法テラスの立替費用の返済が免除となる場合とは?対象者や申請方法を解説
- 「生活が苦しく、法テラスに立て替えてもらった分を返せず困っている」
- 「法テラスでの弁護士費用が免除になる場合とはどんな場合か知りたい」
法テラスには、経済的に困窮している方向けの弁護士費用立替制度があります。
立て替えてもらったお金は毎月返済する必要がありますが、経済的な理由で返済が難しくなってしまうこともあるでしょう。
法テラスでは一定の条件を満たすと、立て替えた費用の返済が猶予・免除される可能性もあります。
しかし、返済を免除される対象事件が限られているケースは少なくありません。
返済を踏み倒すと、法的措置を講じられてしまうので十分な注意が必要です。
本記事では、法テラスで弁護士費用が免除となる条件や仕組みを解説します。
また、返済を免除してもらえなかったときの対処法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。
解決したい
減らしたい
獲得したい
揉めている
弁護士を してほしい
相談できる
親族と揉めている
対策をしたい
請求したい
されてしまった
訴えたい
払って もらえない
分からない
お金を 取り戻したい
法テラスで弁護士費用が免除となる仕組み
法テラスの弁護士費用「免除」とは、利用者が支払うべき弁護士費用の支払・返済義務をなくすことです。
なお、免除を受けるためには、法テラスへの申請と書類審査が必要になります。
法テラスには、経済的に困窮している方向けの弁護士費用立替制度がある
法テラスの民事法律扶助制度は、弁護士や司法書士への相談で問題が解決しない場合に、弁護士・司法書士の費用を立て替える制度です。
民事法律扶助制度は、借金問題、家庭内のトラブル、労働問題、消費者問題など、幅広い法律相談に対応しています。
経済的に困難な状況にある方々にとって、法的なサポートを受ける重要な支えとなるでしょう。
立替制度の具体的な利用条件
法テラスの立て替え制度を利用するには、収入や資産が一定の基準以下である必要があります。
なお、収入・資産の基準は家族の人数や住んでいる地域によって異なります。
家族人数 | 収入基準 | 資産基準 |
1人 | 182,000円(200,200円) | 180万円以下 |
2人 | 251,000円(276,100円) | 250万円以下 |
3人 | 272,000円(299,200円) | 270万円以下 |
4人 | 299,000円(328,900円) | 300万円以下 |
※カッコ内は東京都特別区や大阪市などの場合
さらに、弁護士や司法書士の費用を立て替えてもらうためには、勝訴の見込みがある程度あることや、民事法律扶助の趣旨に沿った理由がることが条件になります。
個人的な復習のための訴訟や、全く勝てる見込みがない裁判については、審査基準を満たせない可能性があるので注意してください。
さらに一定の条件を満たすと立て替えた費用の返済が猶予・免除される
法テラスで立て替えてもらった弁護士費用は、さらに条件を満たすことで返済を免除してもらえたり、返済までの期間に猶予を与えてもらったりできます。
たとえば、生活保護受給中の方は返済が猶予され、事件終了後も生活保護を受給している場合は返済免除の申請が可能です。
ただし、弁護士費用の免除や猶予の申請は、事件終了後におこなう必要があります。
民事法律扶助制度を利用するときから、免除や猶予をしてもらうつもりで審査を受けることはできません。
生活保護者の立て替え費用の免除・猶予については、以下で詳しく紹介します。
生活保護受給者は法テラスで立て替えた費用の返済が免除される
生活保護受給者の方は、以下3つの要件を満たすことで、法テラスで立て替えた費用の返済が免除される可能性があります。
- 生活保護を受けていること
- 得た利益の25%を返済しているか返済不要とする特別の事情があること
- 免除の認可が相当とされること
それぞれの要件について、以下で詳しく解説します。
1.生活保護を受けていること
生活保護を受けている場合は国から経済的困窮が認められている状態です。
これは、個人が一定の収入や資産を持たず、基本的な生活費を賄うことができない状況を指します。
そのため、弁護士費用の返済が難しい場合は、返済を免除もしくは猶予してもらえる可能性があるのです。
2.得た利益の25%を返済しているか返済不要とする特別の事情があること
事件解決後に得た利益の25%を償還している場合や、返済を免除する相当な事情がある場合は、弁護士費用の返済が免除される可能性があります。
相当な理由には、以下のようなケースが該当します。
