失業保険の給付期間が終わっても再就職先が見つからないケースがあります。

「給付期間の90日が終わったらどうなるの？」
「引き続き受給できる制度はないの？」

などの不安を感じる方もいるでしょう。

結論、失業保険が終了しても条件によっては活用できる制度があります。さらに、他の求職活動を並行して進めることで、より良い条件の再就職先が見つかるかもしれません。

この記事では、失業保険が終わっても再就職が決まらない場合に利用できる制度や、再就職先を見つけるためにどう動くべきなのかを解説します。

失業保険が終了して不安を抱いている方は、本記事を最後まで読んで参考にしてみてください。

事前に読みたい⇒失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業保険の90日が終わったらどうなるのか？

失業保険が給付期間満了により終了した場合、どのように行動すれば良いのかを解説します。

手続きの必要はない

失業保険の給付が終了しても、ハローワークへの連絡や特別な手続きは必要ありません。これまで失業保険を受給するために多くの手続きを行いましたが、給付期間が満了すると受給資格は自動的に消滅します。

失業保険の給付期間が90日の場合、4回目の失業認定日が最後となります。たとえば、1回目の支給額が21日分だった場合の振り分けは以下のとおりです。

失業認定日の回数や給付額の振り分けは給付期間によって変動するため、スケジュールが気になる方はハローワークに確認してみましょう。

受給日数が120日でも手続きはいらない

失業保険の給付期間が、90日ではなく120日やそれ以上の場合でも、期間満了による手続きは不要です。

ただし、90日のケースと同様に最後の失業認定日にもハローワークへ行き失業認定を受けなければ、すべての失業保険を受け取ることはできないので、気を付けましょう。

無職でも罰則はない

失業保険の給付期間が満了した時点で再就職が決まっていなくても罰則はありません。

就職は縁とタイミング、企業との相性が重要になるため、積極的に求職活動をおこなっていた人に対して罰則を課すことはないのです。

しかし、給付期間が満了しても再就職先が決まらないと、収入源がないので生活に困る人がほとんどです。

その場合は、失業保険の給付期間が満了した後でもハローワークを利用し続けることができます。

また、ケースによっては給付終了後も活用できる制度があるため、それを利用しながら求職活動を続けると良いでしょう。

扶養に入る場合は手続きを行う

失業保険の給付が終わった後に、扶養に入ることも一つの手です。扶養に入ることで、国民年金や国民健康保険の保険料の個人負担がなくなるため、経済的な負担が軽くなります。

健康保険の扶養に入るためには、以下の書類を持って住居を管轄している年金事務所もしくは事務センターで手続きを行いましょう。

扶養に入る人によって必要書類が異なる可能性があるため、状況に合わせて関係書類を用意してください。

また、失業保険を受けながら扶養に入ることも可能ですが、年間の収入が130万円を超えないように「雇用保険受給資格者証」に記載されている基本手当日額が、3,612円以下（60歳以上の場合は5,000円以下）でなければいけません。

延長の申請を行える

失業保険の給付期間が満了した場合でも、延長の制度を利用すれば給付期間を延ばすことができます。

ただし、延長の申請を行える制度には受給条件があるため、しっかり把握しておく必要があります。

制度の内容や受給条件は、「失業保険の90日が終わったら活用できる制度4選」で解説しているので、ぜひあわせて参考にしてください。

失業保険の90日が終わったら活用できる制度4選

失業保険を延長できる制度には、以下の4つが挙げられます。

それぞれの制度を詳しく解説します。

個別延長給付

1つ目の制度は個別延長制度です。この制度は、会社都合により退職した人が対象になり、さらに以下の条件に該当する場合に利用できます。

また、個別延長制度は積極的に求職活動をおこなっていることも条件として挙げられます。給付期間が90日の場合は求人への応募が3回、120日の場合は4回など、期間が長くなるにつれて多くの応募が必要になります。

失業保険の給付期間が90日の場合、難病により退職した方は60日分が、災害により退職を余儀なくされた方は120日分が延長されます。

訓練延長給付

訓練延長給付とは、ハローワークによる職業訓練を受けている期間であれば、給付日数を超えて失業保険が受給できる制度です。訓練延長給付を受けるための条件は、以下の4つです。

