【2024年】勤務弁護士の年収を解説|低い?高い?平均年収・独立開業・インハウスローヤーの年収と徹底比較
勤務弁護士とは事務所に雇われて働いている弁護士のことをいい、「イソ弁」や「アソシエイト弁護士」と同じ意味と捉えていただければと思います。
法律事務所での『勤務』は業務委託契約が一般的ですが、企業内弁護士(インハウスローヤー)の場合は一般会社員と同じ正社員雇用でケースが多いです。
- 「勤務弁護士として働く場合の適正年収を知りたい」
- 「勤務弁護士が年収を上げるにはどうすればいい?」
- 「企業内弁護士(インハウスローヤー)との年収も比較したい」
このような疑問をお持ちの方に向けて、勤務弁護士の年収についてさまざまな角度から紹介していきます。
開業弁護士やインハウスとの年収比較、年収を上げる効果的な方法についても解説します。
目次
勤務弁護士の平均年収は?
勤務弁護士はどのくらいの稼ぎがあるのか、気になる年収についてさまざまな角度から見ていきましょう。
勤務弁護士の平均年収は728万円
賃金構造基本統計によると、弁護士の年収は728万5,600円でした(企業規模10人上の場合、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額で算出)。
また、確定申告書に基づく事業(営業等)収入と給与収入の合計の平均値は2,558 万円、中央値は1,437 万円でした(0との回答者を含む場合)。所得合計の全国平均値は1,191.1万円、中央値は700万円です。
なお、所得とは収入から必要経費を差し引いた金額を指します。実際の利益だとイメージすればよいでしょう。
弁護士の年収の内訳
弁護士の年収には、勤務弁護士としての給与(報酬)と賞与、個人受任の収入が含まれています。また勤務弁護士の報酬制度は固定給の場合と案件の処理数に応じて変わる歩合制の場合があります。
個人受任が可能かどうかは事務所の方針によって異なります。
男性勤務弁護士、女性勤務弁護士の年収
賃金構造基本統計のデータでは、男性弁護士は729万9,700円、女性弁護士は726万4,800円でした(企業規模10人上の場合、きまって支給する現金給与額×12ヶ月+年間賞与その他特別給与額で算出)。
弁護士は性別で評価や仕事の量が変わる職種ではないので、男性も女性も年収はほとんど変わりません。
女性弁護士が出産や育児等で休業や時短勤務した場合はその分収入は少なくなりますが、単に案件数が少なくなることが理由で評価による違いではありません。
大手法律事務所の勤務弁護士の年収
事務所規模ごとの正確な年収データはありませんが、四大法律事務所をはじめとする大手法律事務所の年収は、1年目から1,000万円を超えるとされています。
大手法律事務所の勤務弁護士は「ジュニアアソシエイト」「シニアアソシエイト」というポジションに分けられる場合があり、シニアアソシエイトになると1,500万以上の年収を稼ぐことができます。
中堅・小規模事務所の勤務弁護士の年収
中堅や小規模事務所の年収は非常に幅が広いため一律ではありませんが、一般的には1年目で500万~800万円が相場と言われています。
大手法律事務所と比べると年収は低いことが多いですが、個人受任の案件が多いケースや専門分野などによって年収が上がります。
地域別の勤務弁護士の年収
勤務弁護士の年収は地域によっても違いがあります。以下は主要都市における弁護士の求人情報をもとにした年収の目安です。
東京や大阪の水準が高く、その他の地域では最低年収が一般的な会社員と同程度といった求人も見られました。
- 東京:600万~1,000万円
- 大阪:600万~1,000万円
- 愛知(名古屋):500万~900万円
- 福岡:400万~900万円
- 札幌:600万~900万円
勤務弁護士の年収は昔より低い?
