仕事に慣れてくる薬剤師2年目ですが、職場への不満が溜まっている方も少なくありません。

しかし、2年目で転職することに対して「早すぎる？」と不安になる方もいるのではないでしょうか。

本記事では、薬剤師2年目の転職は早すぎるのか、薬剤師2年目に多い転職理由、転職するメリット・デメリットなどを解説します。

転職を検討している薬剤師の方に向けて、薬剤師2年目が転職を判断するポイントや、転職を成功させる方法についても紹介するので参考にしてください。

以下の記事では薬剤師におすすめの転職エージェントを紹介しています。

関連記事：薬剤師向け転職エージェント15社を徹底比較｜選び方や転職成功ポイントも

薬剤師2年目の転職は早すぎる？

まずは「薬剤師2年目の転職は早すぎるのか？」といった問いにお答えします。

結論からお伝えすると、薬剤師2年目の転職は早すぎるということはありません。

2年目といえど、薬剤師であれば転職に成功できる可能性が十分にあります。

その理由について詳しく解説していきます。

2年目で転職をする薬剤師は多い

薬剤師2年目の転職は、経験の浅さに不安を感じる方が少なくありません。

しかし、2年目で転職する薬剤師は意外と多くいます。

転職サイト「薬キャリ」が実施したアンケートでは、10年目の次に2年目の転職が多いことがわかりました。

引用元：薬剤師の転職実態調査－vol3.転職活動｜薬キャリ

日本では「3年間は同じ職場で働いたほうが良い」といった考えを持つ傾向がありますが、薬剤師業界では3年未満で転職をする方が珍しくありません。

そのため、2年目で転職するのは「早すぎる」ということはなく、薬剤師業界では一般的といえます。

他の職種よりも薬剤師の転職はハードルが低い

薬剤師は国家資格が必要な仕事のため、資格が不要の職種と比べると転職のハードルが高くありません。

業務に携われる方が限られていることで、2年目といえど採用されるケースが非常に多くあります。

一般的に2年目の転職ではスキルや経験不足が懸念されるため、アピールポイントに悩む場合があります。

しかし、薬剤師であれば、国家資格を持っていることだけでも、大きな武器となるのです。

薬剤師は人手不足の業界

薬剤師は人手不足の業界であることも、薬剤師2年目の転職が可能な理由です。

厚生労働省の調べによると、令和6年2月分の医師・薬剤師等の有効求人倍率は2.34倍でした。

全職種の有効求人倍率は1.20倍のため、薬剤師業界は全体と比べて人手不足であることが判断できます。

ひとりにつき約2件の求人がある状態なので、薬剤師2年目であっても、条件に合う転職先を見つけやすいでしょう。

参考：厚生労働省「一般職業紹介状況（令和6年2月分）について」

薬剤師2年目に多い転職理由

薬剤師2年目で転職する方は、どのような理由から退職を考えるのでしょうか。

ここでは、薬剤師2年目に多い転職理由を紹介します。

給与や待遇面への不満

「2年目なのに給与がほとんど変わらない」「他の職場のほうが給与が高い」など、給与や待遇面への不満から転職を検討する薬剤師は少なくありません。

薬剤師は業務内容が同じでも、職場によって年収や待遇が異なる場合があります。

そのため「仕事内容が同じなら給与が高い職場で働きたい」ことを理由に、転職を決める場合があります。

人間関係の悩み

人間関係に悩みが生じて転職を決めるケースもあります。

薬局で働く薬剤師の場合、毎日顔を合わせるメンバーが同じであり、さらに少人数で働くケースがほとんどです。

狭い空間の中で人間関係が悪いと、ストレスが積み重なっていくでしょう。

一般的な仕事よりも閉鎖的な環境のため、苦手意識が強くなるほど、仕事に支障が出ることも考えられます。

慢性的なストレスは精神だけでなく、身体的にも不調を引き起こす原因となるので注意が必要です。

労働環境が悪い

「自宅からのアクセスが悪い」「残業が常態化している」など、労働条件の悪さも退職を考える要因です。

毎日通勤する職場へのアクセスが悪いと、日々疲れが蓄積されるものです。

また、残業が当たり前のような職場も、十分なパフォーマンスが発揮できないことで、転職を考える方が多いでしょう。

ライフスタイルの変化

結婚や出産、介護など、ライフスタイルの変化を理由に転職を考える方もいます。

介護や育児中はフルタイム勤務が難しいため、仕事を続けたくても退職せざるを得ない場合があるでしょう。

また、結婚を機に居住地が変わる場合も、通勤が困難になることがあります。

別の仕事への興味

薬剤師以外の仕事に興味があることで、退職を検討するケースもあります。

自分に合う仕事かどうかは、実際に働かないとわからない部分があります。

