弁護士の年収は2,000万円以上?稼げる弁護士の特徴や高年収を得るノウハウ

編集者
佐藤達也
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弁護士 年収2000万円
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弁護士は一般的に高収入というイメージがありますが、実際のところはどうなのでしょうか?

高年収といわれるひとつの目安である年収2,000万円を基準に、弁護士の年収水準や年収2,000万円以上稼ぐ弁護士の割合、高年収弁護士の特徴や年収を左右する要因などを解説します。

あわせて、年収2,000万円以上稼ぐために必要なスキルやノウハウ、注意点も確認しましょう。

目次

弁護士の年収はどのくらい?

まずは弁護士の年収水準や、年収2,000万円以上稼ぐ弁護士の割合などを紹介します。

年収および所得の平均値と中央値

日弁連が10年ごとに実施している「弁護士業務の経済的基盤に関する実態調査」によると、弁護士の年収は平均値が2,558万円、中央値が1,437万円でした(2020年)。所得の平均値は1,119.1万円、中央値は700万円です。

中央値とはデータを並べたときに中央にくる値のことをいい、より実態に近い数値として参考にされる場合があります。

※参考:弁護士白書 2021年版 p.12~14

「年収の平均値が2,558万円」と聞くと、弁護士は年収2,000万円以上稼ぐのが普通だと思われるかもしれませんが、実際には少し異なります弁護士は経費が多くかかるからです。

一般的な会社員の場合、年収は会社から支給される総支給額を指し、所得は年収から給与所得控除額を差し引いた金額を指します。この給与所得控除額というのは個人事業主の経費にあたるものですが、金額は収入に応じて55万~195万円です。

弁護士の場合は個人事業主なので、経費が多く必要です。人件費や広告費などさまざまな経費があるため、会社員の給与所得控除額の比ではありません。そのため年収は所得に置き換えると一般的な会社員の稼ぎとどれくらい違うかイメージしやすいでしょう。

とはいえ、弁護士の所得は平均値が1119.1万円、中央値が700万円です。一般的な会社員と比べると十分に高年収であることは確かです。民間給与実態調査によると、給与所得者の2021年における平均給与は443万円(男性545万円、女性302万円)でした。

※参考:国税庁|令和3年分 民間給与実態調査

年収2,000万円以上稼ぐ弁護士の割合

所得分布を見ると、年収2,000万円未満の弁護士は全体の85.5%を占めており、年収2,000万円以上の割合は14.5%です。

200万円以上500万円未満が19%ともっとも多く、次に500万円以上700万円以上の18.1%、1,000 万円以上 1,500 万円未満の16.8%と続きます。

このデータから、弁護士の中でも年収2,000万円以上稼ぐ人はそれほど多くないことが分かります。

※参考:弁護士白書 2021年版 p.14

働き方別の弁護士の年収

弁護士の働き方は主に、法律事務所で勤務する場合と自身で開業する場合、一般企業のインハウスとして働く場合の3パターンに分かれます。

働き方によって弁護士の年収は大きく異なるため、働き方別の年収目安も確認しましょう。

法律事務所の勤務弁護士

法律事務所で勤務する弁護士のうち、アソシエイト弁護士の年収は400万~600万円が目安です。ただしこれは中小法律事務所の場合で、四大法律事務所を中心とする大手法律事務所では1年目から1,000万円以上得られます。

また事務所の共同経営者であるパートナー弁護士になれば、大手で数千万~数億円と、年収は格段に上がります。中小事務所でもパートナー弁護士の年収は1,000万円を超えます。

開業弁護士

開業弁護士の場合、開業年数や営業力など個人差が大きいですが、目安として所得ベースで1,000万円程度とされています。

弁護士といえどもほとんど収入がないケースもあり、反対に数千万円から数億円を稼ぐ弁護士もいます。

一般企業のインハウスローヤー

日本組織内弁護士協会が公開したアンケート集計結果によると、企業内弁護士の年収(支給総額)は750万~1,000万円未満と答えた人の割合が最も多く、24.5%でした。次が1,000万~1,250万円の20.6%、500万~750万円および1,250万~1,500万円未満がいずれも13.2%です。

年収2,000万円以上と回答した層は全体の15.7%でした。インハウスの場合も年収2,000万円以上稼ぐ弁護士の割合は多くありません。

※参考:日本組織内弁護士協会|企業内弁護士に関するアンケート集計結果(2023年3月実施)

年収2,000万円以上稼ぐ弁護士の特徴

年収2,000万円以上稼ぐ弁護士は主に以下のような特徴をもつ人が多いです。

独立開業している

年収2,000万円以上を稼ぐ弁護士の特徴のひとつは、独立開業していることです。独立開業することで、勤務弁護士のように事務所の方針に左右されることなく、自分の得意分野や興味のある案件を選ぶことができます。

