中卒で就職や転職を検討しており、職業訓練を受けてみたいけど、受けられるのか不安に感じている方も多いでしょう。

結論ですが、中卒者であっても職業訓練を受けることは可能です。

ただし、職業訓練の利用にはデメリットもあり、人によっては職業訓練を受けず就職活動をおこなったほうが効率的なケースもあります。

本記事では、中卒で職業訓練校から目指せる職種や、職業訓練校に通うメリット・デメリットを紹介します。

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職業訓練校とは？

職業訓練校は、事業所に就職し仕事をしながら再就職に必要な知識を学ぶための学校です。事務、パソコン、IT系、医療事務、簿記などさまざまな訓練コースにチャレンジできます。

以下で詳しく解説します。

離職者向けと在職者向けのサポートがある

職業訓練には、離職者向けのサポートと在職者向けのサポートが用意されています。

離職者向けの訓練は、公共職業訓練と求職者支援訓練の2種類です。

在職者向け訓練は、下記が存在します。

以下で違いをまとめます。

【離職者向け訓練】
訓練名	訓練内容
公共職業訓練	職業スキル向上のための基礎的な教育、専門的技術の習得、資格取得支援など。 対象：ハローワークの求職者（主に雇用保険受給者） 訓練期間：おおむね3ヵ月から2年 実施機関：国（ポリテクセンター） 都道府県（職業能力開発校） 民間教育訓練機関等（都道府県からの委託）
求職者支援訓練	離職者や未就職者が新たな職業に就くための訓練。 （基本的な職業能力の向上、就職活動支援など） 対象：ハローワークの求職者（主に雇用保険を受給できない方） 訓練期間：2〜6ヵ月 実施機関：民間教育訓練機関等（訓練コースごとに厚生労働大臣が認定） ＜基礎コース＞基礎的能力を習得する訓練 ＜実践コース＞基礎的能力から実践的能力前一括して習得する訓練

【在職者向け訓練】
訓練名	訓練内容
在職者訓練	対象：在職労働者（有料） 訓練期間：おおむね2〜5日 実施機関： 国（ポリテクセンター・ポリテクカレッジ）／都道府県（職業能力開発校）
学卒者訓練	対象：高等学校卒業者等（有料） 訓練期間：1年または2年 実施機関：国（ポリテクカレッジ）／都道府県（職業能力開発校）
障がい者訓練	対象：ハローワークの求職障害者（無料） 訓練期間：おおむね3ヵ月〜1年 実施機関： 国（障害者職業能力開発校） （独）高齢・障害・求職者雇用支援機構営 都道府県営（国からの委託） 都道府県（障害者職業能力開発校、職業能力開発校） 民間教育訓練機関等（都道府県からの委託）

