障害者が失業保険をもらう条件は?受給日数や金額・手続きの流れを解説

           
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「障害者の失業保険はいくらもらえるの?」
「障害者が失業保険をもらう条件が知りたい」

障害者が退職して失業保険をもらう場合、条件や手続きの流れがわからず不安に思うかもしれません。いつからいくらもらえるのか、くわしく知っておくことで、退職後の生活の安定化に役立ちます。

この記事では、障害者が失業保険をもらう条件や受給日数、受給金額を解説します。手続きの流れも紹介しているため、参考にしてください。

事前に読みたい⇒失業手当(失業保険)はどんな制度?計算方法や条件・期間・もらい方までくわしく解説

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目次

障害者が失業保険をもらう条件とは

障害者が失業保険をもらう条件は次のとおりです。

雇用保険の必要加入期間を満たしている

まず、雇用保険の必要加入期間を満たしている必要があります。

必要な期間は離職理由によって異なり、次のとおりです。

離職理由必要加入期間
自己都合退職:一般離職者離職前の2年間で通算12ヶ月以上
自己都合退職:特定理由離職者離職前の1年間で通算6ヶ月以上
会社都合退職:特定受給資格者離職前の1年間で通算6ヶ月以上

ケガや病気・家族の介護・妊娠などで働けなくなった場合は、特定理由離職者に該当します。

会社の倒産や解雇など、会社都合の退職の場合は特定受給資格者となり、いずれも一般離職者に比べて条件が優遇されます。

働ける状態にある

次に、現在失業中であり、働く意思と能力があることが条件です。

ケガや病気で働けなかったり、能力があっても求職活動をしていなかったりすると、受給資格があるとは認められません。

パートやアルバイトでも条件を満たせばOK

パートやアルバイトで働いていた人でも、上記の条件を満たしていれば失業保険はもらえます。

雇用保険の加入期間は、1ヶ月に働いた日が11日以上、または働いた時間が80時間以上あれば、その期間を1ヶ月として計算すればOKです。

手帳ありの障害者は就職困難者として条件が緩和される場合がある

障害者手帳を持っている障害者の場合、失業保険においては「就職困難者」として受給が緩和される場合があります。

就職困難者に分類される方は次のとおりです。

就職困難者に分類される方
  • 身体障害者
  • 知的障害者
  • 精神障害者
  • 刑法等の規定により保護観察に付された方
  • 社会的事情により就職が著しく阻害されている方

(参考:厚生労働省「よくあるご質問(雇用保険について)」)

就職困難者は、一般受給者と比べて次のような優遇が受けられます。

就職困難者の受けられる優遇
  • 失業保険の給付日数が長くなる
  • 求職活動が4週に1回で済む
  • 常用就職支度手当の対象になる
  • 障害年金と同時に受け取れる

申請前に障害者手帳を持っていることが前提

就職困難者として認定されるには、失業保険の申請前に障害者手帳を持っていることが前提となります。

分類手帳の種類
身体障害者身体障害手帳
知的障害者療育手帳
精神障害者精神障害者保健福祉手帳

失業保険の手続きをしてから障害者手帳を取得しても、優遇は受けられないため注意しましょう。

ただし、うつ病などの医師の診断書があれば、就職困難者として認定する自治体も存在します。

迷う場合は、申請前に最寄りのハローワークの窓口で相談してみてください。

障害者の失業保険の受給日数

障害者の失業保険の受給日数は、就職困難者と認定された場合、一般受給者と比べて長くなります。

雇用保険の加入期間と年齢によって異なりますが、自己都合退職の一般受給者で最長150日間のところ、就職困難者では最大360日です。

 雇用保険加入期間1年未満1年以上
離職時の年齢45歳未満150日300日
45〜65歳未満360日

また、自己都合退職の一般受給者は、雇用保険の加入期間が1年未満の場合は失業保険を受給できないのに対し、就職困難者は150日の受給が可能です。

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(参考:ハローワーク「よくあるご質問(雇用保険について)」)

自己都合退職では2〜3ヶ月の給付制限がある

失業保険の受給日数は増えるものの、自己都合退職した場合は一般受給者と同様、2〜3ヶ月の給付制限があります。

給付制限とは、失業保険の申請手続きをして7日間の待機期間を経たあと、給付がおこなわれない期間のことです。

解雇などの会社都合退職や、ケガ・病気・妊娠などの特定理由離職者でなければ、就職困難者でも給付制限があることを覚えておきましょう。

障害者の失業保険はいくらもらえる?