- 重篤な病気または障害:生活保護受給者が深刻な病気や障害を抱えており、働くことが難しく、収入を得る手段が限られている場合(※医師の診断書や障害者手帳などの証拠が必要)。
- 高齢者: 一定の年齢以上の高齢者であり、就労が困難な場合(※年齢証明書が必須)。
- 家族の援助が得られない場合:受給者が扶養義務者からの援助を受けられない、または扶養義務者自体が経済的に困難な状況にある場合(※具体的な証明書や文書が必要)。
- 災害や事故による損害:受給者が自然災害や事故により、財産や収入手段を失った場合(※具体的な証明(保険会社の報告書、警察の報告書など)が求められる)。
これらの条件を満たす場合、生活保護受給者は返済免除を受けられる可能性があるでしょう。
ただし、免除を申請する際は、ケースごとに詳細な書類の提出や面接が求められることがあり、自治体の福祉事務所が個別に審議します。
返済免除の判断はケースバイケースであり、申請者の具体的な状況や提出された証拠資料を基におこなわれます。
生活保護受給者が返済免除を申請する場合は、まず自治体の福祉事務所に相談し、必要な手続きを確認しましょう。
3.免除の認可が相当とされること
審査の結果、返済免除が相当と判断される場合にのみ、免除が認められることになります。
また、返済免除が認められた場合でも、その後の状況の変化に応じて再評価がおこなわれることがあるため、生活保護受給者は定期的な報告や面談を怠らないことが重要です。
自己破産など、生活保護に準じる状態でも返済が免除される可能性がある
自己破産など生活保護に準じる状態の方も、以下2つの要件を満たすことで、費用の返済が免除される可能性があります。
ここでは、生活保護受給者以外の免除・猶予の要件をみていきましょう。
自己破産者が返済免除となる2つの要件
自己破産者が返済免除となる要件は、以下のとおりです。
- 収入が一定の基準以下であること
- 資力困難要件を満たすこと
それぞれについて、以下で詳しく解説します。
1.収入が一定の基準以下であること
自己破産者が返済免除となる収入の基準は、以下のとおりです。
- 被援助者とその配偶者の収入の合計が、援助開始時の資力基準の70%以下であること
- 被援助者およびその配偶者が保有する不動産や預貯金などの資産について、これらの資産を償還に使用できない合理的な理由があること
なお、世帯人数ごとに資力基準は以下のように異なります。
世帯人数 | 収入基準 |
1人 | 127,400円以下 |
2人 | 175,700円以下 |
3人 | 190,400円以下 |
4人 | 209,300円以下 |
2.資力困難要件を満たすこと
被援助者が将来的に資力を回復する見込みが低い場合も費用の返済免除が認められる可能性があります。
- 65歳以上の高齢者
- 重度又は中度の障害のある者
- 前号の障害のある者を扶養している者
- 疾病により長期の療養を要するため、現に収入を得ておらず、かつ、今後1年程度の間に労務に服することが見込めない者
- 前各号に準ずる事由により、今後1年ないし2年で、現在よりも生計が改善される見込みに乏しい者
上記の要件を満たす場合は、今後の返済は難しいと判断され、返済が免除される可能性があるのです。
免除申請をする際の期限
自己破産者が弁護士費用の免除を申請する際の期限は、免責許可決定日から2ヵ月以内です。
申請者は、債務整理の手続きに必要な書類や情報を速やかに収集し、提出することが求められます。
ひとり親も法テラスが立て替えた費用の返済が免除される可能性がある
ひとり親の方も、以下3つの要件を満たすことで、法テラスで立て替えた費用の返済が免除される可能性があります。
ここでは、ひとり親の方が費用返済を免除される要件について詳しくみていきましょう。
ひとり親が返済免除となる3つの要件
ひとり親が返済免除となる要件は、以下のとおりです。
- 「ひとり親」であること
- 資力要件を満たすこと
- 決められた額を返済していること
1.「ひとり親」であること
費用返済を免除してもらうには、ひとり親であることを証明しなければなりません。
「ひとり親」に該当する要件は、以下のとおりです。
- 免除申請された援助事件において、養育費の支払いを求めたこと
- 免除申請の際に、法律上の婚姻関係がないこと
- 免除申請時に、義務教育年齢までの子どもと同居し、その子を扶養していること
2.資力要件を満たすこと
生活保護を受けていない人が償還免除を受けるには、収入要件と資産要件の両方を満たす必要があります。
なお、申請後6ヵ月以内に要件を満たさなくなった場合、免除は決定されません。
そのため、申請時に要件を満たしていても、免除が決定されるのは申請から半年以上経過したあとで、その間の償還は猶予されます。
償還免除を申請する際には、具体的な収入および資産の状況を証明するための書類が必要です。
