経理の面接でよくある質問&回答例と面接官からチェックされるポイント

           

編集者
佐藤達也
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経理人材の転職面接において、どんな点をチェックされているのか知ることは面接突破の鍵を握ります。また、よくある質問を事前に把握して準備しおくことで、面接の成功率を高められます。

本記事では、経理の面接対策をテーマに、チェックされるポイントや準備すべき点、よくある質問と回答例を紹介します。

目次

経理の面接でチェックされるポイント

経理の面接で採用担当者は、どんな点をチェックしているのでしょうか?

主なポイントは、以下のとおりです。

経理知識やスキルの程度

経理の基礎知識から最新の法改正や会計基準まで、知識やスキルの程度をチェックされます。

たとえば、決算業務や財務分析、税務申告など、具体的な業務内容に対する理解度を確認されることがあります。また、日々の業務で使う会計ソフトやExcelなどのツール操作スキルもチェックされやすいポイントです。

実務経験の年数や内容

実際に経理業務をどれくらいの期間担当してきたか、またその内容がどのようなものであったかが評価の対象となります。

たとえば、日次処理から月次・年次決算に至るまでの流れを一貫して経験しているか、特定の業務に深く関わっていたかなど、実務経験の詳細が問われます。

仕事の進め方や工夫に関する考え方

経理業務では精度の高さや効率性が重要なので、仕事を効率的に進めるための工夫や改善点をどのように考え、実行してきたかもチェックされるポイントです。

たとえば「ミスを防ぐためにどんなプロセスや工夫をしてきたのか?」「締め切りを守りつつ正確に業務を進めるためにどのようにタイムマネジメントをしてきたのか?」といった点を確認されることがあります。

コミュニケーションスキル

経理業務の遂行にあたっては他部門や外部専門家との連携が必要不可欠なので、それらの人と円滑にコミュニケーションをとるスキルがあるのかも確認されます。

また、他部門の長や経営陣に対して財務データや予算に関する情報を正確かつ明確に伝えるスキルも重要です。面接では質問に対する理解度や答え方などを通じて、コミュニケーションスキルの程度をチェックされるでしょう。

人間性や倫理観

経理は自社の財務情報という秘匿性の高い情報を扱うため、高い倫理観や人としての信頼性が求められます。コンプライアンス意識をもち、不正を未然に防ぐ意識があるかどうかも重要です。

面接では、これまでの職務経験の中で倫理的な判断を求められたケースや、その対応について質問されることがあります。また、面接でのやり取りを通じて人柄や人間性もチェックされるでしょう。

経理の面接で必要な準備

面接の準備は転職の成功左右する重要な要素です。以下に、面接に向けた効果的な準備方法を5つに分けて紹介します。

業界・企業研究

まず、応募先の企業や所属業界について、徹底的にリサーチすることが重要です。

企業の課題や競合他社の動向、業界全体のトレンドなどを把握しておくことで、面接官との会話で具体的かつ的確な回答ができるようになります。とくに経理職の場合、業界特有の財務指標や会計基準に関する知識が問われることがあるため、しっかりと準備しましょう。

自己分析と業務の棚卸し

自己分析をおこない、自分の強みや弱みを明確にします。これまでの経理経験を具体的に棚卸しし、応募先企業でどのように貢献できるかを整理しておきましょう。

これまで携わってきた、業務の成果や実績をアピールできるように準備しておくことも大切です。

面接でよくある質問への準備

経理職の面接では、よくある質問に対して的確に答えられる準備が必要です。そうすることで面接当日、緊張せずに自信をもって回答でき、面接官に好印象を与えることができます。

また、準備しておけば自分の強みや業務経験を的確にアピールすることが可能です。話が長くなりすぎたり、ポイントがずれたりすることも防げます。

経理の面接で予想される質問については、具体的なエピソードを交えて、明確かつ簡潔に回答できるように練習しましょう。よくある質問の具体例については次章で紹介します。

模擬面接の実施

模擬面接をおこなうことで、実際の面接をイメージでき、当日の緊張を和らげることができます。家族や友人、転職エージェントなどに協力してもらい、面接のシミュレーションをおこなうとよいでしょう。

