法テラス審査中の督促電話の対応方法の基本!無視する場合のリスクも解説

法テラス審査中の督促電話の対応方法の基本!無視する場合のリスクも解説

債務整理について法テラスの利用審査を受けているときでも、債権者から督促電話がくることがあります。

できれば弁護士に対応してもらいたいところですが、審査の段階で弁護士が代理人として対応してくれることは原則ありません。

そこで本記事では、法テラスで審査中に督促電話がきたときの対処法を解説します。

トラブルにならないための方法や、しつこい督促の違法性についても紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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この記事を監修した弁護士
星野 聖子弁護士(鎧橋法律事務所)
企業法務、一般民事事件、刑事事件、行政事件など幅広い分野の法律問題に対応した経験を有しています。

法テラス審査中の督促電話はどう対応する?弁護士に任せられる?

ここでは、法テラス審査中の督促電話の対応について説明します。

審査完了まで、弁護士が対応してくれるとは限らない

弁護士は依頼を受けると債権者に受任通知を送り、それによって債権者は債務者へ連絡できなくなります。

弁護士等に債務整理を委任した場合、正当な理由がない限り、債権者は直接債務者に連絡してはならないことが貸金業法で定められており(貸金業法第21条1項9号)、違反した場合は、2年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金、又はこれを併科する内容の刑事罰が科される可能性もあります(貸金法業47条の3、第3号)。

法テラスの審査中に受任通知を送ることについて明確なルールはありません。

弁護士は、原則として審査完了後に受任通知を送りますが、依頼者が緊急性を弁護士に説明することで、弁護士が判断して受任通知を早めに送る場合もあり得ます。

ただし、あくまでも法テラスを利用する場合、審査後に正式に受任して、受任通知を送付するという流れが一般的であり、依頼者が審査中に「受任通知を送ってほしい」と依頼しても引き受けてもらえるとは限りません。

持ち込み方式であれば、事前に弁護士へ対応可否を確認するのもよい

自分で弁護士を探して法律事務所経由で法テラスを利用する「持ち込み方式」を選択している場合には、以下の手順で審査中の督促電話に対応できます。

  1. 法テラスの確認:まず、法テラスに直接連絡して審査状況や進捗を確認しましょう。審査中であることを伝えることで、適切なアドバイスが得られる場合があります。
  2. 弁護士への連絡:持ち込み方式であれば、すでに相談している弁護士がいるはずです。弁護士に連絡して、督促電話について相談し、次の対応策を協議します。弁護士が適切なアドバイスや対応をおこなってくれるでしょう。
  3. 督促電話の対応:弁護士のアドバイスに基づいて、督促電話に応答します。今後の連絡や支払いについては、弁護士を通じておこなうように伝えることで、直接的なプレッシャーを避けることができます。
  4. 記録の保持:督促電話の内容や日時、対応内容を詳細に記録しておきましょう。これにより、今後の法的手続きや相談に際して役立ちます。
  5. 心理的な安心の確保:法的な問題に直面するとストレスがかかりますが、弁護士に相談しながら進めることで心理的な安心感を得られます。

持ち込み式の場合も、法テラスの審査中は、弁護士はアドバイスを提供するのみで、審査が通った後に弁護士が受任通知を発送するのが一般的です。

審査中の督促電話等が心配な場合は、弁護士に相談する段階で、審査中はどのような対応が可能かを確認しておくとよいでしょう。

法テラス審査中の督促電話を自分で対応する場合は?

法テラス審査中に督促電話があった場合、原則、債務者自身で対処する必要があります。

ここでは、法テラス審査中の督促電話を自分で対応する方法について押さえておきましょう。

督促電話には必ず出るか速やかに折り返す

債権者からの督促電話は無視せず、出られない場合は早めに折り返し連絡することが重要です。

電話を無視すると自宅にも連絡がいく恐れもあり、債務者が家族に借金を隠している場合、借金がバレる原因になります。

タイミングが悪いときには都合のよい時間を伝えてかけ直す旨を伝えれば、債権者は自宅に連絡してくることはありません。

なお、間違いや誤解を避けるためにも、債権者とのやり取りはできるだけ記録に残してください。

たとえば、重要な会話や取り決めはメールなど文書で確認するのがよいでしょう。

また、支払いが遅れる場合や一時的に返済が困難な状況に直面している場合は、必ず事前に債権者に連絡し、状況を説明することが大切です。

債権者は柔軟に対応してくれることがあり、分割払いの提案や一時的な猶予期間を設けてくれるかもしれません。

弁護士に受任してもらう予定であることを伝える

法テラス審査中の督促電話に自分で対応する際は、弁護士が受任予定であることと、今後の対応は弁護士に任せる旨を伝えましょう。

その時点での具体的な交渉は控え、弁護士の関与を示すことで債権者も慎重になる可能性が高いです。

感情的にならず、落ち着いて対応してください。

そのほか、法テラス審査中の督促電話対応で注意すべき点は以下のとおりです。

内容をよく確認して、冷静に対処しましょう。

【法テラス審査中の督促電話対策】

対策方法内容
氏名と連絡先の確認電話がかかってきた債権者(担当者)の氏名や連絡先を確認し、メモを取りましょう。

後の対応に役立つ情報です。

弁護士の関与を伝える「現在法テラスを通じて弁護士に相談中です。

弁護士が受任予定であり、今後の対応は弁護士に任せます」等と伝えましょう。

具体的な交渉は控えるこの段階では具体的な交渉や支払いスケジュールについては話さず、「弁護士から連絡が行くまでお待ちください」と伝えます。
メモを取るどのような内容の電話だったか、どのように対応したか、話した内容を詳細にメモしておきましょう。

