法テラスの審査に落ちることはある?通過できない4つの理由と落ちた場合の対処法

法テラスの審査に落ちることはある?通過できない4つの理由と落ちた場合の対処法

法律トラブルを抱えていて弁護士に依頼したいと考えているものの、費用を工面できそうにないので、どうしても法テラスを利用したいという方も多いのではないでしょうか。

しかし、法テラスには審査があるため、必ず利用できるとは限りません。

書類をしっかり準備して、基準をクリアする必要があります。

審査があると気になるのは「審査に落ちることはあるの?」「審査に落ちるとどうなるの?」という点でしょう。

本記事では、法テラスの審査に落ちる割合や審査基準、審査に落ちる理由や落ちた場合の対処方法について解説します。

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法テラスの審査に落ちる割合はどれくらい?

令和4年度の法テラス白書によると、法テラスの民事法律扶助業務の利用状況は以下のとおりです。

法律相談援助件数309,762件
代理援助開始決定件数101,594件
書類作成援助開始決定件数3,258件

具体的な審査数は公開されておらず、どれくらいの割合で審査に合格・不合格になっているかは不明です。

しかし、令和3年度の法テラス白書によると法テラスには年間1,000件程度の不服申し立てがあります。

審査に落ち、不満を抱えている方が一定数いることから、必ずしも審査に通るものではないと思われます。

法テラスの審査はどんな場合に落ちる?3つの審査基準

法テラスでは、民事法律扶助制度として以下のサービスを提供しています。

【法テラスが提供しているサービス】
  • 法律相談援助:弁護士または司法書士による無料法律相談
  • 代理援助:裁判所での民事・家事・行政事件の手続や示談交渉における弁護士や司法書士費用と実費の立て替え
  • 書類作成援助:裁判所に提出する書類を司法書士または弁護士に作成してもらう費用の立て替え

各サービスにはそれぞれ、以下のような利用審査基準が設けられています。

法律相談援助代理援助書類作成援
1.収入・資産が一定額以下か⚪︎⚪︎⚪︎
2. 勝訴の見込みが皆無ではないか×⚪︎⚪︎
3.民事法律扶助の趣旨に合っているか⚪︎⚪︎⚪︎

1.収入や資産が一定額以下か

法テラスの民事法律扶助制度を利用するには、収入や資産が一定額以下である必要があります。

なお、基準は家族人数によって以下のように異なります。

【法テラスの民事法律扶助制度を利用するための資力基準】
家族人数収入基準家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額資産基
1人182,000円(200,200円)41,000円以下(53,000円以下)180万円以下
2人251,000円(276,100円)53,000円以下(68,000円以下)250万円以下
3人272,000円(299,200円)66,000円以下(85,000円以下)270万円以下
4人299,000円(328,900円)71,000円以下(92,000円以下)300万円以下

※カッコ内は東京都特別区や大阪市などの場合

2.勝訴の見込みが皆無ではないか

法テラスを利用するには、勝訴の見込みがないとはいえない必要があります。

全く勝てる見込みがない場合は、法テラスでは対応してくれません。

訴訟で勝訴の見込みがある場合や、弁護士や司法書士が関与することで調停、和解、示談交渉などを通じて紛争解決や法律上の利益獲得が期待できることが条件とされています。

3.民事法律扶助の趣旨に合っているか

民事法律扶助のサービスは、法律上や経済上の利益がない場合(たとえば単なる報復感情の満足)や、社会正義や法に照らして適当でない場合(権利濫用的な訴訟など)には提供できません。

また、訴額が極端に少ない訴訟や、相手方の資産状況から回収可能性がない場合も費用対効果の観点から援助は難しいでしょう。

代理援助や書類作成援助は費用を立て替える制度であるため、返済の意思がない場合も同様です。

なお、以下のようなケースの場合も援助がおこなわれないため注意が必要です。

【民事法律扶助がおこなわれないケース】
  • 法テラス(職員含む)や弁護士・司法書士に対して 暴行・脅迫等の業務妨害をおこなった場合
  • 援助の契約や審査により付された条件に同意しない場合