就職に役立つ知識やスキルを学べる

職業訓練校では、就職に役立つ知識やスキルを学べます。具体的には以下の訓練コースが用意されています。

上記のように多種多様な訓練コースを網羅しています。

また、住宅リフォーム、OAシステム開発、Web設計など昨今の時代ニーズに即したコースも用意されています。

ほかにも、第一種電気工事士、宅地建物取引主任者、介護職員初任者研修など資格取得を目指せるコースもあります。

ハロートレーニングの訓練コース内容を調べたい方は、下記をご覧ください。
>>ハローワーク インターネットサービス 職業訓練検索

就職・転職活動のサポートも受けられる

出典：ハローワーク

職業訓練校では専門の相談員からアドバイスを受けられます。

周囲が就職・転職活動を応援してくれるため、孤独感を感じません。

実際に訓練受講者の声でも、「授業内容は期待以上で4ヵ月間のうち、資格を2つ取得した上に、就職活動のアドバイスも受けられた」と回答しています。

ですので、サポートを受けられる職業訓練校の制度は積極的に活用すべきです。

職業訓練校を利用したい方は、職業訓練校のWebサイトのチェックや、説明会へ参加しましょう。

授業料は無料

職業訓練の授業料は無料であることが基本です。

ただし、受講費以外に必要なテキスト代や試験受験料などは自己負担になるため注意が必要です。

とはいえ、民間で実施しているスクールで支払うより負担額を抑え、スキルアップを目指せるでしょう。

受講中の条件次第で給付金が受け取れる

受講中の条件次第で給付金が受け取れます。給付金を受け取れるのは、雇用保険を受給できない方が、職業訓練によるスキルアップを目指せる「求職者支援制度」です。

受け取れる具体的な給付金と条件は、以下のとおりです。

出典：職業訓練受講給付金｜ハローワーク

自分自身や家族の収入、金融資産により条件が変動します。そのため、事前にパートナーや同居家族の資産は確認しておきましょう。

中卒から受講できる職業訓練コース

中卒から受講できる職業訓練コースを紹介します。

基本的に職業訓練校は学歴不問のため、中卒だから受けられないことはありません。

しかし中卒だと、社会に出てからネガティブなイメージを抱かれやすいため、本章で紹介する代表的なコース例を知り、スキルを身につけて対策しましょう。

事務系

事務系コースを学ぶと、事務職に活かせる知識やスキルを学べます。事務職は種類が分かれており、どの分野に専攻した事務職に就くかで受講すべき内容が異なります。

まずは自分が目指したい事務職を明確にしましょう。

具体的な事務系コースを以下に紹介します。

医療・保育・介護系

職業訓練校で学んで、医療や保育、介護の資格取得を目指すことも可能です。

とくに、介護系のコースはさまざまな種類があり、経験や目的からチャレンジしやすくなっています。

医療・保育・介護系コースは、他業種から転職されてきている方も多く、幅広い年齢層の方が受講しています。

また、未経験からチャレンジできるため、子育てが一段落した方が資格を身につけて仕事をはじめる方も多く存在します。

Web系

Web系スキルとは、パソコンを活用して仕事をするためのスキルの総称です。

Web系スキルには以下のような分野があります。

上記のスキルを学ぶためのコースには以下のようなものがあります。

デジタル分野の業界では、業界知識やスキルを習得できれば、はじめての方でもチャレンジしやすい業種といえます。

Webデザインコースは、絵を描くのが好きで、就職・転職活動に活かせるスキルを身につけたい方におすすめです。

プログラミング系

プログラミング系スキルを学べるコースは、以下のとおりです。

Webプログラマーやシステムエンジニア、Webアプリケーションプログラマーなどへ就職を目指し、スキルを学びます。

具体的に学ぶ内容は以下のとおりです。

インターネットと密接に結びついている昨今では、プログラミングスキルは重宝されます。パソコンで仕事ができるようになるため、場所を選ばず働けるのもメリットです。

ものづくり系

ものづくり系とは、機械系の製造現場をサポートする仕事のことです。

おもに目指す職種は、製造業等のCADオペレータや工場内作業補助に関連した仕事です。

ものづくり系スキルを学べるコースは、以下のとおりです。

ものづくり系のスキルを学ぶと、製造企画、開発やデザイン企画がおこなえるようになるため、自分が描いたビジョンが形になることにやりがいを感じられるようになるでしょう。

訓練習得後に目指せる仕事は、以下のとおりです。

中卒で職業訓練校に通うメリット

中卒で職業訓練校に通うメリットは、以下のとおりです。

中卒で職業訓練校に通うか迷っている方は、メリットを知ることで新たな可能性に気付くかもしれません。

実践的スキルを学べる

職業訓練校では、就職後すぐ役立つ知識やスキルの習得が目標のため、実践的なスキルを学べるコースが多数用意されています。

たとえば、Webデザインの映像制作コースでは、撮影スキルや編集ソフトの使い方など、仕事ですぐ活かせる内容を学べます。

実際に、電気設備工事の職業訓練を受けた方は、企業実習などを通して、職場の雰囲気や働きやすさを実感できたと話す方がいました。

職業訓練では、実際の現場へ行くこともあるため、リアルな現状を知ることができるのもメリットです。

給付金を受給しながら資格取得できる

職業訓練では、給付金を受給しながら資格取得できます。職業訓練受講手当の給付条件は、前述した内容を参考にしてください。

給付金受給の要件に「講座はすべて出席しなければならない」と条件がありますが、やむを得ない事情がある場合は欠席可能です。

ただし、支給申請の訓練期間の8割以上は確実に出席しなければいけません。

また、遅刻や早退が一度でもあると支給されなくなるため、ハードルは高くなってしまいます。ですので、真面目に講座を受講する姿勢がすごく重要になります。

中卒で職業訓練校に通うデメリット

中卒で職業訓練校に通うデメリットは以下の3つです。

職業訓練校を選択するデメリットを正確に知ることで、本当に利用すべきか判断できるようになるはずです。

職業訓練に申し込むまでに時間がかかる

受講できるか判断する面接や筆記試験を受けなければならず、すぐ職業訓練を受講できない可能性があります。申し込み時期によっては、受講開始まで数ヵ月かかるコースもあります。

