言語聴覚士(ST)は話す・聞く・食べるなどの問題がある方の機能の回復や維持の支援をおこなう資格です。
ですが、リハビリ医療において重要な役割を担っている職業ではあるものの、仕事の大変さや給料の低さといったさまざまな理由で「辞めたい」と思う方が多くいるのが現状です。
今回は、言語聴覚士を辞めたいと思っている方に向けて、言語聴覚士を辞めたいと思う理由や、転職を成功させる方法などを紹介します。
「言語聴覚士を続ける自信がない…」「言語聴覚士の経験を活かせる仕事はあるのかな…」などの悩みや不安を抱えている方は、ぜひこの記事を参考にしてください。
関連記事:言語聴覚士(ST)におすすめの転職サイト12選を徹底比較
目次
言語聴覚士が少ない理由は?辞めたいと思う理由5選
言語聴覚士を辞めたいと思う理由を5つ紹介します。
言語聴覚士を辞めたいと思っている方は、自分が辞めたい理由を改めて考えてみましょう。
考えや思いを言葉にすることで、自分の悩みを整理することが可能です。
配置されている言語聴覚士の人数が少ない
言語聴覚士は、他のリハビリ職に比べて配置されている人数が少ない傾向にあります。
施設の規模にもよりますが、多くて2〜3人、少なくて1人です。
そのため、患者さんのリハビリといった業務だけでなく、カルテ入力やカンファレンスの参加、その他の事務作業などを1人でやらなければならないケースが多いのです。
専門領域のミスマッチが多々ある
施設によってリハビリ内容は異なり、さらには子ども相手なのか高齢者相手なのかによっても、支援の仕方は変化します。
とくに、発音訓練をしたい言語聴覚士が、嚥下訓練をメインに携わるようになれば、やりがいを感じられず、辞めたいと感じるようになってしまうのです。
介護業務が多い
言語聴覚士は、言語、聴覚、摂食のリハビリだけでなく、介護業務をすることもあります。
具体的に、施設側が言語聴覚士の仕事内容を理解していない、または人手不足などが原因として考えられます。
人間関係が悪くなりやすい
言語聴覚士は、職場の人間関係が悪くなりやすい傾向にあります。
言語聴覚士は、医師・看護師・介護士・作業療法士・学療法士などと連携を取りながら患者さんをサポートする仕事です。
さらに、患者さんやその家族とも関わりを持ちます。
給料が低い
令和4年の民間給与実態統計調査結果によると、給与所得者数の平均給与は458万円です。
しかし、令和5年賃金構造基本統計調査によると、言語聴覚士の給与はこの458万円を下回っています。
また、言語聴覚士は、国家資格であり取得が困難です。
辞めるべきか迷ったらチェック!言語聴覚士に向いている人の特徴
今の業務がきついからといって、すぐに退職してはいけません。
具体的に、業務のやり方や職場を変えることで、今抱いている悩みを解決できるかもしれません。
そのため、本当に自分は言語聴覚士に向いているのかどうか、以下の「言語聴覚士に向いている人の特徴」を参考にチェックしてみてください。
- コミュニケーション能力が高い方
- 観察力や想像力のある
- 根気強さを持つ方
言語聴覚士は、人と接することの多い仕事です。
話すといった機能の改善をサポートする仕事でもあるため、コミュニケーション能力が高い方が向いている仕事といえます。
また、リハビリをするなかで、状態が回復していくこともあれば、思うようにいかないこともあります。
言語聴覚士を辞めたいと思ったときに取るべき行動
「言語聴覚士を辞めたい」と思ったとき、闇雲に行動することでトラブルを引き起こしてしまうおそれがあります。
職場の人に迷惑をかけないためにも、自分自身が心身ともに疲弊してしまわないためにも、以下のポイントを参考に行動してみてください。
同じ職場の人に頼る
仕事の悩みは、状況を理解し、解決へと力を貸してくれる同じ職場の人を頼り、相談するのが一番です。
もし、心許せる仲間がいる場合は、正直にあなたの気持ちを伝えてみると良いでしょう。
また、悩みを相談しづらい先輩しかいない場合は、職種は異なるけれど同じ職場で働いている人など、あなたの仕事ぶりを普段から目にしている人に相談してみるのがおすすめです。
同じ職場に悩みを相談できる人がいない場合は、家族や友人でも構いません。
このように、1人で抱え込まずに頼れる人に自分の気持ちを相談するようにしましょう。
自分の目標や夢を書き出してみる
そこでぜひやっていただきたいのが、自分の目標や夢を書き出してみることです。
言語聴覚士を辞めても転職して仕事を続けなければならない場合であれば、自分の考えや目標をもとに、この先の未来について考える必要があります。
そのため、言語聴覚士を辞めて何をしたいのか、将来どのような人になりたいのか、どのような暮らしをしていきたいのかなど、紙に書き出して自分の思いを客観視してみてください。
長期休暇を取得する
職場に向かおうとするとお腹を壊す、仕事のことを考えるだけで動悸がするなど、精神的にも身体的にもすでにダメージを受けている方は、長期休暇を取得してみてはいかがでしょうか。
