イラストレーターのなかには、フリーランスとしての活動を希望する方もいるでしょう。

しかし、フリーランスでの活動には多くの不安要素が出てきます。

本記事では、フリーランスイラストレーターとして生活できるのかについて、必要な準備と案件獲得の方法とともに解説します。

フリーランスの手続きなど詳しく知りたい方は、最後までご覧ください。

フリーランスでイラストレーターとして生活するのは難しい

イラストレーターとして、フリーランスで生活するのは簡単ではありません。

現在、副業でイラストレーターの業務を受け持ったり、配偶者の収入で生活しながら同業務に励んだりする人もいるでしょう。

上記の人たちは、本業や配偶者での収入で生計を立てられるといえます。

しかし、フリーランスのイラストレーターを本業にして生活ができる人は、限りなく少ないのが現状です。

イラストレーターとして注目を浴びるには、自分のイラストが多くの人に認められなければいけません。人を魅了するようなイラストが描けないと、注目もされなければ生計も立てられないのです。

シンプルで簡単そうなイラストでも、実際に書き上げるには莫大な時間とセンスが求められます。フリーランスを希望するのであれば、イラストへの絶対的な自信が必要です。

そもそもフリーランスイラストレーターとは？

フリーランスイラストレーターは、簡単にいうとイラストを描く仕事を業務委託する仕事です。

以下で、具体的に解説します。フリーランスイラストレーターに憧れている方は、ぜひ参考にしてください。

フリーランスイラストレーターの仕事内容

イラストレーターは、クライアントの依頼内容に沿ってイラストを制作する人を指します。

おもに制作する対象物としては、Webサイトや雑誌、商品パッケージなどです。なかには、ポスターやゲームのキャラクターのイラストを描く人もいます。

フリーランスとして働く場合は、基本的に企業に勤めるのではなく、個人で活動しなくてはいけません。

次項で詳しく説明しますが、仕事や生活における責任を全て背負わなくてはいけないのです。

近年では、デジタルツールを使用してイラストを描くのが主流になっています。イラストを描くスキルのほか、デジタルを使いこなすスキルや、知識まで求められることが多くなりました。

つまり、今後フリーランスで活動する際は、イラストを描くための十分なスキルが必要です。

フリーランスと会社員のイラストレーターの違い

フリーランスと会社員のイラストレーターには、以下のような違いがあります。

	会社員の場合	フリーランスの場合
契約形態	雇用契約	業務委託契約
働き方	決められた時間内に指定された場所で働く （オフィスなど）	稼働時間と場所は自分で決められる
収入	固定給	依頼ごとの単価
仕事を得る手段	勤め先から直接割り振られる	自分で直接営業をかける