法テラスの審査に落ちた場合に考えらえる6つの理由

法テラスの無料法律相談を利用する際は、電話で簡単な条件確認がおこなわれるだけなので、ほとんどの場合で利用可能です。

一方、弁護士費用の立て替えを利用する際は厳格な書類審査があり、条件を満たさないと審査に落ちることがあります。

しかし、不合格だった場合でも再審査が可能です。

審査に落ちる一般的な理由を理解すれば、次回の審査通過の確率を上げるでしょう。

ここでは、法テラスの審査に落ちる理由を6つ紹介します。

1.資力基準を満たしていなかった

審査に落ちる主な理由として、「資力基準」を超える収入や資産があることが挙げられます。

法テラスの弁護士費用の立て替えは、経済的に困窮している人のみが対象で、収入や資産がある人には自費で賄うよう求められてしまいます。

2.必要書類を提出していなかった

審査に落ちる原因として、必要書類に不備があったことが考えられます。

弁護士費用の立て替え制度の利用審査を受けるには、必要書類を提出しなければなりません。

必要な書類は事件の内容によって異なりますが、主に以下のような書類の提出を求められます。

【法テラスの審査のために準備が必要な主な書類】
書類の種類具体的な書類
本人と同居家族を確認するための書類● 住民票
● 在留カード
収入を確認するための書類● 給与明細
● 生活保護受給証明書
資産を確認するための書類● 固定資産評価証明書
● 固定資産税納税通知書
事件の内容を確認するための書類● 訴状の写し
● 診断書
返済に使用する口座を確認するための書類● 通帳の写し
● Web口座画面の写し

