初めて法テラスを利用する方へ|安心して利用するための基礎知識を解説

初めて法テラスを利用する方へ|安心して利用するための基礎知識を解説
目次
  1. 初めて法テラスを利用するときに知っておきたい基本知識
    1. そもそも法テラスとは? | 国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所
    2. 法テラスが担う業務のうち、初めて利用する方が知っておきたい2つ
    3. 法テラスを利用して弁護士に相談・依頼する2つの方法
  2. 無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替を利用するための審査条件
    1. 資力が一定の基準以下であること
    2. 勝訴や和解解決などの見込みがないとはいえないこと
    3. 民事法律扶助の趣旨に適していること
  3. 法テラスを初めて利用する際の流れ
    1. 1.まずは無料相談の予約をする
    2. 2.弁護士による無料法律相談を受ける
    3. 3.無料相談後に立替申請をする
    4. 4.立替申請に対する書類審査がおこなわれる
    5. 5.審査結果が通知される
    6. 6.法テラス・弁護士・利用者間で三者間契約を締結する
    7. 7.弁護活動と分割払いが開始される
    8. 8.判決後、援助終結決定がおこなわれる
  4. 立替制度を利用した場合の返済について
    1. 返済額は毎月5,000〜1万円
    2. 返済期間は3年
    3. 返済の免除や猶予を受けられる場合もある
  5. 初めて法テラスを利用する方からよくある質問
    1. どんな種類の事件についても利用できるのですか?
    2. 無料法律相談は予約なしでも利用できますか?
    3. 相談の際に持参しなければならないものはありますか?
    4. 相談した弁護士に依頼したくありません。違う弁護士に依頼できますか?
  6. さいごに

法律トラブルに巻き込まれたとき、経済的な理由から法テラスを利用したい方も多いのではないでしょうか。

しかし、法テラスを利用するのはほとんどの方が初めてのはずです。

馴染みがなく、どんな機関なのかあまり理解しておらず、不安を抱えている方もいるでしょう。

初めて利用する場合の手続きの流れや利用方法を知りたいと考えるのは当然です。

法テラスには、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替を利用するための制度がありますが、それぞれ、いくつかの審査条件が存在します。

法テラスを上手に活用するためにも、基本知識や審査条件、利用する際の流れを把握しておくのがおすすめです。

本記事では、初めて法テラスを利用するときに知っておきたい基本知識、無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替を利用するための審査条件、法テラスを初めて利用する際の流れについて解説します。

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初めて法テラスを利用するときに知っておきたい基本知識

法テラスには、初めて利用するときに知っておきたい基本知識があります。

ここでは、法テラスを利用する前に知っておくべき基本知識を紹介します。

そもそも法テラスとは? | 国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所

法テラスは、借金、離婚、相続などの法的トラブルの解決を支援するために国が設立した総合案内所です。

法テラス・サポートダイヤルや地方事務所を通じて、無料の相談窓口や法制度情報を提供し、経済的に困っている人には弁護士や司法書士との無料相談や、事件解決費用の立て替えもおこないます。

また、犯罪被害者支援や法律サービスを受けにくい地域への弁護士派遣など、さまざまな法的支援を提供しています。

法テラスが担う業務のうち、初めて利用する方が知っておきたい2つ

法テラスの主な業務は、以下のとおりです。

【法テラスが担う業務】
  • 情報提供業務
  • 民事法律扶助業務

情報提供業務 | 問い合わせ内容に関連した法制度と相談窓口を案内

情報提供業務とは、利用者からの法制度に関する問い合わせに回答し、弁護士会や地方公共団体の相談窓口などの相談機関・団体に関する情報を無料で提供するサービスです。

法的トラブルに直面して解決方法や相談先がわからない人や、将来のトラブルを避けるために情報を得たい人に対して、最適な解決策を案内します。

窓口名称法テラス・サポートダイヤル
受付日時・曜日平日:9:00〜21:00
土曜日:9:00〜17:00
(※祝日・年末年始を除く)
連絡先0570-078374
URLhttps://www.houterasu.or.jp/site/about-houterasu/jouhouteikyou.html