雇用契約の場合、労働基準法や労働契約法などに沿った働き方ができますが、業務委託契約の場合は法律が関連しません。

また、フリーランスの収入は依頼の数や単価に比例するため、稼働量によって毎月の収入が大きく変動します。

フリーランスのイラストレーターになるには？活動を開始するまでの流れ

現在、イラストレーターとして趣味で活動している、または活動経験はなく興味をもっている方もいるでしょう。

以下に、フリーランスのイラストレーターになるための流れとして、学生の場合と社会人の場合で解説します。

学生の場合

フリーランスのイラストレーターになるまでの流れを学生の場合で解説します。

流れとしては、イラストを描いた経験は全くなく、完全に未経験からの設定です。

上記の流れは、高校生を想定して記載しました。

イラストとは無関係の大学に通っている方の場合は、独学で学んだり専門学校に入り直したりする選択肢もあるでしょう。

専門学校は、独学で勉強できる自信のない方におすすめです。プロのもとで学べるので、確かなスキルが身につきます。

社会人の場合

社会人で、フリーランスのイラストレーターになるまでの流れを解説します。

以下の流れは、イラストとは無関係の企業で働いている人という設定です。

上記のように、本業で働く傍らオンラインスクールや独学で勉強する方法もあるでしょう。

ただ、経済的に余裕があり転職を視野に入れている方は、退職して専門学校に入り直してもよいといえます。

フリーランスのイラストレーターとして活動するために準備すべきこと

フリーランスでイラストレーターとして活動する際は、事前に以下の準備をおこなってください。

上記の項目は、フリーランスとイラストレーターの両方にとって重要です。

事前対策をおこなうほど、独立後に大きな活躍が見込めるでしょう。

フリーランスに必要な手続きをおこなう

現在、会社員として勤務している場合、独立してフリーランスになるには複数の手続きが必要です。

おもな手続きとして、以下の項目が挙げられます。

会社員からフリーランスに変わる場合、年末調整がなくなります。納税方法が変わり、確定申告が必要になるため具体的な手続き方法を把握しておきましょう。

また、フリーランスとしての活動を開始する際は、国民年金と健康保険に新しく加入しなくてはいけません。可能な限り、早めに済ませるようにしてください。

イラストを描く

フリーランスでイラストレーターとしての活動を決意した方は、自身でイラストを描いてみましょう。

イラストを披露して、自分の実績をクライアントにアピールするためです。

さまざまなイラストを積極的にアピールするために、できるだけ複数の作品を描くのがおすすめです。

また、イラストには以下のようなテイストが存在します。

自分が興味のある、または得意分野としているイラストを事前に考え、描く予定のイラストのジャンルを決めるとよいでしょう。

ポートフォリオを作成する

複数のイラスト作品を描いたあとは、ポートフォリオを作成しましょう。

ポートフォリオには、卒業したイラスト専門学校や活動歴などを記載して、クライアントに自分のスキルがアピールできる制作物です。

ポートフォリオには、自分で描いたイラストをポートフォリオに添付するのもおすすめです。とくに自信のある作品や、出来栄えのよいイラストを描けばよいでしょう。

コツとして、ポートフォリオは長くなりすぎず、コンパクトに仕上げましょう。多くのスキルや実績をアピールしたいと考える人ほど、多くの内容を詰め込みすぎてしまう傾向にあります。

長いポートフォリオは閲覧者からあまり好まれません。できるだけシンプルに、アピールしたい要素を重点的に記載すればよいのです。

SNSを開設する

SNSを開設するのも、フリーランスの活動をはじめる際に重要です。

現在、SNSやインターネットのような情報通信サービスが普及し、世界中の人たちがSNSをはじめるようになりました。SNSを開設し、自分のアカウントを作成すれば、多くの人から目をとおしてもらえます。

SNSを活用するときは、自身で描いたイラストをできるだけ多く投稿し、自分がもつスキルをアピールするとよいでしょう。

イラストの依頼を検討している人から、メッセージをもらえるかもしれません。

しかし注意点として、SNSは誰もが目をとおせるプラットフォームです。自身が描いたイラストを無断転載されるおそれもあります。イラストを投稿する人は増えていますが、著作権侵害の被害に遭わないよう警戒しておきましょう。

人脈を作る

フリーランスとして活動するのであれば、人脈を作るのも大切です。

個人で仕事をする場合、基本的にひとりで活動する機会が増えます。自分から人とつながる機会を作らないと、貴重な情報を取り逃してしまう可能性もあるのです。

人脈の広げ方として、イラスト関連のイベントに参加したり、開設したSNS同士でつながったりなどが挙げられます。また、専門学校への通学を考えている方は、同級生同士で交流を広げることも可能です。

ただ、近年はSNSやオンラインでのつながりも簡単におこなえるようになりました。直接対面するとなると、移動などに多くの時間が必要になるケースもあります。

また、フリーランスとしての活動も、かなりタイトなスケジュールとなるでしょう。

人脈を広げなくてはと考え、無理に直接会おうとする必要はありません。多くの人と接するときは、オフ会などの参加は月に一度ほどに留め、できるだけSNSを活用してみてください。