仕事にかける時間や報酬を自由に設定することも可能です。独立開業すれば必ず高年収になるわけではありませんが、努力次第で上限なく稼ぐことができる点は独立開業の利点でしょう。

特に豊富な経験やネットワーク、信頼性を備えた弁護士であれば高い収入を得ることが可能です。

大手法律事務所で働いている

前述のように四大法律事務所では1年目のアソシエイト弁護士であっても1,000万円以上稼ぐことが可能です。シニアアソシエイトになれば2,000万円に到達する人も珍しくありません。

ただし、大手法律事務所は採用基準が厳しく、ハードワークです。そもそも入所できるのか、できたとして長時間労働に耐えられるのかという点は押さえておく必要があります。

パートナー弁護士

法律事務所で働く弁護士の中で特に収入が多いのは共同経営者のパートナー弁護士です。経営の一翼を担うため大きな責任がともないますが、その分やりがいと高年収を手にすることができます。

パートナー弁護士になれるのは一握りの弁護士ですが、法律事務所で働く弁護士の最終キャリアとして、多くの弁護士が目指しています。

東京で働いている

弁護士のニーズは地域ごとに大きな違いがあるため、弁護士の年収も働く地域によって異なります。

特に高年収を稼ぐ弁護士は東京に集中する傾向があります。東京は日本の政治・経済・文化の中心地であり、多くの企業や団体が本社を置いているため、東京で働く弁護士は重要な案件や顧客に関わる機会が多くあるためです。

その分競争も激しいため自身のスキルや知識を磨く必要がありますが、東京で働くことは高年収を得るための有利な条件となるでしょう。

個人案件を多く受け持っている

上記のような条件を満たさなくても高年収を稼ぐ弁護士はいます。弁護士は勤務弁護士であっても基本的に個人案件を受任できる事務所が多いため、個人案件を多く受け持てば年収に直結します。

個人案件は売上の何割を事務所に入れるか、経費負担割合はどうかによっても異なりますが、場合によっては開業弁護士よりも稼げることがあります。

弁護士の年収に影響する主な要因

弁護士の年収を左右する要因はさまざまですが、主に以下の要因が影響します。

修習期および経験年数

修習期や経験年数によって年収は変わります。年収2,000万円以上を稼ぐ弁護士の割合が多いのは25~50期の弁護士で、経験年数でいうと15年以上の弁護士が該当します。

※参考:弁護士白書 2021年版 p.13

これは、経験が豊富な弁護士はより難易度の高い案件や重要な顧客を担当することが多く、その分高い報酬を要求できるからです。また、経験が長いほど信頼や評判が高まり、依頼者からの紹介や口コミで仕事が増えることもあるでしょう。

働き方

勤務弁護士なのか開業弁護士なのか企業内弁護士なのか、働き方によって年収は異なります。現時点で思うように稼げていない場合や高年収を目指す場合、自身の働き方を見直すことも検討の余地があるでしょう。

法律事務所や企業の規模

同じ勤務弁護士やインハウスでも、事務所や企業の規模によって年収水準は異なります。もちろん個人事務所でも高年収の弁護士はいるため、必ずしも規模が大きければ有利というわけではありません。

ただ傾向としては、事務所や企業の規模が大きいほど年収水準も高くなることが多いです。

専門分野

専門分野も年収に影響を与えます。一般的に、企業法務や金融法務などのビジネス関連の分野では、高額な報酬を得ることができます。

これは、企業や金融機関などの大型クライアントが多く、案件の規模が大きく難易度が高いためです。また、国際的な取引や紛争に関わることも多く、英語などの語学力や海外の法律知識が必要とされることも関係しています。

一方、刑事事件や離婚事件などの個人関連の分野では、年収は低めになりがちです。これは、個人のクライアントがメインとなり、案件の規模や報酬も低いためです。

もちろん個人の権利や利益を守ることにやりがいを感じる弁護士も多くいるため、年収だけが専門分野を選ぶ基準になるわけではありません

勤務地

一般的に、都市部では法律事務所や企業の需要が高く競争も激しいため、高い報酬が得られる傾向にあります。一方、地方では法律事務所や企業の数が少なく需要も低いため、年収も低めになりがちです。

もっとも、地方では生活費が安く仕事量も少ない場合があるので、ワークライフバランスを重視する人にとっては魅力的な選択肢となるかもしれません。

弁護士不足が深刻な問題となっている地方で働けば社会的貢献度が高いと感じることもできます。

弁護士が年収2,000万円以上稼ぐために必要なスキルやノウハウ

ここからは、年収2,000万円以上を得るためにどんなスキルを備える必要があるのか、有効なノウハウはあるのかといった点を解説します。

地道に弁護士としての実績を積む

まずは弁護士としての実績を積むことが重要です。これにより弁護士としての信頼性や評価が高まり、より高額な報酬を得られるようになります。

自分の知識や経験が豊富になり、より難易度の高い案件にも対応できるようになるでしょう。結果的に年収の向上につながります。

ネットワークや人脈を広げる

弁護士は口コミや紹介で仕事を得られることも多いので、ネットワークや人脈を広げることが大切です。

弁護士はクライアントや同業者、司法関係者など多くの人と関わります。その中で良好な人間関係を築き、信頼や協力を得ることができれば、仕事の依頼や紹介が増える可能性があります。

