弁護士を辞める影響やリスクとは?辞める前にすべきことやおすすめの転職先も紹介
長時間労働や精神的なストレスなどを理由に、弁護士を辞めたいと考える人もいるでしょう。
しかし弁護士として長年培ってきたスキルや経験、ネットワークや信頼関係などをリセットすることになるため、弁護士を辞める決断は簡単ではないでしょう。
弁護士には様々なセカンドキャリアがありますが、職種を変えると新たな知識やスキルを身につける必要があります。周囲の反対や、自分自身の不安や後悔にも直面するでしょう。
弁護士を辞める前に、弁護士を辞めることで得られるよい影響やリスクを整理してみましょう。本記事では、弁護士を辞める前に整理すべきポイントや、転職を決めた場合にやるべきことを掲載しています。
後悔のないキャリアを積むために、参考にしてみてください。ただし全員に当てはまる話ではないため、本記事の内容を参考に自分事化して、最終的には自分自身で判断しましょう。
目次
弁護士を辞める主な理由
最初に、弁護士を辞める主な理由を紹介します。ほかの弁護士のケースと照らしながら、自分がなぜ辞めたいのか、理由を整理してみましょう。
労働時間が長い
弁護士の仕事は一般的に労働時間が長いと言われています。またクライアントにあわせて業務をおこなうため、自分のペースで仕事を進めることが難しいでしょう。
休暇が取りづらくリフレッシュできないため、仕事に対するやりがいや充実感が失われるという人が多いです。そのため、労働時間の長さを理由に弁護士を辞める人は少なくありません。
思っていたよりも稼げない
「弁護士は高収入」だと思われがちですが、必ずしもそうではありません。
弁護士の収入は、依頼件数や案件の規模、地域や分野などによって大きく変わります。特に新人弁護士は経験や実績が少ないため、安定した収入を得ることが難しい場合があります。
また税金や事務所経費を自己負担している人は、大きく収入が下がってしまうでしょう。
弁護士になる前に想定していたより稼げなかったり、仕事の大変さとのバランスが悪かったりすると、ほかの仕事に興味が移るようです。
業務や人間関係による精神的なストレス
弁護士業務にストレスはつきものです。事件や事故に関する情報を聞いたり、裁判や交渉の矢面に立つことで精神がすり減るでしょう。またクライアントがいる以上クレームや苦情が届いたり、風評被害に遭うこともあるでしょう。
事務所の人間関係に悩む弁護士も多いです。ボス弁や兄弁の方針と合わなかったり、事務所内の競争意識が強すぎるために疲れてしまったりする弁護士もいます。
弁護士になる前までは精神的に安定していた人でも、普通に過ごしていたら出会わないようなストレス要因にさらされることにより、精神が不安定になります。自分の精神状態を過信しないことが大切です。
ほかにやりたい仕事がある
弁護士のクライアントは多岐にわたるため、案件を通して弁護士業務以外の仕事に興味をもつことがあります。
とくに企業法務系の弁護士の方はリーガルサービスを提供する際、一般企業の多種多様な業界業種に触れます。経営やサービス運営に興味をもったり、企業内弁護士の働き方に良い印象を抱くこともあるでしょう。
弁護士業務の範囲で対応分野を変更する場合は事務所を移籍することで済みますが、会社や事業をおこしたり一般企業に所属する場合には働き方が大きく変化します。
興味を抱きながらも、働き方を変えることに不安を抱く弁護士は多いでしょう。
弁護士を辞めるプラスの影響3つ
弁護士を辞めることに多くの不安を抱くかと思いますが、まずは辞めることでどんなよい影響が考えられるのかを整理してみましょう。
もちろん転職先にもよるため、すべての弁護士に当てはまることではありません。自分にとって大切なことを考えながら、参考程度に読み進めてください。
ハードワークとストレスから解放される
長時間の残業や休日出勤によるハードワークが当たり前になっている弁護士は多いでしょう。身体的に疲れるだけでなく、過重労働や人間関係などの影響で精神的なストレスも大きいでしょう。
弁護士を辞めると、これらから解放されるケースが多いでしょう。
プライベートな時間を確保できることで、趣味や家族との時間を充実させることができます。ストレスの減少により、業務にもプライベートにも活気がうまれるでしょう。
収入が安定する
弁護士は基本的に法律事務所と業務委託契約を結んでおり、個人の業務量や案件規模によって大きく収入が変化します。際限なく稼ぎたい意欲がある弁護士にとっては良い環境ですが、安定性を求める人には弁護士という仕事は不向きです。
弁護士を辞める場合、事業会社やコンサルティングファームなどの組織に所属して働く人が多いでしょう。すると一般的に正規雇用となるため、固定給が発生します。ボーナスやインセンティブなどで多少上下するものの、弁護士ほど収入が上下することはないでしょう。
