AIは年々市場規模が拡大しており、「一部業務を自動化する」などで積極的に仕事でも取り入れられています。

そのため、AIのスキルを学習し世間の需要に応えられるようにしておけば、年収アップも含めキャリアの選択肢を広げられるでしょう。

AIの学習方法としては、「独学」「リスキリングサービスの活用」などが挙げられます。

とくに、リスキリングサービスによっては受講生向けの転職支援を受けられるため、積極的に活用しましょう。

本記事では、AIの学習方法や必要な基礎知識、勉強におすすめのサービスなどを解説します。

関連記事：AIエンジニアに強い転職エージェントおすすめ9選！選び方と上手に使うポイントも解説

【前提】本記事では「個人がAIについて学習する方法」を解説

前提として、本記事では「個人がAIの知識を学習する方法」をまとめています。

「AIにさまざまな知識を読み込ませて学習させる方法」についての記事ではないため、ご注意ください。

AIを学習する際に押さえておくべき基礎知識

AIを学習する際に押さえるべき基礎知識として、以下が挙げられます。

ここでは「基礎知識＋最低限の概要」をまとめています。

詳細な部分は本記事だけでは語り尽くせないため、基礎を押さえたうえで改めて書籍や動画、スクールなどで学習しましょう。

機械学習の基礎知識

機械学習とは、コンピューターにさまざまなデータを読み込ませる技術のことです。

読み込んだ膨大なデータの中から、コンピューターが「背景・ルール・パターン・特徴・規則性」を学習することで、結果に基づいた予測や判断などを導きます。

「AIに学習させる内容を人間が指示する」ということが一般的です。

また、機械学習を学習する際は、以下3つの基本的な手法を押さえておきましょう。

教師あり学習

事前に正解がわかっているデータ（教師データ）をAIに学習させる手法です。

正解がわかっているデータを大量に読み込ませることで、AIが特徴を学習しさまざまな場面における「予測の精度」を高められます。

たとえば、販売価格と売上個数のデータを読み込ませることで、「この商品を◯◯円で販売すれば□□個は売れる」といった予測が可能です。

教師なし学習

規則性や関連性、構造、分類などがわかっていないデータをAIに学習させる手法です。

正解がないデータを読み込ませるため、教師あり学習より難易度は上がるでしょう。

しかし、その分「正解と不正解が曖昧な領域」に対する判断の精度が高まり、多くの分野で活用できます。

活用シーンの一例として、「マーケティングの市場調査で似ている属性の顧客をグループ分けする」「ECサイトの購入履歴をもとに自動でおすすめ商品を掲載する」などが挙げられます。