弁護士は「稼ぎにくくなった」と言われる場合があります。一般に弁護士というと高収入職業のひとつに数えられる場合が多いですが、現在では年収300万~400万円ほどで弁護士を募集する求人もあるほど、必ずしも高収入の職業とはいえなくなっています。
理由としては、新司法試験制度の導入で弁護士数と法律事務所が増えたことが挙げられます。弁護士数が増えても事件数が増えるわけではないので、競争が激化し、稼げない弁護士はとことん稼げないといったケースがあります。
日本は人口減が続くと見込まれているため、年収が今より下がってしまう弁護士も出てくるでしょう。
勤務弁護士と開業弁護士の年収比較
弁護士には勤務弁護士のほかに独立して事務所を構える「開業弁護士」と、企業に雇用される「インハウス」があります。勤務弁護士とは年収がどのくらい違うのでしょうか。
まずは開業弁護士について、勤務弁護士との年収比較を行います。
開業弁護士の平均年収
開業弁護士の平均年収が分かる公的なデータはありませんが、非常に幅広いのが特徴です。1億円以上稼ぐ弁護士がいる一方で、年収200万円というケースもあるようです。
一般的には1,000万~1,500万円ほど稼ぐ開業弁護士が多いとされています。勤務弁護士の年収は728万5,600円だったので、開業弁護士よりも低いといえます。
開業弁護士は努力次第で高年収を得られるのが魅力
開業弁護士の年収面での魅力は、努力や工夫次第で高年収を稼げる可能性があるという点でしょう。開業する地域や立地、営業など開業弁護士の年収を左右する要素は複数あります。
経営者弁護士としての手腕が問われる部分です。
勤務弁護士とインハウスの年収比較
年々ニーズが高まっているインハウス(企業内弁護士)についても、勤務弁護士との年収比較を行います。インハウスは一般的な会社員と同じ雇用形態なので、基本的には勤務先の給与テーブルがそのまま適用されます。
インハウスの平均年収
日本組織内弁護士協会が実施したアンケート集計結果を見てみましょう。
企業内弁護士の年収(支給総額)ごとの割合でもっとも多かったのは「750万円~1,000万円未満」で24.5%、
次に多かったのが「1,000万円~1,250万円未満」で20.6%、次が「500万円~750万円未満」「1250万円~1500万円未満」の13.2%でした。
一方で「3,000万~5,000万円未満」が4.4%、「5,000万円以上」が1.5%と、かなりの年収を得ている人もいます。全体としては、おおむね500万円~1,250万円の範囲に収まっているケースが多いようです。
勤務弁護士の年収は728万5,600円だったので、平均的にはインハウスと同水準か少し低い程度だと考えられます。
※参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2023年3月実施)
インハウスは安定的な収入と福利厚生が魅力
インハウスは開業弁護士のように数千万円、1億円といった年収を稼ぐのは難しいかもしれませんが、安定した収入を得られるのが魅力です。上記のアンケート結果でも「250万円未満」が0%、「250万円~500万円未満」が1.1%と、500万円未満の弁護士はほとんどいませんでした。
また一般にインハウスを置くのは大企業や上場企業が多いので、福利厚生の充実も魅力です。各種手当や費用補助、休暇制度など法律事務所にはなかなかない制度がそろっています。
勤務弁護士の年収を左右する要素
どんな要素が年収を左右するのかを知ることで、年収を上げるためのヒントにできます。勤務弁護士の年収は以下のような要素で変わります。
法律事務所の規模
まずは法律事務所の規模です。規模が大きい法律事務所は大手企業の法務や大型国際案件など単価の高い案件を受けているため、資金力があり、弁護士に高い報酬を支払うことができます。
報酬が高いのでさらに優秀な弁護士を獲得でき、事務所の収益も向上するという循環が生まれています。大手法律事務所で働く勤務弁護士の年収と小規模法律事務所で働く勤務弁護士の年収は、倍ほどの開きがあるケースも珍しくはありません。
もっとも、弁護士の実力は年収と同じように違うとは限りません。あくまでも環境的な要因で年収が変わるということです。
法律事務所の場所(都心か地方か)
法律事務所がある場所も少なからず年収に影響します。都心の場合、人口が多いため仕事の数も多く、取りこぼさない限りは年収も上げやすい環境です。また都心には大手法律事務所や外資系法律事務所が多くあるため、全体的な年収水準も上がりやすい傾向があります。
ただし、必ずしも地方で働く勤務弁護士の年収が低いというわけではありません。都心と比べて競合が少ない分、案件を独占しやすく、それほど苦労しなくても仕事に困らないというケースもあります。
取り扱い分野の種類
取り扱い分野の種類によっても年収が変わります。たとえば渉外事務所は外国企業が絡むM&Aや国際的な紛争解決など専門性が高い業務を行いますし、語学力や外国法の知識も必要です。知識やスキルの要求水準が高いためおのずと年収も高くなります。
企業法務系事務所も、個人からの案件と違って顧問弁護士など継続的に高額の収入が見込めますし、単価も高いため収入は上がりやすいでしょう。
経験年数
経験年数を積むと弁護士としての経験値も上がり、難しい案件も担当できるようになります。人脈も増え、案件を獲得するスキルも身につくので、年収が上がるのは自然なことかもしれません。
また勤務先が年次によってポジションが上がる仕組みを採用している場合は、基本的に経験年数に応じて年収も上がっていきます。
個人受任案件の件数
個人受任案件とは、所属する法律事務所の紹介などによらず、弁護士が自分の名前で事件を引き受けた案件のことです。知人などからの紹介や刑事事件の国選弁護人、法テラスの相談業務などがあります。
個人受任案件は事務所の方針によって認めている場合と認めていない場合がありますが、受任できる場合は年収アップにつながります。
勤務弁護士が年収を上げるには?
