このように考えている方も多いでしょう。

失業保険は退職後の生活を支え、再就職をサポートしてくれる制度です。

しかし正しい知識がないと、思っていたよりも振込み額が少なかったり、もらえるタイミングが遅かったりして戸惑ってしまうかもしれません。そのため、もらえる条件や方法をきちんと理解しておくことが大切です。

この記事では、失業保険の初回振込みが少なくなる仕組みを解説しています。

どのようなスケジュールでもらえるかや振込み日がいつになるかも紹介しているため、参考にしてください。

事前に読みたい⇒失業手当（失業保険）はどんな制度？計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

失業保険の初回振込みは仕組み上少なくなる

失業保険の1回目の振込み額が少なくなる理由は、その仕組みにあります。

離職方法別にくわしく見ていきましょう。

自己都合退職の例

自己都合退職の場合の振込みスケジュールは次のとおりです。

2回目以降の通常振込み額は1回につき28日分ですが、初回は待期期間・給付制限・認定日の兼ね合いで少なくなります。

さらに、離職方法に関わらず全員にある7日間の待期期間にくわえ、自己都合退職ではさらに2〜3ヶ月の給付制限があります。

画像引用：受給資格者のしおり

トータルでもらえる金額は同じですが、給付制限が終わってからの認定日がいつになるかで、初回にもらえる金額が変動する点に注意しましょう。

会社都合退職の例

一方、会社都合退職の場合の初回振込みスケジュールは次のとおりです。

初回振込み額=基本手当日額×認定日前日までの日数（7日間の待期期間）

会社都合退職の場合は給付制限がないため、7日間の待期期間を経た翌日から支給対象となり、最初の認定日がいつになるかで初回の給付金額が決定します。

画像引用：受給資格者のしおり

そのため、1回目の支給額は最低でも7日分以上少ないことになります。

給付日数が90日の場合の振込みイメージ

前職で働いた期間が10年未満で、給付日数が90日のケースを見てみましょう。

1回の振込みが最大28日分のため、90÷28=約3.2で振込みは4回に分けられると計算できます。

初回振込み額は28日より少なく、それにともなって最後の振込みも変動するため、次のようなイメージです。

【例】月給20万円・給付日数90日・基本手当日額4,000円の場合

回数	日数	金額
1回目	20日	80,000円
2回目	28日	112,000円
3回目	28日	112,000円
4回目	14日	56,000円

実際には認定日がいつになるかで日数が異なりますが、初回から全額振込まれるわけではないことを頭に入れておきましょう。

失業保険はいつからもらえる？初回認定日から振込みまでのスケジュール

ここまで見てきてわかるように、失業保険の仕組みはやや複雑です。

もう少し噛み砕いて、初回認定日から振込みまでのスケジュールを順に追って見ていきましょう。

一般離職者の場合

一般離職者が失業保険をもらえるまでの流れは次のとおりです。

まずは会社からもらえる離職票を持ってハローワークへ行き、求職申込みをして受給資格の決定を受けます。失業保険をもらう=求職の意志があることを証明するためです。

7日間の待期期間のあと雇用保険説明会に参加し、さらに2〜3ヶ月の給付制限期間を満了します。この間に初回の失業認定日がありますが、給付制限中のためまだ振込みはされません。

失業認定とは新規就労が決定していないか、求職活動の実績があるかを確認するものです。

給付制限がおわると、2回目の失業認定を受けます。失業認定申告書を提出して認められれば、ようやく初回の失業保険が振込まれます。

その後は4週に一度ごとに失業認定を受けながら、引き続き月2回以上の求職活動をおこないましょう。再就職が決まった時点か、給付日数が経過しても決まらなかった場合はその時点で給付は終了です。

特定理由離職者・特定受給資格者の場合

会社都合で辞めた特定受給資格者や、怪我・病気・出産などの理由で働けなくなって辞めた特定理由離職者が失業保険をもらう流れは次のとおりです。

まずは会社からもらえる離職票を持ってハローワークへ行き、求職申込みをして受給資格の決定を受けます。失業保険をもらう=求職の意志があることを証明するためです。

7日間の待期期間を満了したあと、雇用保険説明会に参加して初回の失業認定を受けます。

失業認定とは新規就労が決定していないか、求職活動の実績があるかを確認するものです。

失業認定申告書を提出して認められれば、約5営業日〜1週間程度で初回の失業保険が振込まれます。

その後は4週に一度ごとに失業認定を受けながら、引き続き月2回以上の求職活動をおこないます。再就職が決まった時点か、給付日数が経過しても決まらなかった場合はその時点で給付は終了です。

