法務が転職して年収アップにつながるパターンと市場価値が高い人の特長

編集者
佐藤達也
【キャリアアドバイザー】国弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。
法務の転職で年収アップ
本記事は転職エージェント公式サービス(ビズリーチ・マイナビ・リクルート等)のプロモーションを含みます。
ただし、当サイト内のランキングや商品(商材)の評価は、当社の調査やユーザーの口コミ収集等を考慮して作成しており、提携企業の商品(商材)を根拠なくPRするものではありません。
有料職業紹介許可番号:13-ユ-313782)の厚生労働大臣許可を受けている株式会社アシロが作成しています。

企業を取り巻く環境がめまぐるしく変化する昨今、法務に求める役割が多様化しており、その重要性は増すばかりです。

法務人材のニーズが高い今、年収を上げるには転職がひとつの有効な選択肢となります。ただし、やみくもに転職しても年収は上がりません。

法務が転職して年収を上げるには、いくつかおさえるべきポイントがあります。

本記事では法務の年収と転職をテーマに、年収が上がりやすいパターンや人材の特長、業務の種類などについて解説します。

目次

法務の年収相場

自分の年収が市場平均から見てどのくらいに位置しているのかを知るために、まずは法務の年収相場を確認してみましょう。

法務の平均年収は約500万円

求人サイトや転職エージェントに掲載された求人情報を見ると、法務の平均年収はだいたい400万~600万の幅で提示されているので、年収500万円が目安となります。

ただし、法務の場合は年代ごとの年収差が比較的大きいので、年代別の年収も確認する必要があります。

法務の年代別平均年収

法務の年代別平均年収は、以下のとおりです。

  • 20代前半:376万円
  • 20代後半:474万円
  • 30代:577万円
  • 40代以上:785万円

20代までは500万円を下回りますが、経験年数を重ねた30代以降で平均年収近くに到達します。40代以上は役職に就くケースが増えるため、年収も800万円近くという高水準です。

ほかのコーポレート部門との年収比較

法務は自社の根幹となる機能全体の企画やオペレーションを担うコーポレート部門のひとつです。コーポレート部門にはほかに経理や総務、人事や経営企画などがあります。

法務はコーポレート部門の中でもとくに専門性が高い部署だといわれており、ほかの部署と比べて年収水準が高くなっています。

以下、ほかのコーポレート部門との年収比較です。

  • 総務:436万円
  • 経理:464万円
  • 財務:518万円
  • 人事:517万円
  • 経営企画:596万円

この中で唯一法務よりも平均年収が高いのが経営企画ですが、法務の平均は587万円なのでそれほど大きな差はありません。

なお経営企画については企業のブレーン的な役割を担う職種であり、ビジネス全般や会計等の知識・スキルについて高い水準が必要とされるため、一般的に年収水準が高めです。

※参考:法務の年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)|転職会議
※参考:年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)|転職会議

法務が年収を上げるには転職が効果的

法務が年収を上げるためには、転職するのが効果的です。その理由を以下で説明します。

法務は昇進による給与アップを狙いづらい

一般的に、年収を上げるには自社で昇進するのが王道の方法です。

昇進することで基本給が上がるとともに、役職手当もついて年収が上がる可能性が高いでしょう。実際、法務職の中でも年収が高いひとは役職者が中心なので、法務部の課長や部長へと昇進できれば年収も順調に上がっていきます。

しかし法務の場合、昇進による給与アップは簡単ではありません。その理由のひとつは、法務が専門職であることです。

日本の大手企業では、ゼネラリストとして各部署異動を経て昇進していくケースがみられます。一方で法務は専門性が高く代替がきかないため、異動はそれほど多くありません。

また法務は少数精鋭で組織が構成されているため、ポスト自体が少なく昇進難易度が高くなります。

法務の需要が増大し続けている

日本では1980年代以降M&Aが増加の一途をたどっており、近年のM&A市場も活発です。自社が戦略的に買収するだけでなく、買収への防衛という点でも法務が果たす役割は高まりを見せています。