強化学習

問いに対する回答をAI自身に試行錯誤させて導き出す手法です。

与える問いの一例としては「将棋のプロに勝つには？」「ロボットの歩行距離を伸ばすには？」などが挙げられます。

AI自身に答えを見つけさせるため、能力を大きく伸ばすことが期待できます。

ディープラーニングの基礎知識

ディープラーニング（深層学習）とは、上記で解説した機械学習における手法のひとつです。

人間の指示なしで、AIが複雑なデータを大量に読み込んで特徴を抽出し学習します。

複雑なデータを学習したAIは、「画像認識・音声認識・自動運転技術・自動翻訳システム・異常検知システム」など幅広いシーンで活用可能です。

そのため、ディープラーニングを学習する際は、以下3つの基礎的なアルゴリズムを押さえておきましょう。

CNN（畳み込みニューラルネットワーク）

主に画像・動画認識で用いられるアルゴリズムです。

「”畳み込み層”で画像や動画の特徴を捉える→”プーリング層”で特徴を分析する」という流れで、画像や動画の内容を正確に識別します。

RNN（再帰型ニューラルネットワーク）

主に、時系列など「時間経過によって変化するデータ」の分析時に用いられるアルゴリズムです。

時間経過によって変化するデータとして、たとえば動画や音楽、文章、株価などが挙げられます。

Google翻訳やSiriなどにも、RNNの技術が活用されています。

LSTM

RNNの改良版です。

RNNでは、長期間にわたるデータを扱った際、学習が停滞する「勾配消失問題」が発生していました。

しかし、LSTMでは記憶セルが組み込まれているため、データを保管しながら長期期間にわたる分析が可能です。

数学の基礎知識

AI学習では数学の知識も必要です。とはいえ、いきなり難しい範囲を勉強する必要はありません。

まずは以下のジャンルについて、中学・高校レベルから少しずつ学び直せばOKです。

微分積分

関数の傾きや面積を勉強するジャンルです。

AI学習では「傾き＝予測値と正確な値の誤差」として扱います。

そのため、正確なデータを導き出すには、微分積分の知識を活用して傾き（誤差）を計算し、なるべく0に近付けることが重要です。

線形代数

AIでは大量のデータを分析するため、そのまま扱うと計算式が複雑化します。

しかし、線形代数の分野である行列やベクトルなどの知識を活かすことで、大量のデータを簡易的に記述できるようになります。

確率および統計

AIを学習する際は、大量のデータを扱って「このデータの予測は妥当か？」「データの傾向は？」「外れ値はあるか？」などを分析します。

こうした情報を理解するうえでは、確率や統計の知識が必要です。

基礎的なプログラミング言語

AIを学習する際はプログラミングの知識も必要です。

いくつか種類はありますが、まずは「Python」を押さえておくとよいでしょう。

Pythonは、他の言語と比較してコードがシンプルであり、学習教材や開発支援プラットフォームなどが豊富です。

そのため、AI学習で最初に扱う言語として最適といえます。

また、Pythonに限らずプログラミングスキルを身に付けておけば、「AIエンジニアへの転職」というように、キャリアの選択肢を増やせる点も魅力です。

なかには、AIエンジニアの仕事を「長時間労働だから大変」「スキルを身に付けるのが大変」などの理由で、避ける方もいます。

しかし、高度なスキルが求められるからこそ、知識を身に付けて希少価値の高い人材となれば、キャリアの選択肢を広げられるでしょう。

このように自分の将来を考えるうえでも、プログラミング言語の知識を身に付けて損はありません。

具体的に「AIエンジニアはやめとけ」と言われる理由などについては、以下の記事で解説しています。

関連記事：AIエンジニアはやめとけと言われる理由は？向いていない人の特徴を徹底解説

AIの学習前に「目的」を設定することが大切

AIの学習前は、具体的に「AIを使って何がしたいのか？」という目的を設定しましょう。

目的を定めることで、以下のようにゴールから逆算して正しい方向性で学習を進められます。

また、目的を定めておくことで、AIを学習するモチベーションにもつながります。

そのため、AIの学習ではディープラーニングや数学などの専門知識を扱うため、途中で挫折しないようモチベーションを維持することも大切です。

AIを学習しておくメリット

AIの知識を学習しておくメリットは、主に以下の2つです。

スキルを身に付けてキャリアの幅を広げられる

AIのスキルを身に付けておくことで、自分のキャリアの幅を広げられるでしょう。

現在では以下のように、業務の一部をAIで自動化するケースが増えています。

参照：
総務省 | RPA（働き方改革：業務自動化による生産性向上）
総務省 | AI－OCRとRPAを組み合わせた業務改善

