検察官(検事)から弁護士に転職する人は多い?検察官・弁護士の違いや弁護士になるメリットを解説

編集者
佐藤達也
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検察官から弁護士への転職
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  • 検察官から弁護士に転職する人は多いのか?
  • 検察官から弁護士に転職するメリットはあるのか?
  • 検察官から弁護士になるにはどうしたらよいのか?

検察官の方で、転職について悩んでいる方は多いのではないでしょうか。検察官のキャリアを活かせる転職先は選別が難しいため、セカンドキャリアの選択に迷う人は少なくないでしょう。

検察官の転職先として、弁護士がよく挙げられます。実際に、検察官から弁護士の転職する人は多いのでしょうか?転職するメリットやデメリットはあるのでしょうか。

本記事では、検察官から弁護士への転職を中心に、検察官のキャリア形成について解説します。

検察官から弁護士に転職した人数や、検察官と弁護士の違い、弁護士になるメリットを解説するので、弁護士への転職を迷っている検察官の方は参考にしてください。

弁護士への転職を決めている検察官の方は、弁護士になるための手続きや、おすすめの転職エージェントを紹介しているので参考にしてください。

目次

検察官が転職を検討する主な3つの理由

検察官が転職を検討する理由として、以下の3つが代表的です。

  • 転勤を減らして生活を安定させたい
  • 出世競争に疲れた
  • ワークライフバランスを確保したい

転勤を減らして生活を安定させたい

検察官は転職が多く、なかなか生活の基盤を構築しづらいのが特徴です。検察官は2年から3年程度で転勤があります。

引越しがともなう転勤の場合は、準備や手続きに多くの手間がかかります。とくに結婚し家庭を築いている場合にはパートナーの転勤や子供の転校など、さらに負担が大きくなるでしょう。

地域が変わるだけでなく、所属先によって業務内容自体が変わることもあるでしょう。

特定のエリアに定住したい、家庭を大切にしたい、キャリアを安定させたいといった理由から、転勤が多い検察官を辞めて転職する人は多くいます。

出世競争に疲れた

出世競争に嫌気がさし、転職をする検察官の方もいます。

検事総長や検事正などのポストは限られており、そのポジションに就ける方は多くありません。そのため苛烈な出世競争が発生します。

年功序列ではなく実力主義な検察官の世界で、優秀な同僚たちのなかで成果を出し続けなければならないプレッシャーに疲れる人も少なくありません。

そもそも検察官になるためには多くの努力が必要で、さらにそこから昇格するための努力と結果を積み重ねるのは簡単ではないでしょう。検察官は高いレベルを常に求められるため、心身ともに疲労がたまりやすい職業です。

仕事のやりがいや報酬よりもストレスフリーな環境を望んで、検察官を辞める人は一定数います。

ワークライフバランスを確保したい

ワークライフバランスがとりづらいのも、検察官が転職を検討する理由の一つです。

検察官の勤務時間は基本的に9時~17時で、土日祝日が休日です。しかし自分が担当する事件の状況にあわせて、土日祝日や深夜まで働いている検察官もいます。

検察官は社会的不正や事件を正すやりがいの大きい仕事ですが、案件対応に振り回されてハードワークになってしまう環境に嫌気がさして転職する検察官も多いのが現状です。

検察官(検事)から弁護士へ転職する人はどれくらい?

日本弁護士連合会によると、2022年度に検察官から弁護士に登録した人数は40人でした。年によって上下しますが、毎年30~50人くらいの検察官が、弁護士に転職しています。

2022年の副検事を除く検察官の定員は1,886人のため、約100人に2人の検察官が弁護士に転職しています。

弁護士の転職支援をおこなうNO-LIMITによると、弁護士への転職を希望して転職支援サービスに登録してくる検察官は、毎年一定人数いるそうです。

検察官は若干閉鎖的な環境に置かれており、法律事務所や事業会社にネットワークがありません。そのため先に転職した検察官や司法修習の同期に相談するか、転職エージェントやスカウトサイトといった転職支援サービスを利用して転職する人が多いようです。

