看護師としてキャリアアップを目指す人の中には「看護師はどのような仕事を行うのか」「年収はどれくらいなのか」などの疑問を持っている人も多いでしょう。

看護師長は担う責任が重く苦労が多い役職ではありますが、その分やりがいのある仕事です。看護師長を目指すことで、看護師としてのスキルや技術が向上するのはもちろん、マネジメント能力も伸ばすことができます。

この記事では、看護師長の年収や仕事内容、看護師長に昇進するためにするべきことを紹介します。

看護師長のポジションを目指す人は、この記事を参考に仕事に取り組んでみてはいかがでしょうか。

看護師長の平均年収は600万円〜700万円

看護師長の平均年収は600万円〜700万円が一般的です。日本看護協会の「2021年看護職員実態調査」によると、看護師長クラスの「看護師・中間管理職」の平均税込給与総額は43万4,895円でした。

ボーナスが平均基本給（31万4,454円）の4ヶ月分だとすると、看護師長の平均年収は647万6,556円（平均税込給与総額×12ヶ月＋平均基本給×4ヶ月）ということになります。

ただし、看護師長の年収は地域や病院の規模によって異なるため、一般的には600万円〜700万円が多いと言えます。

看護師長と他の看護師との年収を比較

次に、他の看護師との年収を比較してみましょう。日本看護協会の「2021年看護職員実態調査」によると、「非管理職」の平均税込給与総額は35万6,067円でした。ボーナスが平均基本給（25万7,729円）の4ヶ月分だとすると、非管理職の平均年収は530万3,720円という結果となりました。

看護師長の平均年収である647万6,556円と比較すると、他の看護師との年収差は100万円以上にのぼることがわかります。

看護師長に昇進すると、責任や業務負担が増える分、給与面での待遇も向上するのです。

役職	看護師長	非管理職
平均年収	647万6,556円	530万3,720円

看護師長の役割や仕事内容

看護師長が担う役割や業務内容は、主に以下のとおりです。

ここからは、具体的な役割や業務内容を解説します。

看護師長は看護の最終責任者

看護師長は、部署や病棟における看護の最終責任者です。看護サービスの方針やトラブル対応など、看護部門全体の最終的な判断を下します。

また、部署の代表として他部署の代表と連携を取ることもあります。

現場と看護部長をつなぐパイプ役としても重要な役割を果たすため、広い視野やコミュニケーション能力が求められるでしょう。

看護目標の設定

看護師長は部署全体の看護目標を設定し、達成に向けて働きかけます。

看護目標に対する進捗状況を管理し、必要に応じて改善することで、質の高い看護サービスが実現するのです。

さらに、看護師が働きやすい環境や仕組みを作ることも看護師長の役割です。スタッフの配置調整やインシデント対策、病棟であればベッドコントロールも行います。その他、重要な情報管理などの事務作業も看護師長の仕事です。

看護師の管理

看護師長は、所属する看護スタッフの管理も行います。

シフトの調整や人員配置だけでなく、スタッフそれぞれのスキルや経験に応じた業務分担も担当します。

具体的には、次のようなスキルを考慮して勤務体制を調整します。

看護師はそれぞれの能力にばらつきがあるため、看護師長の采配で質の高い看護サービスを患者に提供しなければなりません。

看護師の教育

新人からベテランまで、すべてのスタッフに対する教育や指導も看護師長の大切な役割です。

それぞれのキャリアに応じた指導や、日常業務で発生した課題について個別にアドバイスを送ることもあります。たとえば、新人看護師には基本的なスキルを指導し、中堅スタッフにはリーダー業務を任せるための教育を行います。