収入要件を満たすためには、家計の総収入が一定の基準以下であることが求められます。
- 1人127,400円(140,140円)41,000円以下(53,000円以下)
家族人数 | 収入基準 | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額 |
2人 | 175,700円(193,270円) | 53,000円以下(68,000円以下) |
3人 | 190,400円(209,440円) | 66,000円以下(85,000円以下) |
4人 | 209,300円(230,230円) | 71,000円以下(92,000円以下) |
※カッコ内は東京都特別区や大阪市などの場合
また、資産要件では、預貯金や不動産などの資産が制限以内であることが条件となります。
- 現金、預貯金、保険(生命保険、学資保険、個人年金等)の解約返戻金、有価証券の時価等の合計額が 66 万 円以下であること
- 自宅の他に不動産を保有していないこと
- 車を保有している場合は、世帯あたり1台のみであること
3.決められた額を返済していること
事件の相手方から金銭等を得た場合や訴訟によって利益を得る見込みがあり、その金額が援助事件において償還に充てられるべきと決定された場合、得た利益分の返済が完了するまで免除はできません。
ただし、特別な事情が認められ、相応の理由がある場合には例外として免除が検討されることもあります。
免除を希望する場合は、具体的な状況や背景を詳細に説明し、適切な書類を提出しなければなりません。
担当機関が審査をおこない、最終的な決定をします。
ひとり親が費用の返済を免除される対象事件は限られる
ひとり親免除の対象となるのは、特定の援助事件(同一の相手方に対する養育費請求事件)の立替金に限られます。
- 養育費請求事件
- 養育費増額請求事件・養育費減額請求事件
- 離婚等(離婚・親権・財産分与・年金分割及び慰謝料)請求事件
- 親権者変更申立事件
- 婚姻費用分担請求事件
- 婚姻費用増額請求事件・婚姻費用減額請求事件
- 監護者指定・子の引渡し請求事件
- 面会交流請求事件
- 配偶者暴力等保護命令事件
- 認知請求事件
- 離縁請求事件
- 以上の事件の強制執行事件
- 以上の事件の保全事件
他の援助事件の立替金については通常の免除要件に基づき判断され、場合によっては償還が必要です。
解決したい
減らしたい
獲得したい
揉めている
弁護士を してほしい
相談できる
親族と揉めている
対策をしたい
請求したい
されてしまった
訴えたい
払って もらえない
分からない
お金を 取り戻したい
上記以外でも法テラスが立て替えた費用の免除が受けられる場合がある
生活保護受給者やひとり親以外でも、以下3つの要件を満たすことで、法テラスで立て替えた費用の返済が免除される可能性があります。
ここでは、これらの要件の詳細をみていきましょう。
生活保護受給者やひとり親など以外で返済免除となる3つの要件
生活保護受給者やひとり親など以外で返済免除となる要件は、以下のとおりです。
- 収入要件を満たすこと
- 資産要件を満たすこと
- 資力回復困難要件を満たすこと
1.収入要件を満たすこと
生活保護受給者やひとり親など以外で返済免除となる収入要件は、以下のとおりです。
- 本人および配偶者(内縁関係含む)の合計収入が、特定の金額以下であること
- 収入には、親族からの援助、児童扶養手当、養育費、婚姻費用分担金、特別児童扶養手当、その他の公的手当(児童手当を除く)や公的給付も含める
- 離婚などで配偶者と別居し扶養を受けられない場合、配偶者の収入を合算しない
- 毎月継続的に発生する税金、社会保険料、医療費、教育費(塾・習い事を除く)、やむを得ない出費等は収入から差し引くことが可能
- これらの支出を証明する資料の提出が必要
家族の人数ごとの収入要件の基準は以下のとおりです。
家族人数 | 収入基準 | 家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額 |
1人 | 127,400円(140,140円) | 41,000円以下(53,000円以下) |
2人 | 175,700円(193,270円) | 53,000円以下(68,000円以下) |
3人 | 190,400円(209,440円) | 66,000円以下(85,000円以下) |
4人 | 209,300円(230,230円) | 71,000円以下(92,000円以下) |
2.資産要件を満たすこと
生活保護受給者やひとり親など以外で返済免除となる資産要件は、以下のとおりです。