模擬面接を通じて話し方や内容の改善点を把握し、本番に向けてブラッシュアップすることが大切です。

服装やビジネスマナーの確認

面接当日の服装やビジネスマナーについても確認しておきましょう。とくに経理職は信頼性が重視されるため、きちんとした印象のあるフォーマルなビジネススタイルが好まれます。

また、入室の仕方や挨拶など基本的なビジネスマナーも再確認しておくことで、面接官に好印象を与えることができます。

経理の面接でよくある質問|メンバーポジション

ここからは、経理の面接でよくある質問と回答例を紹介します。役職のついていない一般ポジションの面接でよくある質問には以下のようなものがあります。

自己紹介や志望動機などの一般的な質問

多くの職種と同様に、経理の面接においても、自己紹介や志望動機、強み・弱みといった一般的な質問から始まるケースが多数です。

「簡単に自己紹介をお願いします。」

「〇〇と申します。前職では経理部門で7年間勤務し、主に仕訳処理、月次・年次決算、税務申告業務を担当しました。業務効率化を常に意識し、とくにエクセルを活用した業務改善に取り組んできました。採用された際には、さらにスキルを磨きながら、貴社の経理部門に貢献したいと考えております。」

「当社を志望された理由を教えてください。」

「御社の〇〇業界での成長性に魅力を感じ、経理の立場からその発展に貢献したいと考え、応募いたしました。また、御社が業務効率化やデジタル化に力を入れている点にも共感しております。前職での業務効率化の経験を活かし、貴社の経理業務の効率向上に寄与できると考えています。」

経理業務経験に関する質問

経理業務経験に関する質問では、具体的な業務内容や成果を端的にまとめてわかりやすく伝えましょう。

「これまでの経理経験について教えてください。」

「私はこれまで、約6年間、求人業界の企業で経理業務を担当してきました。主に月次・年次決算業務を中心に仕訳や伝票処理、固定資産管理、税務申告などの業務をおこないました。」

「税務申告の経験はありますか?」

「はい、あります。法人税や消費税、地方税などの申告業務をしてきました。具体的には、税額計算のための資料作成や会計データのチェック、申告書の作成などをおこないました。」

専門的な知識やスキルに関する質問

経理で必要な専門的な知識、スキルに関して具体的な質問におよぶこともあります。

「財務諸表をどのように分析しますか?」

「財務諸表の分析にあたっては、まず主要な指標である収益性・生産性・安全性・成長性・効率性の観点から確認します。具体的には貸借対照表と損益計算書をもとに売上高総利益率や売上高営業利益率といった収益性の指標、総資本回転率や売上債権回転率などの効率性の指標を計算し、会社の経営状況を評価します。」

課題に直面した場合の解決策や工夫について

問題解決能力や対応力などを確認するために、過去にあった課題にどう対応したのかを質問される場合があります。

「過去に直面した課題とその解決策を教えてください。」

「以前の職場で、新しい会計システムの導入が急に決まり、全社員に新しいシステムの操作方法を短期間で習得してもらう必要がありました。この課題に対し、まずはシステムのマニュアルや操作手順を迅速に把握し、自分自身が理解を深めました。そのあと各部署にあわせた研修を実施し、難しい部分は資料を作成して共有しました。結果的に、予定通りにシステム移行を完了できました。」

今後のキャリアビジョン

応募者者の将来的な目標や長期的なキャリアプランを把握し、自社での成長や貢献が期待できるかを確認するために、今後のキャリアビジョンに関する質問におよぶことがあります。

「今後5年間でどのようなキャリアを築きたいと考えていますか?」

「まずは現場で専門性をさらに深め、経理業務全般をスムーズにこなせるようにすることが目標です。そのあと、財務分析や予算管理などのより戦略的な業務にも関わり、経営判断に貢献できるスキルを身につけたいと考えています。最終的には財務部門のリーダーとしてチームを牽引し、会社の成長に貢献できるポジションを目指します。」

