経理の転職でベストなタイミングは?転職しやすい時期と成功のポイントを解説

編集者
佐藤達也
【キャリアアドバイザー】国弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。
経理の転職でベストなタイミングは?
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「新卒で入社した企業に定年退職時期まで勤める」という終身雇用制度に基づく考え方は、少々時代錯誤的かもしれません。現在転職は、さまざまな職種において一般化しているからです。

転職に際しては、適した時期があるとされています。転職を検討するならば、適切なタイミングを見逃さず、現状よりも自分の能力を生かせる企業に転身することが重要です。

この記事では、「経理の転職」に焦点を当て、転職に適したタイミングと転職を成功させるポイント、およびおすすめの転職エージェントについて解説します。

目次

経理の求人が増える時期はいつ?

職種を限定しない場合、一般的に求人数が増加するのは2〜3月、もしくは8〜9月が多い傾向です。しかし、経理の場合は少し異なるため、以下で詳しく解説します。

経理求人が最も多いのは1~2月って本当?

一般的に、経理の求人が最も増加するのは1〜2月といわれています。その理由としては、日本企業の多くが決算期としている3月末から5月末の税務申告までの過程で、即戦力として働ける人材を求めているからです。

そう考えると、1~2月に募集された求人で3~4月に入社するのでは、たとえ経験者でも即戦力となるのは難しいように思われます。業務に慣れるための期間として1~2か月は余裕を持つのであれば、入社時期が1~2月になるのではないでしょうか。

では、実際のところは求人数の変化はどうなっているのでしょうか。

実際に、最も求人が増えているのは3月

厚生労働省が公開している令和4年8月から令和5年7月にの1年間における「一般職業紹介状況」の各「参考統計表」を参照の上で確認してみましょう。

ここで参照するのは、事務的職業のうち「会計事務の職業」における「新規求人(パート含む常用)」数と「有効求人(パート含む常用)」数です。

新規求人数も有効求人数も、最も多いのは令和5年の3月でした。

国税庁の決算期月別法人数をみると、日本企業の決算期は3月に集中しています。つまり、決算期に備えて求人が増えるというよりは、決算期をふまえて人員不足や体制変更があり求人が増加しているのかもしれません。

1~2月については12月と比較すると新規求人・有効求人ともに増加傾向にありますが、1年を通してみると特筆して求人が多い時期とはいえません。

令和4~5年新規求人有効求人決算期月別法人数
8月6,70018,942238,234
9月7,18219,149290,587
10月7,24719,621114,052
11月6,95319,68070,919
12月6,43219,101245,664
1月7,07719,15094,398
2月7,18519,702176,981
3月7,63920,270543,709
4月7,33420,177195,243
5月7,01219,887216,449
6月7,49120,047252,265
7月7,08019,828202,806
令和4~5年の会計事務の職業における新規求人数と有効求人数

※参考:
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和4年8月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和4年9月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和4年10月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和4年11月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和4年12月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和5年1月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和5年2月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和5年3月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和5年4月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和5年5月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和5年6月|厚生労働省
一般職業紹介状況(含パート)全国計|令和5年7月|厚生労働省
決算期月別法人数|国税庁

もちろん、この統計結果はあくまでも直近1年半の結果に過ぎないため、1〜2月頃に経理求人が増加するケースも考えられます。しかし、直近の結果としては、1〜2月に経理の求人が特別増加するわけではない、という点は把握しておいてもよいでしょう。

次いで、株主総会が終わる6~7月

6〜7月も、経理の求人が増加する傾向にあるといわれています。その理由は、株主総会を終えて人員不足を感じたり、業務に余裕ができたため人材確保のための採用活動に時間を割けるタイミングだからです。

最も新規求人数の多かった3月に次いで6月の新規求人数が多く、有効求人数も3番目に多い月でした。直近1年の統計結果を見る限り、6月に経理を含む会計事務の職業の求人数が増加傾向にあります。

経理の求人数は、毎年約20万人以上

直近1年半の統計結果を見ると、経理の求人数が増加する時期は、3月と6月頃であることが分かりました。特に6月頃は狙い目かもしれませんが、今後、景気の上下に伴って変動する場合があります。

なお、平成27年から令和3年における「会計事務の職業」の求人数は、令和2年を除き全て20万件を超えています。つまり、当該期間においては、毎年20万件以上の経理求人が募集されているのです。

事務関連職7種の中では、一般事務、営業・販売関連事務に次いで3番目に多い求人数となっており、経理など会計事務の職業は転職しやすい職種といえます

経理転職のベストなタイミングは?

