管理部門は、バックオフィスとして営業活動や企業経営などをサポートする部門です。企業の裏方として不可欠な職種ですが、管理部門への転職は狭き門とされています。管理部門への転職はしっかりと対策を練る必要があり、成功させるにはいくつかのポイントがあります。

本記事では、管理部門の転職が難しいと言われる理由や、転職を成功させるポイントを紹介します。管理部門の転職事例も紹介しているため、転職活動の参考にしてみてください。

管理部門の転職が難しいと言われる3つの理由

まずは、管理部門への転職が難しいと言われる理由を3つ紹介します。

求人倍率が高いから

一般的に管理部門は残業や出張が少ない傾向にあり、デスクワークが中心です。仕事を続けやすく、様々なライフスタイルに対応できます。このように、ワークライフバランスが保ちやすい面が人気の理由でもあり、応募者が多いため倍率が高くなります。

従業員規模が数千人の大企業でも、管理部門の人数は数十人に満たないことが一般的です。業務は少人数で行われるため、採用人数が限られており、一つの求人に対し応募者が殺到し、倍率が高くなることは珍しくありません。

欠員が出づらい

管理部門は、同じ職場で長期間勤務する傾向があり、欠員が出づらい特徴があります。そのため、管理部門の求人の多くは欠員補充です。退職者が出ない限り欠員は発生せず、管理部門の求人数は多くありません。

また、管理部門のキャリアは専門分野に細分化されており、様々な経験や研修を積まないと優秀な管理部門担当者にはなれません。企業によっては管理部門の欠員を社内異動で補うケースもあり、外部からの中途採用が積極的に行われない点も欠員が出づらい理由です。

社内異動制度のある企業では、他の職種で働く従業員も管理部門への異動希望を出せるため、求人募集がされないこともあります。

実務経験が重視されるから

管理部門は高度なスキルと専門知識が必要とされ、未経験者よりも経験豊富な人材が求められます。

たとえば経理・財務では、税務申告や資金調達、予算調達の知識が重視され、法務では法律関係の知識や頻繁に改正される法律への対応力が求められます。これらのスキルを備えた人材の確保は難しいため、実務経験が重視されるのです。

管理部門の転職成功事例

ここでは、管理部門の転職事例を部門ごとに5つ紹介します。

経理・財務の転職成功事例

Aさんは大学卒業後、会計業務を担当し、数字を扱う仕事の面白さを感じました。さらにスキルを広げたいと考え、経理への転職を決意します。

日常的な経理業務しか経験がなかったため、段階的にスキルを身につけようと考えました。まず、月次決算レベルの経理業務を担当している会社に転職し、経験を積むことにしました。実務経験を積み、着実にスキルを身につけることで、転職活動を成功させています。

法務の転職成功事例

Bさんは大学の法学部を卒業後、大手外資金融企業の法務部に配属されました。しかし、5年後に営業部への異動を命じられ、改めて「法務のスペシャリストになりたい」と考え、法務領域での転職を決意します。

特に国際法務に関心があり、英語を使った案件を担当したいという目標を持ちました。実務経験と法学部での知識をアピールし、異業種からの転職ながら、大規模な法務部で国際案件を担当することに成功しています。

人事の転職成功事例

Cさんは人材紹介会社で営業職をしていましたが、企業内部で採用業務に関わりたいと考え、人事職へのキャリアチェンジを決意しました。これまでの経験や実績が希望する部署でどのように生かせるかをアピールするために、業務の棚卸しを行い、面接の準備をしました。営業職での経験を生かし、人事職への転職活動に成功しています。

総務の転職成功事例

Dさんは総務の仕事をしていましたが、結婚と育児を機に一度退職しました。子育てが一段落した際、不動産会社の営業職に就きましたが、営業ノルマの達成が難しくモチベーションの維持が困難でした。

そこで以前の総務の仕事を思い出し、再び総務の仕事に就きたいと考えます。面接で勤務時間について相談することに不安を感じましたが、転職先に総務経験者が少ないことや、子育てをしながら働くロールモデルとして期待され、内定を獲得しています。

経営企画の転職成功事例

Eさんは複数の会社で経理・経営企画業務を経験し、管理職としての経験も豊富でした。しかし、現職の社風に違和感を感じ、自分が力を発揮できる会社に転職したいと考えます。そこで社風だけでなく、ハイレベルな業務に携われることを条件に転職活動を開始しました。

最終的には、東証プライム上場企業の執行役員とともにM&Aや財務などを担当するハイクラスの転職に成功しています。

管理部門の転職を成功させる5つのポイント

ここからは、管理部門への転職を成功させるポイントを5つ紹介します。

自身が管理部門に向いている性格か自己分析する

管理部門への転職を成功させるには、自身が管理部門に向いている性格なのか自己分析すべきでしょう。管理部門に向いている性格は、以下のとおりです。

責任感がある

管理部門は企業の売上に直接関係する部署のサポートがメインの業務です。企業の経営資源を適切に管理し、生産性の向上や業務効率化を目指します。

企業経営をバックアップするには、小さな数字や細かな業務の取り扱いであっても、責任感を持って取り組めるという資質が不可欠です。

コミュニケーション能力がある

管理部門は様々な部署の人と接する機会が多く、業務遂行にあたって高いコミュニケーション能力が必要です。部門間の橋渡し役を担うことも多く、各部署の人と交流を深められると部署ごとの役割が理解でき、業務を円滑に遂行できるでしょう。

タスクの管理ができる

管理部門は期限を厳守しなければならない業務が多く、タスクを管理する能力が必要です。業務ごとにリソースを適切に振り分け、複数のタスクを期限内に完遂しなければなりません。タスクごとの目的や期限、優先順位、重要性を理解し、業務を進める必要があります。