土日と抱き合わせて約1週間の休みを取るだけでも良いですし、メンタル不調を理由に休職するのも良いでしょう。
ですが、「いきなり長期休暇を取得しづらい…」という人は、まずは2〜3日休みを取るだけでも、気持ちに余裕が生まれるかもしれません。
言語聴覚士を辞める方法!退職・転職に失敗しない方法とは
言語聴覚士を辞めて働かずに生活できる…なんて人は少ないでしょう。
仕事を辞めたら次の仕事を決める必要があります。
そのため、以下の退職・転職までの流れを参考にして、新しい生活をスタートさせましょう。
辞めたい理由を明確にしよう
言語聴覚士を辞めることを決心したら、いきなり退職を伝えたり転職活動を始めるのはおすすめしません。
というのも、言語聴覚士の何を辛いと感じているのか明らかにしないと、転職しても同じ失敗を繰り返してしまうおそれがあるからです。
仕事内容・職場の人間関係・給料・福利厚生など、言語聴覚士という仕事において何に不満を感じているのか紙に書き出し、次の職場で求めることも一緒に考え、自分の思いを整理してみましょう。
転職活動を徐々にスタートさせよう
まずは、自分が気になる職種や業界の求人情報を、勤務地・給与などの条件付きで検索し、求人量をチェックするのがおすすめです。
そのなかで、応募する前に取得したほうが良い資格や、把握しておくべき業界や職種の情報などが見えてくるでしょう。
このように、「こんなはずではなかった」と失敗しないためにも、焦らず、じっくり探していくのがポイントです。
上司に退職の意思を伝えよう
いくつか応募し、内定をもらった段階で、上司に退職の意思を伝えましょう。
内定をもらう前に退職を伝えると、退職日を決めたものの内定がすぐにもらえず次の就職先が決まらない…なんてことも考えられます。
また、内定が決まっていることで、たとえ引き止められても、退職が先延ばしになってしまうのを避けられるでしょう。
有休消化し手続きや引継ぎをおこなおう
退職が決まったら、有休を消化し、手続きや引継ぎをおこないましょう。
基本は人事部が書類を準備して手続きをおこなってくれますが、企業によっては自分から申し出ないことには必要書類を準備してもらえないこともあるでしょう。
辞めた後はどうすれば?言語聴覚士経験者におすすめの転職先
言語聴覚士におすすめの転職先は、以下の2つです。
転職先の候補がイメージできていない方は、ぜひ参考にしてください。
職場を変えて言語聴覚士として働く
「言語聴覚士の仕事内容は好きだけれど、職場の人間関係が悪くて耐えられない…」
「言語聴覚士として働きたいけれど、今の職場の福利厚生ではこの先何十年も働く自信がない…」
言語聴覚士は幅広い施設で必要とされる職種です。
施設が変われば業務内容や患者さんの年齢も異なるので、のびのびと働けるチャンスを広げられるでしょう。
以下が言語聴覚士が求められる施設です。
- 医療
- 介護
- 福祉
- 学校
- 養成校
- 研究所
異業界・異業種で働く
「言語聴覚士の仕事内容そのものが嫌いになった…」という方は、異業界・異業種への転職を視野に入れましょう。
ただ、勉強して国家資格まで取ったにもかかわらず、言語聴覚士としての経験もスキルも全て無駄にするのはもったいないな…と感じてしまう方もいるのではないでしょうか。
また、営業職や販売職も、言語聴覚士として培ったコミュニケーション能力や想像力を活かせるでしょう。
言語聴覚士からの転職を成功させるコツ
「次の職場では絶対に失敗しない」と思っていても、自分の思い通りにいかないことが多いのが転職です。
少しでもミスを減らし、納得のいく転職にするためにも、以下の言語聴覚士からの転職を成功させるコツにぜひ目を通してください。
市場価値を把握する
転職を成功させるうえで、自分の市場価値の把握は忘れてはいけないポイントです。
また、自分の市場価値を知ることで、その市場価値に見合った企業に応募し、内定をもらいやすくなるでしょう。
自分の市場価値を把握していれば、内定をもらえる可能性の低い企業に応募したり、適正年収と程遠い金額で年収を交渉をしてしまったりするのを防ぐことができます。
転職したい業界を研究する
転職したい業界の研究をするのも、転職を成功させるうえで欠かせません。
とくに、医療・福祉の業界から離れようと思っている方は、念入りに研究しておきましょう。
そのため、以下の媒体で業界情報を収集しましょう。
- 求人情報サイト
- 新聞
- ニュースサイト
- 書籍や雑誌
転職エージェントを活用する
転職活動をおこなう際は、誰かの力を借りるのも重要といえます。
また、転職エージェントによっては履歴書の添削や面接対も練習まで対応してくれる場合もあるため、転職経験が浅い人にとっても安心といえるでしょう。
関連記事:転職エージェントの選び方とは?失敗しない見分け方を徹底紹介!