勤務弁護士として今よりも高い年収を得るにはどうすればいいのでしょうか。年収を上げる方法について解説します。
パートナー弁護士への昇格を目指す
法律事務所の弁護士は勤務弁護士のほかに、事務所の共同経営者であるパートナー弁護士がいます。勤務弁護士が年収を上げる王道の方法はパートナー弁護士になることです。
パートナー弁護士は数千万円から1億円以上稼ぐ人もいて、勤務弁護士とは比べものにならないほどの高年収を得ることが可能です。
ただし、パートナー弁護士への昇格は狭き門です。とくに四大法律事務所のパートナーはライバルが多いので難しいのが実情です。
高収入を得やすい分野で専門性を磨く
高収入になりやすい分野で専門性を磨くことも年収を上げる方法です。稼ぎやすい分野としては、たとえば金融や不動産、M&Aなどがあります。難しい分野ですが報酬単価が高く高収入につながるでしょう。
またこれらの分野は主に大手法律事務所が扱っているため、専門性を高めることで大手法律事務所への転職も視野に入ります。
個人案件の数を増やす
個人受任案件の件数が多ければ年収は上がります。ただし、数が多ければよいという問題でもなく、通常業務といかに両立するのかといった点も重要です。
また報酬の一部を事務所に納めるのが一般的で、どの程度納めるのかは事務所によって異なります。納める割合が多いと、思うような収入にならない可能性もあります。
転職する
勤務弁護士の年収水準は勤務先の規模や地域など環境的要因によって変わります。つまり「環境を変える=転職する」ことで年収が上がる可能性が高いのです。
都心の事務所に転職する
地方のうち、人口が少なく事件数も少ないなど稼ぎにくい地域で働いている場合は、都心の法律事務所へ転職するのもひとつの考え方です。
ただし住居の家賃など物価が高いため年収が上がっても生活水準が下がるということはあり得ます。そのあたりはリサーチしてから転職を決めるほうがよいでしょう。
転職して事務所の規模を上げる
勤務弁護士の年収は法律事務所の規模によって大きく変わるので、今よりも規模が大きい事務所に転職するのも方法です。その場合、事務所規模ごとの特徴をよく理解したうえで転職活動を進めましょう。
たとえば大手法律事務所は分業制やチーム制が多いといった特徴があり、小規模事務所からの転職はミスマッチが生じる可能性があります。小規模から中規模、中規模から準大手のように、できるだけギャップが少ない規模感を選ぶことで失敗リスクは下げられます。
外資系企業のインハウスに転職する
勤務弁護士ではなくなりますが、外資系企業のインハウスへ転職するのも選択肢のひとつです。インハウスの年収は勤務弁護士の年収と大きな差がありませんが、外資系企業の場合は別です。
外資系企業は成果主義的な考え方でインセンティブ給の割合が高いことなどから、日本企業よりも年収水準が高い傾向があります。語学力が必要ですし風土も日本企業とは違いがあるのですべての人に合うわけではないですが、もともとグローバル志向が強い方などにはフィットする可能性があります。
勤務弁護士が年収を上げたいなら転職エージェントへの相談がおすすめ
勤務弁護士が年収を上げる方法のうち、もっとも即効性があるのは転職することです。同じような業務内容でも転職先が違うだけで年収が大幅に上がることはあります。
ただし、年収が実際に上がる転職先を選ぶ必要があり、そのような職場に果たして転職可能なのかといった問題もあります。そのため転職を検討する場合は、転職エージェントへ相談することをおすすめします。
客観的な視点から市場価値を判断してもらえる
自分が弁護士市場でどのくらいの価値があるのかは、自分ではなかなか分からないものです。そもそもどういった要素が転職市場での価値を左右するのかも分からない方は少なくないでしょう。
弁護士の転職市場に詳しいエージェントに相談すると、実績や業務経験、年齢などの複数の要素から市場価値を判断してもらえます。求人事務所・企業からの話やこれまでの転職支援の経験から何が市場価値を左右するのか、年収の相場はどのくらいかを把握しているので、確度の高い判断ができるでしょう。
市場価値が分かることで、今の年収が適正なのかの判断もできます。相場よりも年収が低く、経験に見合った年収を得ていないのであれば、転職して年収を上げられる可能性が高いです。反対に実績や経験以上の年収を得ているのであれば、年収を上げるための転職は思いとどまったほうがよい場合があります。
年収が上がる転職先を紹介してもらえる
エージェントは年収やその他の条件など求職者の希望を聞いたうえで、マッチする求人があれば紹介するサービスです。求職者の実績や経験と照らして、正当に評価される求人を探し出してくれます。
