公証役場の役割と利用シーン8つ|無料相談の方法と注意点

公証役場の役割と利用シーン8つ|無料相談の方法と注意点
目次
  1. 公証役場とはどんなところ?無料相談すべき8つのシーン
    1. 1.公正証書遺言を作成したいとき
    2. 2.法人設立時の定款の認証をするとき
    3. 3.保証意思宣明公正証書を作成するとき
    4. 4.任意後見契約をするとき
    5. 5.慰謝料や養育費などの支払いに関する執行証書を作るとき
    6. 6.事実実験公正証書を作成したいとき
    7. 7.宣誓認証制度を利用するとき
    8. 8.確定日付を付与してほしいとき
  2. 公証役場の無料相談を利用する際の大まかな流れ|3ステップ
    1. 1.近くの公証役場を探す
    2. 2.無料相談の予約を取る
    3. 3.公証役場に行き、公証人と相談する
  3. 公証役場の無料相談を有効活用するための4つのポイント
    1. 1.電話相談やメール相談なども利用する
    2. 2.相談したいことをメモにまとめておく
    3. 3.相談内容に関する資料があれば持参する
    4. 4.契約内容などについては弁護士に相談しておく
  4. 公証役場で証書作成などをおこなう際の費用
  5. 公証役場の無料相談を利用する際の注意点
    1. 法律相談には対応することができない
    2. 原則、相談は平日の日中に限られている
    3. 出張などにより公証人が不在のときがある
  6. 公証役場の無料相談に関するよくある質問
    1. Q.公証役場の公証人とはどのような人なのか?
    2. Q.代理人でも公証役場の相談を利用できるのか?
    3. Q.役所主催の公証相談でも公証人と相談できるのか?
    4. Q.公正証書の作成をキャンセルした場合の費用はどうなるか?
  7. さいごに|公正証書を作りたいなら公証役場に相談しよう!

法的に問題のない遺言書や契約書の作成なら公証役場で作成するのが安心です。

しかし、初めての利用でわからないことが多く「まずは無料相談をしたい」と考える方も多いでしょう。

公証役場では公証人に無料で相談に乗ってもらえます。

ただし、相談できるのはあくまで公証人に作成してもらう文書についてのみです。

遺言書や契約書などの内容をどうすべきかといった法律相談には乗ってもらえません。

また、平日の日中にしか利用できないなどの注意点もあるので気をつけましょう。

本記事では、公証役場でできることを紹介するほか、利用する際の流れなど、初めて公証役場を利用する方が知っておきたい基礎知識について解説します。

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この記事は、株式会社アシロの「法律相談ナビ編集部」が執筆、社内弁護士が監修しました。

公証役場とはどんなところ?無料相談すべき8つのシーン

公証役場とは、公証人に公正証書の作成などをしてもらえるところです。

しかし、具体的に何を相談できるのかイメージしにくいという方もいるでしょう。

まずは、公証役場で相談できる主な内容について紹介します。

1.公正証書遺言を作成したいとき

一般的にもっとも多い利用目的が、公正証書遺言の作成でしょう。

公正証書遺言とは、公証人に遺言の内容を伝えて作成してもらう遺言書です。

法律に則って不備なく作成でき、遺言執行の際は家庭裁判所の検認手続きを経る必要もありません。

もっとも確実に遺言を残せる方法といえるでしょう。

また、遺言を残したい方が病気などで公証役場まで来所するのが難しい場合は、公証人に自宅や病院まで出向いてもらって作成することもできます

2.法人設立時の定款の認証をするとき

定款とは、会社や財団法人などの法人の設立目的や活動など根本的なことを定めた規則のことです。

この書類が正当な手続きによって作成されたことを、公証人が証明します。

これが、「定款の認証」です。

認証された定款を法務局へ提出し、会社の登記手続きをおこないます。

3.保証意思宣明公正証書を作成するとき

保証意思宣明公正証書とは、事業用の保証契約を締結する際に、公証人に作成してもらうものです。

令和2年4月1日から施行された改正民法によって義務付けられたもので、事業用融資契約を締結する日の1ヵ月前までに作成しなければなりません。

第三者がよくわからないまま連帯保証人となり、いざ借主が返済できなくなった際に、連帯保証人の生活まで破綻するのを防ぐために設けられました。

そのような背景もあり、公証人は、保証人が融資契約の内容や保証人となることのリスクなどを十分理解しているかを面談によって確認のうえ作成します。

保証意思宣明公正証書がなければ、保証契約を締結しても、その契約の効力は生じません。

4.任意後見契約をするとき

任意後見契約とは、高齢や認知症などによって判断能力が低下したときに備えておくための契約です。

まだ問題なく生活できているうちに後見人を選任し、自分の生活や財産の管理をおこなってもらえるよう依頼し、公正証書によって契約書を作成しておきます。

公証人が本人と面談のうえ作成するため、本人の意思や判断能力の有無を確認できるほか、法律の専門家である公証人が作成するため、契約内容が法律に即さないものになる心配もありません。

