内容証明とは?効力や使用する場面、弁護士に依頼するメリットを解説

内容証明とは?効力や使用する場面、弁護士に依頼するメリットを解説

普通郵便とは異なり、日本郵便が「いつ、誰が誰に対して、どのような文書を送ったか」を証明してくれる郵便サービスを内容証明郵便(以下、内容証明)といいます。

一般的には貸金返済の督促や契約解除通知などに使われることが多いですが、実は損害賠償を請求したいときや未払い金を回収したいときなどさまざまな場面で役立ちます。

本記事では、内容証明の効力、おすすめの利用場面、2種類の内容証明の出し方や書き方について解説します。

内容証明について詳しく知りたいという方はぜひ参考にしてください。

【注目】内容証明を送ろうと考えている方へ
内容証明郵便は意思表示を示すものとして、損害賠償を請求したいときや未払い金を回収したいときなどさまざまな場面で役に立つものです。

しかし、相手が内容証明郵便を無視したり、反論してきたりする場合もあり、何か特定の行為を強要できるわけではありません。

内容証明を送ろうと考えている方は弁護士への相談がおすすめです。

弁護士に相談することで、以下のようなメリットを得ることができます。

  • 法的観点から的確なアドバイスがもらえる
  • 依頼した場合、裁判を見据えた内容証明を送ることができる
  • 依頼した場合、反論があった際に相手との交渉を一任できる

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内容証明の効力とは?送ることでえられる利益

内容証明とは、日本郵便が提供しているサービスの一種で、「いつ、誰が誰に対して、どのような文書を送ったか」を証明できる制度のことです。

内容証明を送ったからといって、何か特定の行為を強要できるわけではありません。

しかし、督促や催告をしたという証拠にできたり、債権等の時効の完成を6か月猶予できたりするなどのメリットがあります。

一般書留郵便物の内容文書について証明するサービスです。

いつ、いかなる内容の文書を誰から誰あてに差し出されたかということを、差出人が作成した謄本によって当社が証明する制度です。

引用元: 内容証明 | 日本郵便株式会社

督促した証拠になる

内容証明を送付することで、債務者に対して督促や催告をおこなったと証明できます。

内容証明は裁判でも有効な証拠となるため、たとえば、相手方から「書類を受け取っていない」と主張されても反論できるようになります。

また、期限の定めがない債権の場合であれば、相手方に対して遅延損害金を請求できます。民法第412条3項

(履行期と履行遅滞)

第四百十二条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。

2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。

3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。

引用元: 民法 | e-Gov法令検索

送ることで時効の完成が6か月猶予される

貸付金や売掛金などの債権の時効は、支払い期限から数えて5年となっています。

このような時効が成立する直前に内容証明を送付することで、6か月の猶予期間を得ることができます。

その後、猶予期間中に裁判所や訴訟を提起すれば時効の完成を防ぐことが可能です。なお、内容証明による時効の完成猶予は1度きりしか使えません。

(催告による時効の完成猶予)

第百五十条 催告があったときは、その時から六箇月を経過するまでの間は、時効は、完成しない。

2 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた再度の催告は、前項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。