年度(年)検察官から弁護士登録した人数(人)
201733
201836
201937
202049
202149
202240

参照元:年度別弁護士登録者数とその内訳(弁護士登録前の職業と資格取得事由)|日本弁護士連合会

検察官(検事)と弁護士の違い

検察官と弁護士には、以下3つの違いがあります。

  • 取り扱い分野
  • 公務員であるか否か
  • 将来的に独立できるか否か

具体的な違いを解説します。

取り扱い分野

検察官と弁護士では取り扱う業務の範囲が異なります。

検察官は刑事事件を主に扱い、警察や検察などから犯罪の疑いをかけられ捜査の対象となっている被疑者を、起訴するか否か決定できる権限を持ちます。この権限は、検察官のみに与えられるものです。

提訴に至るまでの調査や分析、起訴処分となった場合は法廷で主張をおこないます。事件や被疑者の行く末を決める、責任重大な役割を担っています。

一方で、弁護士は刑事・民事を問わずあらゆる分野のリーガルサービスを提供します。

刑事事件に特化した事務所も存在しますし、離婚問題に特化・交通事故に特化・企業法務メインなど、法律事務所や弁護士個人によって主軸分野は分かれます。

弁護士が案件を遂行した結果は裁判に限らず、当事者間の話し合いで解決したり、そもそも法的なアドバイスのみで終わるケースもあります。また事件が起こってから対応する検察官とは違い、弁護士はリーガル問題が発生する前の予防策を検討することもあります。

検察官よりも弁護士の方が、案件の性質や解決手段が多岐にわたるのではないでしょうか。

公務員であるか否か

検察官は公務員ですが、弁護士は違います。公務員である検察官が受けられる待遇を、弁護士は享受することができません。

公務員である検察官には、充実した厚生年金や退職金などの制度があります。弁護士も所属先によっては制度が充実していることもありますが、一般的に弁護士は業務委託の形式で仕事をするため、社会保険や福利厚生の対象ではありません。

保険への加入や確定申告などの税金に関する手続きは自分自身でおこなわなければならず、有給休暇という制度もありません。

ちなみに弁護士には以下のような弁護士特有の制度がありますが、費用は自己負担です。

  • 護士国民健康保険組合
  • 弁護士国民年金基金
  • 弁護士協同組合 など

将来的に独立できるか否か

公務員である検察官は、独立することができません。検察官であるまま事業を起こすことは不可能です。検察官が将来的に独立する場合は、検察官の業務とは関係ない事業を起こすしかありません。

弁護士の場合は、独立開業は一般的なキャリアパスです。弁護士としての知識や経験を活かして、法律事務所を開業したりフリーのコンサルタントとして活躍することができるでしょう。社外役員や非常勤の仕事をおこなう弁護士もいます。

ちなみに、1人で事務所を経営する弁護士の数は11,299人にもおよび、事務所に所属する弁護士のうち4分の1が個人経営ということになります。

1人事務所の弁護士は年々増加傾向にあるため、毎年独立する弁護士が増えている可能性があります。

事務所規模2021年(人)2022年(人)2023年:所属弁護士数(人)2023年:割合(%)
1人事務所10,84111,16911,29925.2
2人事務所6,2986,3566,31814.1
3~5人事務所9,7059,5649,54321.2
6~10人事務所5,6485,7235,84613.0
11~20人事務所3,4973,4603,6418.1
21~30人事務所1,4031,5461,4893.3
31~50人事務所1,4791,4401,5253.4
51~100人事務所7541,0241,1192.5
101人以上事務所3,5813,8194,1369.2
合計43,20644,10144,916100
事務所の規模別に見た所属弁護士数の推移

