人事異動で退職できる正当な5つの理由|退職方法や注意点も解説

高橋宇内
編集者
CUS編集部
株式会社アシロ
転職サイトやエージェントは何を選ぶかではなく、『どう使いこなすか』にフォーカスしたWEBメディア。株式会社アシロの転職メディア編集部による、転職エージェントの賢い『使い方』とキャリアアップ実現の方法論を解説。
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部署異動を理由に退職できるのか
人事異動を言われた拒否できるのか

といった疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。

望まない部署への異動を理由に退職を考える方も少なくありません。

そこで本記事では、下記について詳しく解説します。

  • 人事異動が原因で退職はできるのか
  • 人事異動が拒否できる正当な理由
  • 人事異動によって退職するときの注意点
  • 人事異動を理由に退職するための方法
  • 人事異動を拒否して転職するためのポイント

「部署異動をするくらいなら退職したい」「人事異動を理由に退職する方法を知りたい」といった方は、ぜひ最後までご覧ください。

 

この記事の執筆者
高橋宇内
高橋 宇内 氏人事&キャリアドバイザー経験者
採用コンサルタントとして企業の人事を複数担当。転職後キャリアドバイザーとして、新卒・中途の求職者の支援。
目次

【結論】人事異動が原因で退職はできる

結論、人事異動を原因にして退職することはできます

なぜなら、企業を退職する権利は雇用主ではなく、従業員に設けられているからです。

また、民法627条の規定によって、退職日より2週間前に退職届を提出すれば、承認されなくても雇用契約が解約できると定められています。

そのため、部署異動を断って退職できるでしょう。ただし、自己都合で退職すると、退職扱いは「自己都合」になり、受けられる保険手当の内容が異なるため、事前に確認しておきましょう。

原則人事異動は拒否できない

企業には「経営三権」という権利があるため、人事異動は基本的に拒否できません。

経営三権とは「人事権」「業務命令権」「施設管理権」を指し、雇用主が持っている権利です

  • 人事権:使用者が労働者の人事につき処遇を決定できる権利
  • 業務命令権:使用者が労働者に対し、業務に関する事項について命令できる権利
  • 施設管理権:使用者が社内の建物・設備を管理して、侵害されるのを排除する権利

人事異動は、経営三権の「人事権」に分類され、雇用主は労働者に対して解雇や懲戒・配置命令などの権利を持っています。

また、人事異動を正当な理由以外で拒否すると、懲戒処分となり罰金や懲罰が発生する可能性がありますそのため、人事異動を伝えられた場合は、承諾するのが一般的です。

人事異動が拒否できる正当な5つの理由

人事異動が拒否できる正当な理由は下記のとおりです。

  • 給与の減額を伴う異動
  • 育児や介護が困難になる異動
  • 上司からの圧力による異動
  • 雇用契約と異なる職種・エリアへの異動
  • 妊娠・出産・結婚を理由として異動

上記の理由に該当する場合は、人事異動を拒否できます。それぞれ詳しく解説します。

給与の減額を伴う異動

給与の減額に伴う人事異動は、正当な理由として拒否できます。人事異動によって給与が減額されることは、一般的にありません。

基本的に、人事異動に合わせて昇給・昇格となる場合が多くなり、給与が上がるケースがほとんどです。

たとえば、都心から地方に異動するにあたって、異動先の最低賃金に合わせて減額するといった理由で、賃金は減りません。

ただし、従業員がトラブルを起こし、雇用契約上で給与減額にあたる違反をした場合は、給与は下がってしまいます。

もし減額を伴う異動の場合は、勤務先の賃金制度を確認しておくことを推奨します。

人事異動を拒否したい場合は、給与の減額が雇用契約に違反していないか確認するようにしましょう。

育児や介護が困難になる異動

育児や介護が困難になる人事異動も、異動を断れる正当な理由として認められます。育児や介護が困難になる人事異動は、育児・介護休業法26条に触れる可能性があるからです。

企業によっては、人事異動によって好条件を提示する場合もあります。企業から提示された条件によっては、受け入れるのも選択肢のひとつです。

ただし、人事異動によって肉体的・精神的に病んでしまう場合は、育児や介護が困難になると伝えるといいでしょう。ただし、過剰な嘘をついてしまうと、バレたときに企業との関係性が悪くなる可能性もあります。