引用元: 民法 | e-Gov法令検索

内容証明と合わせて配達証明を利用するのがおすすめ

日本郵便では、「配達証明」という郵便物を配達した事実を証明するサービスを提供しています。

こちらを利用すると「○月○日に配達した」というハガキを受け取ることができます。

320円の利用料金がかかりますが、受取人が内容証明を受け取った証拠になるので、できる限り利用することをおすすめします。

内容証明はどんなときに送る?送るべき場面

内容証明が役立つケースはさまざまあります。

以下で、内容証明を利用するケースをいくつか確認しましょう。

損害賠償や慰謝料の請求をするとき

配偶者の不貞行為、名誉毀損、プライバシー侵害、著作権侵害、もらい事故などの被害に遭った場合は、加害者に対して損害賠償や慰謝料を請求することが多いです。

しかし、普通の手紙で請求しても、相手に無視されたり、「受け取っていない」といわれたりする可能性もあります。

こうした場合に内容証明を利用することで、相手に対して心理的なプレッシャーを与えたり、裁判に発展した際の証拠にできたりします。

一定期間内に意思表示をしなければならないとき

内容証明は意思表示の証明でもあります。

そこで、時効が成立する前に意思表示をしたことを証明したいときや、クーリング・オフなどで契約解除をしたいときにも内容証明が有効となっています。

内容証明で送付することで相手方に「時効の援用がされていない」「期間内に契約解除されていない」といった反論をさせずに済むでしょう。

未払い金の督促をするとき

債務者に対して、商品代金や家賃などの未払い金を請求する際にも内容証明を利用することが多いです。

内容証明を利用すると「いつ、どのような内容で、いくらの請求をしたか」が明確になります。

また、家賃を滞納していた居住者に対し、裁判を通じて強制退去させる際に、催告から一定期間が経過していることを証明するのにも役立つでしょう。

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紛争中の相手に対して文書で反論するとき

紛争中の相手に対して文書で反論するときにも内容証明が有効です。

たとえば、元従業員と労働問題を争うことになったときや、取引業者と欠陥商品の代金支払いを争うときなどが考えられます。

事前に内容証明を利用して反論をしておくことで、裁判に発展した際に「裁判開始前から反論していること」を客観的に証明しやすくなるでしょう。

内容証明を送るのに必要な記載事項

内容証明に記載する内容は自由ですが、一般的には以下の順番に書くことが多いです。

通知内容の部分には、離婚に伴う慰謝料請求、クーリング・オフの意思表示、未払い金の督促など、ご自身の目的に合う文章を書きましょう。

【縦書きの場合】

  1. 文書のタイトル
  2. 通知内容
  3. 日付
  4. 相手方の住所・氏名
  5. 自分の住所・氏名

【横書きの場合】

  1. 日付
  2. 相手方の住所・氏名
  3. 自分の住所・氏名
  4. 文書のタイトル
  5. 通知内容

内容証明の出し方は2通りある|費用と書き方について解説

内容証明の出し方には「郵便局で出す方法」と「電子内容証明を利用する方法」の2種類があります。

それぞれの内容証明の出し方を確認しましょう。

郵便局から郵送する場合

内容証明の出し方のひとつ目が、郵便局の窓口から郵送する方法です。

窓口で内容証明を出す場合は、日本郵便の集配郵便局か、指定郵便局を利用する必要があります。

全ての郵便局から出せるわけではないため、事前に郵便局に問い合わせて確認しましょう。

詳しくは日本郵便の「 内容証明 」ページを確認してください。

書式

内容証明を利用するにあたり、謄本を作る必要があります。

謄本の字数・行数は明確に決められているため、正しい書式で作るようにしましょう。

区別字数・行数の制限
縦書きの場合・1行20字以内、1枚26行以内
横書きの場合・1行20字以内、1枚26行以内

・1行13字以内、1枚40行以内

・1行26字以内、1枚20行以内

※2ページ以上になる場合は綴り目に契印を押す

文字のカウント方法などに関する細かなルールは日本郵便の「 内容証明の謄本の作成方法等を教えてください 」ページを確認してください。

郵送する際の手順

内容証明を送付する際は事前に内容文書と謄本2部(合計3部)を用意して、内容証明を取り扱っている郵便局で提出するだけとなっています。以下に、内容証明を郵送する際の手順をまとめておきます。

郵送する際の手順具体的にやること
1. 内容文書と謄本2部を作成する
  • 内容文書とその謄本を2部(合計3部)作成する

※ 1部は受取人に送られ、1部は郵便局で保管され、1部は差出人が保管する

2. 送付用の封筒を用意する
  • 内容文書を受取人に送るための封筒を用意する
  • 封筒には差出人と受取人の住所・氏名を記載しておく
3. 郵便局に持参して送付する
  • 内容証明を取り扱っている郵便局に内容文書3部と封筒を持参する
  • 窓口で所定の利用料金を支払い、内容証明を送付する

かかる費用

内容証明の追加料金は440円で、2枚目以降は260円増です。

また、郵便局から内容証明を送付する場合、一般書留を利用する必要があるため「基本料金+一般書留の加算料金+内容証明の加算料金」が利用料金の総額になります。

区分料金
基本料金定形郵便物25gまで84円、50gまで94円
定形外郵便物(規格内)50gまで120円、100gまで140円、150gまで210円、250gまで250円
定形外郵便物(規格外)50gまで200円、100gまで220円、150gまで300円、250gまで350円
一般書留の加算料金1枚440円、2枚700円、3枚960円、4枚1,220円、5枚1,480円
内容証明の加算料金損害要償額が10万円まで435円、以降5万円ごとに21円増
その他速達:250gまで260円 配達証明:差出時320円、差出後440円

2.電子内容証明(e内容証明)の場合

内容証明の出し方の二つ目が、電子内容証明(e内容証明)を利用する方法です。

事前登録が必要になりますが、24時間いつでも内容証明を出すことができます。

また、手続きは作成した文書ファイルを専用ページにアップロードするだけなので、手軽で負担が少ないことがメリットです。詳しくは日本郵便の「 e内容証明(電子内容証明) 」ページを確認してください。

書式

電子内容証明では、文字数が定められていません。

Microsoft Wordの1枚あたりの標準的な文字数は1,584文字であるため、文字数が多くなる場合は窓口内容証明よりも電子内容証明を利用するのがおすすめです。