転職エージェントを活用して転職をスムーズに!
言語聴覚士経験者におすすめの、転職エージェントを3つ紹介します。
PTOTSTワーカー
- 病院や施設などの幅広い施設を紹介してくれる
- LINEで気軽に利用できる
- 20~30代の転職に強い
PTOTSTワーカーは、言語聴覚士・理学療法士・作業療法士への転職に特化した転職エージェントです。
さまざまな施設形態の職を取り扱っており、言語聴覚士としての仕事を続けたいけれど働く場所にこだわりたい方でも、自分の希望に合った企業を選ぶことができます。
求人数が充実しているのが利点で、キャリアアドバイザーから手厚いサポートが受けられるため、安心して転職活動を進めることができます。
20~30代の初めて転職する方や転職経験の少ない方にとっては、うれしいポイントといえるでしょう。
ただ、首都圏や大都市圏の求人が多い傾向にあるため、求人検索をする際の勤務地は要チェックです。
レバウェルリハビリ
- 求人の幅が広い
- 対応が早くスムーズに進められる
- 登録から内定が決まった後までサポートしてくれる
レバレジーズメディカル株式会社の「レバウェルリハビリ」は、IT人材の転職サイトを運営するレバテック株式会社のグループ会社です。
医療・介護業界へのパイプを活かして集めた情報を求職者に教えてくれるので、仕事内容だけでなく制度の利用状況や会社の雰囲気なども応募前にチェックできることも。
また、言語聴覚士・理学療法士・作業療法士に特化しており、求人数はそこまで多くないものの、求人の幅が広いのが特徴です。
言語聴覚士に詳しいキャリアアドバイザーからの専門的なアドバイスももらえるため、経験を活かせるかどうかといった相談が気軽にできます。
対応が早く、できるだけ早く転職したい人にうってつけの転職エージェントといえますね。
マイナビコメディカル
- 日本最大級の転職エージェント「マイナビ」が運営
- キャリアアドバイザーによる充実した転職支援
- 実際に訪問して厳選した求人のみを紹介
マイナビコメディカルは、大手転職エージェントであるマイナビが運営する、医療に特化した転職エージェントです。
数多くの転職希望者を支援してきた株式会社マイナビのノウハウと、業界に特化したアドバイスをもとに、自分に合った転職先を見つけることができます。
キャリアアドバイザーが実際に訪問して現場を確認した求人のみを紹介してもらえるため、安心して転職活動を進めることができます。
また、キャリアアドバイザーが親身になって対応してくれるので、転職を急ぎたい方や転職の進め方が分からない方にとっては、安心できるでしょう。
ただ、「連絡が多い」との口コミがみられるのも事実。
なるべく自分のペースで転職活動を進めたい方は、事前に自分の考えを伝えておくことをおすすめします。
言語聴覚士を辞めたい人のよくある質問
言語聴覚士を辞めたい人のよくある質問を紹介します。
言語聴覚士で病む人は多いですか?
言語聴覚士は、仕事量が多い、配置される人数が少ないゆえに悩みを相談できる同僚が少ないといった理由から、ストレスを抱える人は多い傾向にあります。
そのストレスを誰にも相談できずに出社し続けると、病んでしまう場合があります。
そのため、職場に悩みを相談できる人がいない場合は、家族や友人に話を聞いてもらう、ひとまず休暇を取るなどの対策を取りましょう。
言語聴覚士を辞めるベストなタイミングはいつですか?
言語聴覚士を辞めることを決意したら、新しい職場が決まった後に退職を申し出て辞めるのがベストです。
仕事が嫌だからといきなり辞めてしまうと、次の就職がなかなか決まらない、国民健康保険に切り替える必要があるなど、さまざまな問題が生じてしまいます。
まとめ
今回は、言語聴覚士を辞めたい理由について解説しました。
言語聴覚士は、配置されている言語聴覚士の人数が少ない、専門領域のミスマッチが多々あるなどの理由で辞めたいと思う人が多くいます。
言語聴覚士を辞めたいと思った場合は、まずは辞めたい理由や、次の職場に求める条件などを整理しましょう。
ですが、仕事内容に不満があるわけではない人は、施設を変えて言語聴覚士を続けるのも良いでしょう。
そのため、転職の悩みを抱えている人は、転職エージェントに相談し、自分に合う仕事を紹介してもらうのもおすすめです。