これが後で弁護士に情報を提供する際に役立ちます。

不当な要求や脅しに対しては毅然と対応万が一、相手が不当な要求をしたり脅迫めいたことを言ってきた場合は、「そのような要求や脅しには応じられません。

全て弁護士に一任します」と毅然とした態度で断りましょう。

最後に全てのやり取りを記録し、弁護士との相談時にその記録を持参することを忘れないでください。

これにより、弁護士は事案の背景や相手方の対応状況を正確に把握し、より適切なアドバイスと支援を提供することができます。

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行き過ぎた督促電話は違法行為の可能性がある

貸金業法では、消費者金融などの貸金業者が債権の取立てをおこなう際に、人を脅したり、私生活や業務の平穏を害したりするような言動を禁止しています。

貸金業法は、借主の権利を保護し、不当な取立て行為から借主を守るために制定されています。

違反があった場合、貸金業者には刑事罰等の罰則が科されることがあります。

借主は不当な取立て行為に対しても、法律に基づいて保護される権利があることを理解しておくことが重要です。

以下のような督促電話があった場合は、違法行為に当たる可能性があるため、弁護士に相談しましょう。

  • 1日に何度も執拗な回数の督促電話
  • 早朝や深夜の督促電話
  • 勤め先への督促電話

それぞれの内容について、以下で詳しく解説します。

1日に何度も執拗な回数の督促電話は違法

金融業者は貸金業法によって取立て行為が規制されています。

禁止されている取立て行為の例は以下のとおりです。

【禁止されている取立て行為】

内容詳細
暴力的な言動や脅迫借金の返済を求める際に、暴力を使ったり、借主を脅迫するようなことは厳禁です。
他人への通知借主以外の者に対して、借金の存在や返済について通知することも認められていません。

貸金業法では、「私生活若しくは業務の平穏を害するような言動をしてはならない」と定められているため(貸金業法第21条1項)、1日に何度も執拗に電話がかかってくる場合も違法になる可能性があります。

明確な回数の基準はありませんが、例えば、1日に4,5回以上電話がかかってくることが継続するような場合は、速やかに弁護士に相談しましょう。

滞納していても金融業者の電話に対応すれば、強硬な手段に出ることはありません。

ただし、長期間滞納が続くと、金融業者は法的手段を講じることが可能になります。

法的手段には、裁判所に訴訟を提起する、確定判決を取得した後に債務者の財産を差し押さえるなどの方法があります。

債務者が会社員等の場合には、債権者が給料を差し押える可能性もあり、その場合には裁判所から勤務先に債権差押命令が送達されてしまいます。

法的な対応を避けるためには、早期に金融業者と連絡を取り、返済計画を立てる、あるいは弁護士等の専門家に相談することが重要です。

早朝や深夜の督促電話は違法

貸金業法では、原則として午後9時から午前8時までの間に債務者や保証人に電話・FAXをすること、あるいは自宅を訪問することが禁止されています(貸金業法第21条1項1号、同3号)。

夜間や早朝の時間帯に電話や訪問を受けることは、債務者にとって大きなストレスとなる可能性があり、それを防ぐための措置です。

(取立て行為の規制)

一 正当な理由がないのに、社会通念に照らし不適当と認められる時間帯として内閣府令で定める時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。

二 債務者等が弁済し、又は連絡し、若しくは連絡を受ける時期を申し出た場合において、その申出が社会通念に照らし相当であると認められないことその他の正当な理由がないのに、前号に規定する内閣府令で定める時間帯以外の時間帯に、債務者等に電話をかけ、若しくはファクシミリ装置を用いて送信し、又は債務者等の居宅を訪問すること。

引用元:貸金業法 | e-Gov法令検索

午後9時から債権者に午前8時までの間に加え、債権者に事前に連絡可能な時間帯を伝えている場合、その時間帯以外に督促電話がくることも基本的にはありません。

土日祝日の督促電話には規制がありませんが、社会的に正当と認められない取立て行為は違法です。

違法な督促を受けた場合は、弁護士や警察に相談しましょう。

勤め先への督促電話は違法

債務者の勤め先への借金取立ては、正当な理由がなければ貸金業法に違反します(貸金業法第21条1項3号)。

勤め先への取立ては、訪問だけでなく、電話・FAX・電報による取立ても禁止されています。

違法な督促電話に困ったら弁護士や警察に相談しよう

警察は「民事不介入の原則」により、民事の法律問題である借金の取立てには原則として関与しません。

ただし、取立行為が違法であれば対応してもらうことが可能です。

たとえば、貸金業者から脅された場合、その音声を証拠として警察に提出し、被害届や告訴を行うと捜査が開始されます。

特に告訴は捜査義務が発生するため有効です。

違法な取立てに悩む場合、債務整理に強い弁護士に相談するとスムーズに解決できるでしょう。

最近では、初回相談料が無料の弁護士も多く、自分に合った弁護士を探すことで、取立ての悩みからも解放されるかもしれませんよ。

さいごに|法テラス審査中は辛抱強く対応しよう

法テラス審査中であっても、債権者から督促電話がくる可能性はあります。

法テラス審査中の督促電話には、本記事を参考に適切な方法で対応してください。

なお、貸金業法では消費者金融などの貸金業者が債権の取立てをおこなう際に、人を脅したり、私生活や業務の平穏を害したりするような言動をすることを禁止しています。

違法な督促電話に困ったら弁護士や警察に相談するのがおすすめです。

債務整理をできる限り有利に進めたいなら、債務整理が得意な弁護士に相談しましょう。

弁護士ポータルサイトの「ベンナビ債務整理」では債務整理トラブルの解決を得意とする弁護士や初回の無料相談が可能な弁護士など、希望にあった弁護士を探すことができます。

地域や相談方法からも弁護士を探せるので、ぜひお気軽にご利用ください。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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