民事法律扶助業務 | 無料法律相談と弁護士・司法書士費用の立替

民事法律扶助業務とは、経済的余裕がない人が法律トラブルに直面した際、費用をかけずに弁護士の支援を受けられる制度です。

民事法律扶助を利用するには、一定の条件を満たす必要がありますが、条件を満たせば無料で法律相談を利用できるほか、弁護士費用を立て替えてもらうことも可能です。

法テラスを利用して弁護士に相談・依頼する2つの方法

法テラスを利用したい場合、どのように相談を進めていけばよいのでしょうか。

ここでは、法テラスを利用して弁護士に相談・依頼する方法2つを解説します。

法テラスに紹介してもらう方法

法テラスには常駐のスタッフ弁護士がおり、法律相談や有料の依頼を受け付けています。

法テラスで法律相談をしたい旨を電話で伝えると、希望日に都合がよい弁護士を紹介してもらえるでしょう。

ただし、法テラスに弁護士を紹介してもらう場合は、自分で弁護士を選ぶことはできません。

あくまでも法テラスのスタッフが適した弁護士を選ぶ形になるので、自分に合う弁護士が担当してくれるかわからない点に注意しましょう。

法テラスと契約している弁護士を自分で探す方法

法テラスの方法には、法テラスに弁護士を紹介してもらう方法のほか、自分で選んだ弁護士を経由して法テラスに利用申請をする「持ち込み方式」があります。

持ち込み方式では、自分で弁護士を選び、その弁護士が法テラスに利用申請手続きをおこないます。

持ち込み方式では、法テラスの提携弁護士から好きな弁護士を選べるうえ、依頼者は自分で手続きの詳細を調べる必要がありません。

選んだ弁護士に依頼すれば、全て代行してくれるため、手続きがスムーズに進むという利点があります。

特に、初めて法テラスを利用する方や手続きに不安がある方にとってたいへん便利でしょう。

持ち込み方式を利用すると、自分で選んだ弁護士が最初から最後まで一貫して対応するため、コミュニケーションも円滑におこなえます。

ただし、全ての弁護士が持ち込み式に対応しているわけではないため、希望する弁護士が「持ち込み方式」に対応しているかどうか、事前に確認することが重要です。

無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替を利用するための審査条件

法テラスの無料法律相談を利用する際は、要件を満たしているかどうか電話やオンラインで簡単な審査がおこなわれます。

なお、弁護士費用の立て替え制度を利用する場合は、以下のような書類を揃えて審査を受ける必要があります。

【立て替え制度の審査に必要な書類】
  • 援助申込書
  • 事件調書
  • 資力申告書
  • 収入を証明する資料
  • 住民票

【参考】審査に必要な書類について|法テラス

資力が一定の基準以下であること

法テラスの無料法律相談や立て替え制度を利用するには、資力が一定基準の以下である必要があります。

なお、収入・資産の基準は家族人数によって以下のように異なります。

【法テラスの無料相談を利用するための資力基準】
家族人数収入基準家賃又は住宅ローンを負担している場合に基準額に加算できる額資産基準
1人182,000円(200,200円)41,000円以下(53,000円以下)180万円以下
2人251,000円(276,100円)53,000円以下(68,000円以下)250万円以下
3人272,000円(299,200円)66,000円以下(85,000円以下)270万円以下
4人299,000円(328,900円)71,000円以下(92,000円以下)300万円以下

