法の守護者たち:日本弁護士連合会の役割と機能

法の守護者たち:日本弁護士連合会の役割と機能
  • 「日本弁護士連合会とはどのような組織なのか」
  • 「日本弁護士連合会ではどのようなサービスを提供しているのか」

日本弁護士連合会という名称は、ニュースなどで一度は耳にしたことがある方も多いでしょう。

しかし、日本弁護士連合会が具体的にどのような組織で何の活動をしているのか知っている方は少ないはずです。

そこで本記事では、日本弁護士連合会について知りたい方に向けて以下の内容について説明します。

  • 日本弁護士連合会の基本情報
  • 日本弁護士連合会が運営しているサービスや相談窓口
  • 日本弁護士連合会の発行している出版物やSNSアカウント など

本記事を読んで、日本弁護士連合会の基本情報や活用方法などにについて詳しくなりましょう。

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この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

日本弁護士連合会の基本情報|どのような組織で何をしているのか?

日本弁護士連合会とはどのような組織で何をしているのでしょうか。

まずは、日本弁護士連合会の主な役割や業務内容について解説します。

日本弁護士連合会とは?

日本弁護士連合会は1949年9月1日に設置された、弁護士・弁護士法人・弁護士会によって構成される法人です。

弁護士法第1条が定める「基本的人権を擁護し、社会正義を実現する」という弁護士の使命や、同会が定めた会規第3条の「弁護士及び弁護士法人の品位を保持し、弁護士及び弁護士法人の事務の改善進歩を図る」といった目的に基づき、弁護士や弁護士会への指導・監督をはじめとするさまざまな活動をしています。

設立1949年9月1日
主な事業内容 人権擁護活動
刑事司法分野の改革・改善
民事司法分野の改革・改善
司法基盤の整備・拡充
弁護士の養成
弁護士業務の改革と制度の改善
法的サービスの拡充
国際活動
職員数179名(2024年1月時点)
住所東京都千代田区霞が関1-1-3 弁護士会館15階
電話番号03-3580-9841
公式サイトhttps://www.nichibenren.or.jp/index.html

日本弁護士連合会の主な業務内容

日本弁護士連合会は、主に以下のような業務をおこなっています。

  • 弁護士や弁護士会への指導・監督・連絡
  • 司法制度の調査研究や改革のための活動
  • 人権擁護に関する諸活動
  • 国会、政府、裁判所、企業などへの働きかけ
  • 弁護士の過疎・偏在を解消するための取り組み など