障害者がもらえる失業保険の金額は、退職前にもらっていた給与の50〜80%が目安です。

たとえば月に16万円の給与をもらっていた場合、8〜13万円程度だと考えられます。

基本手当日額には上限と下限が設定されており、もともとの給与額が低い方ほど多い割合でもらえます。

受給金額の計算方法とシミュレーション

まずは基本手当日額を計算し、給付日数を掛けることで受給金額が計算できます。

基本手当日額=賃金日額(退職前6ヶ月の給与の合計÷180)× 給付率(50~80%)

それでは、実際にシミュレーションしてみましょう。

【例】20代会社員・月給20万円・1年間勤務・就職困難者の場合
  • 賃金日額=20万円×6ヶ月÷180=約6,666円
  • 基本手当日額=6,666円×給付率(50~80%)=約4,000円
  • 失業手当受給額=4,000円×給付日数(300日)=120万円

45歳未満で給付日数が300日あるため、1ヶ月あたり12万円を10ヶ月間受け取れることになります。

手取り別の計算シミュレーションは、以下の記事でくわしく解説しているため、参考にしてください。

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障害者年金を受け取っている場合

障害者年金を受け取っている場合でも、失業保険との同時受給が可能です。

そのため、両方を受給することで、より生活の安定化が図れるでしょう。

早期の就職で手当が受け取れる

早期に就職が決まった場合は、次の手当が受け取れる可能性があります。

受け取れる可能性のある手当
  • 再就職手当
  • 就業促進定着手当
  • 常用就職支度手当

再就職手当は、失業保険の給付日数が3分の1以上残っていた場合に、残日数の60〜70%がもらえるものです。

就業促進定着手当は、再就職後の賃金が離職前より低い場合にもらえます。

常用就職支度手当は、障害者が再就職した場合にもらえる手当です。失業保険の給付残日数に応じた金額がもらえます。

それぞれ条件があるため、あらかじめ確認しておき、損をしないようにしましょう。

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平均月収月間でもらえる金額
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月収50万円約33万円
月収60万円約40万円
月収70万円約46万円
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障害者が失業保険をもらう手続きの流れ

障害者が失業保険をもらう手続きの流れは次のとおりです。

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1.必要書類を準備する

まずは以下を参考に、必要な書類を揃えましょう。

必要書類内容
雇用保険被保険者離職票(-1.2) 
雇用保険被保険者証 
個人番号確認書類 (右記のいずれか1種類)・マイナンバーカード
・通知カード
・個人番号の記載のある住民票(住民票記載事項証明書)
身元確認書類 (右記のいずれか1種類)・運転免許証
・運転経歴証明書
・マイナンバーカード
・官公署が発行した身分証明書・資格証明書(写真付き)
写真2枚 (※マイナンバーカードの提示で省略可)正面上三分身縦3.0cm×横2.4cm最近のもの
本人名義の預金通帳又はキャッシュカード 
障害者手帳 

離職票(離職証明書)は、会社側が発行したものを退職後に受け取ります。

もしいつまでも郵送されてこない場合は、その旨をハローワーク窓口で伝えてください。

2.ハローワークで求職申込みをする

続いて最寄りのハローワークへ行き、次の手続きをおこないましょう。

手続き内容
  1. 求職申し込み
  2. 必要書類を提出し受給資格の決定
  3. 雇用保険受給者説明会の日時を決定

必ず障害者手帳を見せ、就職困難者として認定してもらうよう伝えてください。

また、離職理由は基本的にハローワークが判定します。

ケガや病気、妊娠で辞めた場合は特定理由離職者に該当し、給付制限がなくなる可能性があるため、離職票の記載を確認しましょう。

「自己都合退職(一般離職者)」などになっている場合は、窓口で相談してみてください。

3.説明会に参加する

次に、指定された日時に、ハローワークでおこなわれる雇用保険説明会に参加します。

ここでは、失業手当を受給するための要件や流れの説明があります。

説明会の最後で雇用保険受給資格者証と失業認定申告書がもらえるとともに、1回目の失業認定日が決まります。

4.求職活動をする

その後は4週に一度設定される失業認定日にハローワークへ行き、失業認定手続きを受けてください。

求職活動の状況を失業認定申告書に記入し、雇用保険受給資格者証とともに提出すればOKです。

求職活動は原則月2回以上必要ですが、就職困難者の場合は月1回に緩和されます。

失業認定後5営業日程度で、失業手当が振り込まれます。

ただし、自己都合退職の場合は初回に2〜3ヶ月の給付制限がある点に注意しましょう。

参考:ハローワーク「雇用保険の具体的な手続き

障害者が失業保険をもらう間の保険や年金の手続き

失業保険をもらっている間の保険や年金に関しては、次の手続きが必要です。

種類必要な手続き
健康保険:右記のいずれかを選択・国民健康保険に加入する
・会社の健康保険を任意継続する
・家族の扶養に入る
国民年金:右記のいずれかを選択・国民年金へ切り替える
・家族の扶養で加入する
住民税退職後に送られてくる支払い用紙で支払う
所得税年末の時点で働いていなければ確定申告する