業務内容が大きく変わる
世の中には、数多くの職種があります。
弁護士を辞めるといっても、弁護士の専門知識や経験はほかの職種でも活かせます。たとえばコンサルタントや教育関係、メディアなどの仕事で活かせるでしょう。弁護士の知識や経験を活かしつつ、さらに柔軟性や創造性が求められる職種も多く存在します。
弁護士に固執しないことにより、多くのキャリアパスがみえてきます。弁護士以外のキャリアを想像したうえで、どちらが自分にとってよりよい影響を与えるのかを考えてみましょう。
弁護士を辞めることで失うものやリスク
弁護士を辞めることで失うものや、リスクもあります。後悔しないよう、損失やリスクを許容できるかどうかをよく考えておきましょう。
法律家として人助けができなくなる
弁護士は法律の専門家として、人々の権利や利益を守るために活動します。弁護士を辞めるということは、そのような社会的な使命や責任から離れるということです。
弁護士として培った知識や経験を活かせる職種は弁護士以外にも存在しますが、弁護士業務による社会貢献の機会はなくなってしまいます。
実際に対応した案件やクライアントを思い浮かべて、そのとき感じたやりがいや達成感と弁護士を辞めて得られるメリットが釣り合うかどうかを考えてみましょう。
収入が大幅に下がる可能性がある
弁護士は高い専門性や責任を要する仕事ですが、それに見合った報酬を得られる職種でもあります。弁護士以外の職種に転身する場合、同じレベルの収入を得るのはそう簡単ではありません。
人によっては、生活水準や将来設計を見直す必要があるでしょう。もともと弁護士報酬を使えずに余らせていた人にとっては、大きな問題ではないかもしれません。
自分の現状や将来にどれだけの収入が必要なのか、改めて考えてみるとよいでしょう。
弁護士のネットワークや人間関係から離れることになる
弁護士を辞めることで、弁護士としての立場や事務所をもとにつながっていたネットワークや人間関係からは離れることになるでしょう。
弁護士は資格の取得難易度が高いことや高収入を得られることにより、社会的地位や評価が高い傾向にありますが、職種を変えるとその評価も変わることでしょう。
弁護士のネットワークや人間関係から離れることで、その後の仕事にも影響を与える可能性があります。その変化に耐えられるかどうかも、辞める前に一度考えてみるべきでしょう。
自分のアイデンティティや価値観が揺らぐ
弁護士は長年の勉強や修習を経て、難しい試験に合格して就くことができる職種です。弁護士を辞めることで、そのような努力や苦労が無駄になったと感じる人も多いです。
弁護士になるまでもなってからも特殊な過程が多いことにより、特有のアイデンティティや価値観が生まれやすくなっています。辞めることにより、そのアイデンティティや価値観も揺らいでしまう可能性があります。
もともと弁護士を目指して何を達成したかったのか、今後大事にしたいことは何か、など自分の軸を改めて考える必要があるでしょう。
弁護士を辞める前にやっておきたいこと
弁護士という仕事自体は、いつでも辞めることができます。一方で、ブランクがあると弁護士に復帰することは難しいと言われています。そのため、辞める前にやっておきたいことがあります。
職場を変えたいのか、職種を変えたいのかを判断する
自分が本当にやりたいことやキャリアプラン、自分の能力や適性はどうかなどを自問自答してみましょう。弁護士としての成果や実績も振り返ります。
辞めたい理由や今後のキャリアを考えた結果、職場環境や人間関係が変わるだけで十分なことに気づく場合があります。その際は弁護士を辞めずに、ほかの事務所や企業に転職することで解決するでしょう。
弁護士の仕事内容や立場自体に興味や情熱がなくなってしまった場合や、別の仕事に挑戦したいという気持ちが強い場合は、弁護士を辞めてキャリアチェンジすることになるでしょう。
先輩や友人など信頼できる人に相談する
弁護士を辞めるということは重要な決断なので、家族やパートナーなどの身近な人はもちろん、同じ業界や分野で活躍している先輩や友人など信頼できる人に相談することが大切です。
客観的な意見やアドバイス、情報提供を受けることで、自分の考えに納得感が生まれたりまったく違う考え方が生まれたりします。自分の考えや感情を言語化することで、自分自身の気持ちや状況を整理することもできます。
ただし、相談する相手は慎重に選びましょう。相手が自分の決断を否定したり、無責任な発言をしたりする場合は、逆効果になる可能性もあります。
スカウト型サイトに登録してみる
弁護士を辞めて転職する場合は、「どんな仕事があるのか」「どんな条件で働けるのか」「どんなスキルや経験が求められるのか」などを調べてみましょう。
市場調査のためには、スカウト型サイトに登録してみることをおすすめします。スカウト型サイトとは、自分のプロフィールや希望条件を登録すると、企業からオファーが届くようになるサイトのことです。