参考：ハローワーク「雇用保険手続きのご案内」

失業保険はどのくらいもらえる？給付日数をチェック

失業保険が給付される日数は、その会社で働いていた期間や給与額、離職理由によってバラバラです。

自分がどこに当てはまるか、チェックしてみましょう。

一般離職者の場合

一般離職者は年齢に関係なく、被保険者期間によって給付日数が変わります。

被保険者期間	所定給付日数
1〜10年未満	90日
10〜20年未満	120日
20年以上	150日

特定理由離職者の場合

特定理由離職者も給付日数は一般離職者と同じです。

ただし、被保険者期間が1年未満（通算6ヶ月以上）の人でも90日間の給付を受けられる点が違いです。

被保険者期間	所定給付日数
1年未満	90日
1〜10年未満	90日
10〜20年未満	120日
20年以上	150日

特定受給資格者の場合

特定受給資格者は、年齢と被保険者期間によって下記のように給付日数が細かく決められています。

	30歳未満	30〜35歳未満	35〜45歳未満	45〜60歳未満	60〜65歳未満
1年未満	90日	90日	120日	180日	-
1〜5年未満	90日	120日	180日	210日	240日
5〜10年未満	90日	150日	180日	240日	270日
10〜20年未満	90日	180日	240日	270日	330日
20年以上	90日	150日	180日	210日	240日

給付を受けるタイミングによっては、日数の延長や給付制限の緩和といった特例が設けられていることもあります。最新情報はハローワークで確認してください。

参考：ハローワーク「基本手当の所定給付日数」

失業保険給付額の計算方法とシミュレーション

実際に失業手当がいくらもらえるのか、気になる方も多いでしょう。

ここからは、自分でできる金額の計算方法を元にシミュレーションしてみましょう。

計算方法

まずは次の計算式で基本手当日額を算出します。

基本手当日額=賃金日額（退職前6ヶ月の給与の合計÷180）× 給付率（50～80％）

それぞれ上限・下限が設定されており、下限は2,196円〜2,746円、上限は年齢ごとに異なり基本手当日額が6,945円〜8,490円、賃金日額が13,890円〜16,980円です。

元の給与額が高い人が無限に多くなり、給与額の低い人が少なくなりすぎないように配慮されています。

月給20万円・一般離職者の例

月給20万円の20代会社員がもらえる失業保険給付額は以下のとおりです。

【例】20代会社員・月給20万円・5年間勤務・自己都合退職の場合

自己都合退職では給付制限があるため、初回振込みは受給資格決定日から約3ヶ月後です。

金額はタイミングによって変わりますが、振込みは4回に分けられることから、初回と最終月は満額より少なくなると考えられます。

月給30万円・特定受給資格者の例

続いて、月給30万円の社員が、会社都合で辞めた場合を見てみましょう。

【例】30代会社員・月給30万円・10年間勤務・会社都合退職の場合

会社都合退職では給付制限がないため、初回振込み日は初回認定日から約5営業日〜1週間後が目安です。

上記の例では振込みは5回に分けられます。おおよそですが、次のようなイメージです。

回数	日数	金額
1回目	22日	143,000円
2回目	28日	182,000円
3回目	28日	182,000円
4回目	28日	182,000円
5回目	14日	91,000円

実際は認定日がいつになるかで日数が変動します。気になる場合はハローワークで確認してみてください。

失業保険に関するよくある質問

ここからは、失業保険に関するよくある質問に回答します。

自己都合退職の場合はいくらもらえる？

退職前の給料の50〜80％程度です。

金額は年齢によって異なり、年齢が高いほど賃金日額や基本手当日額の上限額が高くなります。（※離職時の年齢が60〜64歳の場合をのぞく）

自己都合退職の場合の振込み日はいつ？

求職申し込み後、待期期間・初回認定日・給付制限を経て次の失業認定日から約1週間後です。

退職日からは最短でも3ヶ月は見ておきましょう。

一年未満で退職しても失業保険はもらえる？

次のような理由で辞めて特定理由離職者と判断されると、もらえる可能性があります。

その場合、離職前の1年間に通算6ヶ月以上雇用保険に加入していれば支給対象です。

最終月の振込みは少なくなる？

初回振込みが少なくなる関係で、最終月も同様に残った期間分の振込みとなり少なくなる可能性があります。

まとめ

待ちに待った失業保険が振込まれたのに、金額を見たら少なくて愕然とした……という例は少なくありません。

トータルでもらえる金額は同じですが、1回に振込まれる金額にはバラつきがあるため注意が必要です。

失業保険は辞め方や働いた期間・年齢によってもらえる金額や給付日数が異なり、計算方法も複雑です。

失業保険をあてにして安易に辞めたりすることのないよう、しっかり確認しておきましょう。