失業保険の受給中とはいえ、税金や年金の支払いは大きな負担になります。

国民年金には納付猶予や免除の制度があるため、支払いが厳しい場合は最寄りの年金事務所で相談してみましょう。

支払いを放置すると延滞金が加算されるだけでなく、未納期間が発生して将来の年金額が減る可能性があるため注意してください。

障害者が受けられるサポート・サービス

ここからは、障害者が受けられるサポート・サービスを紹介します。

さまざまな働き方やサポートがあるため、自分に合ったものを利用しましょう。

ハローワーク

ハローワークには一般窓口のほか、障害者専用窓口も設けられています。

専門のスタッフに相談できるのはもちろん、障害者手帳があれば障害者雇用の求人に応募も可能です。

3〜6ヶ月の試用期間を経て雇用するトライアル雇用や、障害者就職面接会などもおこなっているため、積極的に利用してみてください。

障害者訓練(ハロートレーニング)

ハロートレーニングは、スキルアップや知識を身につける訓練が無料で受けられる公共の職業訓練制度です。

中でも障害者訓練では、国や各自治体が連携し、障害者のニーズに対応したきめ細やかな訓練を実施しています。

基本的に障害者手帳がある方が対象となり、半年〜1年をかけて、適性のある分野や興味のある分野を学びます。

受講を希望する場合は、ハローワークで相談してみましょう。

就労移行支援事業(就労支援サービス)

就労移行支援事業(就労支援サービス)は、障害者が就職するための訓練や就職活動のサポートなどをおこなうサービスです。

厚生労働省がバックアップしており、事業所に通いながら職業訓練や面接対策などの支援を受けられます。

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地域障害者職業センター

地域障害者職業センターは、障害者の職業リハビリテーションをおこなう施設です。

働き方の希望や適性を踏まえ、情報提供や相談などをおこなっています。

障害者就業・生活支援センター

障害者就業・生活支援センターは、障害者の就職や生活にかかわる相談や支援をおこなう機関です。

職業訓練や就職活動のサポートだけでなく、日常生活の支援まで幅広く対応しています。

失業保険サポート

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障害者雇用とは

障害者雇用とは、障害者手帳を持った方が対象の雇用制度です。

障害者の働き方には、障害があることを伏せて働く「クローズ就労」と、障害を開示して障害者を対象にした企業へ応募する「オープン就労」がありますが、ここでは主にオープン就労のことを指します。

オープン就労のほうが、クローズ就労に比べて職場定着率が高く、さまざまなメリットがあります。

一般雇用よりも倍率が低い

まず、障害者雇用は一般雇用よりも倍率が低いことがメリットです。

障害者雇用促進法において、企業や国は一定の割合以上の障害者の雇用が義務付けられており、一般企業で2.5%となっています。

また、40人以上の従業員がいる企業では、1人以上の障害者雇用が必要です。

障害者雇用枠は一般雇用枠と別に設定されているため、一般雇用枠よりも入社しやすいといえます。

障害への配慮が受けられる

また、始めから障害者雇用枠で入社することで、障害への配慮が受けられる点もメリットです。

定期的な通院や業務内容の変更など、一人ひとりに合わせた対応が期待できるでしょう。

一般雇用での就職活動がうまくいかない場合は、障害者雇用で働くことも検討してみてください。

障害者が失業保険をもらう際によくある質問

ここでは、障害者が失業保険をもらう際によくある質問に回答します。

すぐに働けないときは延長できる?

失業保険は、手続きすることで受給期間の延長が可能です。

通常は離職後1年以内に受け取る必要がありますが、最大で4年間まで延長できます。

ただし、病気やケガで働けないなどの理由があることが前提です。

関連記事:失業保険の受給期間は延長可能!対象者や手続き・解除方法を解説

失業保険は2回目ももらえる?

失業保険は、条件を満たせば何度でも受給が可能です。

一度もらうと雇用保険の加入期間はリセットされますが、再就職してから6ヶ月〜1年以上働くと、再び条件を満たせることになります。

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障害者の失業保険はいつから?すぐにもらえる?

障害者であるかにかかわらず、自己都合退職か会社都合退職かで異なります。

自己都合退職した一般離職者であれば、待機期間後に2〜3ヶ月の給付制限が発生するため、注意が必要です。

すぐにもらえるのは、解雇などの会社都合退職か、ケガ・病気・妊娠などで辞めた特定理由離職者の場合のみと覚えておきましょう。

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まとめ

障害者が失業保険をもらう場合、就職困難者として認定されれば、一般受給者よりも条件が優遇されます。

失業保険の受給日数が長くなり、求職活動も少なく済むため、退職後の負担を減らせるでしょう。

障害者手帳を持っていると確実ですが、自治体によっては医師の診断書で認められる場合もあるため、ハローワークで確認してみてください。

退職後の一般雇用での就職が難しい場合、ハロートレーニングや就労支援サービスなどのサポートを受けながら、障害者雇用での就職も視野に入れるのがおすすめです。

失業保険を最大限活用して、自分らしい働き方を探っていきましょう。

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