フリーランスとしてイラストレーターの仕事を得る方法

フリーランスとしての活動を決意したとしても、仕事を獲得しなければまともに生計を立てられません。

仕事が得られなければ、イラストを描く機会もなくなるでしょう。

フリーランスの活動をはじめた際は、以下の方法で仕事を探してみてください。

依頼を得る方法は多く存在します。今のうちに、全ての方法を網羅しておきましょう。

クラウドソーシングサイトに登録する

フリーランスのイラストレーターが仕事を獲得するには、クラウドソーシングサイトに登録するのがおすすめです。

近年では、フリーランスや副業として働く人のために、数々のクラウドソーシングサイトが誕生しています。

サイト内には、イラストの仕事を依頼する案件も増えているため、活躍の場はたくさん設けられるでしょう。

案件を選ぶ際は、仕事内容を入念にチェックしてください。なかには、安い報酬で莫大な業務を要求する人もいます。

イラストの仕事を探すときは、案件の内容を確認しつつ、クラウドソーシングサイトを調べてみるのも手段のひとつです。

SNSから案件に応募する

イラストレーターをフリーランスでおこなうには、SNSから案件に応募する方法も挙げられます。

近年、クラウドソーシングサイト以外にも、SNSでイラストの案件が募集されているケースが増えていきました。

イラストの仕事を募集している投稿や、アカウントを発見した際は、該当のアカウントにメッセージ機能を使って応募し、自分のスキルをアピールしましょう。

自身が描いたイラストに注目した人が、仕事を依頼してくれるかもしれません。

コンテストに応募する

イラストレーターとして活動の幅を広げたい方は、コンテストに応募するのもひとつの方法です。

現在では、イラストに関する多くのコンテストが開催されています。

コンテストに入賞すると、自身で描いたイラストが商品化されるケースがあるため、イラストが世間に知れ渡る機会を得られます。

また、入賞した作品に注目した企業から、仕事の依頼をもらう場合もあるため可能性を広げられるかもしれません。

自分が描くイラストに自信がある方や、大きなチャンスを掴みたい方は、ぜひイラストコンテストに応募してみてください。

ストックイラストサイトでアピールする

ストックイラストサイトを利用するのも、活動の方法として挙げられます。

ストックイラストサイトは、自分で描いたイラストを有料で販売できるサービスです。

サイト内のイラストを閲覧した企業から、案件を獲得する機会が得られるかもしれません。

ただ、ストックイラストサイトは、自分の作品が購入されるたびに収益が入るシステムです。案件を獲得する方法として活用するより、収入を得るために利用するサービスといえます。

一度販売すれば、その後はなにもしなくても、購入されるたびに収入を得られるところがメリットです。

フリーランスエージェントを利用する

フリーランスでイラストレーターとして活動する際、仕事を獲得できる自信がない方は、エージェントへの登録を検討しましょう。

フリーランスが増加しているのに比例して、近年ではフリーランス向けのエージェントが増えています。

フリーランスエージェントに登録すれば、キャリアアドバイザーによりおすすめの案件を紹介してもらえるためおすすめです。また、案件探しのサポートまでおこなわれます。

エージェント内で取り扱われている案件によっては、イラストレーターの仕事を募集しているものもあります。効率的に案件探しをおこないたい方は、ぜひフリーランスエージェントに登録してみましょう。

【関連記事】イラストレーターにおすすめの転職サイト8選｜選び方や成功のコツも徹底解説

フリーランスのイラストレーターにおすすめのエージェント

フリーランスでイラストレーターの活動を目指している方におすすめのエージェントを紹介します。

エージェントの種類によって、さまざまな特徴が揃っているので、選ぶ基準としてぜひ参考にしてください。

Lancers Agent

Lancers Agentは、Web系やIT系などの案件を多数取り揃えているフリーランスエージェントです。

デザイナー関連の案件も、週4日以上働けるものを多く揃えています。

Lancers Agentは、とくに在宅ワークを希望している方におすすめです。取り扱っている案件のほとんどがリモートワークOKなので、自分にあった働き方が実現しやすくなるでしょう。

参画後の報酬交渉やその他のサポートも積極的におこなっており、利用者満足度も92%を誇っています。

レバテッククリエイター

レバテッククリエイターは、Web業界やゲーム業界など、クリエイター向けの案件を多数取り揃えているエージェントです。デジタルツールを用いたイラストレーターの案件も多く掲載しています。

レバテッククリエイターは、おもにフリーランスや派遣、正社員としての働き方が選択可能です。

なかには、フリーランスになるか迷っている方もいるでしょう。働き方が未定の方のために、「まだ検討中」という選択肢もあります。

契約更新率も90％以上を誇っているため、フリーランスを目指している方にも満足できる案件探しが期待できます。

レバテックフリーランス

レバテックフリーランスは、特別なスキルなどは求めず、自身の経験を必要とする案件を見つけてくれるエージェントです。目立つスキルや実績よりも、企業が求める人材を重視してサポートをおこないます。

希望する単価や経験などを入力し「スカウトを受け取る」に設定しておくだけで、さまざまな案件からオファーが届くスカウト機能も便利です。案件探しをより効率的に、また多くの案件に目をとおす効果が期待できます。