看護サービスの質や患者様の満足度を高めるためには、看護師の育成が大切なポイントとなるでしょう。

勤務表の作成

勤務表の作成も看護師長の業務です。各スタッフのスキルや休暇希望、健康状態などを考慮しながら、看護師が適切に配置されるように勤務表を作成しなければなりません。

シフト管理が不十分な場合、1日あたりの勤務人数が偏ってしまい、満足のいく看護サービスが提供できないおそれがあります。

突発的な状況にも対応できるように柔軟なシフトを組むことも、看護師長に求められるスキルの1つです。

看護師長に向いている人の特徴5選

看護師長に向いている人の特徴には、次の5つが挙げられます。

ここでは、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。

リーダーシップがある

看護師長には、スタッフをまとめる強いリーダーシップが必要です。看護師たちの意見を取りまとめ、目標達成に向けてチームを導くことで、看護サービスの質を高めることができるためです。

たとえば、業務が滞った際に迅速に改善策を講じたり、チーム全体の士気を高めたりする役割が必要です。

看護師長がリーダーシップを取ることで、部署全体の連携が高まり看護サービスの質向上につながります。

コミュニケーション能力がある

看護師長には、高いコミュニケーション能力が求められます。部署内だけでなく、医師や他部署との連携や経営陣との調整など、多方面とのやり取りが必要なためです。

中には、新しい治療方針について医師と協議し、それをスタッフにわかりやすく伝える場面もあるでしょう。また、部下の悩みや意見に耳を傾けて信頼関係を築き、働きやすい環境を整えることも大切です。

相手の立場を尊重しながら自分の意見を的確に伝えることで、看護師長として重要な役割を果たせるでしょう。

向上心がある

向上心のある人は、看護師長として活躍し続けることができます。

管理職には高い知識とスキルが求められるため、新しい医療技術や知識を学び続けることが必要です。

キャリアアップのために資格取得や研修に積極的に参加すれば、自分だけでなく部署全体の成長につながるでしょう。

看護師長に向上心がないと、目標に向かって行動することがないため、部署全体の雰囲気に悪影響を与えてしまいます。

仕事に対するモチベーションを維持し続けるためにも、向上心を高める工夫を取り入れましょう。

豊富な知識と経験を持っている

現場で培った豊富な知識と経験も看護師長に必要な要素です。

スタッフの教育やトラブル対応など責任ある場面で冷静に判断するためには、高い専門性と実績が必要なためです。

また、これまでの経験に基づき入退院時のスケジュール調整を行ったり、医師や他の部署の意見を聞き発言したりする機会もあるでしょう。

豊富な知識と経験は部署内の信頼を得ることもできるため、安定した看護サービスを提供するためにも大切な要素となります。

適材適所を見極める力がある

適材適所を見極める力は、看護師長として欠かせない資質です。それぞれのスタッフの強みや特性を把握し、それに応じた業務配置や役割分担を行うことでチーム全体の業務効率が向上するでしょう。

たとえば、新人看護師には基礎的な業務、中堅看護師にはリーダー業務など、それぞれのスキルやレベルに応じた配置が必要です。

部署の看護サービスやモチベーションを向上させるためにも、看護師長の適材適所を見極めるスキルを身に付けなければなりません。

看護師長に昇進するためにすべき4つのこと

看護師長に昇進するためには、次の4つのポイントを意識しましょう。

ここからは、それぞれを具体的に解説します。

資格を取得する

看護師長を目指すためには、資格が大きな武器になります。資格取得に向けて学ぶことで、専門知識だけでなくリーダーシップやマネジメントスキルも磨かれます。

たとえば、「認定看護管理者」や「専門看護師」の資格は、管理職としての能力を証明するものとして評価されるでしょう。

資格が看護師長に昇進する必須条件ではない場合もありますが、取得しておくことで他の看護師との差別化が図れます。

まず看護主任を目指す

看護師長になるには、まず看護主任としての経験を積みましょう。看護主任は、看護師長の補佐役として部署運営やスタッフ管理に携わるポジションです。

看護主任としての実績を積むことで、マネジメントスキルを磨けるだけでなく、上司からの信頼を得やすくなり、看護師長へ昇進する道が開けます。

早ければ30代前半で看護主任を任せられる場合もあるため、看護師長を目指す人は早い段階から昇進に向けた準備を整えましょう。

看護師として経験を積む

看護師長に昇進するためには、看護師としての豊富な経験が必要です。さまざまな診療科で経験を積んだり、リーダー業務へ積極的に参加したりすると良いでしょう。

看護師としての豊富な経験は、患者への対応能力やスタッフとの連携力向上を高めるだけでなく、部署全体を管理する力につながります。また、現場で培った信頼関係は昇進時の評価にも直結します。