訓練延長給付では、毎月10万円の職業訓練受講給付金を受給しながら職業訓練を受けることとなります。

ただし、訓練延長給付を受けるためには、ハローワークによる面接や試験などに合格しなければなりません。

「就職に向けて専門知識を習得したい」と考えている方は、訓練延長給付の利用を検討してみましょう。

広域延長給付

広域延長給付とは、災害などの影響により失業者が多く発生した地域を対象に、広範囲で職業の紹介を受ける必要があると認められた方が受けられる制度です。

過去には、東日本大震災や熊本地震で被災した一部の地域で適用されました。この制度では、90日分を限度に失業保険の給付が延長されます。

全国延長給付

最後に紹介する制度は全国延長給付です。この制度は、全国的に失業者が増加し求職の状況が悪くなった際に、失業保険を受けるすべての人に適用されます。

つまり、広域延長給付の全国版にあたる制度です。全国延長給付も、広域延長給付と同様に90日間の給付が延長されます。

早期に再就職できそうであれば就職祝い金を受給しよう

失業保険には就職祝い金という制度があるため、早い段階で再就職が決まった方は活用してみましょう。就職祝い金とは早期就職を促すための制度で、給付金額は、失業保険の給付期間の残日数によって変動します。

このように、早く再就職が決まるほど受け取れる給付金が増える仕組みとなっています。

また、就職祝い金は就職先が派遣社員であっても給付対象になりますが、受給するためにはいくつもの条件が設けられているため誰でも受け取れるわけではありません。

失業保険の受給者の中には「早く再就職が決まってしまうと失業保険を最後まで受け取れないからもったいない」と思う方がいます。

しかし、就職祝い金制度があることで、まとまった資金が手に入り、早い段階で就職先が決まるため、失業者にとってメリットが大きい制度だと言えます。

早く新しい職場で活躍したいと考えている方は、就職祝い金を活用して早期の再就職を目指しましょう。

失業保険の90日が終わっても再就職できない場合

失業保険を受給しながら求職活動を続けても、給付期間内に再就職できないケースがあります。失業保険の受給が終わった後の対処法として、以下が考えられます。

次のステージで早く活躍するためにも、ここで紹介する内容を参考にしてみてください。

継続してハローワークへ通う

90日の失業保険が終了しても再就職が決まらない場合は、引き続きハローワークに通うと良いでしょう。

ハローワークは失業保険を受給している人しか利用できないわけではなく、失業中の人であれば利用することが可能です。

失業保険を受給しながらハローワークに通い続けた方は、ハローワーク職員との関係を深まり自己分析が進んでいます。そのため、これまでの求職活動が無駄にならず、引き続き職員のアドバイスを受けながら求職活動を行えます。

1人で再就職先を見つけるのが難しいと判断した場合は、ハローワークを積極的に利用してみてください。

転職サイトで求人を見つける

次に、転職サイトを利用して求職活動を行う方法です。

転職サイトとは無料で求人情報を得られるサイトのことを指し、ハローワークに登録されていない求人情報も掲載されています。さらに、職務経歴書や履歴書を登録しておくことで企業側からスカウトを受けられるサイトもあります。

転職サイトを有効活用するためには、複数の転職サイトへの登録がおすすめです。

転職サイトには、それぞれのサイトでしか掲載されていない独占求人が掲載されていることが多いので、自身の条件に合った求人情報を見つけるためにも、最低2社以上の転職サイトへ登録しましょう。

ただし、転職サイトは担当者による転職サポートは受けられません。ハローワークの相談支援のように自己分析や面接の受け方のアドバイスはもらえないため、自身でしっかり準備する必要があります。

ハローワーク以外での転職支援やフォローを受けたい場合は、次に紹介する転職エージェントを利用してみましょう。

転職エージェントのサポートを受ける

転職エージェントのサポートを受けながら求職活動を行う方法もおすすめです。

転職エージェントには担当アドバイザーがつき、転職サイトや企業の採用ページに掲載されていない非公開情報を紹介してくれるだけでなく、転職にまつわるさまざまなサポートを行ってくれます。

転職エージェントによるサポートには、主に以下が挙げられます。

転職エージェントをうまく活用するコツは、担当アドバイザーが最適な求人紹介や選考対策ができるように、すべてを正直に話すことです。

転職理由や希望条件などを包み隠さず伝えることで、担当アドバイザーとの信頼関係が構築され、質の良いサポートが受けられるでしょう。

転職エージェントも無料で利用できるため、転職サイトと同様に気軽に登録して活用してみてください。

以下の記事では、人気転職エージェントの比較や選び方について解説しています。どの転職エージェントを利用しようか迷っている方は、あわせてチェックしてみましょう。

関連記事：転職エージェントおすすめ比較ランキング！人気エージェントの選び方を年代・職種別に一覧で解説

まとめ

この記事では、失業保険の給付期間が終わったらどう動くべきなのかや、終了後に活用できる制度を紹介しました。

失業保険の給付期間が終了しても、ハローワークへ特別な手続きを行う必要はありません。ただし、給付期間が延長される制度を利用する場合は、条件を確認して手続きを進める必要があります。

また、失業保険が終了してもハローワークで求職活動を続けることは可能です。加えて転職サイトや転職エージェントに登録することで、良い条件の企業へ再就職できる可能性が高まります。

ここで紹介した失業保険終了後の制度や動き方を参考にして、積極的に求職活動に取り組みましょう。