1ヵ月の単価も70万～85万円と、業界トップクラスの高単価案件が揃っているので、ぜひ参考にしてください。

フリーランスイラストレーターに必要なスキル

フリーランスイラストレーターとして活動していくには、以下のようなスキルが求められます。

フリーランスで仕事を獲得する以上、必要なのはスキルだけではありません。

ひとつずつ具体的に解説します。

魅力的なデザインスキル

フリーランスのイラストレーターになるには、人を魅了するデザインスキルが必要です。

自身が手がけたイラストを見た人たちから、「お金をかけてもこの人に描いてもらいたい」と思われなければ依頼されません。

人々の目に留まるイラストを生み出すには、ほかの人には真似できない自分だけのセンスが必要です。

フリーランスは、自分で仕事を獲得しなければ活動できません。個人で活躍したいのであれば、イラストの魅力的なデザインスキルを身につけましょう。

イラスト専用ツールの使用知識

フリーランスイラストレーターになる際、デジタルでイラストを描くには専用ツールを使いこなさなくてはいけません。

筆や鉛筆でイラストを描くのと、デジタルツールを駆使して描くのとではスキルが異なります。

イラスト専用ツールの代表例としては、PhotoshopやIllustrator、Adobe XDなどが挙げられます。

使用可能なデジタル機器は、パソコンやスマートフォンやタブレットなどがおもな代表例です。

どのように使いこなせばうまく描けるのか、どれが自分には合っているのかなどをうまく見極めましょう。

ヒアリング能力

フリーランスイラストレーターとして、十分な活躍を見せるには、ヒアリング力も重要です。

フリーランスは、クライアントに求められたテイストで、イラストを描く必要があります。

しかし、ヒアリング能力がなければクライアントの要望には答えられません。一度仕事を獲得できたとしても、継続が難しくなってしまいます。

フリーランスイラストレーターを試みる方は、相手の要望や意見に柔軟に対応できる、ヒアリング能力を身につけておきましょう。

自己管理能力

イラストレーターに限った話ではありませんが、フリーランスとして働く以上は自己管理能力が必要です。

会社員とは異なり、稼働時間などは決まっていないため、自分でスケジュールを立てる必要があります。

仕事に使う時間を確保するために、きちんと早起きをしたり健康管理を徹底したりなどが挙げられます。

稼働時間や、担当する仕事などを自分で決める以上は、自己管理能力を徹底させましょう。

マーケティング能力

フリーランスイラストレーターは、少なからずマーケティング能力が必要になります。

自分のイラストスキルや魅力を、クライアントにアピールするためです。

十分なアピールができなければ、自分のスキルに興味をもってくれる人はあらわれません。

マーケティング能力が高いほど、イラストをより魅力的にアピールでき、多くのクライアントから仕事を受注されるようになります。

フリーランスイラストレーターに関するよくある質問

フリーランスイラストレーターとしての活動を試みている方に向けて、以下によくある質問を紹介します。

気になる方は、質問内容を参考にしてください。

イラスレーターはフリーランスとして活動している？

企業に勤めている人もいれば、フリーランスとして活動している、または副業として個人で活動している人もいます。

フリーランスに依頼するイラストの相場は？

イラストの種類や担当する人によって異なりますが、2,000～7,000円の価格で描く人もいれば、1万5,000～8万円で描く人もいます。

参考：ココナラ

イラストレーターの年収は？

フリーランスの場合、副業か専業などでも大きく変動するため、一概にはいえません。

また、フリーランスや会社員など、働き方を問わない場合の年収は、466.7万円と言われています。

【参考記事】イラストレーター 職業詳細｜厚生労働省　

まとめ｜フリーランスのイラストレーターになるには入念な準備とスキルが必要

フリーランスイラストレーターとしての活動は、副業や趣味程度におこなうのであれば問題はないでしょう。

しかし、本業としてフリーランスで働く場合、難易度は上がるといえます。イラストレーターは、作品を生み出す仕事である以上、ある程度の才能が必要です。

才能が関わる場合、自分の作品が認められなければ、依頼してくれる人はあらわれません。

イラストレーターをフリーランスで活動したい方は、スキルを身につけるための対策や人脈づくりに励みましょう。人脈が多ければ多いほど、営業の際に案件を獲得しやすくなります。

また、フリーランスとして仕事を獲得するのであれば、エージェントを利用するのも方法です。自分に合った案件を代わりに見つけてきてくれます。

フリーランスエージェントは、効率よく仕事を見つけ、安定した生活を送るためにも効果的です。