経理転職においては、「経験者」か「未経験者」かで適切な転職タイミングが異なります。次は、それぞれのケースにおけるベストな転職タイミングについて見てみましょう。

経験者は、繁忙期の1~2か月前後で転職がおすすめ

経理業務で最も忙しい時期は、3月決算の会社であれば株主総会が開催される6月頃、年末調整の時期である12月から1月頃、そして決算期である3月から5月頃とされています。

繁忙期の間は引継ぎ業務に時間が割けず、経理経験者でもまともに業務に関わることができません。また繁忙期に前職を退社するような経理人材は、経理担当者からすると不信感がでてしまいます

したがって、経理経験者におすすめの転職時期としては、決算期など繁忙期の1~2か月前か後が最適といえるのです。

結論としては、3月決算の会社であれば求人数が多い9~11月に転職活動を行って1~2月入社か、6月に自分の決算を終えて7~8月での入社がおすすめです。一般的に12月・6~7月に支給されるボーナスを受け取ってから退社できる、というメリットもあります。

未経験者は、閑散期の8月・11月・2月で転職がおすすめ

経理は経験者採用がほとんどで、未経験の採用は積極的に行っていない企業が大半となっています。採用ハードルが高い経理未経験で採用されるためには、採用活動が活発化している「業務の閑散期」を狙わなければなりません

また、手厚い教育を希望するのであれば、入社後の教育期間も閑散期や研修期間に含まれるように転職を進めなければなりません。

3月決算の会社であれば、決算期の3~5月、株主総会と上期の締めがある6~7月、年末調整や締めがある12~1月のほか、未経験者であれば9月の締めと翌月10月での入社も難しいと考えられます。閑散期は8月・11月・2月と、非常に限定されています。

結論として、未経験者は8~9月に転職活動を行って11月入社、10~11月に転職活動を行って2月入社、1~2月に転職活動を行って新卒と同じ4月入社がおすすめです。

経理未経験で社会人歴も少ない人であれば、新卒といっしょに手厚い研修が受けられるように4月入社がおすすめかもしれません。

経理の転職を成功させるポイント

経理の転職を成功に導くためのポイントは、「応募書類・面接対策」「資格取得」「転職エージェントの利用」の3点です。それぞれの内容について把握し、実行に移すことで採用の可能性は高まるでしょう。

書類や面接など事前対策を必ず行う

選考の第一段階で必要となるのが、応募書類の用意と面接対策です。

中途採用の場合、書類選考のハードルが高いケースが多くなっています。なぜなら、書類に記載されている経歴・スキルで選考可否が判断されるためです。まずはこの難関を突破することが重要です。

面接に関しては、応募書類の内容と面接で話す内容の整合性や、コミュニケーション能力が試されます

応募書類と面接対策で、抑えるべきポイントを解説します。

応募書類は「ミスなく」が大前提

第一に、履歴書・職務経歴書を正しく書き上げることが重要です。

履歴書については、「転職する目的」を明確にし、内容を端的にまとめましょう

転職の目的がスキルアップの場合、「経理における業務の幅を広げる」「経理だけでなく財務やその他の業務について意欲がある」など、どのようにスキルアップしていきたいのかを記載します。

スキルアップよりもワークライフバランスを重視しての転職を希望する場合は、正直に記載しない方が担当者の心象は良くなります。転職理由としては正当ではありますが、企業からすると評価できる転職理由には映らず、場合によっては自己中心的と思われる恐れがあるからです。

転職する本当の理由がワークライフバランスの改善だとしても、「自分が企業に対してどのような利益をもたらせるのか」という点を中心に記載しましょう。

また、履歴書は採用工程における最初の「顔」としての役割を担っていることから、たとえ小さなものでもミスは避けなければなりません。経歴や志望動機が充実していても、細かい点でミスがあると担当者を不安にさせるでしょう。

特に経理業務は確実性が求められる仕事のため、ちょっとしたミスであっても不採用の確率を高める恐れもあります。

一般的に、経理は年数ごとにキャリアアップしていく職種です。そのため、職務経歴を記入していく際は、自身の業務経歴について時系列で記載する「編年体」の形式が適しています。担当者が見やすく、自身も書きやすいのが編年体のメリットです。

面接対策は、ポイントを抑える

面接対策でやるべきこととしては、「求人における業務内容と自身のスキル・経験との合致」「応募先企業の研究」「入社後のキャリアビジョンの明確化」が挙げられます。

まず、企業が求めているのは求人に記載されている業務を遂行できる人材です。任せられる業務を遂行できる能力が自分にあるかを確認し、確実にアピールしましょう

また、応募先企業の企業風土や理念をしっかりと研究することが重要です。仮に採用されたとしても、環境が合わなければ早期の離職になりかねません。企業の公式HPはもちろん、転職サイトの口コミなどもチェックしましょう。

そして、入社後にどのようなキャリアを築いていくのかについても明確にし、口頭で説明できるようにしておくことが必要です。キャリアビジョンについては最終面接の際に聞かれる傾向が多く、企業の求めるビジョンと求職者側のビジョンが食い違ってしまうと、最終面接で落とされてしまう恐れがあります。

