件や期間・失業保険との関係を解説

30日以上働けない場合は失業保険の延長を検討する

病気やケガで30日以上働けない場合、失業保険の受給延長が可能です。

本来、失業保険の受給期間は1年間と決まっていますが、手続きすることによって最長4年まで先延ばしにできます。支給日数そのものが増えるわけではありませんが、もらうタイミングを選べることは知っておきましょう。

また、そのまま傷病手当を受けることもできるため、自分に合ったほうを選んでください。

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場合によっては傷病手当金や障害年金がもらえる

そのほか、傷病手当金や障害年金を受け取れる可能性もあります。

傷病手当金

傷病手当金は会社の健康保険から支給されるお金で、会社を連続して3日間以上休むと、4日目以降の休んだ日に対して次の金額が支給されます。

1日あたりの金額:支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額÷30日×3分の2

ただし、休んだ期間に傷病手当金の額より多い報酬額の支給を受けた場合は支給されません。

退職前から受け取っていれば、退職してもそのまま継続して最大18ヶ月もらえます。失業保険と重複してもらうことはできませんが、傷病手当金の受給が終わってから失業保険に移行することは可能です。

関連記事:傷病手当金と失業保険は両方もらえる?受給する方法を徹底解説

参考:全国健康保険協会「病気やケガで会社を休んだとき(傷病手当金)

傷病手当と傷病手当金の違い

名前が似ていますが、傷病手当と傷病手当金は異なるものです。

傷病手当は雇用保険から、傷病手当金は協会けんぽなどの健康保険から支給されます。傷病手当は、病気やケガで働けない人が働ける状態になるまでサポートし、再就職を目指すことが目的です。

一方、傷病手当金は休職中の会社員の生活を支える目的であり、条件を満たせば傷病手当と傷病手当金の両方をもらうこともできます。

障害年金

障害年金は、保険料を一定以上納付している人が、国民年金または厚生年金保険の被保険者期間中に初診を受けている場合にもらえるお金です。

障害状態には次のような基準があり、審査によって決定されます。

等級 障害状態の基準
1級常時援助が必要な状態
2級日常生活に著しい制限がある状態
3級労働に制限がある状態

障害年金は失業保険と重複して受け取れるため、治療が長期間にわたりそうな場合は受給を検討してみましょう。

病気で退職した際の失業保険のもらい方

病気で退職した際、特定理由離職者や就職困難者として失業保険をもらう方法は次のとおりです。

1つずつ確認しながら、正しく手続きを進めましょう。

1.病院で診断を受ける

まずは病院で診断を受け、病名や状態をはっきりさせましょう。

ネットの自己診断チェックなどは目安でしかなく、医師の診断が下りないとさまざまな手当が適用にならないためです。

退職後の受診では病気やケガが退職理由だと認められない恐れがあるため、在職中に受診しておくのがポイントです。

2.必要な書類を揃える

次に、失業認定に必要な次の書類を揃えてください。

必要書類内容
雇用保険被保険者離職票(-1.2) 
雇用保険被保険者証 
個人番号確認書類
(右記のいずれか1種類)
マイナンバーカード
通知カード
個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
身元確認書類
(右記のいずれか1種類)
運転免許証
運転経歴証明書
マイナンバーカード
官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)
写真2枚
(※マイナンバーカードの提示で省略可)
正面上三分身
縦3.0cm×横2.4cm
最近のもの
本人名義の預金通帳又はキャッシュカード 

離職票は退職後1週間程度で会社が発行し、郵送されてきます。

雇用保険被保険者証は、入社時に雇用保険に加入した際に発行されるもので、退職時に返却されるケースがほとんどです。

もし会社に年金手帳を預けている場合は、忘れずに受け取りましょう。

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3.ハローワークで手続きする

その後、ハローワークに行って次の手続きをします。

ハローワークでの手続き
  1. 求職申し込みをする
  2. 必要書類を提出し受給資格の決定を受ける
  3. 雇用保険受給者説明会の日時を決定する

4.病院で診断書・意見書を書いてもらう

次に、説明会までに病院で診断書・意見書を書いてもらう必要があります。退職理由が病気やケガであることや、治る見込み、現在働ける状態かどうかを記載してもらいましょう。