参照元:事務所における弁護士の人数|日本弁護士連合会

検察官(検事)が弁護士に転職する3つのメリット

検察官から弁護士へ転職する主なメリットは、以下の3つです。

  • 仕事を選べる
  • 働き方を調整しやすい
  • 年収の上限がない

仕事を選べる

検察官が弁護士に転職するメリットの1つ目は、仕事を選択できることです。

検察官の与えられた案件を確実にこなし、案件を断ることは基本的にできません。上下関係やルールが厳しい世界のため、上司や組織の方針・指示に従わなければならず、自由度が低い業界です。上の意見と食い違った場合には、自分の意見を曲げたり取り下げなければいけない場面もあるかもしれません。

一方で、弁護士はクライアントや案件を選択できます。興味がある分野を中心に取り扱ったり、自分の考えを軸に案件を進めることとができます。何でもしてよいわけでは決してありませんが、仕事の自由度が高いことは明確です。

また弁護士は働く環境の選択肢も幅広いです。法律事務所のなかでも規模や取り扱い分野は多種多様ですし、独立開業したり事業会社に所属したりと進路は様々です。

弁護士は、検察官よりもあらゆる面で「選択肢が多い」職業かもしれません。

働き方を調整しやすい

弁護士はハードワークな印象が強いですが、実は弁護士業界も働き方改革が進んでおり、労働環境の改善に力を入れている事務所が増えています。

多様性の時代に合わせて働き方にも選択肢が生まれ、リモートワークやフレックスタイム制、時短勤務などの導入が進んでいます。

また所属先の規模や案件の受注件数を調整することで、労働時間を調整しやすいのが弁護士業務の特徴です。ただし常時案件過多で人手不足の事務所では調整が難しいため、融通が利く事務所を選ぶことが大切です。

また、企業内弁護士であればよりワークライフバランスをとりやすいでしょう。弁護士を雇える企業は比較的規模が大きいため、労働環境が整備されています。

弁護士業界では転勤の文化もありません。支店長を任されたり国際事務所で海外転勤が発生したりするケースはありますが、ほとんどの場合は自ら転勤を希望した人が配属されます。

収入の上限がない

弁護士は、検察官よりも稼ぎやすいとされています。

検察官の給与は法律により定められており、上限が存在します。

裁判所が公表したデータによると、検察官のトップである検事総長の年収は1,759.2万円で、これが検察官の最高年収と言えます。ただし検事総長は1人しか任命されないため、到達することが難しいキャリアです。

検察官のなかで構成人数が多い職位は、検事3号~6号です。検事3号の年収は1,158万円、検事6号の年収は760.8万円でした。年収760万円~1,158万円を得ている検察官が多いようです。

数字だけ見ると十分に高収入ですが、職位を上げるまでに必要な成果やワークライフバランスを考えると、十分な報酬ではないと感じつ検察官も多いようです。

職位の1番下は検事20号であるため、6号に到達するまでも長い道のりです。ちなみに検事20号の年収は285.2万円で、決して高いとは言えません。

一方で、弁護士には年収の上限がありません。数億規模で稼げる弁護士も存在します。

検察官の年収相場である年収760万円~1,158万円には、中堅事務所でも数年勤務したら到達できる可能性があります。

また小規模事務所や地方事務所であっても、新卒で年収300万円~500万円と言われています。この時点で検察官の最低年収を上回っているため、検察官が弁護士に転職するタイミングでの大幅な年収ダウンは考えづらいでしょう。

参考:裁判官・検察官の報酬俸給表 (令和5年4月1日現在)|裁判所
参考:検察官在職状況統計表|内閣官房

検察官(検事)が弁護士に転職する3つのデメリット

メリットがある一方で、検察官から弁護士に転職する場合、以下3つのデメリットも存在します。

  • 公務員が受けられる待遇を失う
  • 最初の転職先はあまり選べない
  • 転職直後は年収が下がりやすい

公務員が受けられる待遇を失う

検察官から弁護士に転職した場合、公務員が得られる待遇を全て失います。

たとえば、公務員では以下のような充実した特別休暇が存在します。

  • 公民権行使
  • 官公署出頭
  • ドナー
  • ボランティア
  • 結婚
  • 産前・産後
  • 保育時間
  • パートナーの出産
  • 育児参加
  • 子どもの看護
  • 短期介護
  • 忌引