1年目は新しく仕事を覚えることに必死ですが、2年目となると「自分には向いていない」「他の仕事に挑戦したい」と考え、退職を決めるケースが珍しくありません。

薬剤師2年目で転職するメリット

ここでは、薬剤師2年目で転職するメリットを5つ紹介します。

薬剤師2年目で転職することが不安なら、転職するメリットに注目してみましょう。

異業種の転職に挑戦しやすい

2年目はまだまだ若い年代のため、異業種に転職するにもハードルが高くありません。

スキルや経歴よりも今後の伸びしろを期待されるケースが多く、異業種へ転職することで「自分のやりたい職種を諦めずに挑戦した」と評価される場合もあるでしょう。

薬剤師2年目は数年の社会人経験があることで、1年目の人材よりも社会人としての基礎スキルがあると見なされます。

そのため、薬剤師業界に限らず、多種多様な職場で受け入れてもらえる可能性があります。

第二新卒としての採用が期待できる

第二新卒としての採用が期待できる点も、薬剤師2年目で転職するメリットのひとつです。

第二新卒に明確な定義はありませんが、一般的に大学などを卒業して新卒入社し、3年以内に退職する方を指します。

新卒と比べて、第二新卒はある程度のビジネスマナーを習得している点が強みです。

第二新卒を積極的に採用する企業も多いため、転職市場での需要が高い傾向があります。

自分に合う職場を見つけやすい

薬剤師2年目であれば、自分にはどのような職場が合っているのかを心得ている方が多いです。

初めての就職活動では職場に求める条件などが明確にできないため、入社後にミスマッチを感じるケースが珍しくありません。

たとえば、残業の有無や有給の取りやすさ、人間関係などは、働くうえで重要だと気づいた方も多いのではないでしょうか。

さまざまな経験を積んだからこそ、自分にフィットしている職場を見つけやすいのも、薬剤師2年目で転職をするメリットといえます。

年収アップの可能性がある

薬剤師は職場によって年収が異なるため、転職することで年収アップする可能性があります。

年収アップを求めて転職する場合、昇給率にも注目しましょう。

ドラッグストアへの転職は年収アップが期待できるものの、昇給率が低い傾向があります。

一方、製薬会社への転職では、初任給はそれほど高くありませんが、昇給率は他の職種よりも高いケースが少なくありません。

上手に年収を上げるには、自分に最適な職種や地域を選ぶことがポイントです。

新しい職場に馴染みやすい

薬剤師としての経験が浅い2年目では、前職のルールや固定概念などに縛られていないため、新しい職場に馴染みやすい傾向があります。

長年勤めてきた職場を転職する場合、柔軟性が欠けてしまうケースが多く、新しい職場で周囲とトラブルになることが少なくありません。

薬剤師2年目は、経験が少ないからこそ、新しい職場の仕事の進め方にも柔軟に対応できます。

また、新しい仕事を素直に吞み込める方が多いため、指示がしやすいのも第二新卒の魅力です。

薬剤師2年目で転職するデメリット

薬剤師2年目での転職は、メリットだけではありません。

ここからは、薬剤師2年目で転職するデメリットを紹介します。

早期離職を懸念される

薬剤師は3年未満で転職するケースが珍しくありませんが「3年間は同じ職場で働くべき」と考えている方も一定数います。

そのため、応募する職場によっては「採用してもすぐに辞めるのでは？」といった印象を持たれる可能性があります。

一度であればそれほどリスクは大きくないものの、転職を繰り返すほど早期離職を懸念されるでしょう。

短期間での離職が続くと、今後のキャリアプランに影響を及ぼす恐れがあるので注意してください。

年収が下がる可能性がある

転職によって年収が上がることもありますが、反対に下がる可能性もあります。

現在薬剤師の平均年収より上回っている職場で働いている場合は、高い確率で年収が下がると考えて良いでしょう。

また、正社員ではなく派遣社員などに雇用形態を変える場合も、年収が下がる場合があります。

そのため、転職をする際は昇給率や賞与の額などを確認し、納得できる条件か冷静に見極めることが大切です。

新卒向けの研修を受けられない

新卒で入社する場合、企業や病院では長期的なキャリア育成のために、新卒研修やフォローアップ研修などのさまざまな研修を用意しています。

しかし、薬剤師2年目の転職では、ある程度の基本が身に付いていると認識されるため、新卒向けの研修を受けられない可能性があります。

経験があることで高いスキルを求められるケースもあるので、自分にできないことは正直に伝えておきましょう。

現職で研修を受けていない場合は、面接時に伝えておくことをおすすめします。

薬剤師2年目が転職を判断するポイント

現職に退職の意志を伝えてしまうと後戻りできません。