企業ガバナンスやコンプライアンスに関する法務の社会的要請が増えている背景も加わり、業界業種に関わらず法務の需要は増大し続けています。

法務は外部の法律事務所に委託することもできますが、法務の役割が多様化しているため、法律事務所にすべてを任せると膨大なコストがかかります。

そのため、優秀な法務人材を獲得しで内製化したいというのが企業の本音です。

法務人材少ないため年収交渉がしやすい

法務人材の重要性が増すのとは裏腹に法務人材は市場になかなか出回らないため、企業側は採用に苦戦しています。

これまでは法務専門の人材がいる企業は市場全体で見れば決して多くはなかったため、経験豊富な法務人材が不足しています。法務に力を入れている大企業や上場企業は待遇や働く環境が整備されているため、離職率が低くなっています。

つまり、もともと法務経験者が少ないうえに辞める人も少ないため、市場に優秀な法務人材が出てこないわけです。

これは法務経験者から見ると、かなり有利な条件での転職が可能ということを意味しています。法務経験が応募先が求める要件に合致していれば、企業側の採用熱も上がるため、年収交渉の余地があるでしょう。

年収アップを希望するなら、戦略的に転職を選択しましょう。

年収が上がりやすい法務の転職先パターン

法務で年収アップを目指すなら転職は有効ですが、どんな転職でも必ず年収が上がるわけではありません。確実に年収アップを狙うなら、以下のような転職先を選択しましょう。

年収水準が高い業界

王道ですが、法務の年収水準が高い業界への転職は年収アップが期待できるでしょう。

年収水準は業界によって大きく異なります。仮にまったく同じ知識やスキルがある同年齢の人を比較したときでも、A業界とB業界で年収が違うということはよくあることです。

法務の年収水準が高い業界の代表例は、メーカーや金融機関、製薬業界です。

メーカーの場合、知的財産・特許に関連する法務業務は自社の利益に直結する重要業務なので年収水準が高くなっています。

金融機関や製薬業界は業界独特の法律や判例、商慣習等を扱うため法務業務の専門性および難易度が高く、年収も総じて高めです。

ただしこれらの業界は求職者からの人気が高く応募要件の水準が高いため、転職難易度は上がります。

一方、年収水準が低い業界として飲食・サービス業界、福祉・介護関連業界などが挙げられます。これらの業界は低賃金が社会問題になるほど、どの職種でも高年収はあまり期待できません。

そもそも法務部が設置されていない可能性もあるため、総務や人事などほかのコーポレート部門と兼任になるケースも想定されます。

業務と収入が見合うかどうかも、チェックポイントとして押さえておきましょう。

規模が大きい企業

規模が大きい企業への転職も、年収が上がりやすいパターンのひとつです。

資金力が豊富で企業体力があるので、従業員に支払える給与も高く、企業全体の年収水準が高い傾向があります。雇用の安定性や社会的ステータスなどを理由に求職者からの人気が高いため、転職難易度は上がります。

また一般的に大企業は年齢が若い人を好んで採用する傾向が強いため、年齢によって転職可能性も変わります。

もっとも、法務の場合は求める業務にマッチする経験があれば採用される可能性は十分にあります。むしろ専門性が高い法務分野では、経験年数が長いミドルクラス・ハイクラス層が採用されます。

外資系企業

外資系企業は実力主義・成果主義の評価制度を採用しているケースが多いため、年収は高い傾向にあります。

日系企業の場合、その企業の給与テーブルと経験年数を当てはめて年収を計算するため、若くて優秀な人材でも実力よりも低い給与になってしまうことがあります。

外資系企業の場合は年齢や経験年数にかかわらず、高い成果を出す人材には高い報酬を与えるというのが基本的なスタンスなので、成果に見合った報酬をもらってバリバリ働きたい方にはよい環境です。

語学力はもちろん、高い自己管理能力や主体的に行動できる能力などが求められますが、スピーディーに成果を出せば年収は上がりやすいでしょう。

ただし法務などバックオフィスの昇給スピードだけ低いケースも考えられるため、全社的な年収傾向ではなく法務人材の年収傾向をチェックするようにしましょう。

法務の立ち上げ担当

これまでは法務部があるのは大企業に限られていましたが、最近では中小企業で法務を立ち上げるケースが増えています。

近年はコンプライアンス意識や消費者意識の高まりなどを背景に企業の経営を取り巻く環境が大きく変化しており、経営リスクが増加しています。

中小企業では法務体制が未整備であるがゆえに法的トラブルが発生した場合の経営に与える影響は大企業・上場企業の比ではなく、リスクに備えるために法務体制の整備を急ぐ中小企業が増えているのです。