※カッコ内は東京都特別区や大阪市などの場合

勝訴や和解解決などの見込みがないとはいえないこと

法テラスを利用するには、その法律案件について「勝訴の見込みがないとはいえないこと」も条件となります。

「勝訴の見込み」がある状態とは、以下のようなケースを指します。

【勝訴や和解解決の見込みがあると判断されるケース】
  • 調停・示談成立が期待できる
  • 自己破産の免責の可能性がある

民事法律扶助の趣旨に適していること

民事法律扶助の目的は、正当な権利主張の保障です。

そのため、法テラスの無料法律相談や費用立て替え制度を利用するには、利用目的が民事法律扶助の趣旨に適していることも必須となります。

たとえば、個人的な報復や宣伝、権利濫用の訴訟には、民事法律扶助は利用できません。

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法テラスを初めて利用する際の流れ

ここからは、法テラスを初めて利用する方に向けて、利用の流れを紹介します。

法テラスを利用する流れは、以下のとおりです。

  1. まずは無料相談の予約をする
  2. 弁護士による無料法律相談を受ける
  3. 無料相談後に立替申請をする
  4. 立替申請に対する書類審査がおこなわれる
  5. 審査結果が通知される
  6. 法テラス・弁護士・利用者間で三者間契約を締結する
  7. 弁護活動と分割払いが開始される
  8. 判決後援助終結決定がおこなわれる