うつ病による就職困難者の認定を目指す場合は、ハローワークの「みどりの窓口」にある専用の用紙に記入してもらってください。

みどりの窓口は精神障害者・身体障害者専用の窓口ですが、病気を公表するオープン求人と公表しないクローズ求人のどちらも利用できます。

5.説明会に参加し失業認定を受ける

続いて、ハローワークでおこなわれる雇用保険説明会に参加します。参加することで失業保険の受給資格が得られるため、忘れずに参加しましょう。

失業認定を窓口でおこなう際、診断書や意見書を提出し、特定理由離職者や就職困難者として認定してもらうよう働きかけてみてください。

6.治療をしながら求職活動する

特定理由離職者や就職困難者に認定された場合は、治療をしながら求職活動をおこなって失業保険を受け取れます。

求職活動は原則月2回以上必要ですが、就職困難者の場合は月1回で済み、活動内容も窓口での相談程度で構いません。特定理由離職者や就職困難者には給付制限がないため、7日間の待期期間後すぐに失業保険がもらえます。

治療と並行しながら、無理のない求職活動をおこないましょう。

参考:ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き

手続きが不安なら「失業保険サポート」を利用しよう

病気でも失業保険をもらいたいものの、「自分1人では難しい」「手続き方法がよくわからない」という方もいるでしょう。

その場合は、失業保険サポートを利用するのがおすすめです。

失業保険サポートでは最大10ヶ月で250万円を受け取れるほか、再就職手当を120万円の一括給付で受け取ることも可能です。

全額返金保証がついているため、利用にリスクはありません。

失業保険は、申請方法によって給付期間や金額が大きく変わることも珍しくないため、不安な場合はプロに任せましょう。

病気で退職して失業保険をもらう際によくある質問

ここからは、病気で退職後に失業保険をもらう際によくある質問に回答します。

1つずつチェックし、疑問点の解消に役立ててください。

給付期間はどれくらい?

自己都合退職の場合の給付期間は次のとおりです。

被保険者期間所定給付日数
1〜10年未満90日
10〜20年未満120日
20年以上150日

特定理由離職者では、被保険者期間が6ヶ月以上あれば90日間の給付が受けられます。

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病気による退職は特定理由離職者になる?

病気による退職は、特定理由離職者として認められる可能性があります。

退職時は「一身上の都合」ではなく、病気やケガが理由であるとはっきりわかるようにしておきましょう。

病気で休職のまま退職したら失業保険はもらえる?

休職したまま退職しても、失業保険は問題なくもらえます。

ただし、すぐに働ける状態であることが条件です。

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病気で退職したら給付制限はある?

特定理由離職者に認定されれば給付制限はなく、待期期間後すぐに給付を受けられます。

一般離職者扱いになると2〜3ヶ月の給付制限があるため、病気による退職であると認めてもらうことが重要です。

病気で退職したら受給期間を延長できる?

可能です。

期間内に働けない正当な理由があれば、通常1年間のところ最大4年間まで延ばせます。

「今すぐには働けないが、治り次第失業保険をもらいながら求職活動をしたい」という場合は、延長制度を利用するといいでしょう。

ストレスによる体調不良で退職しても失業保険はもらえる?

職場のいじめやパワハラが原因で体調を崩して退職した場合でも、失業保険はもらえます。

医師の診断によってうつ病など特定の病名がつき、働ける状態だと認められれば、特定理由離職者に該当する可能性があるため、相談してみてください。

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まとめ

病気による退職でも、病気の状態や条件を満たす場合は失業保険がもらえる可能性があります。

自己都合による一般離職者には給付制限がありますが、特定理由離職者や就職困難者に認定されれば条件が優遇されます。15日以上働けない場合は傷病手当の受給、30日以上働けない場合は受給期間の延長を検討しましょう。

そのほか、傷病手当金や障害年金の受給もあわせて検討してみてください。ただし症状が重い場合は手続きも負担になるため、無理せず働けるようになってからの受給でも問題ありません。

注意すべきポイントを把握し、損のないように手続きを進めましょう。

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