日本弁護士連合会の設立経緯

日本弁護士連合会は、戦後の日本国憲法の公布に伴い、現行の弁護士法が施行されたことで設立します。

戦前にも弁護士会は設置されていましたが、当時は検事正や法務大臣の監督下にありました。

しかし、こうした監視下では日本国憲法の掲げる基本的人権の尊重、国民主権、恒久的な平和の実現は達成できません。

そこで1949年に現行の弁護士法が施行され、国から監督を受けない日本弁護士連合会が発足しました。

日本弁護士連合会の特徴

ここでは、日本弁護士連合会の特徴をいくつか紹介します。

自治権が認められており、弁護士の資格審査や登録手続をおこなっている

日本弁護士連合会には、弁護士自治(自治権)が認められています。

自治権とは、国などから独立して組織や地域を管理・運営できる権利のことです。

たとえば、弁護士の資格審査、登録手続き、懲戒処分などは、日本弁護士連合会または弁護士会だけがおこなえます。

こうした弁護士自治が認められているため、仮に国と訴訟をする場合でも、弁護士資格のはく奪といった妨害行為を受けずに済むのです。

日本全国の全ての弁護士・弁護士法人が登録している

日本で弁護士業務をおこなう場合は、所属先の弁護士会を通じて日本弁護士連合会に登録する必要があります。

日本弁護士連合会の「弁護士検索」を使えば、氏名・登録番号・所属弁護士会・所属事務所などを確認できます。

なお、この弁護士検索で情報が見つからない場合は、弁護士と偽っている可能性が高いので注意しましょう。

日本弁護士連合会が運営する6つのサービスや相談窓口

日本弁護士連合会は、法律に関する悩みやトラブルに対応するさまざまな相談窓口を運営しています。

1.ひまわりサーチ|分野別に弁護士情報を検索できる

日本弁護士連合会は、「ひまわりサーチ」という弁護士情報提供サービスを提供しています。

通常の「弁護士検索」と異なり、登録年、学歴、取得資格、取扱業務、重点取扱業務などを調べられます。

フリーワードで検索できるため、たとえば「相続」「借金」など、自分の悩みに合わせて弁護士を探すことができます。

【参考】日本弁護士連合会:弁護士情報提供サービス ひまわりサーチ

2.ひまわり相談ネット|法律相談センターへのWeb予約ができる

日本弁護士連合会では、弁護士会の法律相談センターに予約ができるひまわり相談ネットを運営しています。

希望のエリアを選択すると、各都道府県の法律相談センターの予約画面に移動します。

その画面で予約情報や個人情報などを入力すれば予約が完了となります。

【参考】ひまわり相談ネット|日弁連の法律相談インターネット予約

3.ひまわりお悩み110番|法律相談センターへの電話予約ができる

日本弁護士連合会では、弁護士会の法律相談センターにつながるひまわりお悩み110番を運営しています。

このひまわりお悩み110番でも、法律相談センターでの相談予約をおこなうことが可能です。

ひまわりお悩み110番に電話したら、名前、連絡先、相談したいことを伝えます。

そのまま面談日や相談場所を決めれば予約完了です。

【参考】日本弁護士連合会:ひまわりお悩み110番

4.ひまわりほっとダイヤル|中小企業経営者・個人事業主向けの予約窓口を設置している

日本弁護士連合会では、ひまわりほっとダイヤルという中小企業経営者や個人事業主向けの予約窓口を設置しています。

電話またはインターネットから問い合わせると、後日、弁護士から折り返しの連絡があります。

そこで社名、業種、氏名、住所、連絡先などを伝えると面談の予約が確定となります。

弁護士との対面相談は、初回に限り30分間無料で受けられます。

ただし、旭川、宮城県、栃木県、長野県、徳島県、香川県、愛媛県、長崎県は初回から有料となっています。

【参考】ひまわりほっとダイヤル 日弁連の中小企業向け弁護士予約サービス

5.日弁連交通事故相談センター|交通事故の相談や示談あっせんに対応している

日弁連交通事故相談センターでは、以下のような交通事故に関する悩みを相談できます。

  • 賠償責任があるのかどうか判断してほしい
  • 自賠責保険の手続き方法を教えてほしい
  • 妥当な損害賠償の金額が知りたい
  • 示談交渉の仕方を教えてほしい など

相談時間は1回あたり30分程度で、最大5回まで利用できます。

また、弁護士を介して加害者・保険会社と交渉する示談あっせんを依頼することも可能です。

自分だけで交渉するのが難しい場合は、日弁連交通事故相談センターを頼ることをおすすめします。

【関連記事】日弁連交通事故相談センターを利用する際の5つの心得

6.日本知的財産仲裁センター|知的財産に関する紛争について相談ができる

日本弁護士連合会は、日本弁理士会と共同で日本知的財産仲裁センターを運営しています。

日本知的財産仲裁センターは、知的財産に関する相談・調停・仲裁などに対応している組織です。

相談は有料であり、担当者が一人の場合は1時間あたり1万円、二人の場合は1万8,000円となっています。

知的財産に関する悩みや不満などがある場合は、日本知的財産仲裁センターの有料相談を利用するとよいでしょう。

【参考】日本知的財産仲裁センター

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日本弁護士連合会をもっと知るには?出版物やSNSアカウントを紹介

日本弁護士連合会をもっと知りたいという方は、出版物やSNSを確認するのもおすすめです。

ここでは、日本弁護士連合会が発行している出版物や運営しているSNSを紹介します。

日本弁護士連合会の出版物

日本弁護士連合会は、以下のような出版物を発行しています。

  • 自由と正義
  • 日弁連新聞
  • 弁護士白書 など

このような日本弁護士連合会が発行している出版物について確認しましょう。

自由と正義|一般の方でも読める日弁連の広報誌

日本弁護士連合会は、1950年(昭和25年)から広報誌『自由と正義』を毎月発刊しています。

基本的には日本弁護士連合会の会員向けですが、一般の方でも購読を申し込むことができます。

年間購読の場合は1万2,600円、1部の場合は1,050円です。

購読を希望する場合はEメールまたはFAXで申し込みましょう。

【参考】日本弁護士連合会:自由と正義

日弁連新聞|月に1度会員向けに発行される日弁連の新聞

日弁連新聞は、1974年(昭和49年)から毎月1回、会員向けに発行されている新聞です。

当面の諸問題、総会や各種シンポジウムなどの行事など活動全般に関する情報が記載されています。

日弁連新聞も一般の方でも購読でき、EメールまたはFAXで申し込むことができます。

年間購読の場合は1,050円、1部あたりの購読の場合は100円となっています。

【参考】日本弁護士連合会:日弁連新聞

弁護士白書|年1回発行される統計情報

日本弁護士連合会は、1年間に1回弁護士の活動情報をまとめた『弁護士白書』を発行しています。

弁護士の実勢や弁護活動の内容、各弁護士会や日本弁護士連合会の活動に関するデータを確認できます。

また、司法統計や関連団体の統計など、弁護士の実情以外の情報についてもデータ化されています。

2023年時点で22号まで発行されているため、複数年の白書を見比べることで数値の経年変化を確認することもできます。

【参考】日本弁護士連合会:弁護士白書

その他出版物やパンフレット

日本弁護士連合会は、さまざまな書籍を出版しています。

一例として、以下に2022年と2023年に出版された書籍のタイトルと価格を紹介します。

  • 『ジェンダー平等の実現と司法 弁護士実務から見る課題と論点』 4,600円
  • 『弁護士懲戒事件議決例集25』 2,040円
  • 『中小企業法務のすべて(第2版)』 4,840円
  • 『詳説 ビジネスと人権』 3,960円
  • 『弁護士懲戒事件議決例集24』 2,040円
  • 『法律家のためのITマニュアル~e裁判・リモートワークでこんなに変わる弁護士業務~』 3,850円