看護師長への昇進を目指すためには、まずは現場で確実に成果を上げることが大切です。

転職エージェントを利用して転職を検討する

現在の職場で看護師への昇進が難しい場合は、転職エージェントを活用して新たな環境でキャリアアップを目指す方法もあります。

転職エージェントは、看護師長候補として募集している求人情報や非公開求人を紹介してくれるため、自分では見つけられないチャンスに出会えるかもしれません。

さらに、転職エージェントは看護師長を目指すためのキャリアプランも提案してくれます。たとえば「看護師長を目指すために◯◯の資格を取得したほうが良い」など、キャリアアップを実現するための具体的なアドバイスが受けられます。

効率的に看護師長への昇進を目指す人は、転職エージェントの利用を検討してみましょう。

看護師長への転職におすすめの転職エージェント3選

ここからは、看護師長への転職を目指す人におすすめの転職エージェントを3つ紹介します。

レバウェル看護

レバウェル看護は、15万件以上の求人数を誇る看護師特化型の転職エージェントです。最大の特徴は、キャリアアドバイザーによる年間4,000回以上の職場訪問を通じて収集した内部情報をもとに、職場環境や人間関係などリアルな情報が知れる点です。

さらに、担当のキャリアアドバイザーから希望条件に合った求人紹介や面接対策、条件交渉まで手厚いサポートが受けられます。また、登録者しか知り得ない非公開求人も多数取り扱っており、なるべく多くの選択肢の中から応募企業を選びたい人におすすめです。

求人情報をLINEやメールで受け取ることも可能です。「自分のペースで転職活動を進めたい」という人は、レバウェル看護の利用を検討してみてください。

看護roo!転職

看護roo!転職は、2025年3月現在で21万件以上の豊富な求人情報を取り扱う転職エージェントです。エージェント経由の応募と直接応募の2種類から選べる仕組みが特徴です。

看護roo!転職では、担当者が希望条件や状況をヒアリングし、利用者に合う求人を紹介してくれます。さらに、登録情報をもとに必要事項を入力するだけで、履歴書が簡単に作成できる点も便利なポイントです。

また、担当者にLINEで気軽に相談することもできます。応募企業ごとの詳細な情報提供や面接対策、条件交渉まで受けられるため、初めて転職する人にもおすすめの転職エージェントです。

看護プロ

看護プロは、関東・東海エリアに特化した看護師向け転職エージェントで、業界最大級の求人情報を取り扱っています。

看護プロの最大の強みは、病院や施設で働いた経験者から収集したリアルな口コミや内部情報を収集している点です。それにより職場の雰囲気や人間関係など求人票では分からない情報を事前に把握でき、ミスマッチを防ぐことができます。

電話相談は平日9時～23時、土日祝11時～19時まで対応しているため、仕事で忙しい看護師も気軽に相談できます。また、産休・育休を取得して復職した経験のあるアドバイザーに相談することもできるため、復職を検討している方も安心して利用できるでしょう。

サービス概要
サービス名	看護プロ
運営会社	株式会社ローザス
公開求人数	9,058件
対応地域	全国
公式サイト	https://www.kango-pro.jp/

まとめ

この記事では、看護師長の年収や仕事内容、向いている人の特徴を紹介しました。看護師長の年収は平均600万円〜700万円で、非管理職ではない看護師と比べると100万円以上の差が出ることもあります。

看護師長は看護の最終責任者として看護目標の設定や看護師の管理、教育など重要な役割を担っています。

また、看護師長への昇進を目指す人は、資格の取得に向けて動いたり、転職エージェントを利用したりするのがおすすめです。

看護師長は、看護サービスの中枢を担う重要なポジションです。看護師としてキャリアアップしたいという人は、この記事を参考にしてぜひ看護師長を目指してみてください。