企業がどのような人材を求めているのか、企業研究の段階でしっかりと認識しておきましょう。

転職で役立つ資格を取得する

経理の転職で役立つと思われる資格は複数ありますが、その中でも「簿記1級」「FASS検定」「国際会計検定」の3つの資格が代表的です。

1つ目は、「簿記1級」です。非常に専門的かつ高度な会計関連知識を問われる資格のため、取得難易度は高いものの、「経理業務の実績」と「簿記1級資格取得者」という属性を持ち合わせていれば、経理の転職市場では優位に立ち回れるでしょう。

2つ目は、「FASS検定」です。簿記に比べると、より実務に近いスキルが問われる資格となっています。難易度は簿記1級ほどではないため、経理として実績を積んできた方であれば十分取得できるレベルの資格です。この資格を有していれば、経理業務をひととおり遂行できる人材として認めてもらえる可能性があります。

3つ目は、「国際会計検定(BATIC)」です。BATICの有資格者は、日本と海外双方における会計ルールに精通していると見なされます。そのため、外資系企業や海外への転職を検討している場合には有効な資格といえるでしょう。

なお、BATICは2022年の第44回試験をもって終了しており、資格取得ができなくなっています。そのため、BATICの無資格者の方は、勉強をした上で「米国公認会計士(USCPA)」資格の取得に励むのも一つの方法です。

転職エージェントを利用する

経理の転職を行う際は、転職エージェントの利用をおすすめします。理由としては、転職活動全般にわたって支援が受けられるという点だけでなく、非公開求人や企業の内部情報にアクセスできるからです。

特定の転職エージェントにしか共有されていない、「非公開求人」に応募できることで、キャリアの選択肢が広がります。また、企業の内部情報にアクセスできることで、自分自身でおこなう企業研究を簡略化することができます。

転職エージェントを利用することで、より効率的に転職の成功率を上げることができるでしょう。

経理の転職においては、転職のベストな時期やアピールすべきポイントが一般的な職種の転職と異なります。そのため、経理の転職実績が豊富な転職エージェントの利用をおすすめします。

経理におすすめの転職エージェント5選

最後に、経理の転職でおすすめの転職エージェントを5つ紹介します。自分に合ったエージェントに登録し、今後の転職活動に役立てましょう。

BEET-AGENT

BEET-AGENTは、管理部門・バックオフィス系の職種に特化した転職エージェントです。経理を含む管理部門・バックオフィス系職種のみを紹介するエージェントのため、特化型ならではの支援を受けられます。

転職の成功率を高めたい人は、WEB・電話・対面で利用可能な「キャリア面談」を最初に利用することをおすすめします。担当アドバイザーと直接話すことで要望が伝わりやすくなりますし、自分でも気づかなかった定性的なアピールポイントを見つけてもらうことができます。

公式サイト:https://beet-agent.com/

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士

ハイスタ会計士は、監査法人・会計事務所・企業の経理財務部への転職に特化している転職エージェントです。会計士・税理士資格保有者や、科目合格者におすすめの転職エージェントです。

経理の中でも、専門性が高いハイレイヤー向け求人を多く取り扱っています。企業の経理部門だけでなく、会計士としての転職も視野に入れている方にとっては最適なエージェントといえるでしょう。

公式サイト:https://hi-standard.pro/cpa/

MS-Japan

ms-japan

経理を含む管理部門・士業に特化した転職エージェントとして、30年以上の実績を誇るMS-Japanは、求人のうち52%が年収500万円以上で、約2,600社の上場企業と取引実績があります。

また、MS-Japanのみで取り扱っている求人が多いため、自力では見つけられない経理関連求人に出会えるでしょう。

公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

ジャスネットキャリア

会計、税務、経理・財務分野に特化している転職エージェントです。1996年の創業以来、これらの分野に特化して求職者の支援を行っています。

20代〜40代以上それぞれのキャリアステージに合った求人を提案できるだけでなく、取引実績のある企業は上場企業からベンチャー企業まで5,000社にのぼります。経理の転職に際して、さまざまな企業について知っておきたいという方におすすめのエージェントです。

公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/

SYNCA

SYNCAは、管理部門とバックオフィスに特化した転職エージェントです。経理部門の転職において難しいスキルの可視化を実現すべく、市場価値診断機能を備えています。

また、企業から注目されるレジュメ作成や上場企業のCFO経験者による完全監修、およびベンチャー企業から大手企業まで幅広い求人を掲載していることが特徴です。

公式サイト:https://synca.net/

まとめ

経理の転職においては、経験者と未経験者で適切な時期が異なります。経験者であれば、決算期に活躍できるよう決算期の前の時期に、未経験者であれば十分な教育や研修を受けられる繁忙期以外の時期に転職活動を進めるとよいでしょう。

また、転職活動の際は、有資格者であれば積極的にアピールし、自力では限界を感じる場合には転職エージェントを活用することがおすすめです。今回紹介した内容を参考に、あなたの転職活動を有利に進めましょう。

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佐藤 達也

弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。