勢いで辞めると後悔する可能性があるため、退職は慎重に決断する必要があります。

転職を迷っている薬剤師2年目の方は「労働条件・給与・人間関係」の3つのポイントに注目しましょう。

まず労働条件ですが、残業の多さや休みの取りやすさなどで判断できます。

特に問題がないのであれば、転職を見送るか、同等の労働条件の求人を探すまでは転職をしないほうが良いかもしれません。

給与は薬剤師の平均年収と比べてみましょう。

厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は577.9万円です。

※（「きまって支給する現金給与額」×12カ月＋「年間賞与その他特別給与額」の小数点第二位以下を四捨五入で算出）

賞与や昇給を見込んでも給与が平均よりも低い場合は、転職を検討したほうが良いでしょう。

続いて、人間関係は、仕事を続けるうえで重要です。

一緒に働いていてストレスが積み重なるようであれば、上司や同僚に相談したり、異動を希望したりなどして、改善できないのか考えてみましょう。

対処しても無理な場合は、転職の検討をおすすめします。

特にパワハラやセクハラなどで心身に苦痛を感じている方は、早急に転職活動を始めましょう。

薬剤師2年目が転職を成功させる方法

薬剤師2年目が転職するには多くのメリットがありますが、必ずしもうまくいくとは限りません。

ここからは、薬剤師2年目が転職を成功させる方法を紹介するので、ぜひ実践してみてください。

転職理由はポジティブな理由を伝える

転職理由は、採用面接において必ず聞かれる質問のひとつです。

採用側は応募者の人柄や、自社にマッチしている人材なのか判断するために、転職理由を質問しています。

転職理由の多くはネガティブなものですが、そのまま伝えると、ネガティブな印象を与える可能性があります。

仮にネガティブな理由であっても、ポジティブな理由に変換して伝えることで、好印象を与えることができるでしょう。

言い回しの例を紹介するので参考にしてください。

面接では印象が重要なので、理由は同じでも伝え方を工夫することがポイントです。

転職する理由や自分が求めるものを明確にすることで、ポジティブな転職理由を伝えやすくなるでしょう。

転職に求める条件を明確にする

やみくもに転職活動をおこなっても、自分に合う転職先は見つかりません。

転職に成功するには、転職に求める条件や優先順位、譲れない条件を明確にすることが重要です。

条件を明確にするには「何が絶対条件なのか」「何が妥協できるのか」を考えてみましょう。

優先順位を決めていないと、転職後に「自分に合っていなかった」と後悔する可能性があります。

転職の条件は、大きくわけて6つあります。

業務内容については「どのような業務に携わりたいのか」を明確にすることで、転職先選びに迷いがなくなるでしょう。

給与アップを目指すなら、給与額だけでなく、評価制度に納得できるのか確認してください。

働く環境に関する条件は、職場が自宅から通いやすいのか、自動車通勤が可能かなどをチェックしましょう。

残業が少ない職場で働きたい方は、勤務時間や休日だけでなく月の残業時間を調べておくと安心です。

福利厚生は職場によって大きく異なるため、自分にとって嬉しい福利厚生は何なのか考えてみましょう。

経営方針に納得できない職場は長続きしないので、共感できるかどうか調べたうえで応募を検討してください。

転職に求める条件を明確にすることは、転職後のミスマッチ回避につながるため、一度紙などに書き出して考えてみましょう。

目標を達成できる転職先を選ぶ

薬剤師2年目の転職では、スキルや経験不足から自信が持てず、通常よりも悪い雇用条件を結んでしまうケースが少なくありません。

転職先を妥協して選ぶと、高い確率で後悔をするため、再び退職を繰り返す可能性があります。

転職先で長く働き続けるには、目標を達成できる職場なのかが重要なポイントです。

自分が5年後や10年後、どのような薬剤師になりたいのかを考え、実現できる転職先を選びましょう。

将来の目標を決める際は、仕事内容だけでなく、ライフスタイル全体を考えることが大切です。

たとえば、結婚や出産を希望する方であれば、育児と家事が両立できる職場を視野に入れましょう。

現職を続けながら転職活動をする

現職に不満があり、今すぐ辞めたい状態でも、転職先が決まっていない状態での退職はおすすめできません。

最初に仕事を辞めてしまうと収入が途絶えるため、資金面や精神面で余裕を失い、転職先を妥協して選んでしまう可能性があります。

現職を続けながらの転職活動では、経済的な不安を抱えなくて済むため、自分に合う職場をじっくり考えることができます。

また、職歴欄に空白期間を作らずに転職できるので、転職活動で不利な状態になりません。