そのため、人事異動によって育児や介護が困難になることを企業に伝えるのは、実際に該当する場合のみを推奨します。

【参照元】e-Gov 育児・介護休業法第26条

上司からの圧力による異動

上司からの圧力による部署異動も、正当な理由として認められる可能性が高くなります。

上司からのパワハラや嫌がらせで、人事異動を明示されるケースがあります。上司からの圧力で部署異動を拒否できるのは、企業側が合理的な理由を説明できないときです。

たとえば、通勤が困難になるような部署異動や、前置きもなく経験がない業務への異動があげられます。

また、上司からのパワハラや嫌がらせによって部署異動する場合は、慰謝料を請求できる場合もあります。上司から故意的な嫌がらせで部署異動を命じられたときは、法的処置も活用することも検討しましょう。

雇用契約と異なる職種・エリアへの異動

雇用契約と異なる職種・エリアへの人事異動も、正当な理由として拒否できます。

雇用契約書を締結したときに、契約内に勤務する職種やエリアを限定している場合、条件の範囲外で人事異動を命じるのは法律違反です。

仮に雇用契約書の内容で人事異動に関する事項があったとしても、職種・エリアに関する契約が最優先されるため、正当な理由として人事異動を拒否できます。

雇用契約と異なる職種や勤務地への異動を通告された場合は、雇用契約書を見直してみましょう。

妊娠・出産・結婚を理由とした異動

妊娠・出産・結婚も、人事異動を拒否する正当な理由として認められます。

企業の中には、妊娠や出産、結婚を理由に退職させることはできないため、人事異動をさせようとするケースもあるようです。

妊娠や出産、結婚によって異動させるのは、男女雇用機会均等法第9条によって拒否できます。また、妊娠や出産・結婚した女性に対して、退職させるために人事異動を命じるのは、もちろん法律違反です。

このような場合において、企業から人事異動を命じられたときは、法的処置を取りましょう。

【参照元】e-Gov 男女雇用機会均等法 第9条

人事異動によって退職する際の注意点

人事異動を原因に退職を考えている方も多いですが、注意点を理解していないと後悔する可能性があります。事前に以下の注意点を把握しておきましょう。

  • 退職期間を厳守する
  • 退職扱いは自己都合になる

退職期間を厳守する

人事異動を理由に退職するときは、法律で定められている期間に注意する必要があります。法律違反になると、損害賠償請求される可能性があるからです。

企業を退職するときは、民法627条によって退職日より2週間前に退職届を提出し、意思表示をすることが必要だと定められています。

また、企業の就業規則によっては、退職日より1ヶ月前・2か月前と記載されている場合があります。このような場合は、就業規則が優先になるため、雇用契約書を確認することが重要です。

そのため、人事異動を拒否して退職するときは、会社の就業規則を確認し、記載がなれば2週間前に退職の意思表明をするようにしましょう。

【参照元】e-Gov 民法627条

退職扱いは自己都合になる

人事異動を理由に退職する場合、退職が自己都合扱いになります。退職扱いを注意すべき理由は、自己都合と会社都合で受けられる手当の制度が異なるからです。

たとえば、退職したときに申請されるケースが多い失業保険では、下記のような違いがあります。

会社都合 自己都合
(特定理由離職者を除く)
履歴書の記載 会社都合 一身上の都合
受給要件 退職以前1年間で被保険者期間が6ヶ月以上 退職以前2年間で被保険者期間が12カ月以上
支給日 7日経過後 2~3ヶ月+7日経過後
給付日数 90~330 90~150
給付金額(最大) 275万円 125万円

人事異動で退職する場合は、自己都合に該当するため、給付金額が変わることを理解しておきましょう。失業保険以外にも受けられる手当の制度もあるため、詳しくは厚生労働省の雇用保険制度をご覧ください。