なお、電子内容証明を利用するにあたり「 日本郵便指定のひな型(Wordファイル) 」を使う必要があるため注意しましょう。

方法

電子内容証明を利用する方法は、事前に内容証明文書を作成しておき、登録しておいた専用ページからアップロード作業をするだけです。

以下に、電子内容証明を利用する際の手順をまとめておきます。

郵送する際の手順具体的にやること
1. 内容証明文書を作成する
  • ダウンロードしたひな型を使い内容証明文書を作成する
2. アップロード作業をおこなう

※Webゆうびんを利用するにあたり事前の利用登録が必要になる

3. 郵送料金・加算料金を支払う
  • クレジットカードまたは料金後納で郵便料金・加算料金を支払う
  • あとは全自動で文書の印刷・照合・封入作業がおこなわれる

かかる費用

電子内容証明の利用料金は、最低1,200円~です。

内訳は「郵便料金+電子郵便料金+内容証明料金+謄本送付料金+一般書留料金」となっています。また、オプションで配達証明と速達を利用することも可能です。

区分料金
郵便料金84円
電子郵便料金1枚目15円、以降1枚ごとに5円(最大5枚)
内容証明料金電子内容証明文書:1枚目382円、以降1枚ごとに360円(最大5枚)

同文内容証明:1枚ごとに210円(最大100通まで)

謄本送付料金通常送付304円、一括送付503円(最大100人まで)
一般書留料金435円
その他速達:260円 配達証明:320円

弁護士に内容証明を依頼するメリット

内容証明はご自分で作ることもできますが、弁護士に作成を依頼することも可能です。

内容証明の作成を弁護士に依頼するメリットには、以下のようなものがあります。

それぞれのメリットについて詳しく確認しましょう。

  • 法律的に正しい内容証明を送ることができる
  • 弁護士名義のため相手に精神的なプレッシャーを与えられる
  • 反論があった際に相手との交渉を一任できる
  • 裁判を見据えた内容証明を作ることができる

法律的に正しい内容証明を送ることができる

弁護士に依頼することで、法律的に正しい内容証明を作れるでしょう。

内容証明の目的は相手が受領したことや、時効完成の猶予や契約の解除といった意思表示を証明することです。

しかし、間違った文章で作成してしまうと法的な効力が弱まるかもしれません。

法律的に正しい内容証明を作るためにも弁護士に依頼することをおすすめします。

弁護士からという精神的なプレッシャーを与えられる

弁護士に依頼すると、弁護士名義で内容証明を作成してくれます。

内容証明には相手方の態度を軟化させて、代金や慰謝料などを支払わせる効果もあります。

特に、本人名義より弁護士名義のほうが、相手方は精神的なプレッシャーを強く感じるはずです。

その結果、債権回収などがスムーズに実現できる可能性があります。

相手との交渉を一任できる

内容証明を送付する相手方との交渉に不安を感じている方は、その後のやり取りも含めて弁護士に一任することも可能です。

弁護士に依頼すれば、内容証明の作成から送付後の相手方との交渉も全て弁護士が対応してくれるため、依頼者は時間的・精神的な負担を軽減できるでしょう。

また、交渉のプロである弁護士が交渉するため、有利な条件で話し合いを進められる可能性もあります。

裁判を見据えた発送ができる

弁護士に依頼した場合は、裁判での証拠活用を踏まえた内容証明を作成してくれます。

裁判では「主張の一貫性」も重視される観点のひとつです。

特に相手方と紛争中の場合は、内容証明を送付しておくことで「裁判前から主張が一貫している」という証拠に</span/>できます。

結果として、裁判で有利な判決に繋がる可能性もあります。

弁護士に内容証明の作成を依頼した場合の費用

弁護士費用は「弁護士に内容証明の作成を依頼した場合」と「その後の交渉まで依頼した場合」で異なります。

弁護士事務所によって料金体系は異なりますが、以下で一般的な弁護士費用の目安を確認しましょう。

内容証明だけを弁護士に書いてもらう場合

内容証明の作成だけを依頼した場合、手数料と実費が必要になります。

「(旧)日本弁護士連合会報酬等基準」を参考にすると、手数料は本人名義か弁護士名義かで異なり、本人名義の場合は1万~3万円、弁護士名義の場合は3万~5万円となっています。

なお、内容証明のみの依頼は受任しない弁護士事務所もあるので注意しましょう。

代理人として代わりに交渉をしてもらう場合

内容証明の作成と合わせて、弁護士に相手方との交渉を依頼することも可能です。

その場合は別途、着手金、成功報酬、日当、実費などが必要になるでしょう。

交渉まで依頼したときの弁護士費用は、事件の内容や裁判の有無などによっても変わります。

契約前の相談時点で弁護士費用の見積もりを出してもらいましょう。

まとめ|内容証明を送るなら弁護士に相談を!

内容証明は、債権回収、クーリング・オフ、契約解除、賃貸関連、人事労務関連など、さまざまな書類の送付日や送付内容を証明するために使われます。

インターネット上の資料やサンプルなどを参考にご自身で作成することもできますが、法律的に有効な内容証明を作りたいなら弁護士に依頼することをおすすめします。

もし売掛金や貸付金などの債権回収のために内容証明を送付したいなら、債権回収を得意としている弁護士に依頼してみましょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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