日本のAIシステムの市場規模を見ても、2028年には「約2兆5,000億円まで到達する」と見込まれています。

画像引用元：総務省 | AIの動向

このようにAIの必要性は今後も高まると予測されるため、スキルを持っておいて損はありません。

AIのスキルを学習し市場価値を高めておけば、社内のキャリアアップだけでなく、好条件な企業への転職も視野に入れられるでしょう。

さらに高い専門知識を持って経験を積めば、自分でAIを活用したシステムを構築し、独立することも可能です。

年収を上げやすい

AIを学習すれば、転職で年収を上げやすくなります。

たとえば、正社員全体の平均年収は「523万円」ですが、AIエンジニアは「558万3,000円」です。

参照：
国税庁 | 令和4年分民間給与実態統計調査
job tag | AIエンジニア

AIは需要が高まっているうえ、活用するには高度なスキルが求められます。

そのため最初は学習に苦労するかもしれませんが、スキルを身に付けておけば自分の市場価値が高まり、最終的に年収を上げやすいのです。

AIを学習する際のポイント

AIを学習する際は、以下のポイントを押さえましょう。

実践を通じてスキルを身に付ける

ディープラーニングや数学などの基礎知識を座学で身に付けたら、以下のような方法で実践しつつ学習しましょう。

学習した知識をもとに手を動かして実践することで、「どのプログラムを入れると具体的にどんなデータが出力されるのか？」がわかるため、より効率的に勉強できるでしょう。

何度もPDCAサイクルを繰り返して学習する

上記のように実践を通じて学習する中で、「一発で思い通りのデータを出力できる」ということはほぼないでしょう。とくに学習をはじめた段階では、理想通りに進まないことも珍しくありません。

そのため、何度も実践を重ねてPDCAサイクルを回すことが重要です。

また、毎回「理想のアウトプットが出てこない原因」を考え改善することで、少しずつスキルが向上し、自分の理想通りにAIを活用できるようになるでしょう。

AIに関するトラブルの可能性も頭に入れておく

AIに関するトラブルが発生する可能性も、念のため頭に入れておきましょう。

前提として、「AIにデータを収集させて学習に活かす」という行為に違法性はありません。

しかし、Webサイトによっては「サイトのデータをAIに学習させることは禁止」と定めているケースもあるため注意しましょう。もちろんサイトの管理人がデータ収集を禁止しているなら、基本的には守るべきです。

一方で、AIのデータ収集に関して違法性を示す決定的な前例は、現状ほとんどありません。

参照：弁護士法人内田・鮫島法律事務所 | ウェブサイト上のデータをAI学習に使ってよいか？

このように、AIは新しい技術であるがゆえ、法的な判断が難しいケースも存在します。

そのため「解釈の違いによってトラブルが起こる可能性も0ではない」という点は、覚えておきましょう。

具体的なAIの学習方法

AIの学習方法としては、大きく以下3つが挙げられます。

書籍や動画などで独学する

機械学習・数学・プログラミングといったAIに必要な知識は、書籍や動画などでも学習できます。

書籍や動画は初心向けのものから応用編まで幅広く出ているため、自分のレベルに合わせて選ぶことが大切です。

また、国立情報学研究所の「CiNii Research」を使えば、AIに関する論文を探せるため、最新動向を掴んでおきたい方は活用しましょう。

ただし独学の場合、疑問点の解消や苦手分野の理解を自力でおこなう必要があります。

AIは専門性が高いため、「疑問点の解消に時間がかかるかもしれない」という点は押さえておきましょう。

AIに関するイベントやコミュニティを活用する

企業が運営するイベントやAIコミュニティなどを活用してもよいでしょう。

イベントやコミュニティ活動の例としては、以下が挙げられます。

イベントやコミュニティを活用することで、AI技術に関して情報交換できるだけでなく、仲間を見つけて一緒にスキルアップを目指すこともできます。

また、同じジャンルを勉強する仲間がいれば、学習へのモチベーションも上がるでしょう。

リスキリングサービスなどのプラットフォームを活用する

以下のように、AIを学習できるプラットフォームを活用することも有効です。

リスキリングサービスやプログラミングスクールなどであれば、AIのプロから直接指導してもらえるため、独学より効率的にスキルを身に付けられます。

サービスによっては、受講生を対象にキャリアカウンセリングや転職支援なども提供しています。

そのため、受講生としても、専門知識を指導してくれたスクール側が、スキルや適性を踏まえ転職先を探してくれたほうが安心でしょう。

オンライン教材の種類は、「必要な教材を単発で購入する」「指定のカリキュラムに沿って進める」「無料のサイトで勉強する」などさまざまです。教材の種類によっては、結果的に独学となるケースもあります。