【参照元】厚生労働省 雇用保険制度

人事異動を理由に退職する2つの方法

人事異動を拒否して退職する方法は以下の2パターンあります。

  • 自分で退職する意思を伝える
  • 退職代行を利用する

人事異動先に問題があり「絶対に異動したくない」と思っている方は、ぜひ参考にしてください。

自分で退職する意思を伝える

人事異動を理由に退職する方法のひとつとして、自身で退職の意志を伝えることです。

自ら伝えることは一般的な退職方法となりますが、手順を把握しておくとスムーズに進められます。自己申告で退職する手順は下記のとおりです。

  1. 退職届を作成する
  2. 直属の上司に相談・提出する
  3. 会社から承認を得て退職日を決める
  4. 退職届を提出する

退職代行を利用する

人事異動を理由に退職する方法として、退職代行の利用もあげられます

退職代行は、辞めるまでの手続きをすべて行ってくれます。企業に出社しないで退職したいと思っている方にとっては、魅力的なサービスです。

退職代行を利用して退職する流れは下記のとおりです。

  1. 退職代行業者に相談する
  2. 退職代行業者料を支払う
  3. 退職代行業者が会社に連絡する
  4. 業者から連絡があれば退職完了

ただし、退職代行の利用には、メリット・デメリットが存在するため、どちらも理解したうえで検討するのを推奨します。

退職代行を利用するメリット・デメリットは下記のとおりです。

メリット デメリット
l  ゆっくり休職できる
l  転職活動の準備ができる
l  苦手な環境に行かないまま辞められる
l  費用がかかる
l  お世話になった人に挨拶するタイミングが無くなる
l  同じ業界や職種への転職が不利になる可能性がある

部署異動を理由に退職したい方におすすめの退職代行サービス

人事異動を理由に退職したい方は退職代行を利用することをおすすめします。

とくに会社と揉めるのが嫌な方や、自分では断りにくいけど部署異動だけはしたくない方におすすめのサービスです。

退職代行Jobs

退職代行jobs

  • 特徴① 顧問弁護士監修の退職代行サービス
  • 特徴② 労働組合と提携
  • 特徴③ 即日退職も可能

「退職代行Jobs」は、会社と直接やり取りしなくても退職できる退職代行サービスです。

 

弁護士が業務監修し、労働組合と連携しているため、違法性やトラブルの心配はありません。

 

手続きは最短30分で完了し、24時間対応で即日退職も可能です。有給休暇の申請や転職サポートも無料で利用することができます。

 

まずは会社を辞めたいけれど、いずれは転職したい方におすすめの退職代行サービスです。

 

サービス名 退職代行Jobs
運営会社 株式会社アレス
おすすめポイント
  • 弁護士監修のため安心して利用できる
  • 現金後払いや返金保証が充実
  • 無料カウンセリングを利用できる
対応地域
全国
公式サイト

 

退職代行辞めるんです

辞めるんです

  • 特徴① 退職後の支払いでもOK
  • 特徴② 24時間365日LINEで相談できる
  • 特徴③ 雇用形態関係なく利用可能

「退職代行辞めるんです」は、退職したいけれど会社とのやり取りが面倒な人におすすめのサービスです。

弁護士監修のもと、LINEで簡単に相談・申込みができます。

 

料金は一律27,000円で、追加費用は一切かかりません。しかも、業界初の後払い制なので、退職成功後に安心して支払うことができます。

 

退職代行の実績は7,000件以上を誇ります。また正社員・アルバイト・パートなどの雇用形態に関係なく対応可能で、全国どこでも利用できます。

 

有給消化や未払い賃金の交渉も行ってくれるので、安心して任せることができます。

 

サービス名 退職代行辞めるんです
運営会社 LENIS Entertainment株式会社
おすすめポイント
  • 労働組合と提携している
  • 会社と直接連絡することなく退職できる
  • 有給消化や未払い賃金の交渉をしてくれる
対応地域
全国
公式サイト

 

退職代行ガーディアン

ガーディアン

  • 特徴① 顧問弁護士監修の退職代行サービス
  • 特徴② 追加料金一切なし
  • 特徴③ 即日退職可能・出社せず退職可能

「退職代行ガーディアン」は、東京労働経済組合が運営する退職代行サービスです。

 

LINEや電話で簡単に相談でき、即日から出社しなくても退職できます。料金は一律24,800円(税込)で、追加料金はかかりません。

 

合同労働組合が代理人として交渉してくれるので、安心・確実に退職できます。

 

退職が言い出しにくい方や精神的につらい方におすすめです。

 

サービス名 退職代行ガーディアン
運営会社 東京労働経済組合
おすすめポイント
  • 会社や上司と連絡せずに退職可能
  • 有給消化・残業代の請求も代行
  • 電話・LINEで退職まで完結
対応地域
全国
公式サイト

 