婚活や介護、葬祭など、ライフイベントに関する多種多様な情報提供やサービスを受けられる協賛組合もあります。さらに職員互助会に加入すれば、各種祝金や医療補助、宿泊・スポーツ施設利用補助などを受けられます。

休暇制度が充実している法律事務所は、少数派です。また弁護士の大半は業務委託契約のため、業界的に福利厚生を導入する文化がありません。

最初の転職先はあまり選べない

検察官は法律の専門家でありながら、ほぼ刑事事件の取り扱い経験しかありません。それ以外の案件には馴染みがなく、即戦力となることは難しいでしょう。

そのため弁護士に転職する際は、まず刑事事件を担当する弁護士として転職するケースがほとんどです。はじめから刑事事件以外のキャリアパスを選択することは、かなり難しいでしょう。

逆に言えば、刑事事件を取り扱う弁護士として元検察官は非常に歓迎されます。むしろ、検察官であることを活かした戦略的なキャリアパスの選択を検討してみてください。

一般民事や企業法務を取り扱いたい場合は、まず刑事事件を中心に弁護士キャリアを始め、そこから少しづつ取り扱い範囲を広げていくことをおすすめします。

転職直後は年収が下がりやすい

検察官と弁護士の仕事は関連性があるものの、実際の業務内容は大きく異なるため、検察官が弁護士に転職した場合は即戦力になれるとは限りません。そのため、現年収より少し下げて転職するケースが多くなっています。

とくにすでに検察官として上級職に就いている場合は、元の年収が高いために下がりやすいです。

また転職直後は成果が出すことが難しいため、すぐに年収を上げることは難しいでしょう。ただし弁護士は案件数や規模が大きくなるほど稼げる職業のため、経験を積んで多くのことを任せられるようになったら年収は自然と上昇します。

中長期的な目線をもたないと、現年収と提示年収との差にがっかりしてしまうかもしれません。

検察官(検事)が弁護士に転職する際に活かせる5つの強み

検察官が弁護士に転職する場合、以下の強みを活かせます。

  • 検察官になった・従事してきた事実
  • 弁護士業務への順応性
  • 検察・捜査機関の考えを把握している
  • 検察官独自のネットワークをもっている
  • 最新の捜査や判例をもとに分析や予測ができる

上記について詳しく解説します。

検察官になった・従事してきた事実

検察官は、超難関な司法試験の上位10%に該当する人にしか就くことのできない職種です。希少な人材で、四大の弁護士と遜色ないポテンシャルがあると判断され、転職市場で高く評価されるケースも少なくありません。

また検察官としての信頼性は、検察官から転職した弁護士の強みの一つです。前職が社会的な不正を正す検察官であったことで、顧客から無条件に信頼してもらえることがあるためです。

事務所によっては顧客獲得のため、前職検察官のいわゆる「ヤメ検」が多く在籍していることを前面に押し出しているところもあります。

弁護士業務への順応性

多種多様な事件を数多く担当してきたことから、どんな案件にもすぐに順応できるキャッチアップの速さも転職する際に活かせる強みです。

検察官は社会的な責任が重く、高いプレッシャーの中で多くの業務を処理しなければなりません。ストレスフルな環境下でも屈せず、業務をこなしてきた経験は弁護士業務でも活きるでしょう。

また検察官のなかには、残業や休日出勤をして多忙な生活を送る方もいます。ハードワークへの耐性が強く、ある程度多忙な事務所でも順応できるでしょう。

検察・捜査機関の考えを把握している

自身が実際に経験してきたからこそ、検察・捜査機関の考えを把握できるのも検察官が弁護士へ転職した際に活かせる強みです。

相手側の考えを高い精度で予測し、それに対応するための行動を取れるでしょう。また、検察や警察と交渉が必要な際にも有利に進められる可能性があります。

検察官独自のネットワークをもっている

検察官独自のネットワークをもっているのも、弁護士に転職する検察官のアピールポイントです。そのネットワーク経由で、事件の背景や経緯など秘匿性が高い情報を効率的に収集できるケースがあります。