また、長期間の時間を要する職業訓練コースもあり、早期転職を検討している方には不向きな制度です。

希望した訓練を受けられない場合がある

人気の訓練コースは応募者が多いため、選考で落ちてしまうケースがあります。

たとえば、東京都の委託訓練の場合、倍率の高いコースが以下となります。

倍率の高いコースに落ちてしまい、コースの空きを待っていると転職のチャンスを失う可能性が高まります。

そのため他のコースを受けざる負えないケースもあることに注意してください。

訓練後就職先が見つからない可能性がある

職業訓練は就職先を約束した制度ではありません。

そのため、新たなスキルや資格を取得しても、すぐ就職先が見つからない可能性があります。

ただし、職業訓練校を終了後、3ヵ月以内に就職できた方は74.8%です。（参考：ハロートレーニング（離職者向け）の令和5年度実績(4-12月実績)）

決して低い数字ではありません。万が一、就職がうまくいかなくても、生活保護申請をおこなえば、最低限の生活は可能です。

もちろん、そうならないために訓練期間中から就職活動をはじめておくことをおすすめします。

中卒が職業訓練校から目指せるおすすめの職種

職業訓練校から目指せる中卒者におすすめの職種を紹介します。

学歴に左右されず就職しやすい職種です。本章を読み、就職先候補にピックアップしておきましょう。

技術職

技術職は特定のスキルや専門知識が求められる職種です。具体的には、以下のとおりです。

中卒者であっても、職業訓練校で学ぶことで習得可能です。技術を身につければ、転職でも有利にはたらきます。

また、実際に手を動かし経験を積めるためやりがいを感じやすい仕事です。

ここで、技術職の職業訓練コースの一例を提示します。

営業職

営業職はコミュニケーション能力や交渉力が必要な職種です。

そのため、相手への共感力や傾聴力、提案力が重要視されます。中卒者でも、自分の努力次第で成果を上げられるため、活躍できるでしょう。

職業訓練校で住宅リフォーム技術を学んだ女性は、営業の要素から建築構造・設計・施工までの技能を指導してもらい、住宅プランナーの仕事に就職できた方もいます。（参考：あなたも職業訓練で一日も早い就職を！（就職につながった訓練事例紹介）｜厚生労働省）

上記のように、営業力と特定の技術をかけ合わせて、新しい職種の仕事に挑戦できる可能性もあります。

サービス業

サービス業はホテル、飲食店、介護施設など接客やサービス提供の業務をおこなう職種です。サービス業で学歴を求められないのは、仕事に求められる知識が特殊だからです。

たとえば、アパレル業界では、以下のようなものが求められます。

学歴より「専門的な知識がどれだけあるのか」のほうが重視されます。職業訓練校では、さまざまな専門知識を身につけるコースが用意されています。

上記で挙げたアパレル業界で有利な職業訓練に「アパレルパタンナー」があります。

また、サービス職のなかでも、とくに介護関連が人手不足の職種です。

介護系コースを受講し、就職すると「即戦力の人材」とみなされて活躍しやすいでしょう。

その他の職種

上記で紹介した他にも、中卒者に適した職種は多く存在します。

たとえば、工場の製造業務や物流倉庫の管理、配送業などです。体力が必要な仕事が多い反面、実践のなかで学ぶことの多い仕事であるため、学歴より現場での実践力が重視されやすいでしょう。

どの職種を目指しても、経験に加え資格やスキルの習得は必要不可欠です。

そのため、自分に合った職種を選べるよう自己分析をする事が重要です。

中卒者におすすめの仕事を詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事：中卒でもできるおすすめの仕事10選！就職を成功させる方法も解説