実務経験をどう活かせるか洗い出す

管理部門の業務は多岐にわたるため、自分がどの分野に精通して、得意としているか明確に説明する必要があります。自己分析を進め、今までの自分の経験が管理部門において、どう活かせるか洗い出しましょう。

総務の管理部門の転職であれば、上場企業での株主総会関連業務、未上場であれば社内規定管理業務などの経験が転職時のアピールポイントとなります。

経理・財務であれば、監査法人対応や決算短信業務などの経験が転職時に経験として評価されるでしょう。

近年はコンプライアンス、リスクマネジメントに関わる業務も重要視されており、業務経験があれば、アピールポイントとなります。

企業や業界に関する知識を集める

管理部門は企業理念や文化、業界の動向に直結する業務内容です。

企業理念を知るには企業ホームページやパンフレット、業界に関する書籍などを参考に情報収集すると良いでしょう。企業の広報誌やインタビュー記事などは、企業理念を知るうえでの重要なツールです。また、企業情報を調査することで企業が求める人材を知ることが可能です。

業界の動向について、法務であれば法律は頻繁に改正されるため、最新の法律知識を集める必要があります。その点は、セミナーや法律専門書、法律ニュースなどで知識をアップデートしましょう。投資やM＆Aを行う企業もあるので、経理業務において資産運用の知識があると転職活動で有利になります。

資格や専門スキルを手に入れる

業界を研究し必要な資格や専門スキルを手に入れると、転職活動で有利です。特にパソコン操作は頻繁に求められるため、基本的なパソコンスキルは欠かせません。

配属先の部署のマネジメント実施も考えられます。経営管理や組織運営など経営資源を活用し、企業の成果向上に役立つ専門スキルがあると転職に有利になるでしょう。

管理部門ごとの転職活動に有利となる資格は、以下のとおりです。

• 衛生管理者（総務）
• 社会保険労務士（総務）
• 簿記検定（経理・会計）
• 司法書士（法務）
• 行政書士（法務）
• キャリアコンサルタント（人事）

管理部門特化の転職エージェントを活用する

管理部門に特化した転職エージェントも多数あります。

管理部門の求人は競争が激しく、対策をしっかり練らないと希望するポジションへの転職は難しいです。管理部門に特化したサービスを提供するエージェントを選び、自分に最適な求人を紹介してもらいましょう。

優良な転職エージェントを見極めるポイントは、以下のとおりです。

管理部門の転職支援実績

エージェントのホームページに掲載されている転職実績を確認しましょう。転職後にキャリアや年収がアップしているか、職種に精通したキャリアアドバイザーが在籍しているかも重要です。

転職のサポート内容

求人紹介、応募書類の添削、面接対策、面接日程の調整など、様々なサポートを提供するエージェントを選びましょう。非公開求人を紹介してくれるエージェントもあり、手厚いサポートがあればハイクラス求人への応募も可能です。

管理部門の転職に強い転職エージェント5選

最後に、管理部門の転職に強い転職エージェントを紹介します。

BEET-AGENT

BEET-AGENTは「バックオフィスが評価される企業への転職」をコンセプトにした、管理部門特化の転職エージェントです。

企業成長に欠かせない管理部門のリーダークラス、ミドルクラスの人材に焦点を当て、転職のキャリアアップをサポートします。管理部門の働き方を熟知したプロのアドバイザーが、上場企業の非公開管理部職種・IPO準備中のリーダーポジションなど、レアな求人を提案してくれます。

公式サイト：https://beet-agent.com/

MS Agen

MS Agentは30年以上の実績とノウハウを活かした転職実績のある、管理部門・士業部門に特化した転職エージェントです。

MS Agentでは限定非公開求人を多数紹介しています。求人の割合は非公開が90％、79％が年収500万円以上です。上場企業とのネットワークの高さが強みで、各職種に精通したキャリアアドバイザーが転職をサポートします。

公式サイト：https://www.jmsc.co.jp/

SYNCA

SYNCAは、管理部門全般の求人を見つけられる無料の転職サイトです。

経営管理部門はスキルの可視化が難しく、転職でミスマッチが起きるケースがあります。SYNCAではスキルを可視化しタグとして表示でき、スキルに応じた適切な年収を知ることで、現在の自分の市場価値を理解できるでしょう。

公式サイト：https://candidate.synca.net/

ヒュープロ

ヒュープロは、管理部門・士業部門の業界に特化しており、企業とのコネクションも非常に強固です。

個人事務所の規模から監査法人におけるBIG4、プライム上場企業までの求人を紹介しています。非公開の好条件かつ好待遇の求人案件も多数あります。年収交渉など希望条件の実現に向けてコミットします。

公式サイト：https://hupro-job.com/

管理部門キャリア

管理部門キャリアは、「経理・人事・総務・法務・広報・IR・経営企画・事業企画」などの管理部門に特化した転職エージェントサービスです。

採用領域では40年以上もの実績があり、株式会社リクルートの「トップパートナー」にも認定されています。多数の企業と取引しており、有力な求人案件の紹介、給与の交渉などをサポートします。

公式サイト：https://kanri-career.mediahouse.co.jp/

まとめ

管理部門への転職を考えた際は、自身が管理部門に向いている性格か自己分析をしなくてはなりません。今までの自分の経験や保有している資格次第では、転職活動が有利になるでしょう。

管理部門は狭き門として知られていますが、企業研究や自分のスキルによっては不可能ではありません。各部門ごとの特性を調べ、転職活動を成功させましょう。