経理の面接でよくある質問|管理職・候補ポジション

経理部門の管理職経験者や、管理職候補としての転職面接では、一般ポジションでよくある面接に加えて管理職ならではの質問もあります。

経理部門のマネジメント経験について

管理職の面接では、マネジメントの仕方や考え方を把握するための質問がおこなわれます。

「予算作成や予算管理をどのように進めましたか?」

「各部門と連携して必要なデータを収集し、売上予測・コスト分析・キャッシュフロー計算をおこない、予算案を策定しました。また、予算と実績の差異分析をおこない、必要に応じて予算の見直しや修正を提案しました。経営層への報告資料を作成し、経営判断に役立つ情報提供にも努めました。これにより、コスト削減や資金効率の向上に貢献できました。」

業務プロセス改善や財務状況改善などの提案や施策について

業務プロセスにおける問題点の把握能力や問題解決能力を知るために、以下のような質問におよぶことがあります。

「業務プロセスの改善に向けた具体的な取り組みを教えてください。」

「業務プロセス改善の一環として、経理部門内の定型業務を見直し、ERPシステムの活用を推進しました。具体的には、手作業でおこなっていた伝票入力を自動化することで、作業時間を30%短縮しました。」

経営陣とのコミュニケーションについて

経理管理職は単に数値を管理するだけでなく、経営戦略に寄与するため、経営陣との円滑なコミュニケーションが必要です。そのため採用側は経営陣とのコミュニケーションに関する質問をすることがあります。

「経営陣とのコミュニケーションで意識していた点を教えてください。」

「まず経営層が求める情報や関心事を理解することを重視しました。財務報告をおこなう際には、単に数字を提示するだけでなく、重要な指標の背景やリスク要因についても説明しました。また、経営陣との会議や個別ミーティングを通じて、現場の状況を報告しつつ経営判断に役立つ提案もおこなうよう努めました。」

不正防止や発見時の対応など危機管理について

不正行為や危機が発生した場合の対応力は、経理管理職にとって重要なスキルです。面接官は候補者がどのようにリスクを特定し、対応策を実行してきたかを評価したいと考えて、以下のような質問をすることがあります。

「不正防止のためにどんなことをしていましたか?」

「不正防止に関しては、内部統制を強化するための施策を実施しました。たとえば、業務の分掌を徹底し、承認プロセスの多段階化や定期的な内部監査をおこなうことで、リスクを最小化しました。また、ERPシステムの活用により、異常な取引や不正の兆候を早期に検知できる体制を整えました。」

面接終盤の逆質問について

面接の終盤での「逆質問」は、応募先への関心を示し、意欲をアピールする重要な場面です。「とくにありません。」では意欲が低いと判断されかねないため、積極的に質問しましょう。

好印象を与える逆質問の例

「御社の経理部門として取り組むべき課題があれば教えてください。」

経理部門が直面している課題に興味を示すことで、主体的に貢献したい意欲を示すことが可能です。

「御社特有の重要な文化や価値観があれば教えてください。」

応募先の文化や価値観への理解を深める姿勢を示し、組織に適応する意欲を見せることができます。

「経理部門でのキャリア成長をサポートするための研修やスキル開発の機会はありますか?」

自身の成長意欲を示しながら、応募先ではどのように社員を育成するかを確認できます。

逆質問をする際の注意点

逆質問をするにあたり、事前に企業研究をおこなうことは不可欠です。基本的なことを質問すると、面接の準備が不足していると思われる可能性があります。企業のウェブサイトや最新のニュースを調べ、基本的な情報を把握しておきましょう。

また、応募ポジションや企業に関連する具体的な質問をすることが大切です。たとえば「働きやすい環境ですか?」など漠然としすぎる質問は避け、職場でのコミュニケーションの取り方や雰囲気などを具体的に聞くようにしましょう。「ほかの部署でのキャリアパスを教えてください。」は、応募ポジションへの関心が低いとみなされるため避けるべきです。