また、上場を目指すスタートアップ・ベンチャー企業においても法務の立ち上げに関わるポジションが増えています。上場にあたり法務・コンプライアンス体制や規定を整備する必要があること、前例のないビジネスを軸とするため法的リスクの検討が重要事項であることなどが理由です。

立ち上げポジションの場合は業務の量も範囲も膨大でハードワークになることが予想されますが、部門立ち上げとIPOを経験すると法務人材としての市場価値を大きく高められるでしょう。

転職で年収が上がりやすい法務人材の特徴

ここからは個々の人材に焦点をあて、年収を上げやすいタイプの特徴を紹介します。

業界やビジネスに関する理解が深い

従来、法務の役割といえば臨床法務や予防法務が主でした。しかし、昨今は会社の経営を積極的にサポートする戦略法務としての役割が強く求められるようになっており、法務が経営戦略の一翼を担う企業が増えています。このことから、ビジネスに関する理解が深い法務人材が求められています。

たとえば近年はリーガルテックやフィンテックなどITに関するサービスを展開する企業が増えているため、ITリテラシーが高い人やテクノロジー関係の専門知識が豊富な人は活躍の場があるでしょう。

最新技術に関する知見が深いほど、法務の活躍の場が広がると言っても過言ではありません。

実務レベルでの英語力がある

法務が重宝される大企業や外資系企業などではグローバル領域でビジネスを展開しているケースが多いため、国際法務の知見と英語力が求められます。

求められる英語力のレベルは企業によって異なりますが、英文契約書を読めること、会議を英語でできることなどビジネスレベルの英語力が必要なケースが多いでしょう。

会計の知見がある

法律知識にとどまらず、会計の知見がある法務人材も評価が高まるため年収も上がる可能性があります。

たとえば法務の主要業務である契約法務について、契約書の内容が法的に問題ないかをチェックするだけでなく、会計的な観点から自社の利益を最大化できる内容であるのかまで考えられる法務人材は重宝されるでしょう。

またM&A業務についても、資料を読んだり弁護士・会計士等の専門家とやり取りしたりする際に会計の知見が役立ちます。

弁護士資格を持っている

日系企業で法務人員として働くのに弁護士資格は必ずしも求められません。弁護士を対象とした求人でない限り、資格がなくても転職は十分に可能です。

ただし弁護士資格があれば知識やスキルの客観的証明・信頼度が高いため、一気に市場価値が上がるのは確かです。応募できる求人も増えるため高年収の求人に巡り会いやすいでしょう。

また外資系企業では、日本の弁護士資格保有者の評価が高いことはよくあります。これは、海外では法務人材が弁護士資格を持っているケースが多いことと関係しています。

マネジメント経験がある

法務は経験者が少ないうえにポストも少ないため、マネジメント経験がある人材は希少性が高いです。

自社で適切な人材がいない場合はマネジメントポジションを外部から採用するケースも多く、その場合は相応の年収が用意されます。

現職で法務課長や法務部長等の役職が就いていなくても、部下のマネジメントを経験している場合は管理職候補としての採用可能性がありますので、経験をアピールしましょう。

市場価値が高い法務の種類

次に、法務の業務に焦点をあて、市場価値が高い業務の種類を紹介します。以下のような業務を経験して市場価値を高めておくことで、転職するときの年収アップに期待できます。

知的財産権・特許権

知財領域に精通した法務人材は市場価値が高いため、年収アップが期待できます。弁理士資格を持っている方であればより評価されるでしょう。

企業の場合はメーカー・製造業のほかに著作権が絡む情報通信、音楽業界などでも知財のニーズがあります。知財分野では、数は少ないながらも特許事務所や大学などの教育現場の求人も存在します。

国際法務

人口減少・少子高齢化の影響もあり国内市場の成長が頭打ちにある中、各企業は生き残りをかけてグローバルビジネスに注力しています。

現地の法律や商慣習、法的手続きに精通した人材は非常に価値が高いです。語学力に限らず、法務面での国際性も意識してみましょう。

M&A関連

M&A関連の法務経験がある人材も市場価値が高く、高年収に期待できます。

具体的にはM&Aに関する契約書の作成や投資リスクの調査といった業務経験があると評価の対象になるでしょう。契約書の作成やリスク調査は法務の主要業務のひとつですが、それにM&A関連の知識やスキルを掛け合わせることで市場価値が上がります。

法務の転職で年収アップを目指すなら転職エージェントに相談!