また、以下のようなパンフレットも発行しています。

  • 日弁連の活動に関するパンフレット
  • 弁護士業務に関するパンフレット
  • 刑事法や刑事弁護に関するパンフレット
  • 人権問題についてのパンフレット

WebサイトでPDFファイルを閲覧できたり、在庫があればパンフレットを取り寄せたりすることも可能です。

【参考】
日本弁護士連合会:日弁連出版書籍
日本弁護士連合会:パンフレット等

日本弁護士連合会のSNS

日本弁護士連合会は、活動内容の紹介や法律に関する啓蒙をおこなうため、以下のようなSNSを運営しています。

  •  YouTube
  •  Facebook
  •  X(旧Twitter)
  •  Instagram

ここでは日本弁護士連合会が運営しているSNSについて確認しましょう。

YouTube|わかりやすい法律解説動画などを視聴できる

日本弁護士連合会のYouTubeでは、以下のような動画が公開されています。

  • 法律トラブルの解決例
  • 被害者へのインタビュー
  • 弁護士へのインタビュー
  • 法改正についての解説
  • 法曹による対談
  • 法律相談を身近に感じられるアニメ など

日本弁護士連合会の公式YouTubeチャンネルは、以下のリンクからアクセスできます。

【参考】NICHIBENREN TV-日弁連公式動画チャンネル – YouTube

Facebook|中小企業経営者向けに情報発信をしている

Facebookでは「ひまわり中小企業センター」という中小企業経営者向けのアカウントを運営しており、以下のような情報を発信しています。

  • 無料相談会に関する情報
  • シンポジウムの開催情報・報告
  • 新しい法的な制度に関する啓蒙
  • 各種ガイドラインの紹介
  • 倒産回避策に関する情報 など

ひまわり中小企業センターのアカウントは、以下のリンクから確認できます。

【参考】日弁連 ひまわり中小企業センター | Chiyoda-ku Tokyo | Facebook

X(旧Twitter)|複数のアカウントを運営

日本弁護士連合会は、X(旧Twitter)で以下のようなアカウントを運営しています。

このうち日本弁護士連合会のアカウントでは、人権擁護活動や、法制度の改善・改革のための取り組みなどに関する投稿がされています。

個別のリプライはおこなっていないため、質問や疑問がある場合は電話やFAXなどで問い合わせましょう。

Instagram|広報キャラが情報発信

Instagramには、2008年に誕生した日本弁護士連合会の広報キャラクター・ジャフバくんの公式アカウントがあります。

更新は2020年で止まっていますが、現在でも過去の投稿を確認することができます。

【参考】ジャフバ(日弁連広報キャラクター)(@jfbakouhou) • Instagram写真と動画

日本弁護士連合会についてよくある質問と回答

最後に、日本弁護士連合会に関するよくある質問に回答します。

Q.弁護士とトラブルになったら日弁連に報告すればいいの?

弁護士とのトラブルは、日本弁護士連合会では受け付けていません。

万が一弁護士とトラブルになったら、地域の弁護士会が運営する以下の窓口に相談しましょう。

  • 市民窓口:弁護士への苦情などを受け付けている
  • 紛議調停委員会:報酬面のトラブルや、辞任・解任のトラブルなどを受け付けている

住んでいる地域の弁護士会の情報については、以下のリンクから確認することができます。

【参考】日本弁護士連合会:全国の弁護士会・弁護士会連合会

Q.弁護士の懲戒請求は日弁連にすればいいの?

弁護士の懲戒請求も、日本弁護士連合会では受け付けていません。

懲戒請求をしたい場合は、その弁護士が所属している弁護士会に対しておこないましょう。

なお、懲戒の原因があったときから3年で、懲戒の手続きができなくなるので注意してください。

さいごに

日本弁護士連合会は、日本で活動する全ての弁護士が所属する団体であり、弁護士の権利や市民の人権などを守るために活動しています。

日本弁護士連合会では、一般の方向けに弁護士検索サービスや電話予約サービスなどを提供しています。

また、日弁連交通事故相談センターや日本知的財産仲裁センターでは専門的な相談・示談あっせんなどを受け付けています。

法律相談センターの予約をしたい場合や交通事故・知的財産権に関するトラブルで困っている場合は、日本弁護士連合会を頼るようにしましょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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