人事異動を拒否して転職する時の3つのポイント

人事異動を拒否して退職する方の中には「次の職場はどうしよう」と、転職で悩む方も多いのではないでしょうか。

下記のポイントを押さえておくと、転職活動を成功させる可能性が高まります。

  • 焦らず自分のペースで進める
  • 退職理由は前向きに伝える
  • 1人で活動するのではなく転職エージェントを活用する

焦らず自分のペースで進める

人事異動を拒否して転職する方は、焦らず自分のペースで進めるのがポイントです。

転職先が決まっていない状態で退職する方によくあるのは、焦って転職活動を行い、入社後にミスマッチが起きるケースです。

転職先が決まらないまま退職すると「金銭的な余裕がない」「無職の期間が長いと不利になる」といったデメリットもあります。

焦って転職活動を進めてしまうと、本来の目的を見失って企業選びをしてしまい、早く就職したい一心で入社を決意してしまうケースがあります。

入社後にミスマッチを感じても、すぐ退職するのは困難であるため、慎重に入社を決断する必要があります。このような状況を回避するには、焦らず自分のペースで進めることが重要です。

高橋 宇内氏

会社が嫌で退職したものの、転職先に困る方はたくさんいました。その中でも、納得して転職先を見つけられる方は、焦らず行動を続けた人です。ですので、あなたの将来のためにも、転職先は厳選して選択しましょう。

退職理由は前向きに伝える

人事異動を拒否して転職する方は、退職理由を前向きに伝える必要があります。企業側としては、前向きで努力をしてくれる人材を求めるからです。

面接官からの質問に対しては、正直に答えることを推奨します。

面接官は採用のプロであるため、嘘をつくとバレてしまうでしょう。面接中に嘘をついてしまうと、印象が悪くなってしまうため、採用されない可能性が高まります。

そのため、面接官から退職理由に関する質問があったときは、素直に答える必要があります。

しかし、人事異動を理由に退職すると「印象が下がってしまうかもしれない」と懸念する方も少なくありません。

退職理由を正直に話した後は、転職後の前向きな姿勢や熱意を伝えるのがポイントです。人事異動が退職理由だとしても、前職の経験を活かし貢献できる部分を伝えれば、好印象を持ってもらいやすくなります。

人事異動を拒否して転職する方は、前向きな姿勢や熱意を伝えるようにしましょう。

高橋 宇内氏

転職活動で大切なのは、企業側に自分を雇うメリットを提示することです。自分を採用したらどんなメリットがあるのか、どのような貢献をしてくれるのか、明確に伝えられると採用される確率は向上します。

1人で活動するのではなく転職エージェントを活用する

1人ではなく転職エージェントの活用を推奨します。転職エージェントは、いままでの経験や近年の市場分析から、転職を成功させる方法を網羅しています。

人事異動で退職する方の中には「転職先が見つかるか不安」といった悩みを抱える方も多いはずです。

転職エージェントを活用すると、下記のようなサポートが受けられるため、安心して進められます。

  • 現状のヒアリング
  • 履歴書・職務経歴書の添削
  • 面接選考対策
  • 求人紹介
  • 条件面の交渉

求人紹介以外にも、内定を獲得するまで選考対策のサポートも一貫して行うため、安心して進められます。

人事異動を理由に退職し、転職活動に不安や悩みがある方は、ぜひ転職エージェントを活用してください。

高橋 宇内氏

転職エージェントは、一人ひとりに合った解決策を提供してくれます。本記事では、おすすめの転職エージェントを厳選してご紹介しているので、あなたに合ったサポートが受けられるでしょう。

人事異動で退職する場合においてよくある質問

人事異動で退職する人が気になる質問をまとめましたので、ぜひ参考にしてください。

人事異動で嫌だと思ったらすぐ退職しても大丈夫?

民法627条と就業規則に違反しなければ退職しても問題ありません。法律違反をしてしまうと、損害賠償請求をされる可能性があるので注意しましょう。

部署異動の可能性があると感じたら退職すべき?

部署異動先に問題がある場合は、退職を検討しましょう。異動先の部署で、肉体的・精神的に病んで退職した前例がある場合は、退職してもいいでしょう。

同じ部署の人が退職した後に辞めても問題ない?

退職する権利は従業員側にあるため、問題ありません。

まとめ|人事異動で退職するのは将来を見つめなおすチャンス!

退職する権利は、雇用主ではなく従業員側にあるため、人事異動で退職しても問題ありません

ただし、記事中で解説したように、民法627条と就業規則に違反してしまうと、損害賠償請求をされる可能性があるため、注意が必要です。

また、人事異動で退職すると、ネガティブなイメージを持ってしまう方が多くなります。しかし、人事異動によって退職するのは、自分の将来を見つめなおすチャンスです。

不満を抱えた状態で働き続けても、自身のキャリアビジョンが達成するのは困難です。そのため、人事異動の退職を機に、自身のキャリアステップや将来像を見つめなおすと、達成できる可能性が広がるでしょう。

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