人脈を広げるためには、同業者や他職種の専門家、地域社会や団体などと積極的に交流し、自分の存在や能力をアピールすることが必要です。

専門分野をもつ

弁護士は多くの法律分野に対応できる必要がありますが、特に需要の高い分野や難易度の高い分野に精通していると、高い報酬を得られる可能性が高まります。

たとえば企業法務や知的財産権、国際法などが専門分野として挙げられます。

自身の考えやスキルを柔軟に変化させる

法律の分野は常に変化し、新しい課題やニーズが生まれるため、社会やビジネスの動向を常に注視する必要があります。そのうえで、自分の考えやスキルを対応させていくことが必要です。

たとえば近年ではデジタル化やグローバル化にともなって知的財産権や国際取引の問題が増えています。これらの問題に対応するには、専門的な知識だけでなく、クライアントのビジネスや業界に関する理解も必要です。

マーケティングの知識やスキルを身につける

高年収を得るには、営業努力や創意工夫が欠かせません。特にマーケティングの知識やスキルは身につけたほうがよいでしょう。

弁護士が自分のサービスや価値を効果的に伝えるためには、マーケティングや広告の活用が有効です。インターネットやSNSなどのオンライン媒体や新聞や雑誌などのオフライン媒体などを使って、専門分野や実績などを広く知らせることで、認知度や信頼度を高めることができます。

ただし、弁護士業界では広告規制があるため、業界独自の規制やルールをしっかりと押さえることが必須です。

勤務弁護士は転職も検討する

法律事務所や企業で働く弁護士なら転職もひとつの選択肢です。事務所や企業の規模、取り扱う分野などが変わることで年収も上がる可能性があります。

転職先を探す際には、自分の希望や条件に合う法律事務所や企業を調べ、応募することが必要です。弁護士の求人情報は情報源が限られており、非公開になっていることも多いので、弁護士に強い転職エージェントを活用することをおすすめします。

弁護士が年収2,000万円以上を目指す際の注意点

年収う2,000万円は決して楽して稼げる水準ではないため、自身の心身への影響は避けられません。年収2,000万円以上を目指す場合は以下の点に注意しましょう。

ストレスや健康管理に気を配る

高収入を得るためには、多くの案件を引き受けたり難易度の高い交渉を行ったりする必要がありますが、それは同時に心身に大きな負担をかけることでもあります。

ストレスが溜まると仕事の効率や質が低下したり、メンタルの不調に陥ったりするリスクが高まります。

そのため弁護士は自分の限界を知り、適度に休息を取ることや趣味や運動などでリフレッシュすることが大切です。

仕事以外の時間も大切にする

弁護士は忙しい仕事ですが、それだけでは継続して高年収を稼ぐことはできません。

仕事だけでなくプライベートや趣味など自分の時間も大切にすることで、ストレスを解消し心身の健康を保つことができます。これにより継続的に高年収を得ることが可能になります。

また、自分の時間を充実させることでモチベーションや創造性も高まり、仕事によい影響を与えます。

常に学び続ける必要がある

法律は常に変化し、新しい判例や法改正に対応する必要があります。そのため、弁護士として高年収を稼ぐためには、継続的に学び続ける姿勢が必要です。

最新の法律情報を入手するだけでなく、自分の専門分野や関心分野について深く学ぶことで、自分の価値を高めることができます。

クライアントの利益や社会正義を守ることを決して忘れない

弁護士は高度な専門知識とスキルをもつ職業なので、努力次第で年収2,000万円以上を稼ぐことは十分に可能です。

ただし、高年収だけを目的とするのではなく、法律家としての倫理観や責任感を持ち、クライアントの権利や利益を最大限に擁護することが求められます。

当たり前のことですが、自分の利益や名声のために不正や不法な行為に手を染めたり、クライアントや法廷を欺いたりすることは許されません。

まとめ

弁護士の年収は所得ベースで平均値が約1,119万円、中央値が700万円です。

年収2,000万円以上稼ぐ弁護士の割合は多くありませんが、大手法律事務所で働く弁護士やパートナー弁護士などを中心に年収2,000万円を優に超える弁護士も存在します。

年収2,000万円以上を目指す場合は、働き方や専門分野などを見直すことも必要です。

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佐藤 達也

弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。