5.慰謝料や養育費などの支払いに関する執行証書を作るとき

相手から慰謝料や養育費を確実に回収するには、執行証書を作るのが有効です。

執行証書があれば、相手が債務の支払いをおこなわない場合、裁判を起こさなくても強制執行手続きができます。

6.事実実験公正証書を作成したいとき

事実実験公正証書とは、公証人が自らの五感をもって直接見聞した事実について記載、作成した公正証書のことです。

将来起こりうる争いに備え、有効な証拠物を確保しておくために作成されます。

事実実験公正証書の作成事例としては、以下のような場合が挙げられます。

  • 契約者が亡くなったあとに貸金庫を強制的に開ける場合
  • インターネットや携帯電話での違法行為があった場合、該当画面のプリントアウトや写真を有効な証拠にしたい場合
  • 株主総会の手続きが適切におこなわれた証拠を保全したい場合

7.宣誓認証制度を利用するとき

宣誓認証とは、作成した文書の記載内容が真実であることを公証人に認証してもらう制度です。

以下のような場合に利用されることが多いでしょう。

  • 民事訴訟に裁判所に提出する陳述書の証拠能力を高めたい場合
  • 目撃証言などの記録を証拠として利用したい場合
  • 供述者があとになって供述内容を覆す可能性のある場合

8.確定日付を付与してほしいとき

確定日付とは、公証人に確定日付印を押印してもらうことで、その日にその文書が存在していたことを証明するためのものです。

対象となる文書は私文書に限られます。

登記事項証明書など、公務員である登記官によって作成された公文書は対象にはなりません。

公証役場の無料相談を利用する際の大まかな流れ|3ステップ

実際に公証役場で、公証人による無料相談を利用したい場合はどのようにすればよいのでしょうか。

ここでは、公証役場の無料相談を利用する際の手順について紹介します。

1.近くの公証役場を探す

無料相談はどこの公証役場でも受けられます。

足を運びやすい近くの公証役場を利用するとよいでしょう。

全国の公証役場の所在地や電話番号などは以下のページから探せます。

【参考】公証役場一覧 | 日本公証人連合会

2.無料相談の予約を取る

無料相談は予約なしでも利用できますが、待ち時間なくスムーズに相談を受けるためにも、あらかじめ予約をしておくことをおすすめします。

ただし、公証役場によっては予約できないところもあります

訪問する前にホームページを確認するか、電話で問い合わせたほうがよいでしょう。

3.公証役場に行き、公証人と相談する

実際に公証役場に足を運び、公証人に相談をしましょう。

相談内容は、公正証書の作成に関することや、公証人にお願いできることであれば、どのようなことでもかまいません。

以下のようなことを質問しても、丁寧に教えてもらえるでしょう。

  • 公正証書とはどのようなもの?
  • 公正証書を作成するメリットは?
  • 公正証書を作成する手順は?
  • 公正証書の作成に必要な準備は?