さらに、面接の流れを考慮することも重要です。面接官がすでに触れた内容を繰り返さないように、面接中の会話をよく聞き、適切なタイミングで質問する必要があります。

逆質問でのNG事項

逆質問の機会にしないほうがよい質問例を、以下に挙げていきます。

「貴社の事業内容について教えてください。」

企業サイトなどで一般公開されている情報を事前に調べればわかることは聞かないようにしましょう。

「このポジションで残業はどれくらいありますか?」

残業時間の確認は必要ですが、残業をしたくないという印象を与えかねないため、面接の初期段階では避けたほうが賢明です。まずは仕事内容や期待される点などの理解を深めましょう。

「給与や昇給の具体的な額を教えてください。」

給与や福利厚生に関する質問は、仕事内容や自社への貢献よりも報酬に関する関心が強すぎると捉えられがちです。逆質問では企業文化や役割などの質問にとどめ、給与に関しては内定後の給与交渉の場面で聞くようにしましょう。

「御社の退職率はどのくらいですか?」

退職率に関する質問は、応募先に対してネガティブな前提をもっているように見える可能性があります。ポジティブな側面やキャリアの成長機会に関する質問などをするようにしましょう。

経理の面接突破には転職エージェントを使うべき!

経理の面接で成功を収めるには、転職エージェントの活用が有効です。その理由を解説します。

専門的なアドバイスを受けられる

転職エージェントは評価されやすい経理人材の特徴や、求人企業の求めるスキル・人材像を把握しています。そのうえで求職者が強みを効果的にアピールするためのアドバイスを提供してもらえるため、面接で自信をもって自分のスキルや強みを伝えることができます。

模擬面接を実施してくれる

模擬面接を実施してくれる転職エージェントは少なくありません。模擬面接は実際の面接に向けての準備として非常に効果的です。エージェントは模擬面接を通じて面接官の視点からアドバイスを提供してくれるため、質問に対する回答の精度や話し方、態度などを改善することができます。

企業の詳細情報にもとづく対策を実施できる

転職エージェントは、応募先企業の内部情報や業務内容、企業文化に精通しています。これにより、応募先の期待するスキルや特性に合わせた面接対策を実施できるため、選考通過率の向上につながります。

また、残業や退職率など面接で聞きづらい点も、転職エージェントを介すれば知ることができます。

面接後のフィードバックを受けられる

自力で応募する場合、通常は面接官からフィードバック(詳細なコメントや改善点など)を受けることはありません。しかし転職エージェントを使うと、エージェントを介して面接後のフィードバックを受け取ることができます。

このフィードバックをもとに自分の面接での対応を見直し、必要な改善をおこなうことで、次の面接での成功率を高めることが可能です。また、フィードバックでは改善点だけでなくよかった点も教えてくれるので、よかった点は維持しつつ次の面接に臨むことができます。

経理の転職におすすめの転職エージェント3選

経理の転職でエージェントを使う場合は、とくに管理部門や経理に強みをもつエージェントの活用がおすすめです。

BEET-AGENT

経理などの管理部門系職種に特化した転職エージェントです。リーダーやミドルクラスポジションの支援に強みがあるため、経験豊富な経理人材におすすめです。

公式サイト:https://beet-agent.com/

MS Agent

MS-Japan

管理部門と士業を専門に扱う転職エージェントです。特化型として30年以上の実績がある老舗エージェントなので、企業との強固なネットワークを活かして多彩な求人を紹介してもらえます。

公式サイト:https://www.jmsc.co.jp/

ジャスネットキャリア

経理/財務、会計士、税理士に特化した転職エージェントです。業界最大規模の求人件数があるため、自分に合った企業に出会える可能性が高まります。

公式サイト:https://career.jusnet.co.jp/

まとめ

経理人材の中途採用では基本的に即戦力を求めているため、面接でも経理の知識やスキル、業務経験など具体的な内容に踏み込んで確認されることが多くなります。

また、経理業務ではコミュニケーションスキルも重要なので、コミュニケーション能力の程度もよく見られているポイントです。

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2021年7月20日 東証グロース上場(7378)
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弁護士・公認会計士・税理士等の士業や、管理部門特化の転職サポートを行う人材紹介会社に在籍。士業・バックオフィスに特化した転職ノウハウ・企業調査を担当しています。分野特化だからこその、勘所を押さえたリアルな情報を発信できるよう心がけています。