しかし、専門家が監修した教材で勉強できるため、0から独学するよりも効率的です。

AIの学習におすすめのリスキリングサービス2選

AIを学習するのであれば、以下のリスキリングサービスがおすすめです。

AI CONNECT

AI CONNECTは、「AIスキル習得」「キャリアアップ支援」という2つの軸でサポートしてくれるリスキリングサービスです。

AIスキル習得講座では、「セールス職で求められるAIスキル」「企画職で求められるAIスキル」というように、各職種で必要な知識に絞って学習できます。

受講生はそのまま転職支援を受けられるため、身に付けたスキルを活かせる企業を見つけやすいはずです。もし、転職を考えている職種と関連するコースがあれば、受講を検討しましょう。

料金はコースごとで異なりますが、目安は「30万円〜」です。ただし、講座は経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の対象であるため、一定条件をクリアすれば実質0円で受講できます。

具体的な条件はメンバー登録（完全無料）後の面談で教えてもらえるため、まずは話を聞くだけでもよいでしょう。

ライフシフトラボ

ライフシフトラボは、40〜60代に特化したITスクールです。

「講義は何度でも視聴可能」「講師への質問は無制限」という手厚いサポート体制があるため、デジタルに馴染みがない世代でも0からスキルを身に付けられます。

講師も40〜50代であるため、受講生と同じ目線で悩みを共有しながら学習できる点が魅力です。

AIだけでなく、Webデザインや動画編集、SNS運用など幅広いスキルを学べるため、さまざまな知識を身に付けたうえで、一番自分にマッチするキャリアを選べます。

単なるツールの使い方だけでなく「稼ぎ方」まで指導してもらえるため、副業・転職・独立、どのキャリアを選んでも学習内容を活かせるでしょう。

AIを学習する際によくある質問

最後に、AIを学習する際によくある質問と回答をまとめました。

AIは独学できる？

書籍や動画、オンライン教材などがあるため、独学自体は可能です。

とはいえ、独学では疑問点の解消に時間がかかったり、どうしても理解できない部分が出てきたりするでしょう。

そのため、リスキリングサービスやプログラミングスクールなどを活用し、プロから直接指導してもらうこともおすすめです。

AIにデータを学習させることは違法？

AIにデータを学習させること自体は、違法ではありません。

文化審議会著作権分科会法制度小委員会も、以下の考えを公表しています。

こうした権利制限規定としては、AI と著作権の関係においてその適用があり得る、著作物に表現された思想又は感情の享受を目的としない利用（法第 30 条の４）や電子計算機による情報処理及びその結果の提供に付随する軽微利用等（法第 47条の５）のほか、私的使用のための複製（法第 30 条）、引用（法第 32 条第１項）、学校その他の教育機関における複製等（法第 35 条）、営利を目的としない上演等（法第 38 条）といったものなどがあり、これらの権利制限規定の要件を満たす場合は、権利者の許諾を得ることなく著作物等を利用することができる。

引用元：文化審議会著作権分科会法制度小委員会 | AI と著作権に関する考え方について p.5〜6

ただし、Webサイトによっては「AI学習のためのデータ収集は禁止」というケースもあるため、注意が必要です。

AIを学習しておくメリットは？

AIを学習するメリットとして、以下2つが挙げられます。

詳細は「AIを学習しておくメリット」の章をご覧ください。

最後に | AIを学習してスキルを高めキャリアの幅を広げよう！

現在AIは、仕事を効率化する手段として積極的に業務へ取り入れられつつあります。市場規模も伸びており今後の需要拡大が見込めるため、キャリアアップの手段としてAIを学習することもおすすめです。

そのため、AIのスキルを身に付ければ、年収アップも狙えるでしょう。

AIを学習する際は、ディープラーニングや数学などの基礎知識を押さえておくと役立ちます。

具体的な学習方法としては、「独学」「リスキリングサービスの活用」などが挙げられます。

とくにリスキリングサービスであれば、AIの専門知識を持つプロから直接指導してもらえるため、効率的なスキルアップが可能です。 サービスによっては転職支援もおこなっているため、「AIのスキルを身に付けてステップアップしたい」と考えている場合は、ぜひ活用しましょう。