転職を通じて年収アップを実現するには、転職エージェントのサポートが有効です。その理由を解説します。

法務の求人は数が少ない

法務は定着率が高い職種のため、ポジションに空きが出にくい傾向にあります。市場のニーズは高いものの求人は多くないため、自力での転職活動では求人を探す段階で苦戦するでしょう。

転職エージェントに相談すると、職務経歴や保有スキル、求人に対する希望を伝えるだけで求人を紹介してくれます。

求人検索の時間を短縮できるため、現職が忙しい方でも無理なく転職活動ができます。

質が高い非公開求人を紹介してもらえる

高年収や高ポジションの法務求人は、一般公開せずに転職エージェントだけに共有される「非公開求人」として募集されるケースが少なくありません。

非公開求人に応募するには、転職エージェントからの紹介を受ける必要があります。質の高い求人に応募したいなら利用が必須です。

書類添削や面接対策で選考通過率を高められる

提示年収が高い企業ほど選考のハードルが高く求職者からの人気が集中しやすいため、万全の対策をして選考に臨む必要があります。

転職エージェントに相談すると求人探しや面接の日程調整だけでなく、応募書類の添削や面接対策などの選考対策も実施してくれます。

転職のプロのサポートを受けることで、自力で対策するよりも有効な対策をおこなえるため選考通過率を高められます。

年収交渉を依頼できる

内定を獲得した後におこなう年収交渉も、転職エージェントに依頼できます。

自分自身で年収交渉をおこなうこともできますが、客観性がなく交渉スキルもないので、うまく交渉できずに気まずくなって終わる可能性が高いでしょう。

転職エージェントに依頼すると、転職市場を近いした平等な目線で、スキルやキャリアを踏まえて適切な年収になるよう交渉してもらえます。

法務の年収アップを手助けする転職エージェント3選

最後に、法務が転職で活用するべき転職エージェントを紹介します。

NO-LIMIT

NO-LIMIT
公式サイト:https://no-limit.careers/
NO-LIMIT
公式サイト:https://no-limit.careers/

NO-LIMITは、法務経験者や弁護士を専門とする転職エージェントです。在

在籍アドバイザーは法務業界に精通しており、法務のキャリアや業務内容を理解したうえで適切なアドバイス・サポートをしてくれます。

企業の内情や事業の強みなど求人企業の詳細情報をもっているため、ミスマッチのない転職を実現できます。

公式サイト:https://no-limit.careers/

BEET

BEET
公式サイト:https://beet-agent.com/
BEET
公式サイト:https://beet-agent.com/

BEETは、法務などバックオフィス経験者専門の転職エージェントです。

大手企業から法務立ち上げ段階のベンチャー企業まで、幅広く求人紹介が可能です。

職務経歴やスキルによっては、法務マネージャーやCLO候補などハイクラス求人を紹介してもらえることがあります。非公開求人が豊富なので、まずは相談してみましょう。

公式サイト:https://beet-agent.com/

MS-Japan

ms-japan
公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

管理部門と士業に専門特化した転職エージェントです。

上場企業との取引が多いため、大企業・上場企業の法務部へ転職を考えているなら相談しましょう。

求人の半数以上が年収500万円以上、給与交渉も代行してくれます。

公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

まとめ

法務の年収は500万円台が目安ですが、業界や企業規模を変えて転職することで年収は上がる可能性があります。

確実に年収アップを目指すなら、専門スキルの取得や転職エージェントのサポートを受けることがおすすめです。

  • URLcopy
佐藤 達也のアバター
キャリアアドバイザー

佐藤 達也

弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。