さらに、転職活動がうまくいかなかった場合は、現職に留まる選択肢も残っています。

一方、現職を続けながらの転職活動は時間に限りがあるため、ハードスケジュールに疲れてしまう方もいるでしょう。

そのため、現職を続けながら転職活動をするには、転職エージェントの利用をおすすめします。

転職エージェントについては、次に詳しく解説します。

転職エージェントを利用する

転職に成功するには、転職エージェントの利用がおすすめです。

薬剤師2年目の場合、転職活動に慣れていない方がほとんどでしょう。

転職エージェントは転職のプロであるキャリアアドバイザーが担当につき、以下の転職サポートをおこなってくれます。

求人紹介は非公開求人を含むため、一般には公開されない優良求人に出会える可能性があります。

担当者には応募先とのやり取りなどを代行してもらえるので、効率的に転職活動を進められるでしょう。

また、応募書類の添削や面接対策では、応募先に魅力が伝わる書き方のコツやアドバイスを受けることが可能です。

転職エージェントを利用した方の多くが選考通過率アップに成功しているため、ぜひ利用を検討してみてください。

薬剤師2年目におすすめの転職エージェント

転職エージェントを利用する際は、自分に合うエージェントを選ぶことが大切です。

ここからは、薬剤師2年目におすすめの転職エージェントを3選紹介します。

ヤクジョブ.com

ヤクジョブ.comは薬剤師に特化した転職エージェントであり、業界トップクラスの求人数を誇ります。

正社員の求人はもちろん、派遣求人も豊富に取り扱っている点が特徴です。

新着求人はLINEで通知を受け取れるため、手軽に求人チェックができる点もポイントです。

また、ヤクジョブ.comはアフターフォローに対応しているため、転職後も引き続きサポートをしてもらえます。

もし新しい職場で問題があったとしても、ヤクジョブ.comに相談することですぐに対処してもらえるので安心です。

レバウェル薬剤師

レバウェル薬剤師は、レバレジーズメディカルケア株式会社が運営する、薬剤師転職サービスです。

エージェント機能だけでなく、登録しておくと企業や病院から直接オファーが届く「スカウト機能」や、自分で求人を探して応募する「直接応募」に対応しています。

3つの方法で転職活動がおこなえるため、自分に合ったやり方で転職活動を進めたい方におすすめです。

レバウェル薬剤師は求人先の直接取材を通じて、実際に働くスタッフの声や職場の良いところ、気になるところなどを熟知しています。

転職後にギャップを感じやすい内部事情を教えてもらえるため、転職後のミスマッチを防ぎやすい点が強みです。

また、LINEでの連絡に対応しているので、困ったことや不明点がある際に気軽に相談しやすいのもポイントです。

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師は、人材会社大手であるリクルートグループが運営する転職エージェントです。

大手ならではのノウハウに基づいた求人紹介が特徴であり、丁寧なヒアリングから求職者に最適な求人を紹介してくれます。

働きながらの転職活動は難しいですが、薬剤師専任のキャリアアドバイザーが徹底サポートしてくれる、リクナビ薬剤師であればスムーズに進められるでしょう。

また、リクナビ薬剤師に登録すると、専用アプリ「myCarrY」を利用できます。

「myCarrY」では求人の確認や、担当者への連絡ができるなど、転職活動を効率的に進めるために便利な機能が充実しています。

薬剤師2年目は転職するチャンス！エージェントを活用して転職を成功させよう

薬剤師2年目の転職事情や転職に多い理由、転職するメリット・デメリットなどを紹介しました。

日本では「3年間は同じ職場で働くべき」という考え方をする傾向がありますが、薬剤師業界では2年目でも転職する方が珍しくありません。

薬剤師2年目の転職は多少のデメリットはあるものの、第二新卒として採用されやすかったり、新しい職場に馴染みやすかったりなどのさまざまなメリットがあります。

若い年代であれば異業種への転職もハードルが低いため、薬剤師以外の仕事に興味がある方も転職のチャンスです。

薬剤師2年目で転職に成功するには、転職エージェントの活用がおすすめです。

転職エージェントは転職のプロがサポートしてくれるため、転職理由が明確にできない場合でも、相談することで役立つアドバイスをくれるでしょう。

また、求人紹介や日程調整、応募書類の添削などのサポートを受けることで、現職を続けながらでも効率的に転職活動を進められます。

どの転職エージェントを利用すれば良いかわからない場合は、本記事で紹介したエージェントの利用を検討してみてください。