職業訓練校はこんな方におすすめ

職業訓練校の利用は、以下のような方におすすめです。

1つずつ解説します。

未経験の仕事にチャレンジしたい

未経験で新たな仕事にチャレンジしたいけど、証明できる実績もなく、行動に移せない方もいるのではないでしょうか。

このように考えている方こそ、職業訓練校でスキルを身につけるべきです。

職業訓練校のコースは、経験者のために用意されたコースではなく、0から学べる内容です。

実際、職業訓練から就職した方の多くが、未経験職への就職に成功しています。

そのため、未経験でやってみたい仕事がある方こそ、職業訓練校を利用しましょう。

やりたい仕事に就職するため資格やスキルが取得したい

このように考え就職活動が行き詰まっている方は、職業訓練を受けてみましょう。

など、多様なジャンルの職業訓練を受講できます。

また、職業経験が浅い若者の方向けに社会人基礎能力を付与する科目や、育児をしている方向けに託児付訓練科目が用意されています。

やりたい気持ちを叶えるためにも、職業訓練を検討してみてください。

ビジネスマナーを身につけたい

職業訓練校ではビジネマナーを学べます。社会で大きく活躍するためには、自分のいる環境をより良くし、人との関わりあいを円滑にしなければなりません。

職業訓練校では、ビジネスマナーコースが用意されており、「チームで働く力」「自分で考え行動する力」など会社でどのように立ち振る舞えばよいか0から習得できます。

そのため、「社会人ビジネスマナーをもう一度勉強したい」と考えている方は、職業訓練校の利用がおすすめです。

職業訓練の申し込み方法

職業訓練の申し込み方法は、以下のとおりです。

申し込み期間や選考日は、訓練コースによって異なるため、早めに確認しましょう。

中卒が就職を成功させるためにおすすめの就職エージェント

中卒が就職を成功させるためにおすすめの転職エージェントを紹介します。

上記エージェントは、中卒の方々に特化したサポートを提供しています。それぞれどのような特徴があるのか解説します。

えーかおキャリア

ハタラクティブ

就職カレッジ

中卒で職業訓練校が気になる方がよくする質問

中卒で職業訓練校が気になる方がよくする質問を下記で紹介します。

中卒だと職業訓練校の利用に違いがあるのかなど、素朴な疑問にも回答しています。本章を読んで、疑問点を解消しましょう。

中卒でも職業訓練校は利用できますか？

学歴に関係なく職業訓練校を利用できます。目指す職業に必要な知識やスキルを習得して、就職活動でアピールしましょう。

なお、中卒ニートでも就職可能なのか詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
関連記事：中卒ニートでも就職は可能！就職に必要な準備やおすすめの職種まで紹介！

職業訓練は中高年でも受けられますか？

年齢に関係なく、基本的には誰でも職業訓練を受けられます。

ただし、再就職先が受け入れる可能性が低いコースには年齢制限を設ける場合もあるため、募集要項をよく確認してください。

例えば、企業実習付きの訓練コースは55歳未満が対象となりやすいです。

職業訓練校に通うと最終学歴は変わりますか？

職業訓練校に通っても最終学歴は変わりません。

なぜなら、職業訓練校は正規の学校ではないため、最終学歴には含まれないからです。

最終学歴は最後に卒業した学校になります。

ただし職業訓練校の実績は、職歴には記載できるため、習得したスキルや資格は就職活動で役立つでしょう。

働きながら職業訓練校へ通えますか？

働きながら通える職業訓練コースもあります。具体的には、夜間や土日に開講される訓練コースや、eラーニングを活用した在宅での訓練コースです。

ただし、全日制のコースの場合、土日のみのパートタイムなど限られた時間しか働けないでしょう。

また、働きながら通う場合は、時間管理と体調管理に注意してください。

なお、退職や転職を検討中の方も、入校日までに退職の予定があれば、在職中に離職者向け職業訓練への応募も可能です。

中卒から職業訓練校に通える！職業訓練を通じて仕事を見つけよう

中卒でも職業訓練を通じて仕事を見つけられます。実際に多くの方が職業訓練を受講後、就職しています。

無料で学べるため、新たな異業種にチャレンジする方や、やりたい仕事が明確な方におすすめです。

ただし、職業訓練は申込までに時間がかかる課題や、訓練を受けても就職先が見つからないケースがあるため、就職まで時間をかけられない方には不向きです。

転職のプロのサポートを受けて、早期就職したい方は転職エージェントの利用を検討してみてください。