また検察官時代の人脈を活用することで、弁護士としてのクライアントを獲得できる可能性もあるでしょう。検察官は被疑者の心理をよく理解しているため、顧客の気持ちを汲み取れるというのも強みです。

実際の捜査や判例をもとに分析や予測ができる

検察官出身の弁護士であれば、検察官時代の捜査や判例をもとに分析や予測が立てられます。分析や予測ができれば、どうすれば勝訴しやすくなるかどのような証拠や証言を出せば有利に働くかがわかるでしょう。

捜査や判例に限らず客観的な立場から分析する視点は、弁護士をするうえで強みとなります。分析をするための情報収集など、地道な作業に対する耐性があることも強みです。

検察官(検事)から弁護士への転職に必要な手続き

検察官から弁護士へ転職するためには、弁護士会への登録が必須です。登録の手順は、以下のとおりです。

  • 戸籍謄本や戸籍抄本など必要書類の取得
  • 入会申込書や誓約書、履歴書などの書類作成
  • 登録料・入会金の振込
  • 書類提出や入会手続き
  • 面接などの審査
  • 入会

弁護士資格を所有していても、弁護士会へ登録しなければ弁護士としての活動ができません。

登録過程の審査で、弁護士会の秩序または信用を害するおそれがある、弁護士の職務を適正にできないなどと判断された場合には、登録を拒否されるケースもあります。

弁護士会への登録は時間がかかる場合もあるため、注意しましょう。転職時期に対して余裕をもって登録を進めておくと安心です。

検察官(検事)から弁護士になる場合の主な転職先

検察官から弁護士になる場合の主な転職先は、以下の4つです。

  • 刑事事件に強い法律事務所
  • 一般民事系の法律事務所
  • 企業法務系の法律事務所
  • 企業内弁護士(インハウスロイヤー)

それぞれ詳しく解説します。

刑事事件に強い法律事務所

主に刑事事件を取り扱う法律事務所は、もっとも検察官の経験やスキルを存分に生かすことができる転職先と言えます。

検察官としての実績をアピールして、転職活動を有利に進められるでしょう。即戦力となれるため、事務所側も検察官の採用に積極的な傾向にあります。

検察官は訴訟の流れや検察官・裁判官・被疑者の思考心理を熟知しているため、弁護士業務だけに従事してきた人材よりも成果を出せる可能性があります。

クライアントも検察官時代と変化がないため、これまで培った人脈や被疑者とのコミュニケーション経験を活かして、顧客獲得につなげることもできるでしょう。

ただし弁護士は被告人を守る立場に立つため、検察官の立場から発想の転換が必要不可欠です。

一般民事系の法律事務所

検察官から弁護士に転職する際の転職先として比較的多いのが、一般民事系の法律事務所です。

一般民事系の法律事務所は、民事や家事、刑事事件など取り扱い分野が幅広いケースが多く、刑事事件を扱いながら民事や家事の経験を積める環境です。

また一般民事系は事務所規模が小さかったり、事務所全体は大型でも支店で組織が細分化されていたりすることが多く、職場に馴染みやすいというメリットもあります。

民事事件自体は検察官として関わることが少なかった分野かと思いますが、元検察官としてのポテンシャルを評価し、採用する法律事務所は少なくありません。

企業法務系の法律事務所

企業法務系の法律事務所へ弁護士として転職する検察官もいます。

企業法務は検察官にとって圧倒的に経験が少ない分野であるため、どうしても転職難易度は上がってしまいます。ただし司法試験で優秀な成績を納めており、かつ20代から30代前半の若手の場合はポテンシャル枠として採用されるケースがあります。

また企業法務系のなかでも元検察官を積極的に雇用している事務所も存在するため、採用傾向をつかめれば難なく転職できる可能性はあります。これは個人で判断することは難しいため、弁護士の知人や司法修習時代の同僚、転職支援サービスを利用するなどして、情報収集をおこなう必要があります。