ただし、あくまでも希望年収に見合った実績や経験を保有していることが前提です。希望年収がそのまま通るわけではない点は覚えておきましょう。
第三者の立場で年収交渉をしてもらえる
エージェントから紹介された応募先で無事内定を獲得すると、年収などの条件交渉に入ります。条件交渉は弁護士自身が行うこともできますが、自分で自分の価値を示す必要があるため、客観性には欠けてしまいます。
この点、エージェントに相談すれば客観的な第三者の立場から内定先との条件交渉をしてくれる場合があるので、内定者の価値が伝わりやすくなります。年収も上がる可能性があるため一度相談してみるとよいでしょう。
年収を上げたい勤務弁護士が利用するべき転職エージェントおすすめ3選
最後に、年収アップを目指す勤務弁護士におすすめの転職エージェントを3社紹介します。
NO-LIMIT(ノーリミット)|年収1000万円以上の求人多数・弁護士特化エージェント
公式サイト:https://no-limit.careers/
弁護士特化型の転職エージェントNO-LIMIT(ノーリミット)は弁護士の転職を専門に扱う転職エージェントです。
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弁護士転職.jp|豊富な求人数・老舗の転職エージェント
弁護士転職.jp(株式会社C&Rリーガル・エージェンシー社)は弁護士・法務職の転職に特化した転職サイトです。
司法試験制度改革後に新たな弁護士が誕生した2007年から法曹業界で転職支援を行ってきた実績があり、弁護士特化型のエージェントの中では老舗の部類に入ります。
経験年数が少ない弁護士向け求人と、経験豊富な弁護士向け求人のどちらも扱っているため、幅広いタイプの弁護士にマッチする可能性があります。
弁護士転職.jpは直接応募する求人サイトとしての側面と、サポートを受けながら非公開求人に応募する転職エージェントとしての側面があります。自分の希望に合わせて転職活動を進められるのもメリットでしょう。
豊富な公開求人を保有。検索機能が見つかりやすい。地方の求人やインハウス求人は少なめ。
公式サイト:https://www.bengoshitenshoku.jp/
弁護士ドットコムキャリア|弁護士ドットコム運営の転職エージェント
弁護士ドットコムキャリアは弁護士や企業の法務職に特化した転職エージェントです。弁護士相談ポータルサイト「弁護士ドットコム」が運営しているため、弁護士業界に詳しいコンサルタントのサポートを受けることができます。
業界内での知名度が高いこと、弁護士ドットコムの運営で築いたネットワークがあることにより、独自案件を多数保有しているのが特徴です。高年収やキャリアアップが叶う求人が多いと求人の質に定評があります。
大手法律事務所やそのほかの法律事務所、一般企業の求人を扱っていますが、意外にも企業の案件の方が多いため企業内弁護士を希望する方におすすめです。
メリット:弁護士業界に詳しいコンサルタント、弁護士ドットコムの運営で築いたネットワークに魅力
デメリット:同じ事務所のものと思われる求人が多数あるため事務所単位の求人数に注意
公式サイト:https://corporate.bengo4.com/
まとめ
勤務弁護士の平均年収は約700万円です。事務所の規模や地域、経験年数などによっても変わるため、自分の年収が適正か知りたい場合は転職エージェントに相談してみましょう。
運営者情報
会社名 |
株式会社アシロ(ASIRO Inc.) 2021年7月20日 東証グロース上場(7378) |
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URL | https://asiro.co.jp/ |
本社所在地 |
160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング4F |
法人番号 | 9011101076787 |
設立日 | 2009年11月 |
代表者(代表取締役社長) | 中山博登 |
主な事業内容 | HR事業、インターネットメディア事業(リーガルメディア、派生メディア)、少額短期保険事業 |
許認可 | 有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可 許可番号13-ユ-313782) |
グループ会社 |
株式会社アシロ少額短期保険 株式会社ヒトタス |