- 現金、預貯金、保険(生命保険、学資保険、個人年金等)の解約返戻金、有価証券の時価等の合計額が 66 万 円以下であること
- 自宅の他に不動産を保有していないこと
- 車を保有している場合は、世帯あたり1台のみであること
3.資力回復困難要件を満たすこと
生活保護受給者やひとり親など以外で返済免除となる資力困難要件は、以下のとおりです。
- 65歳以上の高齢者
- 重度又は中度の障害のある者
- 前号の障害のある者を扶養している者
- 疾病により長期の療養を要するため、現に収入を得ておらず、かつ、今後1年程度の間に労務に服することが見込めない者
- 前各号に準ずる事由により、今後1年ないし2年で、現在よりも生計が改善される見込みに乏しい者
法テラスへの費用免除の申請方法
法テラスへの費用免除は、どのように申請すればよいのでしょうか。
ここでは、申請方法について解説します。
申請のタイミング
法テラスへの償還免除申請のタイミングは、事件終了後です。
事件が解決する前や弁護士に依頼したタイミングから、免除を申請することはできないので注意してください。
申請に必要な書類
償還免除申請には、以下の書類が必要になります。
- 事件の終了を証明する書類(例: 判決文、和解書など)
- 本人確認書類(例: 運転免許証、マイナンバーカードなど)
- 収入証明書(例: 給与明細、納税証明書など)
- 家計の状況を示す書類(例: 家計簿、銀行口座の明細など)
申請書類はすべて正確に記入し、必要な署名を忘れずにおこないましょう。
書類不備がある場合、申請が遅れる可能性があるため注意が必要です。
申請後、所定の審査期間を経て結果が通知されます。
破産事件の場合
援助事件が自己破産申立事件であり、免除申請が免責決定から2ヵ月以内の場合、破産申立資料を利用して申請が可能です。
このときに必要な書類は、以下のとおりです。
- 破産宣告の決定書
- 破産管財人の報告書
- 債権者一覧表
- 関連書類
また、免除申請をおこなう際には、申請書に適切な理由を明示し、添付書類が揃っていることが重要です。
そのほかの事件の場合
破産事件特例以外での申請の場合、免除に関する確認票が必要です。
この確認票は、申請者が特定の条件を満たしていることを証明するための重要な書類になります。
法テラスに立て替えてもらった費用の返済を免除してもらえない場合は?
法テラスに立て替えてもらった費用の返済を免除してもらえない場合、どのようにすればよいのでしょうか。
ここでは、費用免除は認められなかったときの対処方法について解説します。
猶予をしてもらえる可能性がある
費用の免除が認められなくても、事件が終了するまでの間の弁護士費用の支払いを猶予することができます。
ただ、これは支払い時期を遅らせるもので、支払い義務を免除するものではありません。
生活保護受給者や経済的に困窮している方が猶予の対象となります。
踏み倒すと法的措置を講じられる
法テラスへの返済がない場合、電話・文書・来訪などの督促がおこなわれ、遅延が続けば年率3%の遅延損害金が発生します。
督促に従わない場合、訴訟が起こされる可能性があります。
法テラスからの返済義務を果たせなくなった場合は、早急に相談し、適切な対応策を取ることが重要です。
場合によっては、返済計画の見直しや緩和措置を講じてもらえることもあります。
問題を先送りにせず、早期に対処することで、将来的なリスクを最小限に抑えることができるでしょう。
さいごに
法テラスには、経済的に困窮している方向けの弁護士費用立替制度があります。
一定の条件を満たすことで、生活保護受給者や自己破産者でも、立て替えた費用の返済が猶予・免除されやすくなります。
特別の事情があり、経済的に困窮していると判断されるからです。
ただし、猶予や免除してもらう場合は、必要書類を用意して適切に申請する必要があります。
法テラスの立替制度の要件は厳正であり、要件にあわないと判断され却下されるケースも少なくありません。
スムーズに立て替えた費用の返済の猶予・免除をしたい場合、要件を満たしたうえで、できる限り早く法テラスに相談することを強くおすすめします。
法テラスへの返済がおこなわれなかった場合、法的措置を講じられる可能性があるでしょう。
当然、遅延が続けば、遅延損害金も発生します。
そのため、早い段階で、返済計画の見直しや緩和措置を検討するべきです。
法テラスを上手に活用するためにも、ご自身の目的を明確にして、事前準備をしっかりとおこなったうえで相談するようにしましょう。
解決したい
減らしたい
獲得したい
揉めている
弁護士を してほしい
相談できる
親族と揉めている
対策をしたい
請求したい
されてしまった
訴えたい
払って もらえない
分からない
お金を 取り戻したい