企業法務系事務所への転職はポテンシャルのアピールが非常に重要になるため、業務内容や事務所が求める人材をよく理解して、自分の経験やスキルが活きるポイントを探して積極的にアピールしましょう。

企業内弁護士(インハウスロイヤー)

少数派ではありますが、検察官から企業内弁護士に転職するのも選択肢の一つです。企業内弁護士とは、企業の社員として雇用される弁護士のことです。

企業の正社員として働くため、法律事務所で働くのと比べて収入が安定しやすくワークライフバランスを確保しやすいのが特徴です。

企業内弁護士は企業法務を中心に取り扱うため、検察官の経歴を活かしづらい傾向にあります。ただし法人を相手にした調査や裁判経験があれば、業務で活かすことができるでしょう。

法務人材としてのポテンシャルは十分に評価されることと思いますが、一般企業での勤務経験がないことが懸念されることはよくあります。組織に順応できることをアピールするため、チームで活動した経験や現場管理の経験、コミュニケーションにおける工夫などをアピールする必要があります。

ただし企業内弁護士を採用する企業数はまだ多くなく求人自体が少ないため、倍率が高くなりがちです。具体的な実績や、司法試験の実績や年齢からポテンシャルをアピールできる状態にないと、転職は難しいでしょう。

検察官から弁護士への転職に強い転職エージェント3選

検察官から弁護士への転職を目指す際は、転職エージェントを利用するのがおすすめです。

転職エージェントは、数多くの求職者の悩みや希望を聞き、転職支援をおこなってきたノウハウを保有しています。上手に活用すれば転職の成功率が高まるでしょう。

検察官から弁護士への転職に強い転職エージェント3社を紹介します。

NO-LIMIT

NO-LIMIT
NO-LIMIT

NO-LIMITは、法曹人材の転職を専門に扱う転職エージェントです。

「弁護士の転職」と記載がありますが、検察官や裁判官から弁護士への転職支援もおこなっています。検察官の転職支援実績があるキャリアアドバイザーが、検察官のキャリアを活かせる求人を紹介してくれます。

もともと法律事務所の集客支援サービスから派生した人材紹介業のため、ほかにないNO-LIMIT独自の求人を紹介してもらえる可能性があります。

また紹介先の内情に詳しいため、選考で注意すべきポイントを事前に教えてくれたり、経営状況が悪い事務所や風通しの悪い事務所を排除して優良求人だけを紹介してくれたりします。

書類作成・面接対策から内定後の条件交渉まで、手厚いサポートがすべて無料で受けられます。登録して損はないサービスのため、ぜひ試してみてください。

公式サイト:https://no-limit.careers/

リーガルジョブボード

リーガルジョブボード

リーガルジョブボードは、弁護士に特化した転職エージェントです。弁護士資格保有者を対象としたサービスのため、検察官の転職支援も可能です。

職種特化のアドバイザーが転職をサポートしてくれるエージェントサービスのほか、採用担当者と直接連絡が取れるダイレクトリクルーティングサービスも利用できます。

求人数が豊富で最短即日で求人を紹介してもらえるため、スピード感をもって転職活動を進めたい人におすすめです。

公式サイト:https://legal-job-board.com/

弁護士転職.jp

弁護士転職.jp

弁護士転職.jpは、弁護士専門で16年以上の実績がある転職支援サービスです。公式サイト上で詳細な求人情報を掲載しているため、検察官向きの求人があるかどうかを事前にチェックできます。

求人に直接応募もできますが転職エージェントサービスも備わっているため、転職活動に不安や悩みがある人はエージェントサービスの利用がおすすめです。老舗ならではのノウハウを活かした転職サポートを受けられます。

公式サイト:https://www.bengoshitenshoku.jp/

まとめ

転勤がない・稼げるといったメリットを感じて、弁護士の転職する検察官が多くいます。

検察官から弁護士への転職は、登録手続きが必須で、かつ転職先の選定や選考対策が重要です。転職経験者を頼ったり、検察官の転職支援実績がある転職エージェントを利用して、転職の成功確率を高めましょう。

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佐藤 達也

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