それぞれのステップについて、以下で詳しく解説します。

1.まずは無料相談の予約をする

まずは、法テラスの無料相談の予約をしましょう。

法テラスの予約は、電話や一部のWebページから受け付けています。

全国各地に事務所があり、対面・電話・オンラインで相談が可能です。

高齢や障がいなどで相談場所に行けない場合は、自宅や病院でも相談できます。

詳細は希望する地方事務所のページをご覧ください。

【関連URL】法テラス地方事務所ページ

自分で弁護士を探す場合は、法律事務所へ直接連絡して相談する

自分で弁護士を探す場合、法テラスへ問い合わせをするのではなく、まずは法テラスと契約している弁護士を探しましょう。

法テラスの提携弁護士がいる法律事務所に連絡して、無料相談の予約をする必要があります。

予約時に、資力要件などの簡単な審査を受ける

法テラスの無料相談を利用する際は、電話や予約フォームにて、簡単な聞き取りがおこなわれます。

費用立て替え制度の審査と比べると比較的簡易的な内容なので、ほとんどのケースで無料相談は利用できるでしょう。

収入や資産について聞かれる場合もあるので、念のため通帳などを手元に用意してから電話するのがおすすめです。

2.弁護士による無料法律相談を受ける

無料相談の予約ができたら、予約日に相談に臨みましょう。

弁護士との無料相談は同じ案件につき3回までおこなえますが、1回の相談時間は意外と短く感じるものです。

事前に聞きたいことや自分の希望を明確にしてから相談に臨みましょう。

3.無料相談後に立替申請をする

無料相談が終了した後、弁護士に依頼するかを決めます。

依頼する場合、弁護士を通じて費用の立替申請を法テラスにおこないます。

4.立替申請に対する書類審査がおこなわれる

法テラスが弁護士費用の立替申請に対して書類審査をおこないます。

審査では、資力基準を中心に利用条件を確認します。

担当弁護士の指示に従って、収入証明(給与明細など)、住民票などの身分証明書、事案の内容を示す書類などを集めましょう。

書類審査は申請から約2週間かかります。

また、書類審査がおこなわれるなかで追加の資料が必要になる場合もあるでしょう。

担当弁護士から連絡があった際には速やかに対応し、必要な書類を提出してください。

対応が遅れると、審査期間が延びる可能性があるため注意が必要です。

5.審査結果が通知される

審査結果は、担当弁護士宛に書面で通知されます。

審査に合格し「援助開始決定」がおりると、弁護士費用の立て替え額や支払条件、返済計画などの詳細も通知されます。

申請者は決定通知を受け取り次第、速やかに必要な手続きを進めましょう。

また、援助が開始されたあとも、定期的に進捗状況や経済状況の報告をおこなわなければなりません。

報告が滞ったり、不正が発覚したりした場合は、援助の停止や返還請求がおこなわれることがあるので注意が必要です。

6.法テラス・弁護士・利用者間で三者間契約を締結する

援助開始決定後、法テラス・担当弁護士・ご自身の三者で契約書を作成し、法テラスに提出します。

受理後約1ヵ月で弁護士費用の立て替えがおこなわれます。

7.弁護活動と分割払いが開始される

弁護士費用が立て替えられると、弁護士は活動を開始します。

同時に立替金の償還が開始され、事件が進行中でも支払いを始めなければなりません。

支払いは三者間契約書受理後、原則2ヵ月後に開始し、事件終結後3年以内に全額返済する必要があります。

8.判決後、援助終結決定がおこなわれる

法テラスが依頼事件の終了後に「援助終結決定」を出し、弁護士の成功報酬を立て替えます。

依頼者は、報酬金も含め、最大3年以内に立替金を分割で返済しなければなりません。

返済スケジュールや金額は、依頼者の経済状況を考慮したうえで設定されます。

また、事件終了時に相手から回収した金額は、援助金と報酬金の一括精算に充てられ、残額があれば依頼者に支払われます。

立替制度を利用した場合の返済について

法テラスが立て替えた弁護士費用は、分割払いで返済しなければなりません。

ここでは、立て替え制度を利用した場合の返済について解説します。

返済額は毎月5,000〜1万円

援助開始決定後、月額5,000円〜10,000円程度を毎月返済します。

返済額は依頼主の収入状況に応じて法テラスが決定し、支払いは銀行口座からの自動引き落としが基本です。

返済期間は3年

事件終了後、原則として3年以内に立替金を全額返済する必要があります。

敗訴した場合や希望する結果とならない場合でも、立替金の返済義務は変わりません。

返済の免除や猶予を受けられる場合もある

返済は生活保護受給中は猶予され、生活保護を継続して受けている場合や特別な事情がある場合には免除の申請が可能です。

また、生活保護を受けていなくても特定の収入・資産条件を満たせば免除が受けられます。

初めて法テラスを利用する方からよくある質問

ここでは、法テラスの利用に関してよくある質問を紹介します。

どんな種類の事件についても利用できるのですか?

法テラスは刑事事件についての法的サービスを一般の方には提供しておらず、弁護士の相談や依頼もできません。

債務整理や離婚、交通事故などの民事事件に関しては「民事法律扶助」として法的サービスを提供しています。

無料法律相談は予約なしでも利用できますか?

相談は原則予約制で、地域によって相談場所や方法が異なります。

詳細はお近くの法テラスに電話で確認してください。

相談の際に持参しなければならないものはありますか?

裁判所や相手方からの書類(訴状、調停呼出状、請求書など)があれば、持参するようにしましょう。

また、相談内容や現状を記載したメモや関連書類も、できるだけ持参するのがおすすめです。

詳細が正確に伝わると弁護士は状況を把握し、より具体的なアドバイスを提供できます。

さらに、不倫や労働問題など相談内容によっては、証拠として使用できる書類や写真、メールのやり取りの記録なども一緒に持参するとよいでしょう。

相談した弁護士に依頼したくありません。違う弁護士に依頼できますか?

相談した弁護士や司法書士に必ず依頼する義務はありません。

法テラスの無料法律相談は、同一問題について3回まで無料で利用できるため、範囲内であれば別の弁護士や司法書士に相談することも可能です。

それぞれの専門家が異なる視点やアプローチを持っているため、複数回の相談を活用して最適な解決策を見つけ出すことが重要です。

さいごに

法テラスは、国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所です。

無料法律相談や弁護士・司法書士費用の立替を利用するための制度がありますが、それぞれ、いくつかの審査条件が存在します。

資力基準や勝訴・和解解決の見込みがあるかどうかなど、一定の条件をクリアしなければなりません。

また、立て替え制度を利用した場合は当然、費用を返済する必要があります。

そのため、不安があれば、まずは、法テラスの無料相談を受けることを強く推奨します。

返済については、免除や猶予を受けられる可能性があります。

法テラスを上手に活用するためにも、基本知識や利用手順を把握しておくことが大切です。

法律トラブルのことで不安があれば、なるべく早く法テラスに相談しましょう。

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この記事の調査・編集者
アシロ編集部
本記事は法律相談ナビを運営する株式会社アシロの編集部が企画・執筆を行いました。※法律相談ナビに掲載される記事は、必ずしも弁護士が執筆したものではありません。本記事の目的及び執筆体制についてはコラム記事ガイドラインをご覧ください。
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