まずは基本的な書類として、身分証明書や住民票、収入証明書などが求められます。

さらに、特定の事件に関連する場合は、その事件に関する詳細な書類も必要となることがあります。

たとえば医療費については、医師の診断書や治療に関する明細書を用意しなければなりません。

不動産関連であれば、不動産の契約書や登記簿謄本などが求められることがあるでしょう。

事業資金関連の場合には、事業計画書や収支計画書、過去の決算書などが必要です。

これらの書類を提出することで、審査がおこなわれ、必要な基準を満たしているかどうかが判断されます。

結果によっては、追加の書類提出が求められる場合や審査が認められないこともあるため、事前によく確認し、必要な書類を揃えておくことが重要です。

3.結果が出る前に裁判が終わった

法テラスの支援を受けるための審査中に裁判が終了してしまうと、審査に落ちる可能性が高いです。

これは、法テラスの目的である裁判費用の支援ができなくなるためです。

審査には最短でも2週間かかり、その間にも裁判は進行します。

特に、借金問題で多くの金融機関から訴えられている場合、審査結果を待つ間に差押えがおこなわれることがあります。

そのため、裁判が進行中の場合、審査結果が出る前に裁判が終了してしまうことがあるのです。

法テラスの支援を受けるためには、できるだけ早く手続きを開始し、必要な書類を速やかに提出することが重要です。

4.過去に返済金の滞納をしていた

過去に法テラスを利用したことがあり、正当な理由なく立替金の返済を滞納したことがある場合は、審査に落ちることがあるため注意が必要です。

5.海外の事件や特殊な事件であった

外国での事件処理や非常に特殊・専門的な能力が必要な場合も、審査に落ちる可能性があります。

特殊な事件や海外に関する事件の場合は、その分野を得意とする弁護士に直接相談しましょう。

6.法テラス側に何かしらの事情があった

法テラスの財務状況やその他特別な事情がある場合、援助を開始しない決定がされることがあります。

また、弁護士や司法書士を選任できなかった場合や、途中で援助の要件を満たさなくなった場合には、援助開始決定が取り消されることがあります。

法テラスの審査に落ちたかどうかはいつわかる?結果の通達方法

審査が出るまでの期間は、無料相談などのための「法律相談援助」と弁護士費用立て替えなどのための「代理援助」で異なります。

それぞれの審査結果の通達方法と合わせて押さえておきましょう。

1.法律相談援助の場合|即日、電話などでわかる

弁護士への無料相談の申し込みは電話でおこなわれ、即日に審査結果が口頭で伝えられます。

法テラス利用が可能な場合、日程調整と相談場所の予約がおこなわれ、その後指定された日に無料相談が実施されます。

2.代理援助の場合|約2週間後に弁護士を通じてわかる

弁護士費用の立て替えを申請する際には、資力基準を中心に書類審査がおこなわれ、結果が出るまでに約2週間かかります。

しかし、書類不備などがある場合は、審査に1ヵ月程度かかることもあるでしょう。

特に、担当の弁護士が法テラスの申請手続きに慣れていない場合、必要書類の指示が不十分となり、提出書類に漏れが生じて審査が遅れる可能性があります。

また、申請者自身も書類について注意しなければなりません。

たとえば、収入証明書や住民票など、必要な添付書類の不足や情報の不一致があると、審査がさらに遅れる原因となります。

事前に必要な書類をリストアップし、担当弁護士と確認しながら準備を進めることが重要です。

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法テラスの審査に落ちた場合に利用者が検討すべき2つの対処法

法テラスの審査に落ちた場合、どのように対処すれば良いのでしょうか。

以下では、審査に落ちた際に検討すべき対処法についてみていきましょう。

1.法テラスに対して不服申し立てをする

法テラスの決定に不満がある場合、不服申し立てが可能です。

決定通知の到達日から30日以内に不服申立書を提出しましょう。

申立書は法テラスの各地方事務所に用意されています。

不服申立審査会の審理は、原則として書面でおこなわれ、提出された不服申立書は援助事件を担当する受任者にも提供されることがあります。

なお、不服申し立てをおこなう際には、いくつか留意点があります。

まず、申立書の記載内容には、決定に対する具体的な不満や理由を明確に記述することが求められます。

単に不満を述べるだけではなく、法的な根拠や具体的な事実を基にした説明が重要です。

不服申し立てが認められるかどうかは、提出された証拠や資料、申立書の内容によって左右されます。

そのため、必要に応じて追加の書類や証拠を準備して提出することも考慮すべきです。

その際、弁護士や専門家のサポートを受けることが推奨されます。

2.一般の法律事務所に相談・依頼をする

法テラスの審査に落ちた場合は、法律事務所に直接相談・依頼をするのもおすすめです。

最近では、初回相談を無料でおこなう法律事務所が増えており、特に借金問題では弁護士費用の分割払いを認める法律事務所もあります。

そのため、審査に落ちても、ネットで無料相談や分割払いが可能な法律事務所を探してみるとよいでしょう。

さいごに|初回無料相談に対応している弁護士は「ベンナビ」で探せる!

法テラスは、誰もが利用できるわけではありません。

収入や資産の基準をクリアしなければならず、勝訴の見込みがなければ審査に落ちる可能性も十分に考えられます。

法テラスの審査に落ちてしまったら、一般の法律事務所に相談・依頼を検討するのもおすすめです。

初回相談を無料でおこなう法律事務所が増えているので、思ったよりも費用も安く済むかもしれません。

無料相談ができる弁護士を探す際は、「ベンナビ」を利用してみてください。

ベンナビは離婚・相続・交通事故・刑事事件・労働問題・債務整理・債権回収・ITなどの法律分野ごと弁護士が多数登録されています。

また、地域や相談内容を絞り込んだり、無料相談の可否を指定したりして、自身の希望に適した弁護士を効率よく検索可能です。

法律トラブルは放置すると長期化・複雑化するおそれもあるので、できるだけ早く弁護士に相談し、法的な観点に基づいたアドバイスを受けることが重要です。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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