スカウト型サイトに登録して受け取ったオファーをもとに、転職市場における自身の価値を知り、自分に合った仕事や企業を見つけることができます。
また企業と直接コンタクトをとれるため、転職することを決めたらそのまま選考に進むことができます。スカウト経由で応募すると、選考が一部省略される場合もあります。
転職活動に必要な準備をリストアップする
転職活動は時間や労力がかかるため、計画性が重要です。転職の目標や期限を設定し、必要な準備や行動をリストアップしましょう。
求人探しや応募といった具体的な転職活動に入る前に、自己分析やキャリアの棚卸し、将来設計などやるべきことがたくさんあります。また現在の職場を辞める手続きや業務の引継ぎ、弁護士会の退会手続き、人によっては引越しや住所変更の手続きなども必要になるでしょう。
転職準備を進める過程で、弁護士を続けるという選択肢が生まれる場合もあります。
弁護士の経験やスキルを活かせる転職先
弁護士の経験やスキルは多様な職種や業界で活かすことが可能ですが、特にマッチしやすい職種を紹介します。
事業会社の法務部・知財部・ファイナンス部門
弁護士として培った法律知識や交渉力、論理的思考力などは、一般企業の社員としても有用です。企業の社員として働くことで、安定した収入や福利厚生、ワークライフバランスの確保などのメリットも得られるでしょう。
とくに事業会社の法務部門や知的財産部門では、契約書の作成や訴訟対応、特許出願など弁護士経験を活かしやすい業務に携わることができます。転職先の業種によっては法律知識だけではカバーできない専門知識やスキルが必要になるため、事前に調べておきましょう。
ファイナンス部門では、会社の財務状況や税務対策に関するアドバイスをおこなうことができます。金融法務は特有の規制に関する知識を持つ必要があるため、とくに経験者が重宝されます。
事業会社への転職は、基本的に企業法務経験が必須です。若手であれば未経験でも採用される可能性があります。
とくに転職先の業界業種に似た案件の経験や専門知識があれば、採用される可能性が高まるでしょう。弁護士であるうちに、転職先の候補である業界業種の経験を積むとよいでしょう。
ベンチャー企業の経営幹部
ベンチャー企業における新規事業立ち上げや資金調達、M&Aなどの業務で、弁護士の経験やスキルが必要とされます。まだない法務部の立ち上げに携わるケースもあるでしょう。
ただしベンチャー企業の経営幹部になるためには、ビジネス戦略やマネジメント能力も求められます。
ベンチャー企業の幹部として働くメリットは、自分のアイデアやビジョンを実現できることや、高い成長性や報酬を得られる可能性があることです。一方で安定性はないため、注意が必要です。
他士業
司法書士や社会保険労務士など、他士業に転身する弁護士もいます。
これらの職種では法律関係の仕事を中心に行いますが、弁護士と違って裁判に出廷することはありません。弁護士よりも扱う分野の範囲が狭いことから、特定の分野を極めたいという場合にはやりがいをもって活動できるでしょう。
他士業に転身する場合は、専門の士業事務所に所属したり一般企業に所属するケースもあります。働き方や収入は大きく変わるため、掲載中の求人をみるなどして転職市場をよくみたうえで選択しましょう。
コンサルタント
コンサルタントは、企業や団体に対して経営戦略や組織改革などのアドバイスを提供する専門家です。
コンサルタントにはさまざまな分野がありますが、弁護士出身者は法律コンサルタントやリーガルテックコンサルタントを選択することが多いでしょう。これらの分野では、法律関係の課題やニーズに対して最適なソリューションを提案します。
コンサルタントとして働くメリットは、多様な業界や企業と関われることや、高い専門性や報酬を得られることです。
働く環境は弁護士に似ているところがあります。弁護士との違いを比較したうえで、弁護士を続けるかコンサルタントに転身するかを判断しましょう。
事業家
事業家になる道もあります。
たとえばソーシャルビジネスやリーガルテックなどの分野で起業する方法が考えられます。これらの分野では、社会的な問題や法律関係の課題に対して、革新的なビジネスモデルを構築します。
事業家として働くことで、自分の価値観や使命感をダイレクトに反映させ、社会に貢献することが可能です。ただし個人の負担は増えるため、勇気のいる選択肢でしょう。
弁護士を辞めた後の転職先の選び方
ここからは、自分の価値観やキャリアビジョンに合った転職先の選び方、見つけ方について解説します。
自分の興味・関心や志向を改めて確認する