公証役場の無料相談を有効活用するための4つのポイント

無料相談前にあらかじめ必要な準備は特にありません。

しかし、せっかく公証役場まで足を運ぶのですから、できる限り有効な時間にしたいものです。

ここでは、公証役場での無料相談をできるだけ有意義なものにするためのポイントを紹介します。

1.電話相談やメール相談なども利用する

公証役場では、対面による相談のほか、電話やメール、FAX、郵便による相談も受け付けています。

一般的な内容であれば、来所しなくても解決する可能性もあるため、内容によっては利用を検討するのもよいでしょう。

2.相談したいことをメモにまとめておく

公証人への質問や、相談したい内容はあらかじめ整理してメモにまとめておくことをおすすめします。

公正証書を作成しようと考えるに至った経緯や懸念事項、公正証書作成の目的などを明らかにしておきましょう

背景や問題を伝えることで、公証人が適切なアドバイスや提案をしやすくなります。

3.相談内容に関する資料があれば持参する

公証人からより的確なアドバイスや提案をしてもらうためにも、相談時には関係資料をできるだけ持参することをおすすめします。

資料を確認することで、公証人が事態の背景や問題を把握しやすくなります

時間をかけて状況を説明しなくても、理解してもらえるため、相談時間をより有意義なものにできるでしょう。

4.契約内容などについては弁護士に相談しておく

公証人には、公正証書の作成についての相談はできますが、作成する文書の内容についての相談はできません

「自分にとって有利な内容にしたい」「自分の希望が問題なく実現するような内容にしたい」など、内容に関することは弁護士に相談しましょう

弁護士に相談すれば、法的に問題がないだけでなく、相談者にとって最適な内容を提案してもらえます。

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公証役場で証書作成などをおこなう際の費用

公証役場を利用する際、費用のことも気になるものです。

公証役場でかかる費用は、証書を作成する場合とそれ以外の場合とで算出方法が異なります

公正証書を作成してもらう場合は、その目的物の価額によります

目的物の価額とは、契約に定められた行為によって、当事者の一方が得られる利益のことです。

以下では、法律行為に関する証書作成の手数料のほか、確定日付など、公正証書の作成以外のことを依頼した場合にかかる費用について紹介します。

法律行為に関する証書作成の手数料
目的物の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1,000万円以下17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下29,000円
5,000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下43,000円+超過額5,000万円までごとに13,000円
3億円を超え10億円以下95,000円+超過額5,000万円までごとに11,000円
10億円を超える場合249,000円+超過額5,000万円までごとに8,000円
価額を算定できない場合目的物の価額を500万円とみなし、11,000円
その他確定日付等の手数料
内容手数料
確定日付の付与1通につき700円
執行文の付与1,700円
正本・謄本の送達1,400円
正本・謄本の交付1枚あたり250円
送達証明250円
証書・定款の原本およびその付属書類の閲覧1回につき200円

公証役場の無料相談を利用する際の注意点

公証役場の無料相談を利用する際には、以下の点に注意しましょう。

法律相談には対応することができない

公証人の職務とは、公証事務であり、公正証書を作成したりその内容の認証をしたりすることです。

公証人には、公正証書として作成する文書の内容についての相談はできません

また、ご自身が抱えているトラブルの解決についての法律相談も対応してもらえません。

文書の内容やトラブルの解決策について相談したい場合は、弁護士にしましょう

原則、相談は平日の日中に限られている

公証役場の執務時間は、原則として平日の9時00分〜17時00分です。

土日祝日や夜間には利用できず、相談できる時間が限られます。

また、各公証役場によって執務時間が異なったり、閉鎖している時間帯があったりするため、事前に確認するようにしましょう。

出張などにより公証人が不在のときがある

公証役場の執務時間内であっても、公証人が必ずいるとは限りません

外出や出張により不在の場合もあります。

すでに何度か相談していて、担当の公証人がいたり、公証人が一人しかいない役場であったりする場合は、予約のうえ訪問するほうがよいでしょう。

公証役場の無料相談に関するよくある質問

公証役場を利用したことがなければ、まだまだわからないことがあるものです。

ここでは、公証人や公証役場についてよくある質問とその回答について紹介します。

Q.公証役場の公証人とはどのような人なのか?

公証人とは、法務大臣の任命によって国の公務にあたる法律の専門家です。

国家公務員法上の公務員ではありませんが、国の公務をするという意味では公務員といえるでしょう。

その職務は公証事務といわれるもので、公正証書の作成や文書の認証などが含まれます。

Q.代理人でも公証役場の相談を利用できるのか?

相談は代理人でもできます

ただし、実際に公正証書を作成する段階では、公証人がその当事者である本人と面談しなければなりません。

本人との面談が難しい場合は、代理人が公証人との面談に臨むこともできますが、その場合は代理権の証明が必要です。

Q.役所主催の公証相談でも公証人と相談できるのか?

自治体によっては、役所で公証人による相談会を実施しているところがあります。

在住者のほか、地域によっては在勤者や在学者も利用できる場合もあります。

詳しくは自治体のホームページなどで確認しましょう。

Q.公正証書の作成をキャンセルした場合の費用はどうなるか?

公証人が公正証書の作成に着手したあとであれば、それまでにかかった手間や時間に応じて費用を請求されます。

依頼したあとは、不用意にキャンセルしないように注意しましょう。

さいごに|公正証書を作りたいなら公証役場に相談しよう!

公正証書は、法律トラブルの発生を未然に防ぐために有効です。

「絶対に回収したい債権がある」「遺言を確実に残したい」などという場合は、公証人に相談をし、公正証書を作りましょう。

公証人への相談は、どこの公証役場でも無料でできます。

ただし、公証人には公正証書の内容についての相談や法律相談はできません

肝心の内容についてどうすればよいのかわからない場合やトラブルを解決したい場合に頼れるのは弁護士です。

「どのような契約内容にすればよいのかわからない」「トラブルの解決もしたい」などの場合は、弁護士に相談しましょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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