まずは、自分が何に興味や関心があるか、どんな働き方やライフスタイルを望んでいるかを改めて確認することが大切です。自分の本当の気持ちに向き合うことで、自分に合った仕事や業界を見つけるヒントが得られるかもしれません。自分のキャリアビジョンや目標を見直すよい機会にもなるでしょう。また、自分が弁護士として関わった案件や業界に興味をもった場合は、その分野に関連する仕事を探すこともできます。
自分の強みを活かせる仕事を選ぶ
前述のように、弁護士として培ったスキルや経験はほかの職種でも活かせる可能性が高いです。転職先を選ぶときには、自分の強みを活かせる仕事を選びましょう。そのためには自分の強みを整理することが必要です。それにより、自分の能力を発揮できる転職先の候補を絞り込むことができます。
気になる職場の環境や条件を調べる
転職先を選ぶ際には、自分が求める環境や条件に合っているかどうかを確認する必要があります。たとえば仕事の内容や報酬・福利厚生、勤務時間や休日、社風や人間関係などです。これらの情報はインターネットや求人サイト、転職エージェントなどで入手できます。
また、可能なら実際に転職先の社員や元社員に話を聞くことも有効です。転職先の環境や条件をよく調べることで、ミスマッチのない転職を実現できます。
弁護士を辞める場合の転職活動のポイント
弁護士を辞める決断をしたのなら、転職活動に注力しましょう。転職活動を成功させるためのポイントを解説します。
弁護士を辞める理由は説得力のあるものにする
弁護士になるには最難関の司法試験に合格する必要があり、そのために多大な努力をしてきたはずです。その弁護士を辞めるわけですから、応募先の企業や人事担当者からは弁護士を辞める理由を聞かれるでしょう。
その際、単に「ストレスが多かった」「プライベートの時間がなかった」などと言っても、それだけでは説得力が乏しいでしょう。またネガティブな理由のみ並べてしまうと、思考がすべてネガティブな人間として判断されてしまう可能性もあります。
弁護士を辞める理由や志望理由を伝えるときは、自分のキャリアビジョンや価値観を明確にしたうえで、弁護士として得た経験やスキルをどのように活かしたいか具体的に示すようにしましょう。転職先の企業や業界に対する興味や関心を表現することも大切です。
人脈を活用する
弁護士として築いた人脈は、転職活動において大きな武器になります。
たとえば以前に仕事をしたことがあるクライアントや同業者から、転職先の紹介や情報提供を受けることができるかもしれません。また、弁護士以外の職種に転職した先輩や同期のアドバイスや意見も参考になります。
自分から積極的にコミュニケーションをとって相談や助言を求めることで、転職活動をスムーズに進めるためのヒントを得られるでしょう。
転職エージェントに相談する
転職先を自分だけで探すよりも、専門的な知識やネットワークを持つ転職エージェントに相談することがおすすめです。転職エージェントは弁護士のスキルや経験、希望条件などをヒアリングしたうえで、適切な求人を紹介してくれます。
また弁護士が活躍できるような質が高い求人は、一般的な求人サイトでは見つからない場合が多々あります。そのような求人を非公開求人といい、転職エージェントに登録することで紹介を受けることができます。
さらに転職エージェントを利用することで、応募書類の添削や面接対策など、転職活動全般にわたってサポートしてもらえます。効率的かつ効果的に転職活動を進めることができるため、弁護士を辞める場合は相談してみましょう。
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まとめ
弁護士を辞める理由は人それぞれですが、職場環境や条件を変えたいのか、弁護士という職種自体を辞めたいのかは重要な問題です。まずはその点を明らかにするために、これまでの成果の振り返りや自己分析を行いましょう。
転職に関する不安があれば転職エージェントに相談することも有効です。すぐに転職する予定がなくても、どんなキャリアや可能性があるのかを示してくれるはずです。
運営者情報
会社名 |
株式会社アシロ(ASIRO Inc.) 2021年7月20日 東証グロース上場(7378) |
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URL | https://asiro.co.jp/ |
本社所在地 |
160-0023 東京都新宿区西新宿6丁目3番1号 新宿アイランドウイング4F |
法人番号 | 9011101076787 |
設立日 | 2009年11月 |
代表者(代表取締役社長) | 中山博登 |
主な事業内容 | HR事業、インターネットメディア事業(リーガルメディア、派生メディア)、少額短期保険事業 |
許認可 | 有料職業紹介事業(厚生労働大臣許可 許可番号13-ユ-313782) |
グループ会社 |
株式会社アシロ少額短期保険 株式会社ヒトタス |